木更津駐屯地航空際

木更津駐屯地航空際
2019年12月8日木更津駐屯地航空際にて撮影

2011年5月31日火曜日

シュトヘル 4巻 読了


シュトヘル 4巻 読了
伊藤悠/著 小学館/刊 20110503初版590円 ビッグ スピリッツ コミックス スペシャル
 重き業を背負った者達の交差する宿命。いや、生きるためには他の命を喰らわねばならぬならば、業を背負わねば生き残る事は出来ないのか。
 聞いた話では、戦時の死亡率は大陸より日本の方が高いんだとか。大陸ならば逃げて逃げて逃げまくれば、逃げ切る事もできたのでしょうが、日本では一日二日突っ走れば日本海から太平洋へ突き抜けてしまいますから逃げようにも逃げ場が無い。となると、戦いイコール籠城戦みたいなもので、死ぬまで戦うか、軍門に下って死ぬかの二者択一。小競り合いならお金や領土で手打ちもあるでしょうが、大戦(オオイクサ)になってしまっては、降伏したとしても、信賞必罰は武門の拠って立つ所、今も昔も戦争責任は誰かがとらねばならぬものなのです。そこまで大々的に戦うと、勝った側の痛手も相当なもので、弱った所を第三者第四者が攻めてくる場合もあります。大抵は大戦になる前に、仲裁が入って講和となります。でも、大陸であれ日本であれ、いつの時代のどの戦のデータだか気になる所。まあ、酒の席での話しだったしなぁ。
 主人公の性別が転生により入れ替わるのは、いったいどんな意味があるのでしょうか?今後の展開に伏線として生かされるのかどうか、気になります。

 内容説明:高校生・須藤、13世紀激戦の地へ!!蒙古軍の侵攻にさらされていた西夏国。その西夏の女戦士・シュトヘルの肉体に転生した高校生・須藤。伊藤悠が圧倒的な筆致で描く歴史巨編は、ついに過去と現代がつながる須藤編に突入!!(アマゾンより引用)
 西夏国(タングート)の女戦士・シュトヘルの肉体に転生した高校生。須藤。滅びゆく国の文字を守らんとするユルールと共に、西夏の文字盤・玉音同をかかえ南宋への脱出を計る。一方、蒙古軍はユルールの兄・ハラバルを使い、西夏の国立図書館・番大学院をも焼き、執拗に玉音同を追い続ける、そして謎の尼僧・ヴェロニカが、ついにユルールの存在に目を付ける…………!!(カバー裏表紙より引用)
(月刊!スピリッツ掲載)

2011年5月30日月曜日

銃夢 Last Order 16巻 読了


銃夢 Last Order 16巻 読了
木城ゆきと/著 講談社/刊 20110523第1刷667円 KCDX
 アニメ「日常」のネットラジオも面白いでスなぁ。はかせが中の人ではなくはかせとしてパーソナリティをしているのがステキ。

 集英社『ウルトラジャンプ』連載中、刀耳が主人公ガリィを木端微塵とした所で連載中断!勝負はいったいどうなるのだッ、と云う見事な引きで講談社『イブニング』へ移籍。いったい水面下で何が起きたのか知る由も無い身としては、作品が読めるだけで至上と思うだけですが、小学館でデビューし集英社で売れそして講談社へと、実力のある人はどうとでもなるものだと感心いまします。絶火VSゼクス、羅姦VSザジの戦いは続きつつ羅姦の過去も描かれたり、作品内でも作品外でも波乱万丈な第16巻。
 帯によると「初版のみカラーページ特別収録!!!!!」だそうなので、本屋さんへ急げ!

 内容紹介:宇宙天使隊VS.宇宙空手連合軍 死力を尽くした戦い────極まる!!! 故郷・クズ鉄町とザレムの命運をかけた決勝戦。ガリィと刀耳、ゼクスと絶火、そしてザジと羅姦。お互いがお互いを好敵手として、魂の限界を削りあう極限の戦いが繰り広げられる!一方、ムバディは己の野望を胸にダモクレスの剣へと手をかけ大国たちは失われたものを取り戻すべく決勝戦への干渉をこころみる。拳が大地を揺るがし、衝撃波が天空を震わせる戦士たちの交響曲は、いよいよクライマックスへ!! (カバー裏表紙より引用)
(『ウルトラジャンプ』『イブニング』掲載)

2011年5月29日日曜日

西遊妖猿伝 西域篇 3巻 読了


西遊妖猿伝 西域篇 3巻 読了
諸星大二郎/著 講談社/刊 20110523第1刷733円 モーニングKC
 郡山市役所を撮影に出かけて、携帯を何所かに忘れてしまいました。レシートを頼りに電話したら、果たしてファミレスにおいて来ていました。なんてこったい!

 伏線を張っているストーリー展開でしょうか?初版の帯には「『粟特城(ゾクトジョウ)の章』、凄まじきクライマックス!」なんて書いて煽っているのに…。

 内容説明:城門の結界のほころびを抜け、妖少女アマルカが粟特城(ぞくとくじょう)の砦に侵入した。同時に、羊頭の怪物たちも再び活動をはじめる。少女の最終目的はなんなのか? 彼女に寄り添う謎の老人の正体は? そして、孫悟空が与えられた“役割”とは? 今、長き魔の夜が始まる! 「粟特城の章」、凄まじいクライマックス! 読む者の少年心を揺り起こすエキゾチック・アドベンチャー、ますます加速!!
 著者について 諸星大二郎:東京都出身。1949年生まれ。70年、「COM」掲載の『ジュン子・恐喝』でデビュー。74年、『生物都市』が第7回手塚賞に入選。ホラー、SF、歴史物、ファンタ ジー、ギャグなど描く作品の幅は広く、独自の作風は多くの漫画家やクリエーターに影響を与え続けている。『稗田礼二郎(妖怪ハンター)シリーズ』『暗黒神話』『マッドメン』『栞と紙魚子シリーズ』など代表作は多数。92年に『ぼくとフリオと校庭で』『異界録』で第21回日本漫画家協会賞優秀賞を、2000年に『西遊妖猿伝』で第4回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した。著作には小説(『キョウコのキョウは恐怖の恐』『蜘蛛の糸は必ず切れる』)もある。 (アマゾンより引用)
(モーニング掲載)

2011年5月28日土曜日

浜田ブリトニーの漫画でわかる萌えビジネス 読了


浜田ブリトニーの漫画でわかる萌えビジネス 読了
浜田ブリトニー/著 小学館/刊 20110522初版800円 サンデーGXコミックス
 掲載誌サンデーGXで連載中なのに、単行本に巻数が入っていないのは何故なのでしょうか?もしかして2巻目を出すつもりは無い!?それとも連載が続いているのが想定外?
 内容はインタビューおよび体験記事マンガ。最初は体験する系を目指していたようですが、どんどんインタビュー系に突き進んでいます。多業種に渡る萌え産業を取材しているので、記事部分だけでも充分に楽しめるのではないでしょうか。どのくらい創作が入っているのかわかりませんが。表紙も凝っていて何かの(正解はカバーの返し)パロディになっているし、紙質も白いせいか、値段も通常B6版コミックスより200円がた高くなっています。強気な価格設定です。金儲けを唱えている内容からすると意外な感じがします。印税率を高く上乗せしているとか、発行部数が通常よりかなり少ないとか。
 “萌え産業”に関する拙者の感想ですが、フィギュア系は各店頭の売り場面積が縮小しているので、もう飽和していると思います。パソコン美少女ゲームも既に下り坂と思われます。もしかすると店頭販売からネット販売へと、販売形態が移行しているせいかもしれませんが、ホビージャパンやテックジャイアンをながめて新製品点数が減っているのではないでしょうか。まあ具体的な数字は挙げられませんけどね。アキバの街に食べ物屋が増えていたり男性衣料店や飲み屋が増えている点からも、電気系電子系コンテンツ系の店舗が減っているためではないでしょうか。ラノベやマンガは全盛ですが、新たなパターンを探し試行錯誤をしている情況だと思われます。

 内容説明:ジェネコミの中にビジネス書として新しいレーベルGXCビジネス誕生。萌え知識ゼロのギャル漫画家の浜田ブリトニーが、無謀にもリッチになることを目論んで、体当たりで萌え300%業界に乗り込み秘訣を探る! (アマゾンより引用)
(サンデーGX掲載)

2011年5月27日金曜日

ラブやん 15巻 読了


ラブやん 15巻 読了
田丸浩史/著 講談社/刊 20110523第1刷543円 アフタヌーンKC
 なんだか本が薄いような気が…。
 取り上げたくなるセリフとかカットとか、今回ちょっと見つかりませんでした。まあ、百回を超える連載をしていればそう云う時期もありますわな。
 
 内容説明:ロリ・オタ・プー、三重苦そろった大森カズフサの恋をイイ感じにすべく、ラブ時空から愛の天使ラブやんがやってきたけど、結局ダメダメにというお話!酒飲み話など非公式な席では大絶賛されるも、なぜか全メディア黙殺の問題作!愛の天使・ラブやんはサンタの力でロリ化してロリやんに。一方、ロリ・オタ・プー のダメ人間、三十路突入した大森カズフサは猫耳少女を夢見て――!? 連載100話 を突破したダメ人間の一大サーガの最新刊は、連載減ページ分を埋める単行本描き下ろしページ付き!!(アマゾンより引用)
(アフタヌーン掲載)

2011年5月26日木曜日

ききみみ図鑑 読了


ききみみ図鑑 読了
宮田紘次/著 エンターブレイン/刊 20101126初版620円 BEAM COMIX
 『COMICリュウ』2011年7月号付録「追悼企画 勝つために戦え!出崎統篇を読む。データとしてウィキペディアを合わせて読めば、現在において一番人物評として出来の良い品ではなかろうか。「宝島」エンディングを彷彿させる表紙イラストも良い。いや「あしたのジョー」のワンシーンなのか。原作では埼玉が舞台の「エースをねらえ!」がアニメでは海辺の街として描かれたように、出崎作品と海は切り離せない関係にあるのでしょう。「おにいさまへ…」また見たくなりました。

