木更津駐屯地航空際

木更津駐屯地航空際
2019年12月8日木更津駐屯地航空際にて撮影

2010年8月31日火曜日

メイド刑事 8巻 読了

メイド刑事 8巻 読了
早見裕司/著 ソフトバンク クリエイティブ/刊 20090228初版600円 GA文庫

 TV再放送中の「機動新世紀ガンダムX」第19話「まるで夢を見てるみたい」を見ました。
 ガンダムXは視聴率も低く途中で打ち切られ人気も無くガンダムシリーズの中でも失敗作のように思われているかもしれません。私も本放送時にはそう思っていました。しかし見直して、主人公をガンダムに偶然乗った少年ガロードの成長物語ではなく、開戦の火蓋を切ってしまった元ニュータイプのエリート軍人だったジャミルが悔恨と苦悩の15年を過し、一家を成し、やっと自分のやりたかった贖罪としての同胞ニュータイプ探しを開始した矢先、最強と云われ現在も最強のままでいるかつての愛機と同タイプのガンダムGXを発見するも、最早かつての能力を失いしかも艦を率いる責任もあるので、才能が有りそうで人の良いガロードを手元に置いて育てている、と考えるならばですよ、もう一人のアムロ・レイの人生として本家富野の「Z」「逆襲のシャア」よりも面白いのではなかろうかと思うようになりました。
 そして物語前半のジャミルの見せ場が、この第19話なのです。
 限定されているとは云え昔操った杵柄、これぞ鬼に金棒、ガンダムGXとジャミルの組み合わせは最強!しかも戦闘ばかりではなく、ドラマもシッカリと作られており、ラストの哀愁ただようジャミルがなんとカッコよいことか。ガンダムXの評価はもっと高くてしかるべし、ではないでしょうか。閑話休題

 さて「メイド刑事8」の話。
 新刊を買っておいてパッケージングしたまま放置してしまいました。完結9巻を先に読んでいるではありませんか。まあ、ストーリー的に何処かが欠けていると解らなくなるような一貫したものではないので大したことではありますまい。
 TV番組「スケバン刑事」の単なるパロディです。でもありきたりのパロディではなく、TV番組「スケバン刑事」に現代版パート4があったらこうする!と云う徹頭徹尾「俺の“スケバン刑事”」のパッションが痛いほど伝わってくる作品です。事実深夜番組枠ですがTVドラマ化されています。どこからの企画持込かわかりませんが、著者早見裕司の熱意が人々を動かしたと考えると、私の中にも熱い想いが込み上げてきます。番組は見ていませんが。
 私的には原作コミックス版「スケバン刑事」派なんですけどね。「ガラスの仮面」「パタリロ」「スケバン刑事」「紅い牙」の頃の『花とゆめ』が懐かしい。少女漫画雑誌なのに看板四作品中三作品が男性作家だというのが笑えます。だからこそ男性読者が多数存在していたとも考えられます。
 一話分のストーリーが短く感じられるかもしれませんが、コンセプトが30分一話のTV番組と考えれば、これでも長いくらいでしょう。もし小説の通りドラマ化するならば1時間枠の番組でも短いかもしれません。その分キャラクターの造型が薄っぺらに感じられるかもしれませんが、30分の特撮番組なんてそんなもんです。逆説的に描きすぎていると云っても過言ではありますまい。敵の冷酷非常ぶりや間抜けぶりも、現実にそんなことあるか!と突っ込みどころ満載でしょう。特に忍者だなんて。でも水戸黄門よろしく、それが連続TV番組なんですよ、そこまで表現している著者早見裕司の思いの丈にこそ感動しました。

 内容紹介:黒須善香ついに始動!メイド刑事・若槻葵に最大の敵登場!黒須三姉妹最凶の敵善香。彼女が葵に仕掛けた罠とは!最高潮のシリーズ第八弾登場!

 「すぐにあんたたちを抹殺してもいいんだけど、こっちも少しは遊びたいわけ。だ・か・らぁ、とびっきりチープな事件を用意してみちゃった」海堂邸に送りつけられたDVDに映っていたのは、狂気を湛えた笑みを浮かべる黒須三姉妹“最凶“の女・善香だった。狼女による連続殺人事件。およそ現実のものと思えない猟奇殺人事件だったが、葵は単身怪しいと目される一ノ瀬邸へメイドとして潜入することになる。そこで見た「狼の呪い」の真実とは……!?

 奥飛騨忍群の少女が海堂の命を狙いメイドとして近づく「悲しき定め! 奥飛騨忍群の逆襲」他全3編を収録!
 内容(「BOOK」データベースより):「すぐにあんたたちを抹殺してもいいんだけど、こっちも少しは遊びたいわけ。だ・か・らぁ、とびっきりチープな事件を用意してみちゃった」海堂邸に送りつけられたDVDに映っていたのは、狂気を湛えた笑みを浮かべる黒須三姉妹“最凶”の女・善香だった。狼女による連続殺人事件。およそ現実のものと思えない猟奇殺人事件だったが、葵は単身怪しいと目される一ノ瀬邸へメイドとして潜入することになる。そこで見た「狼の呪い」の真実とは…!?奥飛騨忍群の少女が海堂の命を狙いメイドとして近づく「悲しき定め!奥飛騨忍群の逆襲」他全3編を収録。(アマゾンより引用)

たいした事無いけど、バックナンバー。
メイド刑事9完結 読了 http://blogs.yahoo.co.jp/akamaty1000/59501412.html
メイド刑事7 読了 http://blogs.yahoo.co.jp/akamaty1000/55264640.html
メイド刑事6 読了 http://blogs.yahoo.co.jp/akamaty1000/54073975.html
メイド刑事5 読了 http://blogs.yahoo.co.jp/akamaty1000/50333354.html
メイド刑事4 読了 http://blogs.yahoo.co.jp/akamaty1000/57843966.html
メイド刑事2 読了 http://blogs.yahoo.co.jp/akamaty1000/37662062.html
メイド刑事   読了 http://blogs.yahoo.co.jp/akamaty1000/32895952.html 


2010年8月30日月曜日

私立エルニーニョ学園伝説 立志篇 読了

私立エルニーニョ学園伝説 立志篇 読了
SOW/著 集英社/刊 20081220第1刷743円 河下水希/イラスト(JUMP j BOOKS)

 有明・東京ビックサイト西2ホールで開催された「COMITEA93」へ行って来ました。コミケやいくたの即売会と異なり、パロディやファンジンではなく、オリジナルの創作物・特にマンガを主に開催されているハードコアな即売会です。原点回帰と云っても良いでしょう。そして会場には出版社のマンガ編集部が出張してきており、プロの編集者に見てもらえるのも売りになっています。
 コミケでオリジナル作品のサークルを扱っていないわけではありません。コミケ参加サークルとコミティア参加サークルはほぼ重なるでしょう。更に運営しているスタッフもまた重なっているはずです。パロディやファンジン系に比べると地味であるがゆえに、コミケでは埋もれてしまっています。
 私的にも時間の都合上コミケでは大手ジャンルを回り、オリジナル系はコミティアで補完している感じになります。
 コミティアの最近の印象では、自分の創作物の一つとして一般商業誌を同人誌と一緒に並べているのを多数見かけるようになりました。プロで食べていけないのか、プロの敷居が低くなったのか興味の湧く所です。故にプロの作家さんに直接会う機会が多くなりました。それと、コミケでもそうなんですが、所詮アマチュアが自分の創作意欲の発散の場であるので、無料で配っている品々を入手できます。コミティアはコミケと異なりカタログ代が必要(注:カタログが売り切れると入場制限が無くなるの無料入場可能。但し何時から無料になるかは不明)なれど、財布が無くても無料配布物だけで結構荷物が増えます。でも所詮はアマチュアが無料でも良いから持って行ってくれと手渡している品であるので、過大な期待はしないように。希に玉が入っている時もあります。
 いつものように国際展示場駅に降り立つと利用客が異様に多くてビックリしました。コミケ終了直後とは云え、コミティアにこれほど人が来るのはおかしいだろうと思ったら、同人誌印刷の大手が主催する即売会COMIC CITYが同時開催でした。同種のイベントが重なった方が集客率は高くなるんですけどね。入手した資料については追々。

 さて電車の中で読んでいた「私立エルニーニョ学園伝説 立志篇」です。買っといて今まで忘れていました。河下水希の新刊だ!と思って買ったら違っていた記憶が有ります。丁度一年後に2巻目青雲篇が発売されたはず。
 面白い文章でした。サクサク読めたし。キャラクターも主人公以外ステレオタイプのありきたりばかりで意外性がまるで無いのが意外でした。起承転結がハッキリしており、まるでライトノベルの良い所ばかりを寄せ集めしたような、これぞライトノベルを書く為のテキストとして最良のような作品です。夏休みの読書感想文はこう書け!みたいな、もしくは本編を読まずとも読書感想文は書ける!みたいな、著者SOWは“脚色家”としてなら第一級だと思います。極力読者の感情移入を削ぎ落とし、キャラクター達が表面的な役割分担を徹底することでのみ醸し出される空虚感が素晴らしい。作家として己のテーマを持たない文章家が、どこまで創作を続けられるか興味津々でもあります。

