木更津駐屯地航空際

木更津駐屯地航空際
2019年12月8日木更津駐屯地航空際にて撮影

2011年2月3日木曜日

天にひびき 3巻 読了

天にひびき 3巻 読了
やまむらはじめ/著 少年画報社/刊 20110212初版552円 YK OURS COMICS

 本日2月3日は節分。家々からは豆を撒く声が聞こえ、店頭では豆撒き用の豆を売る光景を見るのが通例ではありましたが、ここ数年関東地方でも太巻きを方角を合わせて食する“恵方巻”が店頭を賑わわせるようになりました。一地方の行事であった“恵方巻”でしたが、季節ごとのイベントの一つとして、拙者の記憶が正しければコンビニが取り上げて以来、スーパーや和食系飲食店が広告・促販や店頭イベントで盛上げた結果広く認知されるようになったと思います。バレンタインとチョコレートが企業努力により繋がったように、本日正に企業による商業主義により文化が伝播する瞬間を目撃してしまいました。無論消費者も唯々諾々と企業から提供されるモノや情報を消費しているわけではなく、取捨選択をしているわけですから、イベントを打ったからと云って広く世間に受け入れられるわけではありません。その点では“恵方巻”は成功して例となるのではないでしょうか。拙者は恵方巻の由来を寡聞にして知りませんが、大方部屋の隅で太巻きを独り占めしてモグモグ食べている所に、
 あんた何してはるの?と踏み込まれ、
 こ、これは縁起を担いで黙って一人で食しているのだ、
 ほな私もそうさせてもらうわ、モグモグモグ
 なんてことがありましてん、と笑い話が一地方に流布されたのではなかろうかと妄想する次第。

 さて、「天にひびき」の第3巻。バイオリンを音楽大学で学んでいる久住秋央は、今一つ音楽活動に身を入れることが出来ないでいた。そんな或る日、とある偶然からオーケストラの指揮棒を振った少女“曽成ひびき”と再会し、彼は自分の運命が動き始めたのを確信する。更に彼を気に懸ける同期の女性や、プロとして活躍中の幼馴染も登場し、久住秋央の周りは華やかにそして賑やかになっていく。
 本編を読んでいくと久住秋央の家族や関係者もまた音楽家であることがわかります。彼の同期生も似たようなものでしょう。結局芸術関係に進める少年少女は、生まれたときの条件に左右されやすいと思われます。そんな今の世の中親の因果が子に影響するんですか、と云う疑問は当然思い浮かべるでしょうが、親の年収が子の学歴に影響があるとの統計結果が出ていますので、教育の環境は大事であるのは確かです。無論個々のケースにおいては様々な条件が重なりますので、一つの要因と成っている程度の話になります。一般論として親の背中を見て育つわけですから、親の跡を継ぐのは、馴れ親しんだ世界を引き継ぐわけですから楽ではあります。さらに云えば身近にモデルケースがある分、自分の経験値を初めから幾らか持っている事にもなります。あくまでもトバ口が広いか狭いかの話で、社会に出て成功するかどうかは、その後の己の才能と努力と運がモノを云うのは云うまでもありません。ただ何であれ、目標が出来、目標に向って突き進むとき、本人が意識せず努力を続けられるのは間違いありません。山の頂に立つのが目標ならば、山を登るのは苦ではなくなります。しかし、物語は更に一歩進ませ、現在リハビリ中の主人公久住秋央の師匠が登場します。芸術は才能と共に技術の世界でもあります。何十年もかけ培った技術が病気により無に帰した時の人間の姿の一つを描き出す、著者やまむらはじめの技量に感動。

 内容紹介:少年時代…久住秋央は幼馴染の父親がコンサートマスターを務めるコンサートの練習に来ていた。だが指揮者の曽成氏は休憩時に失踪。そこへ現れた少女が、父の代わりだと指揮を降り始め、奏者達は彼女の振りにのまれ演奏してしまう。コンサートは成功するが曽成氏は音楽界から退く。そして9年後―――。大学生になった秋央は冷めていたが、あの時の少女、曽成ひびきと再会し、また彼女の魅せる音楽に翻弄され、また努力をはじめる。そんな中、渡欧していた幼馴染みが帰国して……!?音大生達の想いが奏でる音楽青春ストーリー!
(ヤングキングOURS掲載)

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