木更津駐屯地航空際

木更津駐屯地航空際
2019年12月8日木更津駐屯地航空際にて撮影

2010年6月30日水曜日

西遊妖猿伝 西域篇 2巻 読了

西遊妖猿伝 西域篇 2巻 読了
諸星大二郎/著 講談社/刊 20100623第1刷724円
 猿・豚・河童のお供を引き連れ、愈々本格的な旅の始まり。
 孫悟空は羊の群れの中で怪しい幻術を見せられる!

 「気をつける気をつけろ!」
 「今までとは違うぞ!」
 「気をつけろ斉天大聖!」

 大地に染み込む人々の怨嗟の声か、神に懲らしめられた魔の所行か。
 人の身に人ならぬ宿命を背負わされた孫悟空が名乗る。

 「斉天大聖がはるばる唐から来てやったぞ!」

 痛快!!
 
 これぞ「西遊妖猿伝」!!
 孫悟空の宿命が人々と魔をカオスの渦中に叩き込む。

 内容紹介:旅の仲間に加わった沙悟浄の案内で、伊吾の国を目指す玄奘一行。一夜の宿を借りた地主の家で、人間の所行とは思えぬ血みどろの殺人事件に巻き込まれ……。
 羊頭の怪物群やドグド人騎兵隊を相手に、孫悟空の金箍棒が唸る!ますます波乱万丈なエキゾチック・アドベンチャー!!

2010年6月29日火曜日

プリンセスハーツ 読了

プリンセスハーツ 読了
~君は運命の人だからの巻~ 高殿円/著 小学館/著 20100531初版943円 小学館ルルル文庫 ドラマCD付き
 人の出会いと別れ、そして策謀と陰謀の政治と謀反と戦争と歴史を紡ぐ王家の物語を本筋とするならば、今回は個々のキャラクターに視点を置いた外伝的短編集。
 主人公の二人ルシードとジルに関しては、結婚から始まる甘甘の恋物語に終始しており、普通ならこれだけでシリーズ化しそうなものを、著者高殿円の才能が更に国の興亡合戦を舞台に使う雄大さを兼ね備えており、時代に翻弄される二人もまた読み応え充分。伏線も張り巡らされており、今後どう風呂敷を畳むのか期待がもてます。
 ドラマCDは文庫本の付録という事もあり、主要な三人しか出てこない短編集。物語の導入としては良いかもしれませんが、そろそろ女官なりとも出した方が作品に広がりを感じられるのではないかと思う次第。しかしこうも付録をつけることが出来るということは、それだけ人気があるという事ですよね?ドラマCDを単品で出すのも可なのではないでしょうか。出してもらいたい。
 内容説明:初版のみ豪華20分のドラマCD付き!プリハワールドをわかりやすくまとめた特集ページやサブキャラを主人公に据えた短編、主人公カップルの日常などを描いた短編などを収録。シリーズが広がってきたいまファン必携の一冊! ドラマCDもついた豪華特別版!
内容(「BOOK」データベースより)
いま明かされるミゼリコルドの秘密…!(「私の願いを叶える者よ」)メリルローズの誕生日、戸惑うジルにルシードは?(「月色賛歌」)―他、ケイカとオースの過去編、リュリュカの恋人探し騒動など、5つの短編を収録した豪華短編集!コメディあり、シリアスあり、登場人物勢ぞろいの見逃せない一冊。プリハワールドがディープにわかるガイドページ、ドラマCDもついた特別編。(アマゾンより引用)