 内容紹介:エルニーニョ学園――この世のすべての才能はそこに集まるという。折紙少女に剣術少女(どっちもいい娘です)、オタクもいるし、忍者もいれば、悪の会長だっている!混乱が混乱を呼ぶ、伝説のハイテンションノベル誕生!!生まれ変わったジャンプ小説新人賞、刊行第1弾!
 内容(「BOOK」データベースより):エルニーニョ学園―この世のすべての才能はそこに集まるという。折紙少女に剣術少女(どっちもいい娘です)、オタクもいるし、忍者もいれば、悪の会長だっている!混乱が混乱を呼ぶ、伝説のハイテンションノベル誕生!生まれ変わったジャンプ小説新人賞、刊行第1弾。(アマゾンより引用)


2010年8月29日日曜日

コミックバンチ 2010.9.10号 No.39 最終号 読了


コミックバンチ 2010.9.10号 No.39 最終号 読了
第10巻第35巻通巻445号 新潮社/刊 267円

 涼を求めて上野の東京国立博物館で開催中の特別展「誕生!中国文明」へ行ってきました。
 商王朝や周王朝時代の青銅器の鼎などの表面に描かれているデザインを見るたびに、そのセンスのモダン性に驚かされます。それと同時に諸星大二郎のマンガが思い出されてしまいます(笑)。それほど印象が深かったと云う事ですから、諸星大二郎がいかに卓越した才能だと云う事でしょう。
 ミュージアムシアターで上映中の作品は「唐招提寺」金堂と御影堂を映します。適度な空調と暗い室内、そして肉声によるナレーションが心地良い眠りに誘ってくれます。東山魁夷描く襖の色の発色が素晴らしい。9月26日日曜まで上演。
 本館で現在展示してある見応えのある作品は国宝「餓鬼草子」でしょう。教科書等に良く紹介されていますが、実物を見るのは初めてです。恐ろしげでありながらユーモラスにすら感じる絵がなんとも。そして日本絵画コーナーに展示してある渡辺崋山作「坪内老大人像画稿」に注目(写真掲示)。1818年の作ながら現在発売中の時代劇雑誌の表紙を飾っても何ら遜色は無いと思いませんか?まあ当時にこれほどの西洋風写実的絵を実験的作品ではなく、作風にしてしまったのは渡辺崋山しか知りません。だからと云って日本の絵画彫刻は写実的では無い発展をしてとも云えず、例えば「鑑真和上坐像」を魁に、特に禅宗系におけるお坊さんの像は室町時代から現代に至るまで、とても写実的に作られてきました。だいたいプラモデルを上手に作れる人は絵も総じて巧いものです。立体的把握と二次元への描写には深い関係があるように思えます。概して絵の巧い人は立体物も、立体物の巧い人は絵も巧いと思います。閑話休題。

 さて、コミックバンチ最終巻刊行。
 今後はネットで作品の発表がなされていきます。
 パソコン通信やチャットが今や消滅したのは、インターネットの発達と携帯電話の進化によるものでした。ipodやipadが発売されているとは云え、まだまだムーブメントにはなっていないでしょう。携帯電話のように大多数の老若男女が“ケータイ”として持ち歩く事で「メール」や「掲示板」「ブログ」「ツイッター」が隆盛を誇っていると思います。マンガがネット上で発展するには、まだ何かしらのエポックメイキングに到達していないのではないでしょうか。
 そんな事は、出版の第一線で活躍しているコミックバンチの編集部コアミックスや新潮社は百も承知のです。それでもなをコミックバンチを存続させるには、紙媒体としての雑誌経営は不可能との判断を示して、生き残りを賭けネットに打って出たと思われます。
 「北斗の拳」が好きで「蒼天の拳」を読むために『コミックバンチ』を買っていた映像サークル「もちけん」の今は亡き太監督だったらどんなコメントをしたか気になります。


2010年8月28日土曜日

インプレッション 観了

インプレッション 観了

 ワシ、夢邪鬼言いますネン。
 ラムさんの夢、このワテに創らせてくれまへんか?

 他人の夢の中に侵入し、秘密を盗み出す仕事をしているコブ(レオナルド・ディカプリオ)は、産業スパイの依頼を受けるが失敗。逆にスパイをしていた企業トップのサイトー(渡辺謙)から引き抜きを受ける。サイトーの依頼はライバル企業の次期社長であるロバート(キリアン・マーフィ)に自社企業解体へのアイデアを植えつける事であった。仲間を集め作戦を練りロバートの夢の中に侵入するも、最大の障壁はコブ自身の深層心理にあった。
 作品中に言及されていませんが、“夢”への侵入が当たり前の世界であり、心理学の一分野として大学で授業すらあるみたいです。学会とかも有るのでしょう。恐らく初稿の脚本や、もしかしたらディレクターズ・カット版にはそんな設定が生かされているのかもしれませんが、尺を短くされたので本筋に関係無しと削除されたのだと思います。「JM」や「「ストレンジ・デイズ」みたいに設定をくどく説明していない点に好感が持てました。
 夢へのメタ世界観の構築と脱出劇は、押井守を筆頭に常に描かれているモチーフであり、そこに「七人の侍」のコンセプトである仲間を集め、戦い、ミッションを果たす、アクション要素をメインに、主人公コブの因縁話を絡め148分の長い尺でありながら、飽きさせないストーリーは秀逸と思いました。夢を階層構造にして、夢から覚めても夢の中の入れ子式を二重三重にして、しかも観客へのビックリ箱ではなく、入れ子の中からの脱出劇にすることにより、観客への理解のしやすさとアクション脱出劇にしたあるのが、押井守の「イノセント」と違って面白い。しかも単なる脱出ではなく、それぞれ時間の流れの違う三つ(最終的には四つ)の世界で同時進行するアイデアもこれまた脱帽するしかない着想。成功するのはわかっていながらも、ハラハラ感と云いドキドキ感と云い圧巻。しかも己の潜在意識に侵入され、他人の勝手なイメージを植え付けられた青年実業家ロバートが、本人にとってはポジティブ・シンキングになった結末に、観客はある意味、爽快な結末になったが如くの印象を受けてしまうギミックがまた凄い。
 場面場面に出てくる“水”の描写ですが、いろいろと解釈はあると思いますが、私としては「死と再生」における“三途の川”や“忘却の河”であり、胎児の羊水の表現だと思います。ロバートの夢に侵入した祭、第一層では雨の中であり橋から川面への落下、第三層では“水”の形態である「雪」である点に、そして“リンボウ”、個人の潜在意識の更に下層と設定された人々を通底する共通意識(映画内ではコブ、サイトー、ロバートそして死者であるコブの妻たちの意識)として「海」が描かれているのにも、脚本家達の単なる思い付きのアクション映画ではない、テーマ性を感じさせる要因になっているのでしょう。映画「攻殻機動隊」で水に沈むサイボーグである草薙素子がダイビングを行うシーンと、オープニングのサイボーグの体が作られている過程の描写にも共通すると思います。
 コンピュータの発展により、観客の日常生活が以前と変化し、かつては観念的であった地獄や天国のイメージ(階層的でありそれぞれの階層の時間進行の速度が違うとか、またドラゴンクエスト等のゲームにより階層の移動が何を意味しているのかを認識出来るようになった)を、作品中の中に組み込む必要がなくなり、よりスピーディなストーリー展開が出来るようになったのでしょう。
 ストーリー的にとても面白いのに、冒頭からのアメリカーンなジャポニズムや、JR東海の新幹線にコンパートメントがあったり、そこまでして日本を演出しなくて良いのに、と思ってしまいました。
 ラスト・カットにもいろいろと語りたい事がありますが、我々観客が“胡蝶の夢”を植えつけられた演出でしかないと割り切るしかないでしょう。

原題: INCEPTION
製作年度: 2010年
別題: -
製作国・地域: アメリカ
上映時間: 148分
 スタッフ
監督:クリストファー・ノーラン
製作総指揮:クリス・ブリガム 、トーマス・タル
原作:-
音楽:ハンス・ジマー
脚本:クリストファー・ノーラン