 さて「ききみみ図鑑」。“音”をテーマに描かれた短編集。音楽とかに限定されず、耳から聴こえる“言葉”も含まれ、物語の舞台も時代劇ありSFありとバラエティに富んでいます。話をコンパクトに纏めるには技術が必要です。奥付を捲ってもなお、続きを読みたくなりました。
(『月刊コミックビーム』『Fellows!』掲載)

2011年5月25日水曜日

MERROW[メロウ] 読了


MERROW[メロウ] 読了
千田悟史/著 エンターブレイン/刊 20090930初版650円 BEAM COMIX
 自衛隊徳島地方協力本部 http://www.mod.go.jp/pco/tokushima/posutaa.html#6 作成のポスターが、もういったい誰を狙っているんだかわからんモノになってますなぁ。アキバに貼ってあっても違和感ないでしょう。MCアクシズにおいては何をかいわんや。頭数そろえても戦争は出来ないぞ。今、自衛隊に就職して何十年か勤めれば日本国籍をあげるよって云ったら、世界中から応募が殺到するでしょうね。これで少子高齢化対策もバッチリだ!嘘か本当かアメリカでは来日する為に軍に入る“ツワモノ”がいるとかいないとか。

 さて「MERROW[メロウ]」。コミックとかマンガとかのカタカナではなく、「まんが」と書きたくなる懐かしさを伴った雰囲気を持った著者千田悟史の初単行本。あくまで雰囲気であって技術的には現代的と云わざるを得ません。内容はストレートな短編冒険物語。ただし対象者は子どもではなく、子どもの心を持った大人へ向けての作品だと思います。

 内容紹介:期待の新鋭が贈る優しく力強いファンタジー傑作集! 「まっすぐだ!」月刊コミックビーム奥村編集長イチ押し! エンターブレインえんため大賞受賞の期待の新鋭、その、優しさと力強さ溢れるファンタジー世界を、一冊に結晶させたデビュー単行本!

2011年5月24日火曜日

マップス ネクストシート 12巻 読了


マップス ネクストシート 12巻 読了
長谷川裕一/著 ソフトバンク クリエイティブ/刊 20110520初版571円 FleX Comix
 手にとって一言、紙質落ちたなぁ。
 まるで雑誌のような紙質だ。震災の影響なのか、ここまで質を下げないと値段をB6版コミックスの平均にまで下げることができなかったのか、それであってもこの紙質では半年もすれば赤茶けてしまうのは確実。マンガの単行本の大半は使い捨てみたいなものだとしても、「書籍」としての使命を果たしてもらわねば、みすみす電子書籍に座を奪われてしまうぞ。
 さて、内容をすっかり忘れて読み始め、何でリプミラとネクストシートの戦闘シーンから始まっているのか分りませんでした。そうそう、神帝ブゥアーの器としてのナユタとダイナックゲンが戦いでケリをつけるとかつけないとかでした。
 えぇ!ここでゲンとリプミラ退場ですか!?なんだか場の盛り上げに顔を出しただけのような感じでないですか。それとも十の魔物達と顔を会わせない演出?まあこのままゲンとリプミラが活躍したら主役が交代してしまうでしょうから、あくまでも特別出演なのでしょう。それでも拙者の期待を裏切る形で是非クライマックスに乱入してもらいたいものです。
 次の13巻はなんと6月28日発売予定だそうです。おそらく拙者にとってはあっと云う間でしょうな。

 内容紹介:新スペースオペラ漫画の決定版、待望の第12巻!!ゲン&リプミラと激しい戦いを繰り広げるナユタ&ミュズ。その最中、ネクシート号に忍び込んだミヤコは、ゲンの最後のキリフダであるネムローネと出会う。だが、ズザンガディクスには全てを読まれており、リプミラ号のビームがミヤコたちを貫き……。(アマゾンより引用)
(FlexComixブラッド掲載)

2011年5月23日月曜日

SOUL GADGET RADIANT 9巻 読了


SOUL GADGET RADIANT 9巻 読了
大森葵/著 一迅社/刊 20110505初版552円 REX COMICS
 怒涛の展開だッ!
 正に起承転結の「転」に相応しい。
 ボス・キャラの出現と世界の成り立ちの開示、世界の命運を賭けるには、ちっぽけな力しか持たないけれど、だからこそ縁のあった仲間達が集う。さらに前世代の懐かしい面々が登場(拙者はすっかり忘れているが…)。
 これぞ冒険物語の醍醐味。
 ニュータイプコミックスから続く「SOUL GADGET」のストーリーが、いよいよ結末を迎えようとしている。
 読者にしてこの感慨ならば、作者の思いたるやいかばかりか。いや、物語が完結し単行本が出るまでは作者にとってのゴールは迎えられないのかもしれない。9巻を見るとだいたい十ヶ月で一冊なので、次巻は年末だろうか?是非とも作者が満足するように、描き切って欲しいものである。

 内容紹介:幽王(ライエン)復活 その力、圧倒的――――! 止められなかったラキフェスの核現化。幽王の圧倒的な力の前にライルたちはなすすべもなくノイエは奪いさられていく。そして、傷つき一人残されたライルの前に現れたのは―――!? 物語はクライマックスへ加速する「SOUL GADGET RADIANT」第9巻ついに発売!!(帯より引用)
(月刊Comic REX掲載)

2011年5月22日日曜日

鬼神伝 観了


鬼神伝 観了
 原作未読、前情報もアニメ雑誌の広告のみで観に行きました。
 昔拙者が参加していた映画サークルで「鬼神(キジン)の剣」という自主制作映画の企画があり、撮影を何度かした後監督がサークルから逐電し未完の大作となりましたが、映画館でチケット購入する際にも拙者は当然「キジンデン」大人一枚と言いました。「オニガミデン」だったんですね。嗚呼恥ずかしい。
 絵は綺麗だし、よく動くし、冒頭の呪術と怪獣のアクションから声明をアレンジしたBGMのセンスも素晴しい。そして現代の事なかれ主義の少年が過去へと召還され、争いに巻き込まれる展開も定番ながら可もなく不可もなく、生身の人間達が殺し合うシーンを巧みに外し、まあ親子が楽しめる冒険マンガ映画であったと思います。
 映画に比較は不要ながら、土地を巡る二つの勢力、開発を進めようとする権力側と現状を維持しようとする住民達との間に入る主人公の物語は古くはアメリカ映画で良く見ていたような気もするし、「もののけ姫」を彷彿させるものであり、どちらかの勢力に肩入れするでなく、双方の和解を目指す点でも定番な展開でしょう。ただ殺し殺され合ってきた二つの勢力が和解するのは感情的に無理な相談であり、裏で暗躍していた悪者一人をやっつければ全て丸く治まるわけでな無いのですが、一時間四十分の物語で完結するにはこのような展開しかありえないのも充分に理解出来るがゆえに、「もののけ姫」を作り上げた宮崎駿の偉大さを益々感じました。
 声明(複数の坊さんが独特の節回しで歌うようにする読経)を取り入れたBGMを聞いたとき「アキラ」のBGMを思い浮かべましたが、エンディングで宇崎竜童の名を見て合点をしました。映画「カムイの剣」から有名になった和太鼓を取り入れたBGMを作った宇崎竜童が、日本的な音楽を求めて“声明”に行き着くのは理解できます。このBGMのためだけにCDを買おうとしましたが、残念ながら映画館では販売しておらず、映画館の同じ敷地内の紀伊国屋書店レコード部門にもありませんでした。残念。

原題: -
製作年度: 2010年
別題: -
製作国・地域: 日本
上映時間: 98分
 解説: 平安時代にタイムスリップした15歳の少年が、鬼対人間の戦いに巻き込まれながらも奮闘する歴史アニメ。監督は『劇場版 NARUTO-ナルト- 大激突!幻の地底遺跡だってばよ』の川崎博嗣。主人公の少年・天童純を、『ハリー・ポッター』シリーズの全作でハリーの声を吹き替えている小野賢章、鬼の少女・水葉の声を石原さとみが担当している。「AKIRA」の大友克洋がコンセプトデザインを手掛けたオロチ(龍)など、登場キャラクターにも注目だ。シネマトゥデイ(外部リンク)
 あらすじ: 父親を7年前に事故で亡くし、母と2人で暮らす京都の中学生・天童純。ある日の学校帰り、突然現れた謎の魔物に追い掛けられた純は、ある寺に迷い込み、時空を超えて平安の都に連れて行かれてしまう。平安の都では鬼と呼ばれる者たちがさまざまな妖術を使って自然を操り、都の安寧を脅かしているという話を貴族から聞いた純は……。
スタッフ
監督:川崎博嗣
製作総指揮:-
原作:高田崇史
音楽:宇崎竜童
脚本:荒川稔久 、川崎博嗣
キャスト
小野賢章(天童純)
石原さとみ(水葉)
中村獅童(源雲)
近藤隆(-)
森久保祥太郎(-)
伊藤健太郎(-)
加瀬康之(-)
小森創介(-)
咲野俊介(-)
相ヶ瀬龍史(-)
野島昭生(-)
塚田正昭(-)

2011年5月21日土曜日

機動戦士ガンダムUC 5巻 読了


機動戦士ガンダムUC 5巻 読了
~ラプラスの亡霊~ 福井晴敏/著 角川書店/刊 20080726初版640円 角川コミックス・エース
 100年にわたらんとする宇宙世紀(UC)の総決算か。地球連邦政府、宇宙移民者、そして双方の間を泳いできたビスト財団。「リディ・マーセナス」「ミネバ・ラオ・ザビ」「バナージ・リンクス」其々の末裔達がネェル・アーガマで一堂に会す。人が社会と云うシステムを持たねば生きていけないように、個人と云う存在は先ず家族や血族と云った集団によって産み育まれる。人がホモ・サピエンスと云う種であるかぎり、時代は移り環境が変わろうとも、覆しようも無いありようなのでしょう。
 地球に降り立ったリディとミネバ、そして宇宙で戦い続けるバナージ達に待ち受けているものは!?
 盛り上がりますねぇ。いや、著者福井晴敏の盛り上げ方が絶妙と云うべきなのでしょう。それにしても筋金入り特殊部隊員が人間臭い感情を持つとフラグが立ってしまうのは何故なんでしょうね。セオリーに従えと云うことなのか、人間普段と違う事をするな、と云うことなのでしょうか?