 世間話
 テレ玉で「ブラックラグーン」OVA版の第1話を放送。新聞のテレビ欄でたまたまチェック。運が良い。力作だ。見れて良かった。宣伝用の放送らしいが、クオリティは高く続きが見たくなった。
 さて「鋼の錬金術師」第63話「扉の向こう側」を三回も見てしまった。原作の最終話を読んだ後でありながら感動。筋は同じながら何故こうも、アニメとマンガで違う印象を受けるのか考えてしまう。アニメ版の63話は父親の話だった事に気が付き納得がいった。マンガはあくまでエルリック兄弟をテーマに描いていたけど、アニメでは事の発端と成ってしまった事えの罪悪感から苦悶を抱え、ホムンクルスとは表裏一体(姿も含め)の存在として永遠と思える人生を歩んできた果てに、宿命であったホムンクルスを息子エドが退治してもなお消えるな事無かった罪悪感が、アームストロング少佐の一言で、自分の人生を肯定することが出来た瞬間、そして満足した事を妻の墓前で報告する至福の時、このシーンに泣かずして何に泣けようか!更に長生きしたい“欲”は、我欲ではなく、エドやアルの伴侶や生まれてくる孫を見たいという、素朴な人並みな欲求であったのだろう。
 言葉で書くのは容易い。しかも見たモノの描写である。真に凄いのは、これを“演出”する才能と描く“作画”と演じる“声優”の技で描かれたドラマであると云うことだ。
 個としての死により、種としての生を繋ぐ、生命が生まれた時から試行錯誤の果てに得た真理の扉に描かれた“生命の樹”。父が成し得なかった高みへと立った息子を見る父親の目は嫉妬か妬みか。私は満足だと思います。
 水を差すようで申し訳ないのですが、唯一ここで不満なのは“血”の繋がりによる肯定だけを描き、親子共に錬金術師でありながら、錬金術の業と宿命をして“知”の伝達を成していないのがとても残念。他の登場人物にしても錬金“術”ではなく、超能力と同じような個人の資質としての“錬金術”に終始していたのがなんとも。親と子の物語は、別に血が繋がっていなくても良いのではないかと思う次第。生物として遺伝子の伝達で終わるのではなく、生物の宿命を超えた“人”としての業(カルマ)を物語る良い機会だったと思うのですが。
 大団円の最終回が愉しみです。

2010年6月28日月曜日

宇宙ショーへようこそ 観了

宇宙ショーへようこそ 観了
 TVCMを見て観に行きたくなりました。なので前情報は全く無し。ただ海外での公開で好評を得たとは聞いていました。
 またもや穿って推理をすると、製作者達は現在中年で、かつて昭和40年代頃に見ていた“夢”(未来が薔薇色で科学の進歩が人々を幸せにする)の再現と、中年になったかつての少年達が次世代の子ども達への“夢”を贈るためにつくったのではないでしょうか。
 この作品が何故6月に上映するのか!
 是非夏休みに上映して欲しかった。
 そして、家族で映画館へ行くのは金銭的にも大変でしょうが、ここはちょっと奮発していただいて、是非とも御家族全員で観に行って頂きたい。
 今は廃れたジュナイブルの世界が!
 前情報は必要無し。
 少々上映時間が長いかもしれませんが、画面に集中すればあっという間に終わってしまいます。私も上映時間を知らず、データをチェックして驚きました。子ども向けであったろうに、これほど長かったとは。確かに内容は盛り沢山で、タイトルの「宇宙ショーへようこそ」に至るまでに紆余曲折を経ていますが、その分キャラクター達の描きこみがされ、見応えを感じました。
 以下映画を見るのに不用な話。
 年長がリーダーシップをとるのは東洋的価値観では当たり前なわけですが、あれしろこれしろと指示するのではなく、拠り所としての在り方を何故描いたのか、脚本家の倉田英之に聞いてみたい所です。倉田英之はマンガの原作やライトノベルを手がけて活躍中の作家さんですが、私が一番感動したのは「キャノン先生とばしすぎ」の書評でした。ゴージャス宝田描く、良い子は読めない18禁マンガなんですが、書評を読んで買ってしまいました。
 主人公達が住んでいる日本の片田舎の背景画に感動。何にも無い(都会的な意味で無いのであって自然が豊富で水と空気が美味そう)な雰囲気が見事に描写され、青い夏空と山の緑が記憶の中の色彩を呼び起こしました。川と流域の少ない水田に平行して走る道路と家屋が、日本の典型的山村風景に見えます。朝夕が涼しそう。
 金を出して観るに足るオススメの映画です。
(以下yahooより引用)
原題: -
製作年度: 2010年
別題: -
製作国・地域: 日本
上映時間: 136分
解説: 美しい自然に囲まれた片田舎の村を舞台に、裏山に入った小学生たちが、犬の姿をした宇宙人と出会い、ひと夏の冒険を繰り広げていくSFファンタジー。テレビアニメ「かみちゅ!」で高い評価を得た舛成孝二が劇場作品初監督に挑み、卓越した演出力と構成力で熱狂の冒険物語を演出する。制作は、人気アニメ「黒執事」などを手掛け、本作が初の劇場作品となるA-1 Pictures。現在のアニメーション界をリードする気鋭のクリエイターたちによる完全オリジナルの世界観に期待。シネマトゥデイ(外部リンク)
あらすじ: 全校生徒が、街から転校して来た小山夏紀を入れてもわずか5人しかいない村川村の小学校に通う、夏紀、周、康二、倫子、清は、行方不明になったうさぎのぴょん吉を探すために裏山へ。5人は、巨大なミステリーサークルとケガをした一匹の犬に出遭うが、それは犬ではなく、惑星プラネット・ワンからやって来た宇宙人だっだ。
シネマトゥデイ(外部リンク)
スタッフ
監督:舛成孝二
製作総指揮:-
原作:ベサメムーチョ
音楽:池頼広
脚本:倉田英之
キャスト
黒沢ともよ(小山夏紀)
生月歩花(鈴木周)
鵜澤正太郎(佐藤清)
松元環季(西村倫子)
吉永拓斗(原田康二)
藤原啓治(ポチ・リックマン)
中尾隆聖(ネッポ)
五十嵐麗(マリー)
小野坂昌也(ポグナー)
竹田雅則(ヘストン)
宮本充(ロビー)
江川央生(ルビーン)
斎藤千和(ヤプー)
日高のり子(ハナコ)
銀河万丈(ゴーバ)
飛田展男(トニー)