 解説: 『ダークナイト』の気鋭の映像作家、クリストファー・ノーラン監督がオリジナル脚本で挑む、想像を超えた次世代アクション・エンターテインメント大作。人の夢の世界にまで入り込み、他人のアイデアを盗むという高度な技術を持つ企業スパイが、最後の危険なミッションに臨む姿を描く。主役を務めるのは『シャッター アイランド』のレオナルド・ディカプリオ。物語のキーマンとなる重要な役どころを『ラスト サムライ』の渡辺謙が好演する。斬新なストーリー展開と、ノーラン監督特有のスタイリッシュな映像世界に引き込まれる。
シネマトゥデイ(外部リンク)
 あらすじ: コブ(レオナルド・ディカプリオ)は人が夢を見ている最中に、その潜在意識の奥深くにもぐり込んで相手のアイデアを盗むことのできる優秀な人材だった。彼は、企業スパイの世界でトップの腕前を誇っていたが、やがて国際指名手配犯となってしまう。そんなある日、コブの元に“インセプション”と呼ばれるほぼ不可能に近い仕事が舞い込む。
 キャスト
レオナルド・ディカプリオ(コブ)
渡辺謙(サイトー)
ジョセフ・ゴードン=レヴィット(アーサー)
マリオン・コティヤール(モル)
エレン・ペイジ(アリアドネ)
トム・ハーディ(イームス)
ディリープ・ラオ(ユスフ)
キリアン・マーフィ(ロバート・フィッシャー)
トム・ベレンジャー(ブラウニング)
マイケル・ケイン(マイルズ)
ピート・ポスルスウェイト(モーリス・フィッシャー)
ルーカス・ハース(ナッシュ)
タルラ・ライリー(-)
ティム・ケルハー(-)
マイケル・ガストン(-)

2010年8月27日金曜日

ダブル・フェイス 22巻 読了

ダブル・フェイス 22巻 読了
~シェラネバダの虜囚~ 細野不二彦/著 小学館/刊 20100804初版524円 ビッグ コミックス
 
 私事ですが(このブログは私事しかありませんけど)、歯医者に行ってきました。8月に入りブリッジを支えている歯の一つが滲みるようになったためです。昔別な歯で滲みるので歯医者へいったら銀歯はちゃんと固定されているので様子を見ましょうと言われ、時間を置いたら化膿したガスで歯の中で破裂したことがトラウマとなっていたので、ともかく見てもらう事にしました。で、行って見たら手遅れ。銀歯に被された中の歯は飴細工みたいなグズグズになっていました。かろうじて根を残すことができました。
 6月に別の歯の詰め物が取れて、一緒に他に悪い所が無いか見てもらったんですけどね。
 結局プロの歯医者であっても詰め物の中がどうなっているかはわからないと云う事ですよね。自覚症状が出るまではどうしようもなく、予防のしようが無いわけです。いったい如何すれば良いんでしょうか?一度虫歯になったら、お終いと云う事ですか!?無傷の歯をブリッジの支えにしたら両方合わせて二十年で抜いた歯を合せて三本消滅。この後残った根を土台にブリッジを作っても、後二十年もしないうちに根そのものが消滅してしまいそうです。そうなると義歯かインプラントの二択ですか?それとも21世紀の科学技術が今まで私の歯を存在し続けていたと考えるべきなのでしょうか?
 諦観しか残りませんぜ。

 さて「ダブル・フェイス」の22巻です。22巻が何時発売されていたのか知りませんでした。本屋の新刊棚に一冊並んでいるのを見て、一度自宅のパソコンからアマゾンを見て新刊かどうか確認してから買おうか迷った挙句、購入したら、矢張り未見の新刊書でした。
 “Dr.WHOO”誕生秘話。そしてタイトル“ダブル・フェイス”「二つの顔」の意味する所とは!?過去と現在が、日本とアメリカが交差する、読み応え充分の22巻です。

 内容説明:春居の封印された過去が、ついに明らかに…!!
●主な登場人物/春居筆美(=Dr.WHOO。月影ファイナンスのダメ営業員。しかし実はオーナー。さらに、華麗なマジックで相手を幻惑し圧倒する、謎の魔術師の顔を持つ。周囲は、その正体を知らない。元の名は北大路冬彦)
小泉じゅん(月影ファイナンスの窓口係。)
ジャンヌ(Dr.WHOOと同じ、クロブチ機関の機関員。)
●あらすじ/13年前、えん罪でアメリカの刑務所に収監された春居が、
いかにして脱獄を成功させたのか…!?そしてDr.WHOOとして第二の人生をスタートした理由とは…!?封印された過去が、ついに明らかになる!!
●本巻の特徴/封印された春居の過去ーー アメリカの刑務所を脱獄の真実が、今明らかになる!
●その他の登場人物/巣鴨店長(月影ファイナンスの店長。実は、春居の腹心。) 青山ネネ(月影ファイナンスの窓口係。社内の事情通。) ジェンキンス(アメリカの刑務所で、春居(=北大路)と同室になった囚人。)
(アマゾンより引用)
(ビッグコミック掲載)

2010年8月26日木曜日

暴れん坊少納言 7巻完結 読了

暴れん坊少納言 7巻完結 読了
~桜吹雪の巻~ かかし朝浩/著 ワニブックス/刊 20100910初版580円 ガムコミックスプラス
 史実を足枷と考えるか、碇(アンカー)と考えるかによってかなり発想が変ってくると思います。
 少女漫画で清少納言や紫式部や和泉式部の人々の恋愛記を描いた作品を見た事はありますが、歴史上の人物をキャラクターとして再構成し、史実に沿ったエピソードを土台にしつつも、自由な発想でストーリーを作り変えながら、権力闘争とラブストーリーを絡めた視点の切り口と演出の勢いの良さを考えるならば、平安時代を描いたかどうかは別にして、とても面白い作品であったと思います。無論土台として高校くらいまでの日本史と日本文学史の知識があって初めて、想像の自由の翼を広げられることが前提としています。
 現代に通じる日本文学の開祖達が一同に会し、謳歌した青春記を楽しみましょう。
 
 内容紹介:中宮・定子に仕える清少納言(諾子)は個性派ぞろいの女房たちや、婚約者(?)橘則光などの囲まれて大騒ぎの毎日を過ごしていた。 だが、A.D.1000、出家していた天皇の実母である国母・詮子が戻ってきたことにより、 梅壺に暗雲が立ち込めることに…。 ツンデレ少納言の恋と和歌と大暴れな日々をオリジナル視点で描く入魂作がついに終わりを迎える最終第VII巻が登場!! 梅壺の未来、そして小納言の運命はいかに!?(アマゾンより引用)
(月刊コミックガム掲載)

2010年8月25日水曜日

魍魎の揺りかご 1巻 読了

魍魎の揺りかご 1巻 読了
三部けい/著 スクウェア・エニックス/刊 20100821発売 540円(税込) ヤングガンガンコミックス
 
 注)前情報を必要としない方は読まないようにしてください。

 新連載が始まったのは知っていましたが、内容は知りませんでした。前作が少年少女の現実的サスペンスだったし、タイトルからして今度は伝奇風かしらんと妙な期待をしていたのですが…。
 ポセイドン・アドベンチャー+ゾンビ。
 見知らぬ客同士が力をあわせたり角を突き合ったりするのがストーリーの醍醐味のようなきがするのですが、敢えて高校の修学旅行生達をメインにしたのはどんな意図があったのか。おそらく本編で描かれる事は無いでしょうから、脳髄魔術の新刊で是非とも、非日常の日常化してもらいたいものです。
 第一巻では起承転結の“承”から始まり、事件は既に起きています。今後の展開に期待。

 内容紹介:彷徨(ルビ:さまよ)い、足掻(ルビ:あが)くだけ無駄…。『死』への揺らぎに、眠りつくは賢人。駄駄(ルビ:だだ)を捏(ルビ:こ)ね、生き場を求めるは愚者。赤子が零(ルビ;あや)し、魍魎(ルビ:もうりょう)が笑うこの“檻(ルビ:かご)”は最早、舵を失った船のように、ただ彷徨うことしかできない──…。(アマゾンより引用)



2010年8月24日火曜日

ぎんぎつね 3巻 読了

ぎんぎつね 3巻 読了
落合さより/著 集英社/刊 20100819発売 630円(税込) ヤングジャンプコミックス
 神道のいにしえの姿は、最早推測することしか出来ません。たぶん、人々が何かを感じた場所(山、河、海)とか、何かを感じた物(岩)とか、水源のように生命活動の根源に必要な大事なモノに対し、結界を張ったのが始まりなのでしょう。結界とは今日マンガやライトノベルで描かれる未知のパワーではなく、人為的な他者へ対するメッセージです。それが、仏教の移入に影響を受けて“社”を設けるようになり、経文に対して“祝詞”を持つようになったらしいです。
 ただ、八百万の神々と何時から称しているかわかりませんが、多神教であるが故に他宗教に対し大らかであるのは異論の無い所であり、神々の一人として仏も孔子も受け入れたのでしょう。受け入れたからと云って理解したわけではありますまい。
 冴木神社の一人娘まことを中心に、地域に住む人々と神々の使いの営みを丁寧に描く秀作。話も進み、登場人物も増え始め、今後どう展開していくのか愉しみです。