書籍紹介: ユニコーンガンダムの導く先でバナージを待つものは!?ユニコーンガンダムが導く座標でバナージを待っていたのは、かつての首相官邸「ラプラス」だった。そこでバナージを待つものとは!? 福井晴敏が放つ宇宙世紀新章、驚愕の第5弾!(yahooより引用)
(ガンダムエース掲載)

2011年5月20日金曜日

柔らかい女 読了


柔らかい女 読了
富 明仁/著 エンターブレイン/刊 20100727初版620円 BEAM COMIX
 TVアニメ「日常」がゲスト声優さん達も含め、いろいろと(計算された)好き放題をしていて楽しく見ています。最近だとキャンプの話は爆笑していました。ところで「日常」の舞台設定が群馬県の伊勢崎市だって云うのを風のウワサに聞いたのですが、本当ですかねぇ?と、するとエンディングで瞬間現れる都市の夜景の下のにある水面はもしかして利根川ですか!?まあ、聖地巡りをするつもりは無いので、場所の特定とかするつもりは無いのですが、自主制作映画に携わった身としてはどんな映像を見ていてもロケハンに興味は持ってしまいます。しかも見知った場所だと特に気になるものです。

 さて「柔らかい女」。著者富明仁の初期短篇集。まあ初期もなにも2006年ビーム漫画大賞佳作受賞作「青い腕時計」が収録されていますので、初期短篇集と云えるかどうかは著者の今後の活躍次第と云うことでしょうか。
 雑誌「ビーム」や「Fellows!」掲載作品に度々登場するゴツイ編集長の趣味なのかどうか、最近のエンターブレイン系列のマンガって絵柄とか似ているような気がします。大雑把に云ってコミティア的なと云うか、文学系の流れを汲みながら上手く女性の視点を入れる事が出来たために、新たな需要を掘り起こせた、みたいな。編集長のみならず、編集者と作家達の人と人とのつながりが巧く噛み合っての雑誌つくりや作品つくりが、上り坂を駆け上がっているような感じがします。

 内容紹介:『玲瓏館健在なりや』冨明仁の煌(きら)めきが一冊に![高身長]で[黒髪ロング]、しかも[文学少女]で[深窓の令嬢]……。破壊力抜群のメガネ美女と電車で乗り合わせた、しかもそこは狭い[ボックス式クロスシート]! 狭い車中での出来事をていねいな描写で描いた掌篇『BOX SEAT』ほか。『玲瓏館健在なりや』の冨明仁が近年発表してきた短篇作品を一冊に収録。美しい女性の肢体や細密に描かれた背景画が織りなす、10作品の読切が楽しめます。(アマゾンより引用)
(『月刊コミックビーム』『Fellows!』掲載)

2011年5月19日木曜日

史上最強の弟子ケンイチ 43巻 読了(サウンドロップ付き限定版!)


史上最強の弟子ケンイチ 43巻 読了(サウンドロップ付き限定版!)
松江名俊/著 小学館/刊 20110523初版905円 少年サンデーコミックス
 再放送中の続夏目友人帳「呼んではならぬ」の回を見ました。本編のストーリーから繰り返し使われているエンディングへ連続して流れていくのですが、この回の為に作られたエンディングを見るようでした。無論どの話数においても成り立つ演出なのですが、今回は特に胸に来ました。エンディングは主人公が一人新雪の中を歩いていると、いつの間にか雪上の足跡に交わる足跡や平行する足跡が現れ、主人公は一人ではなく共に歩む仲間達に囲まれている、エンディングらしい静かな映像ですが、曲と歌がまた見事に合致して美しい。第三期も放送されるそうで、今から期待大。

 梁山泊ムエタイマスター・アパチャイVSアパチャイの兄弟子アーガード、そして史上最強の弟子ケンイチVSアーガードの弟子コーキン。同門の兄弟弟子が丸々1冊に渡り戦いを描いた、ムエタイ編のクライマックス。命を賭した“死合い”の最中にも“サービス”を忘れない著者松江名俊の力量に感動。すなわち、藤子不二雄F死後劇場版ドラえもんの中からしずかちゃんのサービスカットが無くなったそうです。監督曰く、藤子先生の余裕が成せる技であった、と回想していました。ほんの何気ないワンシーンやワンカットの挿入が薬味の様に効果を生む事があるのでしょう。小学館ならではなのでしょうか。

 内容説明:アパチャイのサウンドロップ付き限定版!師匠の声が聴こえるサウンドロップ付き限定版。43巻はアパチャイのサウンドロップ付き。42、43巻両方の特別版お買い上げの方から抽選で250名に、長老、逆鬼、秋雨、馬のサウンドロップ4個セットを250名にプレゼント!コミックス内容ももちろん激アツ! 沖縄米軍基地内の“闇"拠点潜入作戦に、梁山泊が総出陣! アパチャイとアーガードによる“裏ムエタイ対決"は、ついに壮絶なる結末を迎える! 生き残るのは、果たして…? 怒りに燃える兼一と、コーキンのリベンジマッチも、堂々の決着!! 連載史上ベストバウトとの呼び声高い死闘を完全収録の第43巻!!(アマゾンより引用)
(週刊少年サンデー掲載)

2011年5月18日水曜日

ねこむすめ道草日記 6巻 読了


ねこむすめ道草日記 6巻 読了
~限定版~ いけ/著 徳間書店/刊 20110601初版838円 RYU COMICS
 とらのあな販売分にはカラーイラストがショップ特典として付いていたので、しめしめと思いつつ買ってきて、いざこの場にて紹介しようと表紙画像を漁っていたら、なんと「限定番」なるものがあるではありませんかッ!
 痛恨の一撃!!
 MP(メンタル・ポイント)百のダメージ!!!
 くわッ!!!!(立ち上がる息吹)
 買ってしまいましたよ「限定番」。とらでは扱っていなかったのでメロンブックスにて購入。限定番特典の小冊子およびB5版黒菜イラスト(白黒)と狛犬姉メインのB6版カラーイラスト付き。通常版と200円程度の差でこれだけ特典が付くならばお徳。
 さて、とら特典カラーイラストの為に買ってしまったような形になった通常版のコミックスを如何したものか…。もしも、付録のマンガがコミックスに収録されたら拙者は泣くでござる。
 さてねこむすめ道草日記も6巻目。主人公と思しき化け猫・黒菜は道草くってる猫なので今巻は活躍せず。ほとんど群像劇と云うかほのぼの妖怪大集合物語になっているような気がします。ラジオの話は圧巻。黒菜は活躍しないし、ただラジオを聴いているだけの話なのに、何故か面白い。しかも単行本のおまけがついていて、雑誌を読んだ方には更にお徳。鉛筆描きの1ページ分のマンガなれど、なんか良い。おそらくアニメ企画が進行しているのではないかと期待しています。

 内容紹介:ほのぼの妖怪コメディ第6弾。6巻ではねこむすめ、黒菜が、女郎蜘蛛に誘われて、ウィンドウショッピングしたり、狛犬姉の独楽たちとの銭湯通いとか、相変わらずの「道草」をしております。そして深夜放送ラジオにまつわるほのぼの話は心が温まります。 6巻では、別冊付録「オリジナル同人誌」付きの限定版を刊行します。「オリジナル同人誌」の仕様は、B6判、本文32ページです。内容は新作まんが「喫茶狐狸狐狸」と「黒菜誕生秘話」が掲載。 「喫茶狐狸狐狸」はいけ先生が「ねこむすめ」以外ではじめて描いた新キャラまんがです。図版は、「喫茶狐狸狐狸」イメージスケッチです。乞うご期待!(アマゾンより引用)
(COMICリュウ掲載)

2011年5月17日火曜日

機動戦士ガンダムUC 4巻 読了


機動戦士ガンダムUC 4巻 読了
~パラオ攻略戦~ 福井晴敏/著 角川書店/刊 20080426初版640円 角川コミックス・エース
 ネタバレ注意!
 読了後をの感想を一言で云うと「マチルダすわーん!」である。ララァとの共振とも云うべきか。そしてクエスをマシーンとして扱ったお前が、また同じ過ちを犯すのか!とも云いたい。
 彼女を苦境から助け出しながらも、彼女を救うことが出来なかったジンネマンの心痛は察するに余り有ります。しかも彼女の出自がこんな仕掛けだったとは!!天晴れ福井晴敏。
 アムロとララァの時の共感もこうだったのでしょうか、小説版ガンダムに登場したニュータイプを彷彿させます。他者の人生を時間をかけずに分かり合えるのがニュータイプだとしたら、他人の人生を丸ごと受け止める事の出来る人がいるとは到底考えられません。夫婦は他人同士だし、親子であっても他者でしかありません。
 拙者としては人間の暗黒面を読むことの否定的な感情もありますが、人を描くと云う事は良い面も悪い面もひっくるめての一人の人間ですし、光が貴く輝くには闇が必要なように、人間の良い面と悪い面の両方を描けてこその作家だと考えれば、良くぞ書いた。
 ここまで感動的なストーリーなのに、今まで挿絵を描いていた安彦良和が降板しています。これで絵が御大であったなら、悲しみと感動の涙のに頬を濡らしながら惜しみない拍手をたたけたのに、ちょっと残念。
 
 出版社 / 著者からの内容紹介:敵軍事拠点「パラオ」からガンダムを奪回せよ!連れ去られたバナージとユニコーンガンダムを奪回すべく、ネオ・ジオン本拠地「パラオ」への決死の攻略戦が始まる! 福井晴敏が描く新・宇宙世紀ガンダム怒涛の第4弾!(アマゾンより引用)
(ガンダムエース掲載)

