木更津駐屯地航空際

木更津駐屯地航空際
2019年12月8日木更津駐屯地航空際にて撮影

2010年6月29日火曜日

プリンセスハーツ 読了

プリンセスハーツ 読了
~君は運命の人だからの巻~ 高殿円/著 小学館/著 20100531初版943円 小学館ルルル文庫 ドラマCD付き
 人の出会いと別れ、そして策謀と陰謀の政治と謀反と戦争と歴史を紡ぐ王家の物語を本筋とするならば、今回は個々のキャラクターに視点を置いた外伝的短編集。
 主人公の二人ルシードとジルに関しては、結婚から始まる甘甘の恋物語に終始しており、普通ならこれだけでシリーズ化しそうなものを、著者高殿円の才能が更に国の興亡合戦を舞台に使う雄大さを兼ね備えており、時代に翻弄される二人もまた読み応え充分。伏線も張り巡らされており、今後どう風呂敷を畳むのか期待がもてます。
 ドラマCDは文庫本の付録という事もあり、主要な三人しか出てこない短編集。物語の導入としては良いかもしれませんが、そろそろ女官なりとも出した方が作品に広がりを感じられるのではないかと思う次第。しかしこうも付録をつけることが出来るということは、それだけ人気があるという事ですよね?ドラマCDを単品で出すのも可なのではないでしょうか。出してもらいたい。
 内容説明:初版のみ豪華20分のドラマCD付き!プリハワールドをわかりやすくまとめた特集ページやサブキャラを主人公に据えた短編、主人公カップルの日常などを描いた短編などを収録。シリーズが広がってきたいまファン必携の一冊! ドラマCDもついた豪華特別版!
内容(「BOOK」データベースより)
いま明かされるミゼリコルドの秘密…!(「私の願いを叶える者よ」)メリルローズの誕生日、戸惑うジルにルシードは?(「月色賛歌」)―他、ケイカとオースの過去編、リュリュカの恋人探し騒動など、5つの短編を収録した豪華短編集!コメディあり、シリアスあり、登場人物勢ぞろいの見逃せない一冊。プリハワールドがディープにわかるガイドページ、ドラマCDもついた特別編。(アマゾンより引用)

 世間話
 テレ玉で「ブラックラグーン」OVA版の第1話を放送。新聞のテレビ欄でたまたまチェック。運が良い。力作だ。見れて良かった。宣伝用の放送らしいが、クオリティは高く続きが見たくなった。
 さて「鋼の錬金術師」第63話「扉の向こう側」を三回も見てしまった。原作の最終話を読んだ後でありながら感動。筋は同じながら何故こうも、アニメとマンガで違う印象を受けるのか考えてしまう。アニメ版の63話は父親の話だった事に気が付き納得がいった。マンガはあくまでエルリック兄弟をテーマに描いていたけど、アニメでは事の発端と成ってしまった事えの罪悪感から苦悶を抱え、ホムンクルスとは表裏一体(姿も含め)の存在として永遠と思える人生を歩んできた果てに、宿命であったホムンクルスを息子エドが退治してもなお消えるな事無かった罪悪感が、アームストロング少佐の一言で、自分の人生を肯定することが出来た瞬間、そして満足した事を妻の墓前で報告する至福の時、このシーンに泣かずして何に泣けようか!更に長生きしたい“欲”は、我欲ではなく、エドやアルの伴侶や生まれてくる孫を見たいという、素朴な人並みな欲求であったのだろう。
 言葉で書くのは容易い。しかも見たモノの描写である。真に凄いのは、これを“演出”する才能と描く“作画”と演じる“声優”の技で描かれたドラマであると云うことだ。
 個としての死により、種としての生を繋ぐ、生命が生まれた時から試行錯誤の果てに得た真理の扉に描かれた“生命の樹”。父が成し得なかった高みへと立った息子を見る父親の目は嫉妬か妬みか。私は満足だと思います。
 水を差すようで申し訳ないのですが、唯一ここで不満なのは“血”の繋がりによる肯定だけを描き、親子共に錬金術師でありながら、錬金術の業と宿命をして“知”の伝達を成していないのがとても残念。他の登場人物にしても錬金“術”ではなく、超能力と同じような個人の資質としての“錬金術”に終始していたのがなんとも。親と子の物語は、別に血が繋がっていなくても良いのではないかと思う次第。生物として遺伝子の伝達で終わるのではなく、生物の宿命を超えた“人”としての業(カルマ)を物語る良い機会だったと思うのですが。
 大団円の最終回が愉しみです。

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