 内容説明:悟とハルが加わり、ちょっと賑やかになった冴木神社に、半年の穢れを落とす大祭「夏越の祓」が近づいてまいります。その準備で大わらわのまこと達を助けようと様々な人が集まり、いつになく神社は活気づいてきます。さて、当日はどんな一日になりますやら――(アマゾンより引用)
(ウルトラジャンプ掲載)


避暑に行った先でも熱帯夜。
体力が持たず、更新も出来ず。でも出勤したら体調不良が直った。クーラーの力は偉大だ。

2010年8月22日日曜日

セーラー服と重戦車 5巻 読了

セーラー服と重戦車 5巻 読了
野上武志/著 秋田書店/刊 20100820発売 580円(税込) チャンピオンREDコミックス
 関東大会決勝。数で勝る赤軍を勇気と友情で打ち破った(敵が自壊)野良中は、名実共に関東一の戦車部になった。だが、しか~し!全国には未だ見ぬ強豪が犇いているのであった。
 戦車に女の子が乗って戦う、この一点にのみ夢の花を咲かせたようなストーリー。
 弾が当たっても死人は出ないよー。
 それはそれで良し!


避暑に来た。
退社後、新幹線に乗ること1時間。東京より湿気があるのではなかろうか。

2010年8月21日土曜日

月光条例 10巻 読了

月光条例 10巻 読了
藤田和日郎/著 小学館/刊 20100818発売 440円(税込) 少年サンデーコミックス
 日本一の桃太郎と闘う月光、いよいよ決着。
 そして、仲間が増え、月光条例執行者も集い、いよいよ物語は佳境へ。そしてまた主人公月光の自分を探す闘いへの始まりでもあった。

 内容説明:桃太郎編、決着!
最悪の月打キャラ・桃太郎との戦いは、最終局面へ――!!
シンデレラ、赤ずきんという最強の助っ人を得た月光は、復活したイデヤと共に、この戦いに決着をつけるべく最後の一撃を放つ!!見事、桃太郎に条例を執行した月光。しかし、戦いを終えた月光は、桃太郎との戦いの中で、人間とは思えぬ力を発揮した自らの存在に違和感を覚える…そして、物語は月光の抱える謎へと迫る『アラビアンナイト』編へと突入する!!
 編集担当者からのおすすめ情報:圧倒的迫力の桃太郎編、ついに決着…!! そして物語は、月光の正体へ迫る『アラビアンナイト』編へと突入していきます。ここから始まる怒濤の展開をお見逃しなく! 充実のおまけページ『けっこうコラム』も必見です!(アマゾンより引用)
(週刊少年サンデー掲載)

明日は出勤
日曜日は松島基地でブルーインパルスの航空ショーがあります。松島は何故か出勤か悪天候で、未だ行ったことがありません。不思議ですね。リアル私を知っている人ならば不思議と思ってくれるでしょう。

2010年8月20日金曜日

しまいずむ 1巻 読了

しまいずむ 1巻 読了
吉冨昭仁/著 芳文社/刊 20100826第1刷848円 MANGA TIME KR COMICS tsubomi series
 そお云えば『つぼみ』なんていうアンソロジー・コミックみたいなムックが発売されていたましたねぇ。読んだこと無いけど。単行本が刊行させるほど巻数が出ていたんだ、知らなかった。
 ご近所仲良し同い年同士の二組姉妹の、まったりとした平和的日常。演じられる舞台は変れど出演者は四人のみであり、四人の会話に四人以外が語られる事はありません。あまりにもデストピア。ライバルは“ばらスィー”か“うおなてれぴん”か。
 “かわいい”は“正義”!
 まあ、小さい子を見ていると和みますなぁ。ある意味小動物と名実ともに同じと考えられます。でも赤ん坊であっても、ジット見み瞳には動物とは違うある種の“知性”と云うか“意思”を感じられます。単に同種族であるが故の何某かのシンパシーなのかもしれませんが。
 幼児期になると言動が複雑ではあっても、まだ反射的反応なのが笑いを誘います。
 で、本書に登場する設定12歳の女の子であれば、もう充分に他者の視線を意識した言動をとっていませんか。もし無防備だとしたら、肉親に見せる言動でしょう。
 まったくもって根拠の無い発言なので責任のとりようはありませんが、幼い頃に他者や世界に興味を持った表情+溌剌とした目を持っていない子は、長じてもヒトとして駄目なような気がします。何をもってダメとするのか色々あるでしょうが、なんとなくの話です。でも子どもの頃利発性があっても大人に成ったら社会人としてダメになった人も知っているからなぁ。一概にはなんとも云えませんなぁ。ダメ人間に見えても死ぬまでの間に大逆転をかませるかもしれませんしね。
 内容紹介:幼なじみの遥と芳子は、互いの妹・桜と舞が気になって仕方がない毎日。妄想と鼻血とモミモミとペロペロと妄想に彩られた四季折々の日常(変態)まんが、第1巻のはじまりはじまり。(山盛り濃厚描き下ろしも入っているよ。)(アマゾンより引用)



2010年8月19日木曜日

ゆるユルにゃー!! 3巻完結 読了

ゆるユルにゃー!! 3巻完結 読了
小石川ふに/著 徳間書店/刊 20100901初版752円 RYU COMICS SPECIAL
 ある時トラックに荷物に紛れて仔猫が街にやってきた。着ていたポリ袋からヨークと名付けられ、町の仔として毎日元気に人々に微笑みをふりまいていました。気が弱いのか、図太いのかよくわからんですんなぁ。
 古本屋で全3巻が並んでいたら、迷わず購入をオススメします。
 ネコが好きで、ほのぼの四コマがお好きな人は必読。
 ネコの擬人化なのか、人のネコ化なのか、恐らく作者自身も筆のままに描いていて混濁していたのではないかと思われます。
 次回作に期待。この手の作家は良き編集者との出会いで飛翔もするし、足を洗ったりもするタイプだと思うので、徳間書店のリュウ編集部員の人々に頑張ってもらいたいと思います。
 内容紹介:最後まで心の片すみをこちょこちょするまったり系ほのぼの4コマ。ヨークが家族と再会、ミルに恋の予感、サーシに出生の秘密、一見ドラマチックだが、やっぱりここでは、のんびりまったり―――。(カバー裏表紙より引用。句読点・読点は筆者使用)
(月刊COMICリュウ掲載)

2010年8月18日水曜日

『七人の侍』と現代 読了

『七人の侍』と現代 読了
―黒澤明 再考― 四方田犬彦/著 岩波書店/刊 20100618第1刷720円 岩波新書(新赤版)1255
 映画「七人の侍」は傑作である事に異論はないと思います。演出がトロいとか白黒映画は見れないとホザくヤツは論外。私が小学生だった時、当時まだ深夜のTV放送が無かった時代、正月放送で深夜に初めて見ました。終わったのは早朝4時とか5時。不思議な事に映画を見ている間、まったく眠気を感じませんでした。冬休みでいくら夜更かしが好きだったとは云え、小学生で徹夜をしたのはこの時が初めてでした。そのくらい面白かった。名作とは時代を超え、国境を越え、年齢を越えて人々に興味を覚えさせるものだと、この時確信しました。
 では何故“傑作”だと思えるのか?
 その答えが本書に書かれています。
 本書においては、世界で普遍的存在となった“黒澤明”と彼の作品である“七人の侍”を、世界各地で映画研究をしてきた著者四方田犬彦の体験から、そして洋の東西の資料を駆使し“七人の侍”の作品の解読と監督黒澤明の解剖、そして作品の時代背景と日本そして世界の映画史上における意味を、新書と云う薄いページに対して盛り沢山の内容ながら、著者の文章の巧さとテーマを絞ったピンポイントの解説が小気味良く展開し、“七人の侍”のコードを紐解いていきます。
 “七人の侍”のみならず、黒澤明映画に興味があるならば必読。また単に映画を見るのが好きと云うだけでは飽き足らない、もっと勉強したい、と思う人は必見。ここに紹介されている映像・文章資料に目を通すだけで映画の基礎が身に付く事でしょう。
 瑣末ながら「美少女戦士セーラームーン」が“七人の侍”のモチーフを踏襲している点においては同意(この理論からすると戦隊モノも合体ロボットモノも全て当てはまるのでは?)するところではありますが、粗筋を三行で紹介しているその内容が…。確かに間違った事は書いてませんけど、当たっているとも云いがたいのですが。まあ、あえて筆を滑らせているのでしょう。(38p)
 個人的にはアニメ「ガンバの冒険」(原作名「冒険者たち」)に言及していただきたかった。「七人の侍」をなぞりながらも、児童文学として完成した傑作だと思います。
 「一九九〇年代以降のジェンダー研究では、同性愛(ホモセクシュアリティ)とは別に、男どうしの肉体を伴わない強い友情の絆を同性社会性(ホモソーシャリティ)と呼んで、区別して認識することが一般的となっている。」(113p)“同性社会性”ですか。初めて知りました。そうすると例えば漫画家横山光輝は同性社会性の強い作品を描いていると云う事ですか?本書中にも言及されている通り、マンガは映画の影響を(今もって)受けており、日本映画が「ホモソーシャリティの王国」(114p)であるならば、その影響下にあったマンガもまたそうなのでしょう。いままで手塚治虫と横山光輝の差を言語化出来ずに煩悶としていましたが、やっと言語化出来るような気がします。
 