2011年5月16日月曜日

星を追う子ども 観了


星を追う子ども 観了
 何と云う“アンチ宮崎”。
 悪い意味ではなく、日本の映像製作者、特にアニメーション関係者に巨壁として聳え立った日本が世界に誇る英雄宮崎駿。ある一定年齢以下の日本人であるなら影響を漏れなく受けていると云っても過言ではないでしょう。そして同じ土俵に立つアニメーション関係者であるならば、必ずや何らかの形で超えねばならない存在でもあります。超えねば為らない巨大な存在に真向勝負をかけるのは、アウェーでの勝負というか、ある種風車に対し正面突撃をしかける様相があります。しかし、対抗者としてではなく、影響を受けた者としてみるならば、自分の成長の過程を振り返る意味でも自分の一部に成っているであろうモノを己の手で形にして見たいと思うのもまた当たり前だと思います。
 雑誌『ダ・ヴィンチ』の監督新海誠インタビュー記事に、世界名作劇場を目指した云々、と書いてあったような気がします。と、なれば名指しをしているようなものでしょう。ある意味、偉大な監督の息子よりも、弟子のアニメーター達よりも、正統な後継者ではないかと考えられないでしょうか。
 更に主人公の名前が“アスナ”に“シン”とか、同行する分別の有るべき中年男性が亡き妻の面影を追い続けて手段を選ばないとか、もしかしてジ○リばかりでなくガイナ○クスにまで喧嘩売ってます?
 その意気や良し。
 たった一人でアマチュアとしてアニメーションを製作し名声を得て劇場作品を何本もつくり続けているクリエーターである監督新海誠ならば、既成のシステムに乗っている他クリエーター全てに文句を言う権利があります。オマージュであることは充分承知しております。
 押井守風に云えば常勝監督でしょう。
 宮崎駿と新海誠に共通している点は、本来ならば複数人で分担しなければ出来ないアニメーション製作に必要な技術全てを個人が其々トップクラスの技量で所持している才能にあると思います。ストーリーである脚本は元より、演出もキャラクターの絵も、背景も、世界設定やメカや大道具から歯ブラシやボタンの一つに至るまで世界設計をしてしまえる巨大な“技”を持っており、時間が許すならば個人だけで全て作り上げたいであろう所を、様々な制約下の元で“指揮官”(=監督)として他人をコントロールする点でも似たような境遇であろうと見えます。比較するなど全く意味の無いことであり失礼な事でもあるのですが、吾朗氏は全てを持っていないにもかかわらず、ただ息子であると云う一点のみの理由で担ぎ上げられた、アニメーション製作・映像製作とは関係の無い理由で監督をしてしまった、何ともリアル「ゲド戦記」な話ではないでしょうか。王を刺した王子のシーンを試写でみたジブリスタッフの顔を見てみたかったです。もし本当に本人にアニメを製作したい意思があるならば、どんな形でもチャンスはチャンスであり、生かしてこその機会です。才能があるならば必ずや花開くことでしょう。拙者の記憶には円谷プロダクション等の事例とジ○リの行く末が重なって仕方が無いのですが…。閑話休題。
 物語の中盤以降異世界での旅が主題になるわけですが、その異世界の文化設定がまるでナウシカのような…島本須美まで出てるし。まあ日本の源流を求めてアジアの奥地へ分け入っていくと、そういった文化圏に行き着くのは充分わかります。幼き男女が冥府で逃げ回る神話的モチーフを生かしたストーリーを観たとき諸星大二郎を思い出してしまいました。行って帰る物語構造とパンフレットの中でも言及されておりますが、世界各地に普遍的に存在する“死と再生”の物語と、児童文学「ピラミッド帽子を、さようなら」を監督新海誠に入力すると何故「星を追うこども」として出力されるのか、無論全てのクリエーターの作品に通じる入力と出力であり、拙者の昨日のブログの様に子ども向けの本を読んで寂しいとか吠ざくのが精一杯の人間には到底思いもつかないその精神的創作活動に憧れとともに畏敬の念を憶えざる得ません。黄泉津醜女をあのように演出した事だけにでも喝采を送りたいです。
 TVCMを見たとき、また井上和彦だと思いエンディングテロップのスタッフに三ツ矢雄二を見たとき、嗚呼と思った事がパンフレットに当然書いてありました。

(以下yahooより引用)
 解説: 『ほしのこえ』『秒速5センチメートル』などで熱烈なファンを獲得した新海誠監督が手掛ける、孤独な少女の冒険の旅をファンタジックに描くアニメーション。ヒロインがたどる未知の場所への冒険を通して、この世界の美しさや輝きを紡ぎ出す。音楽を担当するのは、これまでの新海作品にも印象的なメロディーで彩りを添えた天門。何げない言葉や風景が繊細に溶け合い、観る者を癒やす独特の世界観に魅了される。
 あらすじ: 父親の形見の鉱石ラジオから流れる不思議な音楽に耳を傾けながら、思いをはせるアスナ。孤独な毎日を送るアスナは、ある少年と再会するための旅に出ることにする。それはアスナにとって、世界の冷酷さと美しさ、そして別れを知るための冒険の旅となる。

原題: -
製作年度: 2011年
監督: 新海誠
上映時間: 116分
スタッフ
監督:新海誠
製作総指揮:-
原作:新海誠
音楽:天門
脚本:新海誠
キャスト
入野自由(シュン/シン)
井上和彦(モリサキ(森崎 竜司))
島本須美(リサ)
日高里菜(マナ)
竹内順子(ミミ)
折笠富美子(アスナの母)
(あれ?主人公のアスナ役イカ娘の金元寿子の名が欠けてるけどミス?それとも大人の事情?)

2011年5月15日日曜日

ゆうえんちはおやすみ 読了


ゆうえんちはおやすみ 読了
戸田和代/著 たかすかずみ/絵 岩崎書店/刊 20071231第1刷1000円 おはなしトントン9
 ネタバレ注意。
 “落ち”まで紹介します。
 今回ご紹介するのは児童書です。しかも本文中に漢字が出てこないので小学生低学年向けと思われます。
 ゆうえんちが休みの日に暇を持て余していた警備員のおじさんの下へ子狐がやってきて観覧車に乗せてくれとねだります。警備員のおじさんがつい乗せてしまったために、今度は妹狐を連れてきてしまい、そして森の動物達までもが来てしまうようになります。
 ここまでが起承転結の“起承”です。繰り返すシチュエーションが味噌と云えます。幼児は何故か“繰り返し”を好む傾向にあります。
 警備員のおじさんは一回だけだよと繰り返し言いながら動物達を乗せてしまいながら、休みの日になると動物達が来ないか期待するようになり、とうとう来ない動物達に会いに動物達が来たであろう遠方の山を訪ねに行きます。しかし動物達には会えず、夢の中で動物達と警備員のおじさんも乗ったことがなかった観覧車に乗る夢を見て物語りは終わります。
 あたたかいストーリーのように思えますが、読後の感想は寂寥感と喪失感が吹き抜けました。例えるならば、そう、映画「三丁目の夕日」1作目で空襲で家族を失った三浦友和演じる実直で街の皆に信頼されている医者が、酩酊すると家族の夢を見るシーンを思い浮かべました。
 この物語作中に警備員のおじさんの家族は出てきません。それどころか人間が警備員のおじさん以外に出てこないのです。孤独な、とても孤独な警備員のおじさんが他者と触れ合うであろうチャンスを、日常を守ろうとしたために失い、三度もあった幸運の女神の前髪を掴むチャンスを見逃したあげく、二度と戻らないチャンスを追い求め、己のアイデンティティであるゆうえんちの警備員を休み、動物達を探しに行きます。覆水盆に返らず、夢想することでしか己を慰める事が出来ない男性の見るのは走馬灯のような観覧車の夢だったのです。なんという“虚しさ”!まるで拙者の老後を垣間見たようです。クリスマスキャロルの未来の幽霊のような本に出会ってしまいました。拙者にとっては「星守る犬」の読了と同じです。著者が誰に対して何を書こうとしていたのか、出版社が想定している読者層はどのような感想を持つのか興味が尽きません。

 内容(「BOOK」データベースより):けいびいんのおじさんがおおきなあくびをしていると、まどをたたくおとがしました。たたいているのはきつねです。「あれにのせて!」「あれって、あれかい?」きつねはこくんとうなずきました。
 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 戸田 和代:東京都生まれ。『ないないねこのなくしもの』(くもん出版)で日本児童文芸家協会新人賞、『きつねのでんわボックス』(金の星社)で浜田広介賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
(アマゾンより引用)

2011年5月14日土曜日

coming soon

coming soon

SUPER STREET FIGHTERIIX HARD SPIN OFF 全2巻 読了


SUPER STREET FIGHTERIIX HARD SPIN OFF 全2巻 読了
伊藤真美/著 徳間書店/刊 20110515初版各590円 RYU COMICS
 かつて『ゲーメスト』と云う雑誌がありました。
 と云いながら、居間の積み重なった雑誌の束の中から『ゲーメスト』1995.4.15号No.140号を取り出す拙者。
 アーケードゲーム華やかりし時代に売れていた雑誌です。拙者がたまたま所持していたのは「ヴァンパイア ハンター」の攻略記事が載っていたためと思われます。「X-MEN」「バーチャファイター2」「マッハブレイカーズ」「エアコンバット22」「美少女戦士セーラームーン」「鉄拳」「ウルトラ警備隊」がゲームセンターで唸りを上げていた頃の雑誌です。中の広告には大容量D-RAM搭載マシン。「NEO・GEO CD」が大々的にうたわれています。そんな『ゲーメスト』の末期に著者伊藤真美のストリートファイターのマンガが掲載された時には、これでやっとゲームをマンガ化した“マンガ”ではなく“マンガ”として面白いストリートファイターが出た、と喜びました。無論最初に出版された「スーパーストリートファイターⅡX外伝」を購入。拙者の記憶が確かなら、連載が全て収録されていなかったので、続きが出るのを楽しみにしていましたが、風の噂では出版とは関係がない事で、新声社が潰れ連載作品が全て単行本として陽の目を見ることができなかったはずです。時を経てこんな形で再会できるとは!「COMICリュウ編集部」の対象読者層や編集方針がなんとなく透けて見えそうです。
 シンパシー!
 リュウ編集部がんばれ!
 現在の著者伊藤真美の絵柄とはかなり異なるので、現在の著者に影響を受けて過去の作品に手を出した方には物足りなさを感じるかもしれません。しかし、コミケで著者の同人誌やらゲスト参加していた頃の思いでがあったり、ストⅡをゲーセンでやりこんでいた御仁には懐かしめる作品になっていると思います。
 ストⅡX登場のキャラクター達のオムニバス短編集。一応リュウとケンの兄弟弟子と師匠の仇ゴウケンの闘いと、謎の武闘組織シャドルーと闘うファイター達の物語になっています。
 ついでに中平正彦のストⅡマンガも読んでみてください。