シンバシノミコ 1巻 読了

シンバシノミコ 1巻 読了
 光永康則/著 集英社/刊 20100228第1刷562円 ヤングジャンプ・コミックスBJ
 小学館の『サンデーGX』にて「トラフィッカー」連載後、講談社の『月刊少年シリウス』で「怪物王女」にてブレイク。そして集英社『ヤングジャンプ増刊・ビージャン魂』にて今作品「シンバシノミコ」を連載。小学館講談社集英社とどうしてこうも一作づつ出せるのか不思議。編集者と何か特別のツテでもあるのでしょうか。それにしても『サンデーGX』が実質的デビュー連載であり、小学館の編集は貴重な宝石を手放してしまい勿体無いかぎり。でも作家と編集の相性もあるだろうし、編集部の雰囲気とかもあるので、創刊まもない『月刊少年シリウス』で天の時地の利人の和が上手く噛み合ったと考えられます。だいたい第1刷の帯には同時発売と銘打ち講談社「怪物王女」11巻の宣伝が。おそらく「怪物王女」には「シンバシノミコ」の宣伝が打たれていたのでしょう。出版社を超えてのコラボが当たり前になったのは、風通しが良くなったのか、それほど出版社がジリ貧になったのか。
 「怪物王女」がアニメ化されたりなんだかんだとブレイクしつつ、もはや『月刊少年シリウス』の看板作品にまで成長し、最早中堅所と成った著者の最新コミックス。読者層をやや上にしてサラリーマンが魔を払うストーリー。新橋と云えばサラリーマン街。歩くと実感するけどね。それと、銀座まで一駅で歩ける距離(都会的感覚で)にありながら、飲み屋の値段や雰囲気が極端に変わるのが面白い。所謂“飲み屋”に行くのならば新橋の方がオススメです。モツ煮をツっつきながら徳利を傾ける昭和の世界がまだ残っています。最近云う所の“千ベロ”!?
 内容説明:集英商事に入社早々、総務2課へと異動となった童貞・菰田貞夫。その課は通称「退魔課」と呼ばれ、OL兼巫女の巨乳美女・宮間一子がその霊力で社内と新橋の街を守っているのであった!! 彼女の部下として魔物退治に勤しむうち貞夫にも職業意識が芽生え、次第にその能力が開花する…!?(アマゾンより引用)
(ヤングジャンプ増刊・ビージャン魂 掲載)