 内容紹介:日本映画を代表する古典的名作として、幾重にも栄光の神話に包まれている黒澤明の『七人の侍』。しかし世界のいたるところで、いまなお現代的なテーマとして受容され、その影響を受けた作品の発表も続く。制作過程や当時の時代状況などを考察し、映画史における意義、黒澤が込めた意図など、作品の魅力を改めて読み解く。
 内容(「BOOK」データベースより):日本映画を代表する名作として、幾重にも栄光の神話に包まれてきた黒澤明の『七人の侍』。しかし世界のいたるところで、いまなお現代的なテーマとして受容され、その影響を受けた作品の発表が続く。制作過程や当時の時代状況などを丹念に考察し、映画史における意義、黒澤が込めた意図など、作品の魅力を改めて読み解く。(アマゾンより引用)

2010年8月17日火曜日

XENON‐199X・R‐ 7巻 読了

XENON‐199X・R‐ 7巻 読了
神崎将臣/著 徳間書店/刊 20100901初版619円 RYU COMICS

 明日18日が冬のコミケット79の郵送申込締切日。
 危うく出し忘れるところであったワイ。

 今まで闇の中で正体不明のまま蠢いていた「赤い海」は、“ZENON”の手によりUSAの軍事力を背景とした組織として日本にそして世界に牙をむく。唯一対抗できるのは「赤い海」によって生み出されたサイボーグX-777=重機甲兵ゼノン・叶飛鳥。そして運命に導かれるかのごとく「赤い海」を裏切ったプロトタイプ・ゼノン達が叶の下に集いはじめる。
 「ゼノン」平成版の7巻です。てっきり「仮面ライダー」のリメイクだとばかり思っていたのですが、「サイボーグ009」へのオマージュも含んでいるように思えてきました。もしかすると石ノ森章太郎への壮大なチャレンジなのかもしれません。山中に逃げ惑う老婆が叶の変身した姿を見て「あれは“鬼神さま”じゃよ」と云わしめたシーンは感動的でもある反面、その意味するところに思考をめぐらすと、今後の展開にハッピーエンドはありえないと考えてしまいます。
 内容紹介:XENON COREを追え!黒部ダムの地下深くに眠る「赤い海」最大の秘密・XENON CORE地下研究施設に侵入した飛鳥たちを待つものとは!?(カバー裏表紙より引用)
(月刊COMICリュウ掲載)



2010年8月16日月曜日

大正野球娘。 4巻 読了

大正野球娘。 4巻 読了
伊藤伸平/作画 神楽坂淳/原作 徳間書店/刊 20100901初版619円 RYU COMICS

 コミケafter
 会場の外でマグロの握りに名付けた“シャア”等で名物となっていた「寿司岩」が5月に潰れていました。オタクに突っ走った事で延命していたのか、命を縮めたのか気になる所です。
 昨日夏コミは終了しましたので、アキバのとらのあなに行ってきました。先ずはエレベーターは止められており、7Fまで登山。会場で売り切れになっていた新刊がズラリと並んでいました。さらに購入希望者がレジの前にズラリと並んでフロアを一周していました。冷房が効かず、吹き出る俺汁!アキバ・メロンに至っては心身ともにメゲてしまい、退散。
 電車の中が日中では一番過ごしやすかった。

 さて「大正野球娘。」
 ユニフォームも出来上がり、本戦を前に志葉中学との練習試合が始まる。
 表紙に何故恐竜が描かれているかは本編を読んでのお楽しみ。しかもボールの代わりに爆弾まで!
 もしかして著者伊藤伸平最長連載作品ですか?原作の力なのかもしれませんが、読んでいてとても楽しく感じます。原作を未だ読んでいませんので何とも云いがたいのですけど、アレンジャーとしての才能が開花したとか?
 夏コミ三日目西館に著者伊藤伸平のブースが出店されていました。ハイパードールと裏カスガイの新刊を入手。これから読みます。
 内容紹介;世間の無理解、仲間割れ、敵情視察に鉄腕男子…。様々な苦難や、障害にもめげず、初試合に臨む「娘。」たち!!(カバー裏表紙より引用。読点・句読点は筆者。)




2010年8月15日日曜日

時代の風音 読了

時代の風音 読了
堀田善衛・司馬遼太郎・宮崎駿/対談 朝日新聞社/刊 19970301第1刷500円 朝日文庫
 夏コミ三日目です。
 前夜までカタログチェックをしていたら、どう考えても巡りきれない数になってしまい、少しでも早く入場しようと8時半には国際展示場駅内のドトールで朝食をしていました。東口待機列に回されて約1時間半の10時半には入場できました。12時までは覚悟していたので予想より早く入場できました。私と同じ町から始発で一般参加した知人がいますが、10時入場だそうです。
 太陽が照る影がまるで無い巨大駐車場に数万の人間が並ばされて入場順番を待つわけですが、待っている間に気分の悪い人々が続出。約二十年以上並び続けましたが、流石に私もギブアップを覚悟してしまいました。周りの二十代の若い連中と体力的張り合いは出来ないと実感しました。
 荷物になるなぁと思いつつも、500mlペットボトル二本所持して大正解。
 入場してからは5時間ひたすら買いまくり。売り切れが続出するもショップ買いで挽回できそうな大手なので問題なし。体力不足のせいか天候のせいか汗が滝のように流れ落ち、顔をいくら拭っても立ち読みしようとすると汗が滴り落ちるのに困りました。そして初めて背負っているリュックの中が濡れてしまい、購入した本を汚してしまいました。己の汗のせいか飲料水の結露か、どちらにせよ愕然とした気分がそのまま体力を打ちのめしてしまいました。
 前日前々日とも濡れたシャツのまま電車に乗ったら、思いの外体力が低下してしまったので、今回初めてビックサイト近所の100キンで下着と500円シャツを買い着替えました。快適!驚くほどの快適さ。来年からは毎回利用すること決定。

 さて「時代の風音」です。
 対談はその人物の口調等を知っているといないとではかなり印象が変ると思います。宮崎駿はその著作の大半を、司馬遼太郎にしても義経や竜馬を読んでいませんが結構な作品数と新潮社カセット文庫やNHKの番組を見ています。でも堀田善衛については何もしりませんでした。1992年発行のハードカバー版を購入して読んでいますが、以来約18年堀田善衛については忘れていました。再読し改めて堀田善衛の作品を読みたくなりました。
 司馬遼太郎はこの本の中でも、自分が本を書くのは終戦当時の自分への手紙みたいなものだ、と述べていますが、私にしてみれば新聞記者司馬遼太郎は日本史の人物にインタビューをしてみたいけれど、出来ないから人物そのものを造型するように、資料を駆使し人物の型を抜くのではなく、周辺を削り取って浮かび上がらせる手法を摂っていた作家だと思います。
 この対談は宮崎駿の「紅の豚」製作中の頃らしい、司馬遼太郎との会話があります。司馬遼太郎が「となりのトトロ」を引き合いに出しながら「電気のない闇というもののすばらしさを、宮崎さんのアニメでひとつ表現していただきたいですな。」と云い、「森と闇が強い時代には、光は光明そのものだったのでしょうね。」と宮崎駿が語るのを読むと、もしかすると「もののけ姫」への何某かの着想があったのか、すでに出来ていたのかと思ってしまいます。
 お三方とも世界史を語り世界地理を語ります。どれも己の体験とか人物のエピソードが引き合いに出され、体験的というか、とても形而下の話をしています。世界史の話をですよ。普通の人の会話ならば観念的な借り物の知識での会話になるところを、それだけ御三方が各地を巡り古今東西の知識を得てきた証左なのでしょう。そしてそれはまた三人の生き様にも通じているような気がします。私も遅まきながら勉強をしていこうと思いました。
 
 内容(「BOOK」データベースより):20世紀とはどんな時代だったのか―。21世紀を「地球人」としていかに生きるべきか―。歴史の潮流の中から「国家」「宗教」、そして「日本人」がどう育ち、どこへ行こうとしているのかを読み解く。それぞれに世界的視野を持ちつつ日本を見つめ続けた三人が語る「未来への教科書」。
(アマゾンより引用)