 内容紹介:かつて新声社で発表された「SUPER STREET FIGHTHRII X 外伝」を全話収録した完全版。新声社では1巻しか刊行されていなかったので、今回はじめて完全版としてまとまった。 リュウをはじめ、ケン、春麗、ガイル、キャミィなどおなじみのキャラクターひとり、ひとりにスポットを当てた連作。伊藤真美のかっこよさが際立つ「ストII」がここに凝縮されている! 正式な書名は『SUPER STREET FIGHTERIIX HARD SPIN OFF』。諸般事情で発売が延期になりました。(アマゾンより引用)
 奥付より:この本は、1996年に新声社より発行の『スーパーストリートファイターⅡX外伝』と2010年にUdon Entertainmentより発行の海外版『SUPER STREET FIGHTERⅡX GAIDEN』の1、2巻を元に再編集された作品になります

2011年5月12日木曜日

英国王のスピーチ 観了


英国王のスピーチ 観了
 これぞ“ジョンブル”!
 出てくる男性達が実に背広が似合いますなぁ。ジャケットでもブレーザーでもなく“背広”が。
 スペクタクル映像などは全く出てきませんが、見終わって、ウーム映画を見た!と云う気にさせてくれました。どちらかと云へば演劇を見たような感じです。所々に大観衆が詰めているシーンも出てくるし、広々とした風景も映るのですが、印象としては部屋とか雲が垂れ込める陰鬱としたロンドンが心に残ります。が、演劇的であるがゆえに、出演者の演技を見せる演出を為しており、カメラが動いているのであまりインパクトはありませんが、昨今のハリウッド映画では見なくなった壱カットの長回しがしばしば使われています。それなのに役者の演技のたまものか演出の巧さか、長回し特有の見ていて“飽き”る事が無いのには驚きました。
 音楽がまた品の良い宮廷音楽の様で、これぞ“BGM”と云う感じで、音楽が前面に出ることなく場面を盛上げます。
 幾ら前世紀になったとは云え、今だに登場人物の中には生存者が居るイギリス王室を自国民が娯楽作品として作れた事実に、同じ君主国家の日本人として驚きを禁じえません。血統主義を唱えながら女皇を受け入れられない未開の辺境国民としては当然なのでしょう。
 イギリス大使館の名前がクレジットされていましたが、何かやっているのでしょうか?映画の配給だか制作に「UK FILM COUNCIL」の名がありました。UKと云う事はユナイテット キングダムなのでしょうか。J-Pitchのホームページhttp://j-pitch.jp/production/uk/support0101.htmlから引用すると、

UK FILM COUNCIL
団体の役割概要
イギリス映画のための政府の戦略的エージェンシーである。イギリスをデジタル時代の映画の拠点とするために存在する。政府、映画業界と緊密である。映画に影響する産業、経済、文化などの面から政策に関する提言も行う。毎年、£2700万をNational Lottery から、£2700万を政府から受けて、分配してファンド支援として活用している。これらは、脚本のディベロップメント、映画製作、短編映画、映画輸出、配給、劇場、映画教育、アーカイブ、映画祭、観客支援プログラムなどである。また、First Light, Skillset, the British Film INstitute やスクリーン・エージェンシーなどにもファンドを行っている。
目標としては以下の4点がある。
競争力ある、クリエイティビティと成功するスキルを持った映画産業を構築すること。
映画の観客のため、より広い選択肢を作ること。
映画について学ぶ機会を増し、より多くの人にそれらを使うよう奨励すること。
世界中にイギリス映画をプロモーションすること。

とありました。国策としての映画産業育成組織があるみたいですね。
 今までの日本の官製団体だと、民間の活動の足を引っ張る組織しかないようなイメージがありますが、今後は戦略的に世界へ打って出てもらいたいものです。麻生首相の任期が1年しか無かったのが悔やまれるところ。
 イギリスが国をして日本に売り込んできただけの映画だと思います。おこちゃまには難しい作品だと思いますが、映画が好きな子ども達には分らなくても良いから見てもらいたい良品です。記憶に残っていれば大人に成った時に見直せば、必ずや新たな発見に驚くことでしょう。それにしてもチャーチル似てねー。エリザベス二世とマーガレットはカワユイ。良き父であろうとするジョージ六世の気持ちは痛いほど分るぞ。

(以下yahooより引用)
原題: THE KING'S SPEECH
製作年度: 2010年
別題: -
製作国・地域: イギリス/オーストラリア
上映時間: 118分
 解説: 吃音(きつおん)に悩む英国王ジョージ6世が周囲の力を借りながら克服し、国民に愛される王になるまでを描く実話に基づく感動作。トロント国際映画祭で最高賞を受賞したのを皮切りに、世界各国の映画祭などで話題となっている。監督は、テレビ映画「エリザベス1世 ~愛と陰謀の王宮~」のトム・フーパー。ジョージ6世を、『シングルマン』のコリン・ファースが演じている。弱みや欠点を抱えた一人の男の人間ドラマと、実話ならではの味わい深い展開が見どころ。
シネマトゥデイ(外部リンク)
 あらすじ: 幼いころから、ずっと吃音(きつおん)に悩んできたジョージ6世(コリン・ファース)。そのため内気な性格だったが、厳格な英国王ジョージ5世(マイケル・ガンボン)はそんな息子を許さず、さまざまな式典でスピーチを命じる。ジョージの妻エリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)は、スピーチ矯正の専門家ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)のもとへ夫を連れていくが……。

スタッフ
監督:トム・フーパー
製作総指揮:ジェフリー・ラッシュ 、ティム・スミス 、ポール・ブレット 、マーク・フォリーニョ 、ハーヴェイ・ワインスタイン 、ボブ・ワインスタイン
原作:-
音楽:アレクサンドル・デスプラ
脚本:デヴィッド・サイドラー
キャスト
コリン・ファース(ジョージ6世)
ジェフリー・ラッシュ(ライオネル・ローグ)
ヘレナ・ボナム=カーター(エリザベス)
ガイ・ピアース(エドワード8世)
ティモシー・スポール(ウィンストン・チャーチル)
デレク・ジャコビ(大司教コスモ・ラング)
ジェニファー・イーリー(ローグ夫人)
マイケル・ガンボン(ジョージ5世)
ロバート・ポータル(-)
エイドリアン・スカーボロー(-)
アンドリュー・ヘイヴィル(-)
ロジャー・ハモンド(-)
パトリック・ライカート(-)
クレア・ブルーム(-)
イヴ・ベスト(-)

2011年5月11日水曜日

ゲート -自衛隊彼の地にて、斯く戦えり- 2巻 読了


ゲート -自衛隊彼の地にて、斯く戦えり- 2巻 読了
~2.炎龍編~ 柳内たくみ/著 アルファポリス/刊 20100808初版1700円
 東京銀座に異世界との通路“ゲート”が開通し、中からは中世西洋の武者や妖精や龍の様な生物達の軍勢が侵攻してきた。自衛隊は“ゲート”の向こうに新たな世界を発見する。再度の侵攻を防ぐため向こう側の世界に要塞を建設し、偵察部隊を送り込む。第三偵察隊隊長伊丹二等陸尉は現地住人や有力者と個人的友誼を結ぶ事に成功する。伊丹二尉と行動を共にするのは敵対する帝国の皇女殿下や、やがて神となる不死の亜神ゴスロリ少女、エルフ族の少女、賢者の修行をする天才美少女など、彼が愛してやまない趣味が現実化した世界だった。日本も含めた世界各国が新たなフロンティア世界を奪い合おうとするパワーゲームを展開する中、日本国と交戦中の“帝国”と外交ルートを結ぶべく外務省と自衛隊の暗躍が始まる。一方伊丹二慰の元には龍に脅かされているダークエルフ一族からの使者が現れる。
 ライトノベルでよくある、異世界へ現代の若者が行き活躍するヒロイックファンタジー物ではありますが、本書の売りは「自衛隊」が活躍する点にあります。どちらかと云うとヤラレ役だったり悪役だったりする事も多い自衛隊ですが、平成ゴジラシリーズや平成ガメラシリーズでの活躍などとともに、現実に海外で活躍する場面も増え、防衛庁も防衛省へ格上げされ、昭和時代のような自衛隊そのものへの風当たりもだいぶおさまり、自衛隊が武装集団として活躍するストーリーも普通に見かけるようになりました。どちらかと云うと「紺碧の艦隊」等の架空戦記物や「沈黙の艦隊」等のマンガの流れの一端のような気もします。
 東日本大震災の結果、組織的に大人数を動かす事ができるのは良くも悪くも軍隊しかありえない事が顕になったと思います。だからと云って現状の自衛隊が良いとは到底考えられないので、これを機に是非とも活発な議論をしてもらいたいものです。
 さて、物語はより活劇的内容へと展開し、敵帝国内部の政治状況やら周辺国家や部族とのストーリーも同時に展開。主人公伊丹は自衛隊組織よりも個人的友誼を優先するようになります。現地に溶け込む指令を受けた特殊部隊員ならまだしも、龍退治とは云え普通科の二慰が組織を離れて現地住民と共に戦うのは幾らなんでも無理なのでは?物語としては面白いですけどね。そんなわけで主人公には組織に縛られない新たなポジションが与えられる事になります。歩兵部隊の一隊長が外務省と帝國との国同士の交渉に出番はなく、伊丹二慰の他にもストーリーの焦点が現れ始め今後どう展開して行くのかが楽しみになります。

内容(「BOOK」データベースより)
圧倒的な軍事力を後ろ盾に、『特地』を統治する帝国との講和に乗り出した日本政府。その一方、冴えないオタク自衛官伊丹耀司ら特地偵察隊は、異世界住人たちとの絆をますます深めていく。そんな中、心を病んだエルフのテュカを救うべく、伊丹は異世界で猛威を振るう巨大炎龍の撃退を決意する。やがて近代兵器を駆使した壮絶な戦いが幕を開けた―。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
柳内 たくみ
東京都在住。自衛官を経験した後、2006年に自営業を開業。本業に従事する傍ら、インターネット上で精力的に執筆活動を展開し、人気を博す。2010年4月、「ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 1.接触編」で出版デビュー。幅広い世代の読者に支持され、一躍注目を浴びる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです(アマゾンより引用)