2010年6月27日日曜日

リューシカ・リューシカ 1巻 読了

リューシカ・リューシカ 1巻 読了
安倍吉俊/著 スクウェア・エニックス/刊 20100622初版657円 ガンガンコミックスONLINE
 ぶっちゃけ「よつばと?」!?(能登麻美子=アンゴル・モアちゃんの声で)
 幼児にとって日常と非日常の境は極めて薄いと云ってよいでしょう。そもそも日常とか非日常の概念自体を捉えられない、果たして己の空想と事実との区別が出来るが何歳ぐらいからなのかが、未だに良く分っていません。発達は観察から推測するだけですから、断言できる事って少ないんですけど。日々様々な事を憶えていく子どもの能力と云いましょうか、本能と云いましょうか、生物の体って不思議ですね。発達心理学を少し齧ると、肛門期とか口唇期とかリビドー云々が出てくるんですが、ある程度言葉を使い分けるようになると何故か“うんこ”がとっても好きになる時期があるような気がします。すぐ卒業しちゃうんですけど、その辺りの解説を読んだ事が無いので、誰か研究している人がいないか個人的に探しています。絵本には実写を使った動物のうんこや昆虫のうんこや、うんち・うんこの絵本が結構あり、それなりに需要があるもんだ、と感心したことがあります。
 主人公のリューシカちゃんは、本名が栢橋龍鹿(カヤハシ キミカ)ちゃんだそうです。最近即断できない凝った名前を子どもに付けるようになって、困ったもんだ。親の期待がそれだけ大きいのはわかるのですが。
 インターネット上で連載されていたマンガだけに全ページフルカラーです。ややページ数が少ないとは云え、B6版130p相当を総天然色で657円(税抜)で売ってしまうスクウェア・エニックスに驚き。
 内容紹介:あんたの将来が心配だ。だけどおもしろいから放置してるんだ――。なんてことはない日常を舞台に繰り広げられる、空想少女リューシカの大冒険。それは前人未到で、奇想天外で、危機一髪な日々なのであった…(※彼女の中では)。WEBで話題の新感覚コメディが、個人誌収録の初期エピソードも収録して待望の単行本化。(カバー裏表紙より引用)
 書籍紹介:あんたの将来が心配だ。だけどおもしろいから放置してるんだ――。少女の眼に映るのは、ちょっとズレてて、いつもフシギな新世界。「灰羽連盟」「ニア アンダーセブン」の実力派作家がゆるゆると描く、空想少女の日常生活。(アマゾンより引用)
 

2010年6月26日土曜日

あかねこの悪魔 1巻 読了

あかねこの悪魔 1巻 読了
竹本泉/著 エンターブレイン/刊 20100707初版720円 BEAM COMIX
 本の内容を書き換えてしまう“紙魚”達を退治するため選ばれた本好きな少年少女と二人を誘う赤猫。二人と一匹が本の世界で大活躍。
 猫が仕事しちゃダメですよねぇ。
 あらすじを読んでいて諸星大二郎のとあるマンガを思い浮かべたのですが、竹本泉らしく朗らかで軽いタッチだったので一安心。
 世界観が以前連載していた「よみきり・もの」と「よみきりものの…」と重なる部分もあり、本筋に直接は関係ありませんが、シリーズを通して読むとお遊びの部分を楽しむことができます。

 内容紹介:妙な本が好きな少女・山嶺茜子と、変な本が好きな少年・辻島透。その手の本が色々ある「第2図書館」で、茜子が返したばかりの本を透が借りようとしたことで、いい雰囲気になるふたり。そこへ1匹の赤猫が現われ、なぜか茜子にまとわりついて……。竹本泉、コミックビームひさびさの長編連載、待望の第①巻!!(帯より引用)