2010年8月14日土曜日

「ニッポン社会」入門 読了

「ニッポン社会」入門 読了
~英国人記者の抱腹レポート~ コリン・ジョイス/著 谷岡健彦/訳 日本放送出版協会/刊 20061210第1刷700円 生活人新書
 コミケに行くには時間潰しの「何か」が必要です。乗り物の中で、そして行列で、折角時間が出来たのならば読書に勤しみたいのが人情。最近はDSやらPSPやらウォークマンから始まって携帯機器の日進月歩により、行列の風景も二十年前と比べてだいぶ変わりました。
 さて、イギリス人の視点による日本記です。著者も意識しているのかジョンブルらしい回りもったジョークが多用されています。でも文章を生業とする人だけあって読みやすく、読ませるサービスも旺盛です。またイギリス人が世界を制覇できたのは食に拘らないからだ、と云うジョークを否定するように、イギリスの食について述べています。今までブログに感想を書いてきた本の中にあったのですが、ヨーロッパで食に限らず外来の新たな文化を持ってくるのは移民なんだそうです。でも日本の場合は日本人が学んで来て国内に広げようとするんだそうです。遣隋使遣唐使以来の伝統ですかね。
 前出の「殴り殺される覚悟で書いた親日宣言」で同じようにありましたが、サッカーの国際大会で地元の日本チームが勝っても負けても相手チームの健闘を称える事に感動的文調で書かれています。本誌ではラクビーの親善試合の例も載っていました。
 格闘技ですがK-1だかプライドだかで来日する選手の一人が、日本では良い試合をすれば負けても称えられて嬉しいとか何とかインタビューに答えていましたが、世界の常識日本の非常識ではあっも、これらの事は日本の非常識を推進めるべきでしょう。
 内容(「BOOK」データベースより):日本社会について手っ取り早く学びたければ、近くのプールに行ってみることだ。規則と清潔さを愛し、我慢強く、大きな集団の悪事に寛容な国民性が理解できるはずだから。過剰なまでに礼儀正しく親切な人々、思ったより簡単で奥深い日本語、ガイドブックには載っていない名所の数々…。14年間日本に暮らす英紙記者が無類のユーモアを交えて綴る、意外な発見に満ちた日本案内。
 内容(「MARC」データベースより):規則と清潔さを愛し、過剰なまでに礼儀正しく親切な人々、思ったより簡単で奥深い日本語、ガイドブックに載っていない名所の数々…。14年間日本に暮らす英紙記者が無類のユーモアを交えて綴る、意外な発見に満ちた日本案内。
 (アマゾンより引用)

 コミケ二日目。東方系が大混戦。男性創作系の三日目と同等かそれ以上の感じがしました。外の行列も三日目並みたいだし。
 一人で買物している白色黒色系の人を多数みかけました。国籍が日本かもしれませんが、21世紀になって国際化が進展しているのかな?
 初日以上に買物がありませんでした。反動の三日目が怖い。
 体力的には限界ギリギリ。全力を出し尽くしてからが本当の正念場。


2010年8月13日金曜日

「走れ!ケー100」第一回放送終了35周年記念記録写真集


 2010年夏コミ初日
 ドラえもんのコスプレか!と思ったらアフリカ系の小柄でBWH1Mっぽい女性が青い髪で青い制服の何かのコスプレをしていました。元が分らないので似合っていたのかどうかは知りませんが、インパクトがあったのは確か!!

 初日は金曜日の平日のせいか、女性向けサークルが多いせいか、日曜に比べれば空いていました。それでも企業ブースは大盛況です。最早ひやかしで見て歩く余裕がありません。更に大型ディスプレイにより映像を流す所が増え、売り子の女の子の防衛も含め、写真撮影に敏感になってしまいました。何処もカメラを構えるとスタッフが飛んできます。こちらとしては来た記念に店構えを撮りたいだけなんですけどね。

 さて、本日入手した秀作。「走れ!ケー100」第一回放送終了35周年記念記録写真集」 青野暉/監修 佐賀邦夫/構成・編集 「走れ!ケー100」記録写真集編纂委員会/発行 20091031非売品 26cm 80p 頒布価格2000円
 表紙記載の内容紹介:懐かしきロケ地の数々、出演された方々の面影、思い出の名場面を再び、発見された未公開写真、驚きの制作エピソード、テレビドラマ界初日本一周ご当地ロケを敢行した奇跡の番組の記録
 本放送が1973年(昭和48年)4月13日開始だそうです。私が見ていたのが再放送かどうか思い出せませんが、とても懐かしく、思いで深い作品でした。豆蒸気機関車が青年と旅をして、行く先々で人々と出会い、最後はK-100が会いたかった人に出会って壊れてしまったと記憶していました。記憶ではもっと大きな車体だったのですが、やはり人間の記憶は当てになりませんねぇ。
 解説文などはあまり無いのですが、各話の本編フイルムからの引用とメイキング・フォト(カラー&白黒)を全ページに渡って載せ、写真の解説と各話の裏話が添えてあります。
 奥付や裏表紙に「非売品」と記載してあるので、もしかしたらスタッフや関係者の皆さん達の為の記念品だったのかもしれません。2000円の金額はコミケで扱っている他マンガ同人誌の中でも高価な部類になりますが、これだけ写真が多用されしかもカラーも多く、本編がパッケージング販売されていない現在においては貴重な記録集です。ただ、再放送等がされていない現在、昭和40年代を記憶していない人々にとっては、意味の無い本かもしれません。「走れ!ケー100」に限らず制作スタッフの方々が生きている間に記録の保存と公開を是非画策していただきたいものです。
 またこういった貴重な資料に出会える、場としてのコミケットが存在する事自体が素晴らしい事なんですねぇ。

 初日にして体力が尽きた。

2010年8月12日木曜日

一度も植民地になったことがない日本 読了

一度も植民地になったことがない日本 読了
デュラン・れい子/著 講談社/刊 20070720第1刷838円 講談社+α新書
 ビジネスマンと国際結婚をした日本出身のアーティストが長年ヨーロッパに住んで、極東とヨーロッパ諸国の人々とのギャップを書いた雑感記。典型的なご婦人方の、ねえ聞いてくださる………と言うような事があったのよ、の「…」部分が国際色が豊である、と云うだけなので、典型的日本人男性としては、はぁ、としか云いようがありません。女性であれば共感出来る部分もあるのかもしれませんが。
 タイトルは素晴らしいインパクトです、私も興味を持ちました。
 まったくもって、某巨大ネット通販に書き込まれた数々の感想と、私もまったく同じ感想しか持てませんでした。
 電車の中の暇潰しにはもってこい、かも。
 内容説明:9・11はKAMIKAZEといわれていた9・11のテロをカミカゼというのはヨーロッパの常識。西欧の知識人ではなく一般人の赤裸々な日本人評を知ることで日本ってこんな国なのかと目からうろこの1冊
 内容(「BOOK」データベースより):ヨーロッパ人は毎日、日本の話をしている―日本は不思議でエレガントな「世界の孤児」9・11のテロを「カミカゼ」と呼ぶ、ヨーロッパフツー目線の、赤裸々な日本人評満載。(アマゾンより引用)

2010年8月11日水曜日

殴り殺される覚悟で書いた親日宣言 読了

殴り殺される覚悟で書いた親日宣言 読了
チョ・ヨンナム/著 ランダムハウス講談社/刊 20050426第2刷1500円
 2010年8月10日火曜日の朝日新聞13版1面に「朝鮮王朝文書 韓国へ」の記事がありました。事の是非は置いとくとして、管直人首相はどの程度日本史の知識を踏まえての行動だったのかを知りたい所です。日本史とは云わず世界史でも国際外交史でもかまわないし東アジア史でもかまいません。新聞に掲載されている首相談話要旨はいったい誰が書いたのか。村山首相以外の首相がなんら言葉を発せず行動をとらなかったのは、何も右翼だからとか自民党だからと云った理由ではなく、単に“手をつけられなかった”に過ぎないからです。朝鮮王朝の後継国は韓国ばかりでなく北朝鮮もまたそうなのです。いくら国交が無いとか、仮想敵国であったとしても、朝鮮半島の北半分を実行支配し数千万の朝鮮人が存在する国家を無視して、片方の国にだけ渡してしまうのはどういうことでしょうかね?例えるなら親の財産を巡って争っている兄弟の片方に相続させてしまうようなものではないでしょうか。もしくはそれほどまでに片方を挑発したいのでしょうか。しかも争う原因は直接には東西冷戦とは云え、その前段階として日本がつくったと云っても過言ではありますまい。まるでお家騒動の渦中で片方に肩入れして乗っ取ろうとしている隣国の大名のような行動です。韓国軍艦沈没の火消しを国際社会がやっきになってしている時に、旧宗主国が波風を起こすなんて、米国が舌打ちが聞こえるようです。後世において軽挙妄動を指弾されるのが目に浮かびます。