「ゲート」1巻については1月10日のバックナンバーを参照してください。

2011年5月10日火曜日

ヴィンランド・サガ 10巻 読了


ヴィンランド・サガ 10巻 読了
幸村誠/著 講談社/刊 20110422第1刷581円 アフタヌーンKC
 「ヴィンランド・サガ」が表紙の『アフタヌーン』2011年6月号。「ラブやん」の中で「チックショウ肉体言語で勝負してくれるわ~~~~~ッ!!」と「百舌谷さん逆上する」の中で「いざ肉体言語で語るとしよう」と、“肉体言語”って何かリアルで流行っていたりするのでしょうか?それとも『アフタヌーン』編集部か作家さん達の中で何かがあったとか?
 新連載「天地明察」。冲方丁をマンガ化した中では一番期待できるかも。
 「からん」が最終回とは!ストーリー的に盛り上がってきて最近楽しみになってきた矢先に終了とは…。もしかして打ち切り?もったいねー。

 ヴァイキングの一族の属するトルフィンを主人公とした大河ドラマ。NHK大河ドラマの定番的展開として、先ず父親の物語から始まり、苦労した少年時代、そして己の足で己の人生を踏み出す青年時代へと展開してまいりました。例えるならば成人の儀式は子どもから大人への通過の儀式であり、それは洋の東西を問わず死と再生を追体験する行為でもあります。トルフィンは今巻で正に死と再生を体験したと云えるのではないでしょうか。連載時に比べ加筆等が行われていますので、是非単行本の入手をオススメします。
 此処“がちょーん”で繰り返し述べていますが、小説家であれマンガ家であれ、人の一生全てを描ききるのは並大抵の努力と才能では完成させることは出来ません。普通の人は自分の人生を使い切て一つの物語を完成させるだけなのに、作家は自分の人生以外に別の人生を生み出さねばなりませんし、物語の創作上は作中人物の人生の追体験をしていると云っても良いかもしれません。架空とは云え他人の人生を作ってしまうわけですから、そうそう数を生み出せるわけがありません。人の引き出しは少ないのです。拙者は公式に合わせて説明していますが、一流の作家は意識せずに身につけているから恐ろしいと云いましょうか、凄いと云うか、素晴らしい。しかして著者幸村誠は、どう考えてもトルフィンを中心にトルフィンの生きた時代を丸ごと描こうとしています。一年間約50話弱の時間制限のあるNHKのドラマの場合だと今巻くらいまでで二ヶ月8話分、下手をすれば一ヶ月4話分くらいでしょうか。と云うことは60巻くらい続くのでしょうかね?今後トルフィンが農夫のまま過せるとは到底思えず、その血筋や成長過程から、イングランド王にしてデンマーク王となるクヌート王の仲間になるのか敵対するのか、どちらにせよ歴史の表舞台に立つような状況になると推測していますが、良い意味で拙者を裏切って欲しいものです。

 内容説明:11世紀、北欧の地は、蛮族と恐れられたヴァイキングにより戦火にまみれていた。
その中に、父親を殺され、復讐のため戦場を駆け抜けた少年・トルフィンがいた。彼は仇敵・アシェラッドを殺すために生き、生きるために戦った。だが、イングランド王位をめぐる争いの中でアシェラッドは不慮の死を遂げる。唯一の希望を失い、奴隷に身をやつしたトルフィンはそれでもなお安息と豊穣の地、ヴィンランドを思い描く。心休まる日はいつ訪れるのか。”本当の戦士”の物語が紡がれていく。
 奴隷に身を落とし、何の希望もなく生きるトルフィン。人生で初めてできた友と、彼は森を切り拓き麦を作る静かな毎日を送っていた。そんな時、何者かによって畑が根こそぎ荒らされていることが判明。明らかな悪意を前に彼は、首謀者と思しき奉公人を怒りにまかせ殴り倒してしまう。またしても暴力に頼ってしまった彼は父の言葉「本当の戦士」の意味を悟り、新たな人生をつかみ取ることを決意する!奴隷編〈前章〉クライマックス!
 著者について:幸村誠 1976年5月4日生まれ。神奈川県横浜市出身。血液型:B型。『プラネテス』(モーニング掲載)でデビュー。代表作は、『プラネテス』『ヴィランド・サガ』(アフタヌーン連載中)。2002年、第33回星雲賞コミック部門賞受賞。座右の銘:「あ、一瞬待ってください、じゃ半日でもいいです」(アマゾンより引用)
(アフタヌーン掲載)

2011年5月9日月曜日

イヴの眠り 全5巻 読了


イヴの眠り 全5巻 読了
~YASHA NEXT GENERATION~ 吉田秋生/著 小学館/刊 1巻20040220初版390円 2巻20040820初版390円 3巻20050120初版390円 4巻20050820初版390円 5巻20060120初版390円 flowersフラワーコミックス
 テレビドラマ化もされた「YASHA」の続編。「BANANA FISH」に直接は繋がっていないですが、脇のキャラクターに視点を置くと、ある意味壮大なサーガとも云うべき世界を描いているのではないでしょうか。
 本書はYASHAに登場して生き残ったキャラクター達の後日譚とも云うべきストーリーなので、前作を知っているとより面白さが増します。拙者はYASHAを読んでいるはずなのですが、既に記憶は忘却の彼方と消え去っているので、何とかして再読した後にまた本書を読まねばなりますまい。
 主人公はYASHAの主人公の娘・アリサへと代替わり。だから副題も~YASHA NEXT GENERATION~となっているのでしょう。遺伝子操作や殺人ウィルスやコピー人間などSF的ガジェットを散りばめながらも、自然に抱かれたスピリッチュアルな世界観と自分探しの物語が女性を主人公とした為によりいっそう前面に押し出ている感じがします。
 一般的に云って翻訳モノのSFは、根底にキリスト教的倫理観があって神々の力の代わりに科学の力があるような気がしますが、日本の小説も含めマンガにおいても確固たる倫理があるわけではなく汎神論的アミニズムの中で人が人たるにはどう考え行動すればよいのかを問うストーリーであって、科学技術はガジェットでしかないような気がするようになりました。神が独りしか居ない文明の人々が日本にエキゾチックさを感じるのも、そんな所にあるのでしょうか。閑話休題。
 主人公の名は“アリサ”ですが、“アリサ”と聞くとモーゼルを思い出します。ニヤリと笑った方は今や社会的には中堅以上の年齢に達している人だと思います。戦う美少女モノではありますが、やはり男性作家が描く戦う美少女と、女性作家が描く戦う美少女とではニュアンスが異なるでしょう。前者は永遠の美少女なのに対し、後者は“母”へなる前の前段階として連綿と続く命のリレーを見通しての存在として描かれます。物語舞台がハワイから沖縄へと古の母系社会が強い南洋を設定した著者吉田秋生が、命を扱いながらも男の主人公だった「YASHA」では飽き足らず、娘を主人公にしたて、物語に一つの決着をつけさせたのも何かを示唆しているように思えます。是非「BANANA FISH」「YASHA」そして「イヴの眠り」を通して読んでみると面白いかもしれません。

 5巻:出版社 / 著者からの内容紹介:大ヒット・コミック「YASHA(やしゃ)」のスーパー・ヒーロー・有末静の遺伝子を受け継ぐ少女、アリサ。彼女を待ち受ける想像を絶する運命とは?
まんまとアリサたちの捜索の手から逃げおおせた死鬼(スー・グイ)。そんな彼の狙(ねら)いは、忌わしきウイルスを使った戦争(バイオ・テロ)だった! ウイルスのデータを守る今井(いまい)をつけ狙う死鬼。アリサはその計画をくい止めるために、静(セイ)に助けを請うが???!? DNAで繋がる物語、感動の最終巻!!(アマゾンより引用)
(flowers掲載)

2011年5月8日日曜日

コジカは正義の味方じゃない 1巻 読了


コジカは正義の味方じゃない 1巻 読了
小原慎司/著 メディアファクトリー/刊 20110430初版590円 MFコミックス
 「超人」が大発生した世界。家計を助けつつ学業に精を出す少女にも能力は授かったが…。
 某マガジンZとかに連載していた世界設定を統一しつつ複数の作家で描くアレに参加するはずの企画が、某マガジンZ休刊のアオリで、フラッパーにそのまま掲載されたのではなかろうか、なんて妄想しております。
 デビュー連載の菫画報を彷彿させるようで、やっと拙者の考える所の小原慎司らしさが前面に出たマンガが登場したかと感嘆の至り。このまま大風呂敷を広げて欲しいとものです。
 一見裸ではなさそうですが、第一話を見る限り臍の凹凸や鎖骨やら乳首を描きこんでいるので、単に黒い人形ではなく、実は見えてしまっているのでは!?セリフに「裸じゃないよ」とありますが、少なくとも初期の著者のイメージとしては影のような姿ではなく、ボディペイント的な描写なのではないかと考えられます。むむっエロい。力の抜けた日常的非日常の世界を堪能しませう。
 
内容紹介
コジカは誰にも言えない能力を持つ少女。影からもうひとりの自分を呼び出すと、超人的な力を発揮するのだ。街のそこかしこに突然現れた異形の能力を持つ人々。彼らを世間は超法規住人、略して「超人」と呼ぶ。世間にもてあまされる超人たちと、超人であることひた隠しにしつつ貧乏脱出を狙うコジカの明日はどっちだ!?(アマゾンより引用)
(コミックフラッパー掲載)

2011年5月7日土曜日

花のズボラ飯 読了


花のズボラ飯 読了
水沢悦子/漫画 久住昌之/原作 秋田書店/刊 20110315第7版900円
 福島民報2011年3月2日水曜日8版2面に「昨年 扱い貨物2026万6942トン 小名浜、相馬港 前年比0.9%増」の見出しがありました。諸行無常。