2010年6月25日金曜日

この命、義に捧ぐ 読了

この命、義に捧ぐ 読了
[[attached(1,left)]]~台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡~ 門田隆将/著 集英社/刊 20100430第1刷1600円
 平成も二十年が経ち、小学生が“昭和時代の暮らしの本はありませんか?”と図書館へ調べ学習に来る昨今、昭和に生きていた人々には当たり前だった事跡も歴史の中に埋没しようとしています。TV番組等でも海外に雄飛した日本人を紹介したりしていますが、特に軍事浪漫に憧れる人々に紹介したいのがこの「この命、義に捧ぐ」です。
 中国残留孤児等で第二次大戦終戦直後の大陸で日本人達が命からがら逃げ出し、日本に辿り着く前に多くの人命が失われ、最強を誇っていた満州駐留の関東軍も文字通り張子の虎の体で民間人を放り出しソ連の軍門に下り、民間人と兵士の大半がシベリアに連れて行かれました。しかし満州の隣内蒙古では根本博司令官の判断で、天皇の玉音放送後もソ連軍との徹底抗戦により民間人を守り軍を率いて北京まで撤退するという難事業を、エルファシルの英雄と云っても過言では無い足跡を残しています。これだけで一冊の本が出来るのでは無いかと思うけれど、話は蒋介石率いる国民党軍が毛沢東の共産軍に追いつめられ台湾を守りきれるかどうかの瀬戸際に、蒋介石のもとに駆けつける根本博へと続きます。根本は北京まで撤退した時、蒋介石の国民党軍に降伏していました。蒋介石は多分に戦略的見地からだろうけど日本人と日本軍に温情を持って接しています。その時の恩に報いるべく根本は台湾へ渡る。根本を送り出す側にも台湾への絶ち難い想いを抱いた幾人もの日本人達と旧台湾領人達の願いが込められていた。台湾が共産軍に蹂躙されるかどうかの絶対防衛ラインは金門島。刻一刻と上陸作戦が遂行されようとしていた。
 金門島の激戦を知って、戦史を調べようとしましたが、残念ながら日本国内では通り一辺の歴史的記述としてしか調べられませんでした。この本が国内では一番詳しい金門島の中華民国軍と中華人民共和国軍との戦いを描いた書籍だと思います。ただし著者門田隆将は軍事系ライターではないし、主眼も人物史にあるので、戦史としては残念ながら詳しい内容ではありません。しかしルポライトという点においてはとても読みやすく、心打つ内容が盛り沢山あり、少々著者の感情が筆圧を強くしている部分もありますが、面白い本に仕上がっていると思います。『MC・あくしず』あたりで特集してくれるとありがたいのですが。
 内容紹介;1949(昭和24)年6月、九州・延岡の海岸から小さな漁船が夜陰にまぎれて静かに離れていった。船が目指すのは、真っ黒な海原のはるか彼方にある台湾。その船には、日本陸軍の元・北支那方面軍司令官、根本博中将が乗っていた。傍らには、「俺の骨を拾え」と言われて随行を命じられた通訳が一人。この時、蒋介石率いる中国国民党と毛沢東率いる中国共産党との「国共内戦」が、まさに決着を迎えようとしていた。共産軍の攻勢によって、大陸から撤退し、いよいよ金門島まで追い込まれた蒋介石。根本は蒋介石を助けるために「密航」を敢行したのである。「義には義をもって返す」。根本には、終戦時、蒋介石に言葉では表せぬほどの恩義があった。昭和20年8月15日、終戦の詔勅が下された時、根本は駐蒙軍司令官として、内蒙古の張家口にいた。陛下の武装解除命令は、アジア各地で戦う全軍に指令され、ただちに実行に移された。満州全土を守っていた関東軍も山田乙三司令官がこの武装解除命令に応じ、そのため全満州で関東軍の庇護を失った邦人が、虐殺、レイプ、掠奪……等々、あらゆる苦難に直面することになる。しかし、満州に隣接する内蒙古では、根本司令官による「武装解除命令には従わない。責任は私一人にある。全軍は命に代えても邦人を守り抜け」という絶対命令によって、激戦の末、4万人もの邦人が、ソ連軍の蛮行から守られ、北京、そして内地まで奇跡的な脱出・帰還に成功する。ソ連軍だけでなく共産軍の圧迫をも凌いで「4万人の脱出」が成功した時、これを戦勝国側で守ってくれたのが、蒋介石率いる国民政府軍にほかならなかった。根本中将に、その「恩義」はどう映ったのか。密航の途中、座礁や船の故障で、九死に一生を得ながら、根本は台湾に辿り着く。感激した蒋介石から根本は「林保源」という中国名を与えられ、金門島に赴く。そして、林保源将軍こと根本博は次々に作戦を立案し、押し寄せる共産軍に立ち向かった――。「台湾」と「台湾海峡」は誰によって守られ、なぜ今も存在しているのか。本書は、その謎に挑み、「義」のために生きた一人の日本人と、国境を越えてそれを支えた人たちの姿を「現代」に蘇らせたスクープ歴史ノンフィクションである。
 内容(「BOOK」データベースより):在留邦人4万人、無事日本に帰還!その恩義を返すため、将軍は、漁船で台湾へ向かった…。60年の歳月を経て今、明かされる日本人司令官の知られざる生涯。(アマゾンより引用)