 さて、そんなこんなで「殴り殺される覚悟で書いた親日宣言」を読了。5年前の出版です。21世紀に入って数年の韓国でいったいどのような社会変化があったのか。
 地続きで同じ民族が虎視眈々といつ交戦状態になるかわからず、北にソ連、西に中国、そして海を隔ててかつて朝鮮半島を支配していた旧宗主国日本にグルリと韓国を取巻かれている状態で、経済に力を入れたり、生活を豊かになんてことはそうそう出来るものではありません。アメリカと日本のテコ入れがあって始めて現在の豊かさを享受できたのだと思います。しかも、万が一交戦状態になったとしたら、また焼け野原になる可能性大。若者を徴兵にとられ、国家として常に緊張状態の中での運営は並大抵のものではなかったと思います。そんな中では旧宗主国を恨むことしか出来ないし、妬むことで溜飲を下げるしかなかったのでしょう。しかも地理的に半島の常として攻められる一方であり、背水の陣を敷き続けているのに等しく、海洋に出ようとしても日本が目と鼻の先にあり、日本海は内海として活用するには荒々しく、周辺諸国とは経済格差やら政治的鎖国で殆ど交流が閉ざされていては、どう考えても発展のしようがありますまい。それでも、何とか、やっと、先進諸国並の豊かさに触れてきた時、隣国日本が気になってきたと云うことでしょう。交流(対等に会話)できるのが日本しか無かった、とも云えます。
 対日開放政策がなされたとは云え、今まで日本憎しを徹底的に叩き込まれた人々が、それじゃぁ今までの事は無かった事に、なんて出来るわけがありません。日本て良いよね、なんて韓国で云うようなものならどのような目に合うのか、やはり殴り殺されてしまうのでしょうか。実はタイトル自体がパロディになっていると本書を読んで初めて知りました。韓国人としてはかなり国際派の芸術家が書いたエッセイですので、普通の韓国の人とは立ち位置が違います。西洋で学び、欧米を体験した著者が東洋人として日本という隣国を見た時に、ひるがえって自国を痛烈に皮肉ってみたのが本書だと思いました。

 内容紹介:韓国はこの地球で表だって日本を軽蔑し嫌悪する唯一の国だと著者、チョ・ヨンナム氏はいう。そんな伝統的に根深い反日感情に異を唱え、韓国では知らない人はいない芸能界の重鎮が「親日」を宣言し、国中を騒然とさせてしまったのがこの本だ。2002年のワールドカップで敗退したあとも韓国代表を応援しつづけた日本人の姿に感動したことをきっかけにチョ氏は文献を調べ、日本に赴き、日本の真の姿に迫っていく。そこで自身も含め、これまで韓国ではあまりにも偏見に満ちた日本観が植えつけられていたことに気付く。そして今、反日感情が過熱する真っ只中の韓国でチョ氏は叫ぶ。「私は親日派だ!私に日本を返してくれ」と。

天下のエンタテイナー、チョ・ヨンナムがまたもやってくれた。政府が声を大にして叫んでいる歴史の清算と言えばまずは親日派の断罪だが、このタイミングで親日宣言とは!……当代随一の歌い手にして絵師の彼がどんな批評家でもできなかった文化探訪の旅に勇躍身を投じたのだ。
チョン・ウニョン(中央日報論説委員)

チョ・ヨンナム氏は該博な知識と独自の哲学を持った芸術家だ。……このところ敏感な問題になっている「親日」をタイトルに掲げるとのこと、内心心配になった。……ただいつか誰かが取り組まないわけにはいかなかった問題提起をしたまでのことだ。解放の年1945年生まれの彼は、解放60周年を迎えて真の親日とは何なのかについて私たちに語りかけている。
チョン・ドンヨン(統一省長官)
 内容(「BOOK」データベースより):日本をバカにする国は地球上、韓国しか存在しない!韓国芸能界の重鎮が過熱する「反日」感情に異を唱え、国中で物議をかもしている話題の一冊。
(アマゾンより引用)



2010年8月10日火曜日

ロリコンサーガ 読了

ロリコンサーガ 読了
和六里ハル/著 双葉社/刊 20100712第1刷600円 ACTION COMICS
 “ロリコン”と云えばロリータコンプレックスと今や市民権を得たがごとくの言葉になりましたが、由来はナボコフの小説「ロリータ」そして同名の映画も有名です。小説を読もうと思いつつ早何十年。映画も見ようとTV放送をVHSで録画したまま一度も見ずもう何十年。
 この“ロリコン”なる言葉を流行らせた(?)のは、今や日本のアニメーションの第一人者となった宮崎駿の記念すべき第一作監督劇場アニメーション「ルパン三世カリオストロの城」。カリオストロ伯爵が16歳になったばかりの大公息女クラリスと政略結婚をしようとしている式場に乗り込んでいったルパンが放った軽口「妬かない妬かないロリコン伯爵…」のセリフにより一躍今で云う“オタク”系(当時「オタク」という言葉は無かった)マイナー雑誌等に取り上げられ、広がっていきました。でも「おじさま」とクラリスに慕われたルパンも青年とは云いがたく(年齢不詳なれど)、どっちが“ロリコン”だ!って突っ込みもよくされれていました。設定書を読むとカリオストロ伯爵は悪役顔ながら、そんなに老けていたわけでもなく、実はカリオストロ公国では善政を敷き国民には慕われていたというのもありました。偽札への厳しい注文や暗躍する“影”や“衛兵”達の忠誠の高さが映画の中で演出されています。少々私生活でだらしない面があり、特に女性関係では浮名を流していたいたために、対外的には好まれていなかったとか。でも国をあげて偽札を作り裏経済に流していたのを考えれば、浮名もまたポーズの一つだったのでは?とも考えられます。
 私もTV放送で初めてカリオストロの城を見たときに“ロリコン伯爵”って何だろう、と思いました(TV初放送の時私の所は大雪の為停電し見られず、練炭炬燵の中で悔しさを噛締めていました)。数年後当時ロリコン雑誌としては唯一であったろう雑誌『レモンピープル』を友人に見せられ、こんなものがこの世にあったのか!と開眼してしまったのが運の尽き。嗚呼、あそこで人生を間違った。四畳半神話体系のごとくリセットできたら、まだもう少しマシな人生を送れたかもしれない。閑話休題。
 「ロリコンサーガ」の話。サーガというよりクエストみたいなストーリーです。600年前の鬼の呪いで幼女姿のまま外見上は成長しない人々が住む童子切町。町を守る童子守の一人りんごちゃんはドジッ娘でしたが、町の宗家の少女源乃々魅を守るため、悪いロリコンや呪いをかけた鬼と戦うのでした。
 まあ、初めにタイトルありきでしょうね。初めから全一巻の予定だったのか、それにしてはストーリーがこなれていないような気もします。一応まとまっていますが。もしかしてリメイクすると面白い作品になるかもしれません。
 著者和六里ハルは近藤るるるのアシスタントだったのでしょう、師匠そっくりな絵を描いていましたが、最近オリジナリティが出てきました。残念な方向に。精進を期待してます。
 内容紹介:悪いロリコン「鬼」がロリータだけの町を襲撃!!追いも若きも見た目がすべてロリータの女しかいない呪われた町、童子切町。町長の娘・乃々魅が戻ってきたことを契機に、良いロリコンばかりだった町の男たちが悪いロリコンに変貌して、悪さをするようになった。悪いロリコンからロリータたちを守る役目の童子守の小室りんごは、劣等性のダメロリだけどレベルアップしながら町と乃々魅を守っていくのだ!!(帯より引用)


2010年8月9日月曜日

ラディカル・ホスピタル 19巻 読了

ラディカル・ホスピタル 19巻 読了
ひらのあゆ/著 芳文社/刊 20100822第1刷619円 MANGA TIME COMICS
 総合病院外科で働く人々と患者さん達を中心に描く四コマまんが。
 病院の中だけを舞台に19巻目ですよ。凄いですねぇ。何が凄いって、ネタが続くことが先ず凄い。しかもどの巻どのページから入っても違和感が無いようにストーリー性が無いように創られています。無論各章毎に“お題”みたいのは付いているし、四コマまんが一本の起承転結は当然として章単位でも一応落ちが付くようになっています。サザエさんのTV版のようです。病院だけに人の生死がかかっているし、深刻なストーリーはいくらでも描けるでしょうが、そこをほのぼのコメディーで続けている、その著者の精神的モチベーションの持ちようもまた凄い。そして病院だけに患者に焦点を置けば様々なバリエーションが生じるのに、ちゃんと医局の人々に焦点を合わせ、患者はあくまで脇として物語を展開し続けている演出手腕もまた凄いと思います。
 マンネリに見えますが、一定の水準をコントロールしつつ続けていくのが如何に難しいか。無論天才肌の人にすれば無尽蔵にネタが湧いてくるのでしょうが。誌面に載る前に何本も試作した四コマまんがを自分でボツにして、編集者と討議の上に更にボツにして、厳選されたものだけが載っているのではないかと思うとページをめくる指にも力が入ると云うものです。しかも創作活動するには材料のネタも仕入れねばならず、どうやって仕入れているのやら想像もつきません。
 単行本も出たし、今年の夏コミでは新作都知事版ヤマト本か実写版ヤマト本についての同人誌を出してくれると面白いのですが。