 初版が2011年1月15日で3月15日で7版です。刷ではなく“版”なので原版に7回も変更が加えられていると考えられます、が、出版社によっては業界用語を知らないもしくはあえて反逆している所もあるので一概に断言はできません、が、初刷が少なかったにせよ恐らく(全くHではない内容の)レディースコミック系列コミックスにしては破格の刷ではないかと思われます。
 原作者が同じなのでコンセプトが共通するのですが、原作者久住昌之が谷口ジローと組んで描いた傑作グルメマンガの女性版と云ってしまっては失礼なのかな。「孤独のグルメ」では外食がテーマでしたが、本作では自宅台所が主戦場になります。グルメマンガではあっても、近所のスーパーやコンビニで入手可能な食材と“旬”を生かしつつ、日々の生活の中での“食”への生き様を描く傑作短篇集。孤独のグルメでは男のハードボイルドを孤独と表現していましたが、夫が単身赴任中の主婦が食事をする作る喜び食べる“楽しさ”を描きます。 なかなか簡便料理の勉強にもなりますが、冷蔵庫の無い拙者にはハードルが高いですな。そして本作もまたタイトルが意味深になっています。
 バックナンバー参考:http://blogs.yahoo.co.jp/akamaty1000/60774102.html

 内容紹介:とにかくかわいい! とにかくおいしそう! 谷口ジロー先生もジョージ朝倉先生も今日マチ子先生もTAGRO先生も…みんな花が大好き! 連載開始時から話題騒然! 主婦から、オタクから、マンガ読みから絶大な人気を誇るグルメ・ショート『花のズボラ飯』の単行本が遂に発売です!  本作は2009年6月号から婦人漫画誌『エレガンスイブ』で始まったグルメ・ショートコミック。原作は超ロングセラー漫画『孤独のグルメ』の久住昌之、作画は日本一女の子をかわいく描ける漫画家・水沢悦子。驚異のコンビが、かわいくって、おかしくって、でもちょっぴり寂しいときもある一人暮らしの主婦・花の毎日を描きます。誰も予想し得なかった、新しい『孤独のグルメ』の誕生です。 【あらすじ】単身赴任の夫を持つ主婦、駒沢花(こまざわ・はな)、30歳。花は今日も自分のためだけに、ズボラだけど美味しいご飯を作ります!(アマゾンより引用)
(エレガンスイブ掲載)

2011年5月6日金曜日

機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) 3巻 読了


機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) 3巻 読了
~赤い彗星~ 福井晴敏/著 角川書店/刊 20071226初版640円 角川コミックス・エース
 ガンダムUCの小説角川コミックス・エース版は福井晴敏の作品でもあるし、初版特典の付録もあったので、全十巻を購入してはいるのですが、一度も開封したこともなく、何処に埋没しているかもわからなくなったので、ここで紹介した1巻と2巻は図書館から借りて読みました。何の為に購入しているんだか…。購入して何時の間にやら4年近く経てしまったわけですが、今更読み始めたのはアニメーションの影響が大です。出来の良いアニメ作品でした。と、なれば小説の福井晴敏版がアニメに勝るとも劣る事はあるまいと読み始めると、案の定アニメでは削がれた人間関係と心理描写とがこれでもかとばかりドラマとして描かれており、動きを楽しむ映像とはまた別な楽しさに読書に集中してしまいました。
 先日の地震の影響で一度崩壊した拙者の"本層"の奥からビニールにかかったままの3巻を発見!封印を解き放ったのでした。
 「声もそっくりじゃないか……」(171p)
 なるほど、シャアの再来と言われるフル・フロンタルの声を池田秀一にしなければならないわけです。あくまで「逆襲のシャア」の続きなんですね。
 すンばらしC-ッ!
 続きが読みたい!
 続きが見たい!
 さて、この宇宙世紀0096年。アムロはシャアともに行方不明だと思われますが、カミーユはどうなっているのでしょうかねぇ?TV版のカミーユなのか、劇場版のカミーユなのか、著者福井晴敏の中ではどうなのか。本編中に登場すれば拙者としては最高なのですが。

書籍紹介: スペースコロニー“インダストリアル7”を襲ったテロ事件から半日、バナージとオードリーは地球連邦軍の戦艦“ネェル・アーガマ”に収容されていた。両者に絡みつく『ラプラスの箱』を巡る様々な思惑。その最中、「シャアの再来」と呼ばれる男、フル・フロンタルが赤いモビルスーツで強襲をかける。通常の3倍のスピードで追い迫る敵を前に“ユニコーンガンダム”に勝機はあるのかー。ガンダム・サーガ最新作、白熱のシリーズ第3弾。(yahooより引用)
(ガンダムエース掲載)

2011年5月5日木曜日

仮面のメイドガイ 12巻 読了


仮面のメイドガイ 12巻 読了
赤衣丸歩郎/著 富士見書房/刊 20100909初版580円 ドラゴンコミックスエイジ
 東北新幹線に乗車し、被災地の後背地に来て見ました。ゴールデンウィークの新幹線なのに、上りも下りも閑散とし観光客っぽい人を一人も見ないのがなんともはや。

 13巻が既に発売中なのはわかっているのですが、メイドガイは古書で買い始めたので新古書が出るのを待ちながら読んでいます。アニメも終了しブームも一段落したせいか、12巻とか13巻を古書店で見かける事がありませんでした。「ゴルフ13」の2巻も見かけないや。やっと12巻を見つけました。
 メイドガイ・コガラシの無敵振りがインフレーションしまくってしまい、ストーリー上活躍のしようがなくなってきたのではないかと思う次第。その分本来の主人公であるのび太くんもとへ、大富豪富士原なえかの活躍を描くストーリーと、主人公が危機に陥っていた時その弟にも魔の手が伸びていた編が今巻の後半部分になります。しかも後半の実質主人公は奥州メイド忍軍中忍・ツララになっています。作者の愛か、ストーリー上転がし易いキャラクターなのか。敵対するマジカルメイドは、いっそのことモーターヘッド仕様にしてくれても良いのではないかと思ってしまいました。

 内容紹介:超ご主人様なえかとメイドガイ・コガラシの前に、大陸からの刺客シャオロンが迫る! 恐るべき「乳操り傀儡拳」の秘密とは……!? 緊迫の“中華巨乳来襲編”決着の、新感覚メイドまんが、激闘の最新巻!(アマゾンより引用)
(月刊ドラゴンエイジ掲載)

2011年5月4日水曜日

百舌谷さん逆上する 6巻 読了


百舌谷さん逆上する 6巻 読了
篠房六郎/著 講談社/刊 20110422第1刷600円 アフタヌーンKC
 本日は傑作のご紹介を致します。拙者の稚拙な文章を読むくらいなら直に「百舌谷さん逆上する6巻」を読んでいただきたい。もー、読めー、読めー、読めー、読んでくれ!
 著者篠房六郎は土曜と日曜の朝をリヤルタイムでアニメ見ているんだろうなぁと思わせるセリフの数々。やや主人公百舌谷ちゃんはうっちゃられておりますが、でも百舌谷ちゃんに関係のある人々が年齢を超え集合し饗宴と狂想曲の坩堝へ。29話からもー、著者に何かが降臨したのではないかと思わせる程です。43pのムーちゃんがキュアサンシャインのポーズをとるところなんて、キュン死しました!著者の“愛”を感じさせる描写です。線が生きている!!東京都立現代美術館で一昔だか二昔前に展示されていた現代マンガ展で壁イッパイに引き伸ばされた貞本義行のエヴェンゲリオンに感動しましたが、あのくらい大きくムーちゃんのコマも伸ばして欲しい。出来るならサンシャイン60の壁面イッパイに印刷して欲しい。空気以外になら何にでも印刷出来ますよ、と豪語した大日○印刷よ、是非やってみせてくれ!ハァ、ハァ、ハァ…。
 そしてちーちゃんがのっぴきならない状況に陥って、最後は感動のフィナーレへ!!最強!!!本年のがちょーんベストマンガ賞確定!
 さらにちーちゃんはドロンジョさまへの道へ突き進むのでした。少女にこき使われたくなる気持ちは良くわかるぞ。
 素晴らしい暴走ぶりだぁ。
 惜しむらくは、本巻が発売された時点で「ハートキャッチ・プリキュア」が終了していることでしょうか。連載時はリアルタイムなので致し方無いところでしょう。
 先日昼休み中の同僚との会話で、幼い娘さんを持っているお母さんが、幼稚園だか保育園の女の子達に将来の夢を聞いたら、ほとんどの子がプリキュアを挙げていたそうです。プリキュアは職業では無いのですが、子ども達の夢を「叶えてみせるが大人の粋!!」。コミケでコスプレして夢が叶うとかは無しの方向で。
 今巻の帯の推薦は小説家“冲方丁”。冲方も『LO』の読者だったのかッ!!
 嘘か誠かカバー下の表紙マンガで著者の親戚が被災されたとか。お見舞い申し上げます。

 内容説明:『空談師』『ナツノクモ』とネットゲーム世界を描いてきた篠房六郎が、新たな世界に挑戦する――その名はツンデレ!! いろんな皮がむけてアフタヌーンに帰ってきた孤高の漫画家が、ため込んだ素敵なルサンチマンを込めて贈る、ボーイ・ミーツ・ガールみたいな何か! 言語道断のすこやか倒錯バイオレンス萌え萌えラブコメディ、一部良識派からのいろんな外圧にも負けずに、爆笑必死でお届けします!!
 転校生の百舌谷小音は、「ヨーゼフ・ツンデレ博士型双極性パーソナリティ障害」=「ツンデレ」だった! 「ツンデレ」とは好意が攻撃性に変換される症状で、好きと思った相手に罵詈雑言や暴力が出てしまうのだ。百舌谷さんは何かを決意し、竜田との交際を宣言。竜田が気になる委員長・千鶴は、魔法少女となって対抗!?カバ夫には新たなるドMの師匠が出現!周囲の混乱は高まる中、百舌谷さんは何を考える!?
 著者について:篠房六郎 漫画家。東京都出身。1998年、「やさしいこどものつくりかた」で「アフタヌーン」(講談社)主催の新人賞「四季賞」春のコンテスト四季大賞を受賞、同誌同年6月号に掲載されデビュー。(アマゾンより引用)
(アフタヌーン掲載)

2011年5月3日火曜日

機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) 2巻 読了


機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) 2巻 読了
~ユニコーンの日(下)~ 福井晴敏/著 角川書店/刊 20070926初版640円 角川コミックス・エース
 2日夜に仕事から帰宅したら、そのままバタンQ。3日は24時間布団の中から動けませんでした。1日に有明の即売会に行ったのですが、まさかこれほど体力が衰えていようとは!帰りに自宅駅前のデパートで北海道物産展をやっており、「ノース アイランド ビール スタウト(黒ビール)」を少々飲んでしまったのが直接の原因でしょう。鯨飲はしておりませぬ。たかだか小瓶一本のみ。美味かった。けどダウン。