2010年6月24日木曜日

異世界の聖機師物語 上下巻 読了

異世界の聖機師物語 上下巻 読了
ばう/漫画 梶島正樹/原作 一迅社/刊 20100620初版552円 REX COMICS
 主人公“柾木剣士”が迷い込んだのは、女性優位の貴族社会を形成し人型兵器を操る世界だった。
 OVA「異世界の聖機師物語」全13話を基に『月刊コミックREX』に連載されました。原作者がどこまでマンガに関わっているか分りませんが、基本的ストーリーは同じながらマンガ用のオリジナル展開になっており、OVA版第7話の学園編終了くらいの所で完結しています。OVAが2010年5月に第13話発売し完結しており、コミックスの発売も時期的に合わせていることから、タイアップ企画としてのコンセプトが当初より存在していたと推察しています。その為か新人漫画家の起用により、作品の出来が少々残念な出来に。OVAに合わせる課せを与えず漫画家に自由に描かせた方がマンガとして面白い作品に仕上がったのではないかと思えます。「異世界の聖機師物語」関連グッズとして以外のオススメはできません。
 さてOVA「異世界の聖機師物語」の話。私もまだ第7話までしか見ていません。ストーリー、演出、作画共にマズマズの出来であると思います。初期の天地無用に比べ予算が低かった云々と、コミックマーケットで原作者梶島正樹が主催している同人誌梶島温泉配布のどれかの同人誌に記載されていたと記憶しています。20年前の作品の方が作画の質が良かったり、予算が良いとはどういうことなのでしょうかね?折角世界に認めらた日本のアニメですが、今のところ競争相手はいないとは云え、自滅するようなものではないでしょうか?閑話休題。
 「異世界の聖機師物語」の主人公が“柾木剣士”、「天地無用!魎皇鬼」の主人公は“柾木天地”。しかも「異世界の聖機師物語」第一話冒頭での会話文や、本編中での剣士自身の家族構成等から推測するに「天地無用!」との繋がりがあることが充分わかります。また梶島作品群を通して見るとそれぞれが何らかの繋がりを持ち、原作者梶島正樹の創作する箱庭的世界を多角的に表現しようとしているのがわかります。“柾木天地”が少数のグループながら宇宙勢力地図の一角を有し、三女神の寵愛を受け、神に近い存在に(第一期作品では己の力に目覚めるまで、第三期シリーズでは惑星を破壊するエネルギーを生身の体で宇宙空間へ飛び出し防ぐ力を自在に操るようにまでなった。)が為に、恐らく異母弟である“柾木剣士”が異世界へ旅立ったのでしょう。その辺りの話がOVA「異世界の聖機師物語」の作中で語られるのか、小説で語られるのか分りませんが、興味が湧きます。
 「天地無用!魎皇鬼」の初期OVA版は大好きな作品なので、何かの機会に書きたいと思います。
 内容紹介(上巻):15歳の少年・柾木剣士は異形の人型兵器・聖機人を駆る“聖機人”として異世界に召還されてしまう―。『天地無用!』シリーズの生みの親・梶島正樹が贈る大人気OVAのコミック版、ついに登場!!
 内容紹介(下巻):異世界に召還された剣士の物語、堂々の完結!描き下ろしを多数収録して、上下巻同時発売!!(アマゾンより引用)