 さてユニコーンガンダム。庵野秀明をしてロボットアニメの第一話としては最高傑作と言わしめた「機動戦士ガンダム」を彷彿させる、主人公がガンダムに乗り込むまでを丹念に描いた2巻目。庵野監督が云うのは主人公がロボットに乗る動機付けや主要キャラクターの紹介や敵やライバルの紹介を30分の脚本と演出の中で無理なくドラマとして作り上げている点であろうと思われますが、著者福井晴敏は小説ならではの各キャラクターの心理描写を丹念に描くことにより、今までのガンダムとは違う土俵で初代「機動戦士ガンダム」に肉薄し超えようとしている意気込みすら感じられるようです。
 ガンダムはロボットを兵器として描くのが革新的であったわけですが、主人公アムロの父親はガンダム開発に関わっており、マジンガーZから始まるロボットアニメと同じように祖父や父から託されるスタイルは継承しています。タツノコプロのアニメにしても負けじ魂親ゆずりと歌うマッハGOGOGOやガッチャマンにしても大鷲のケンとレッド・イン・パルス隊長の物語や新造人間キャシャーン等もそうだし、松本零士原作のアニメにも多々用いられるモチーフでもあります。拙者としての最高傑作は「ジャイアントロボ‐地球が静止する日‐」を挙げておきます。そして今巻を読む限りにおいては主人公がガンダムに初めて乗り込むシーンに関しては、ガンダム史上最強と云って過言ではありますまい。しかもボーイ・ミーツ・ガールと云う、ある意味ガンダムでは禁じ手ではなかろうかと思える設定まで絡まりストーリーを盛上げます。このままこの設定を生かして物語が進展されていくのかどうか、拙者は現時点では知らないので、是非ともこのまま主人公ナバージの生まれる前からの宿命を物語に生かしてもらいたいものです。
 著者福井晴敏が最初から映像化を意識していたかどうかは不明ですが、編集者やらバンダイは当初から意識していたのではないかと推察できます。OVAの完成度は高いですよ。高いですが、小説は小説として面白く、ガンダムとしてレベルが高い。しかも相互に補完している部分があるので、両方に目を通す事で面白さが倍増するがごとくです。正に“見てから読むか、読んでから見るか”を地でいくような作品。父親が目指した出版社とは違う道を進んだお兄ちゃんがいなくなり弟が兄の目指していたものをより発展させるとは、これもまた託された物語なのでしょうか。

 内容紹介:反政府組織『袖付き』とビスト財団の間で行われていた『ラプラスの箱』を巡る謀議は、地球連邦軍の介入によって破局を迎えた。コロニー内で始まる戦闘。オードリーを追って戦火の中を走るバナージは、純白のモビルスーツ《ユニコーン》と出会う。人の革新――ニュータイプの能力が覚醒した時、《ユニコーン》はその真の姿を現した!かつて『ガンダム』に胸を躍らせた大人たちに贈る新たな宇宙世紀サーガ、緊迫の第2弾!!

2011年5月1日日曜日

テルマエ・ロマエ 3巻 読了


テルマエ・ロマエ 3巻 読了
ヤマザキマリ/著 エンターブレイン/刊 20110507初版680円 BEAM COMIX
 TVアニメ「GOSICK」は此処に取り上げる機会がなかなか見当たりませんが、ぶわぁッと盛り上るわけではありませんが、細く長く名作劇場的な舞台設定を優良な質を維持し続ける作品としてオススメしたいところ。深夜ではなく、出来れば子ども達がTVの前で見ることが出来る時間帯で放送してもらいたい作品です。後期エンディングの冒頭、塔の天辺に立つ二人は毎回見るたびに足がすくみます。それだけ雰囲気が出ていると云う事なのでしょう。

 さてローマ風呂物語。
 アニメ化ではなく、実写映画化だそうです。主役が阿部寛とは!確かに合っている。本人はいたって真面目ながら状況的に笑えてしまえる演技は巧いでしょうな。でも古代ローマ人が現代日本にタイムスリップしてしまうのが骨子なのになのに日本人が演じてしまったら意味無いんじゃ…?ここまで国際化されていればイタリアの一流俳優を日本映画に出演させるのは難しくないと思います。マンガのもう一つのミソである古代ローマ文化の薀蓄は映画で描く時間があるわけもなく、タイムスリップしたカルチャーギャップが主眼なんでしょうし、折角だからイタリア人総出演でもいいんじゃないのでしょうか。制作がフジテレビで実写版のだめの監督らしいですから古代ローマ世界で主役ルシウスだけが阿部寛の日本人なんだろうなぁと思う次第。良い意味で拙者の予想を裏切って欲しいものです。
 ルシウスが11話目で馬に乗っている描写があります。拙者の記憶が確かなら、この時代に“鐙”は無かったような。それともハドリアヌス皇帝や賢人皇帝マルクスの頃には鐙は普及していたのでしょうか。マルクス皇帝の死後を描いた映画「グラジエーター」では鐙が普通に登場していたはず。鐙の無い裸馬での乗馬は、とてつもない修練が必要だそうです。ギリシア軍やローマ軍団に騎馬兵がおらず、歩兵が中心なのは馬に乗るだけでも大変なのに馬上で戦闘行動をとるとなると生まれた時から馬に乗っている人々でないと出来ないからなんだそうです。既に遊牧民等はいましたから、ヌビミア騎兵など有名な傭兵部隊も活躍しています。映画ベン・ハーで有名な“戦車”レースも騎乗が一般的ではない時代のレースと云えます。中華平原でも同じ事が云え、戦国時代等まではやはり馬に引かせる“戦車”が使われています。地中海世界での鐙の話は雑誌『アフタヌーン』掲載の「ヒストリエ」で描かれていますので、興味の有る方は是非ご覧ください。話がズレてしまいましたが、馬に乗れるルシウスって特殊技能者なのではないでしょうか。もしくは元々は貴族階級の出とか。
 14話では木製風呂桶について描かれていますが、これまた拙者の記憶が確かなら、日本で“桶”とか“樽”のように木製品で液体を密封出切る品を生産出来るように成ったのは(日本の)戦国時代ポルトガル船の来航以来だったような。それまでの密閉容器は“瓶”等であり、手桶等は無く、“曲げ物”等を使っていたような。法政大学が出版している図書館で良く見かけるアノ本あたりを調べれば詳しく出いていると思うのですが。シリーズタイトルすら思い出せん(法政大学ナントカ叢書?)。江戸時代に樽や桶の生産が飛躍的に伸び、味噌や醤油や酒が大量生産され、それらを運ぶため“樽廻船”が日本海航路の北前船や太平洋航路を行き交い、江戸時代末期には大量輸送時代をむかえていたとか。樽廻船を今で云えばコンテナ船ですね。しかも江戸時代前期においては京都大阪の上方から、大消費地江戸へ味噌醤油は云うに及ばず飴玉まで輸送していたとか。当時は一応京都が首都なので上り下りで云うと江戸行きは“下り”になります。上方から江戸へ来ない“物”、江戸に運んでも売れない“価値の無いモノ”すなわち“下らないモノ”が「くだらない」の語源らしいですなぁ。江戸時代も後半になると味噌醤油は江戸近郊の流山とか野田とか千葉県北部から茨城県南部が大生産地になり、江戸時代前半とは異なり京都大阪へ輸出していたんだとか。それば醤油王国やらの名残になっているんですね。
 拙者の中学時代の日本史教科書に樽廻船や菱垣船等が紹介され、テストにも出ましたが、具体的にどう云う船なのかは紹介されず、千石船や樽廻船や菱垣船の違いを教わりませんでした。樽廻船についての“コンテナ船”は中学時代の近野先生の発言です。具体的にどう使われていたかを知ったのは中学から十年以上経て司馬遼太郎の本を読んでですね。ヨーロッパの国々が大航海時代を迎えられたのは、船舶を密封し、例えるならば樽の如く漂う事ができたからだと書いてあったと記憶しています。
 なるほど映画「アルゴ探検隊」に出てきた船や、小さなバイキングビッケのバイキングの船はボート池のボートを大きくしただけのような形をしており、司馬遼太郎の例える所の御椀を浮かべたようなもので、水が椀の中に入ると人力でくみ出すしかなく、水量が多ければ沈むが転覆するしかありますまい。しかしいつの頃からかお椀の船に“甲板”という蓋をするようになりました。舷側の窓と甲板の出入り口を密閉することにより、内部に浸水することなく、海を渡ることが出来るようになったのが大航海時代だったとです。宮崎駿の「どうぶつ宝島」で主人公が樽を改造した船で旅立ちますが、実はとても理屈に合致した描写だったのですね。
 何故日本で甲板船が発達しなかったかは、諸説出ており、幕府が許さなかった等もありますが、甲板で密閉した船と甲板をしていない船では積める量が違い、港での荷物の上げ下げの手間も段違いになるとか。日本は陸地を見ながらの沿岸航行が主であり、悪天候の時には港へ直ぐ退避できました。遠くへ行くにしても沖縄、台湾、朝鮮半島、北海道、サハリンくらいならば太陽や星を見ながら沿岸航行で辿り着けたようです。閑話休題。ルシウスが風呂桶作りに指定した素材“レバノンン杉”にも色々と面白い歴史があるのですが、それについては追々。
 日本人が如何に風呂好きか、現在も被災地からの新聞記事に風呂が話題になっています。そんな風呂好きな日本人のツボにはまった傑作マンガ!日本人なら必読。

 内容紹介:シリーズ累計250万部突破! 映画化決定! モンスターヒット作、話題“沸騰”の第III巻!!驚愕の実写映画化決定!(出演:阿部寛・上戸彩 監督:武内英樹『のだめカンタービレ』 製作:フジテレビジョン 配給:東宝)。すべての“風呂”は、“ローマ”に通ず。
風呂&古代ローマを巡って、さらなる大冒険は続く…!マンガ大賞&手塚治虫文化賞のW受賞など、ほとんど社会問題化している超ベストセラー・爆笑コミック、全世界待望の最新III巻!