2010年6月23日水曜日

星屑番外地 2巻 読了

星屑番外地 2巻 読了
イダタツヒコ/著 小学館/刊 20100623初版533円 サンデーGXコミックス
 宇宙から飛来した物体により地球の治外法権地帯として生まれ変わった怖巻市。その中心に虚壷(ウロコ)神社があった。地球人や宇宙人の入り混じるこの街で神社の巫女である紗乙女烈香はバット片手に地球人や宇宙人の入り混じるこの街で、人の手から溢れた難問珍問を解決していくのだった。
 “先史文明のロストテクノロジー”と解説される“ショゴス細胞”が「テケリ」と何やら発音しているので、やはりクトゥルー神話をベースに、星間戦争の片隅に地球が存在している世界観みたいです。高度な科学は魔法と区別がつかなくなる例のもれず、呪術と超科学との合一。よくあるパターンとは思いますが、日本国内では繰り返されるモチーフではありながら、現実世界に目を向けると西洋文明と東洋文明を上手くミックスし成功した唯一の国家日本も似たようなものなのかもしれません。
 表紙を見ると(左上に表示してあるのはカバー絵。表紙とは書籍の外装の開く側の面。因みに国立国会図書館では所蔵スペースを一㍉でも増やすためカバーの保存はしない。一般の公立図書館ではカバーの有無で意外と貸出数が異なる)おそらく著者のお遊びであろう画像が表示されています。「美女と野獣」のタイトルの付け方にしろ現シリーズにしろ、著者イダタツヒコが映画好きであることは一目瞭然であり、実写映画を撮影してもそれなりの才能を示すであろう事は想像に難く無い。日本のマンガ産業の隆盛は、他諸国では映画映像産業を担ったであろう若き才能が出版業界に流れたためであろう。市場として縮小傾向にある出版業さらにその一角のマンガ業界も縮小再生産のサイクルにならないことを祈るだけです。
 内容紹介:凶悪巫女が特製バットで悪を祓う!!巳楢木県怖巻市ーーそこは人呼んで「星屑番外地」と呼ばれ、地球人と異星人と魔が同居する緩衝地帯。凶悪巫女・紗乙女烈香は、この街のトラブルバスターとして大幣代わりの特製バットで悪を祓うのであった!!!宇宙人だろうが、地球人だろうが、問答無用!!烈香の打撃がますます冴える場外乱闘必至の第2集!!!
 編集担当者からのおすすめ情報:『美女で野獣』『XBLADE(作画/士貴智志)』などのイダタツヒコが放つ最新超打撃系アクション『星屑番外地』第2集が登場!!第1集では、『鋼の錬金術師』の荒川弘氏の推薦オビを頂き、その 面白さはお墨付き!最新第2集では、ヒロイン烈香を邪魔しようと、宿命のライバルくるめが表に裏に暗躍しまくり!!街をも揺るがす痛快無比の大アクションが全ページに渡り展開!!『美女で野獣』ファンには、嬉しいカメオ(!?)出演もありますよ!!(小学館ホームページより引用)
(月刊サンデーGXに掲載)
 

初投稿

 今までyahooで活動していましたが、投稿できなくなったので、グルグルにもページを作ってみました