2010年8月8日日曜日

ワンフェスへ行って来ました


ワンフェスへ行って来ました
 7月25日の事ですが、幕張で開催されたワンフェスへ行って来ました。
 初代ゴジラの中の人のサイン会をしていたのですが、列に並んでいるのがアロハシャツを着込んだ白人系の集団。しかも年寄りばかり。ハワイの日系人かと思ったのですが、そればかりでは無い模様。
 スターウォーズグッズも多数ならんでいましたが、一般ブースでスターウォーズを並べている人々に中に白人で一際高齢の方が。ダースベーダを作った人らしい。シネフェックスだかスターログにもしかして写っていたようなと一瞬思ったけど、気のせいでしょう。
 今回ワンダーショーケースに選ばれた初の外国人Walter氏のブースがワンダーショーケース販売ブースの前にありました。私が覗きに行くと、たまたまビデオ・インタビューを受けていて、英語で何やら通訳を挟んで問答していました。プロフィールを見るとフランス生まれの東京在住みたいですが、英語で会話しているなんて、多才と云うかご苦労様と云うか…。
 東洋人系バイヤーが新品・中古品に群がっていますが、白人系は当然として、エスニックや黒人系の人々もチラホラ。エスニカンで小柄な女性がジェダイの復讐の囚われのレイア姫のコスプレしていました、反則だろッ!似合いすぎ!!
 文字を媒介とする同人誌よりも、文字通り即物的なフィギュア等の方が国境を越え易いのでしょうか。かつて仏像や様々な神々の像がシルクロードを越え海を渡り日本へ辿り着き、そして現在日本から数々のフィギュアが世界中へ渡っていくのかと思うと、感慨深いものがありますねェ。できればフィギュアを筆頭に日本製アートの数々が千年後にまで残る事を祈るばかりです。


2010年8月7日土曜日

「ヨコスカサマーフェスタ2010」へ行って来ました。




「ヨコスカサマーフェスタ2010」へ行って来ました。
 8月7日土曜日に海上自衛隊横須賀基地が一般公開されたので出かけてきました。同日は海上自衛隊第2術科学校オープンスクールや米海軍横須賀基地ネイビーフレンドシップデーによこすすか開国祭開国花火大会と横須賀の町は盛り沢山でしたが、海上自衛隊だけをみてきました。見学できたのは護衛艦こんごう型「きりしま」、米海軍アーレイ・バーグ級ミサイル駆逐艦「フィッツジェラルド」、護衛艦たかなみ型「たかなみ」、補給艦とわだ型「ときわ」、砕氷艦「しらせ」です。
 フィッツジェラルド艦上でハープーンミサイル発射管を撮影中おじいさんに、なんだいこれは、と声をかけられたのですが、腹も減ってきて全くもって無防備の所に声をかけられたので驚きのあまりヘッジホッグだかアスロックだがなんかわけのわからない事を言ってしまいました。恥ずい!無念!
 動きのあるイベントしては海上におけるヘリコプター救難展示や曳船放水展示もありました。フィッジェラルド艦上が一番近く見ることができましたが、ヘリコプターが空自や陸自の展示とは比べ物にならないほど接近し、ホバリング時の風で海面の水しぶきを全身に浴びてしまいました。濡れたカメラが不安。曳船放水展示もマニアックな操船技術としては見応えがあります。展示終了後海自のマスコットキャラの着ぐるみが手を振りながら去っていく時の方が会場は盛り上っていたかもしれません。素で踊っている水兵さんがいて、ブログ「誤訳御免!!」で紹介されていた米軍と海自のPRビデオの比較とそれの書き込みを思い出しました。海自は本当に踊ってる!残念ながら私はビデオで録り損ねてしまいました。誰か録っていたらユウツベにでも是非投稿して下さい。見学していたオタクっぽい若いグループがフィッツジェラルドと自衛艦を比べて、日本は平和ボケしているから云々、なんて会話していたけど、「だから良いんじゃないか!」。真っ先に死ぬのは君らだぞ。
 フィッツジェラルドは艦橋まで開放していました。海自は「しらせ」以外の公開はしていませんでした。最早イージス艦の指揮所は艦橋ではなくCICになってしまったとは云え、米軍の隠す時は徹底的に隠すけど、開示する時は徹底的に開示する姿勢に感心しました。ヘリ甲板の上で水兵がペプシやコークを売っていました。こんな所も流石アメリカ。
 他に交通艇体験搭乗、処分艇(ゴムボート)体験搭乗、潜水艦特別公開等もありました。
 基地開放では恒例の横須賀音楽隊演奏会も午前と午後の二回行われていました。ハートキャッチプリキュアのオープニングが軽快に管楽器編成のマーチバンドに合っていて感動しました。元の曲がマーチ風なのか、アレンジが上手いのか。最近フランスでボサノバ風(日本の)アニメソングが売れているようです。ブラバン甲子園も売れているようだし、自衛隊の音楽隊もアニメソングでCD発売するとか、各国を歴訪する時にアニメソングを演奏して、さらに演奏風景をビデオにして販売するとかすればいいのに。宇宙戦艦ヤマトは最早定番。
 屋台も出ていましたが、やはり横須賀、カレー屋が。横須賀だけに佐世保バーガーは出ていませんでした。当日は天候に恵まれ晴れ上がった一日だったため、ペットボトル等の飲み物屋がすぐに売り切れ。厚生センター裏の自動販売機を見つけるのに難儀をしました。
 次回は体験搭乗をしてみます。


2010年8月6日金曜日

プリンセスハーツ 読了

プリンセスハーツ 読了
~今宵はせめて夫婦らしくの巻~ 高殿円/著 小学館/刊 20100729初版514円
 「サマーウォーズ」と「ハチ」がTV放送されました。犬のお父さんのハチも見たかったけど、結局アニメの方を見てしまいました。リチャード・ギアではなくハチの方の吹き替えをしたら見たんですけどねぇ。閑話休題。

 さて「プリンセスハーツ~今宵はせめて夫婦らしくの巻~」読了。
 新興国家アジェンセン公国は内に貴族や部族の反目や利に敏い連中に睨みをきかせ、外の四方の国々とのパワーバランスや宗教その他の勢力と鎬を削っていた。アジェンセン南方に広がる歴史ある大国パルメニア攻略の糸口を掴んだアジェンセン大公ルシードと大公妃ジェラルディであったが、西方のオズマニア国は国内北方の騎馬民族への侵食を開始し、ヴィスタンシア国では国際会議を開催するため各国の王族を参集しようとしたいた。この国難の中ルシードの片腕であるマシアスは姿を消す。苦渋の決断の末ルシードは廃し地下牢に閉じ込めた弟リドリスを復帰させるのだった。
 表面的な骨子はこんな感じですかね。そこに大公妃ジェラルディの秘密と歴史に現れる事の決して無い暗闘と恋が語られるわけです。毎回思いますが、著者高殿円のこの歴史と個人の物語の文章的表現バランス感覚は素晴らしいですね。しかも角川ビーンズ文庫の時から一貫しつつも、キャラクターや時代を手を変え品を変え、歴史絵巻を語るなんて、男の子向けでは得がたい作家だと思います。寡聞にして私が知らないだけかもしれませんが。

 内容説明:恋と野望が渦巻く王宮ロマン、急展開!アジェンセンを囲む国々の政略が錯綜する中、ついにパルメニアの王冠がルシードの目前に……!? 野望の達成が同時にふたりの別れを意味するという事実に気づいたジルとルシードは……? 王宮ロマン、急展開!
 内容(「BOOK」データベースより):アジェンセンを囲む国々の政略が錯綜する中、ついにパルメニアの王冠がルシードの目前に…!?それぞれヴィスタンシア、パルメニア行きの準備に追われるジルとルシードは、野望の達成が同時にふたりの別れを意味するという事実に気づく。もう二度と会えないかもしれない。夫婦でいられる時間は、今宵が最後かもしれない―ようやくお互いへの気持ちに気づいたふたりは…?恋と野望が渦巻く王宮ロマン、急展開。(アマゾンより引用)


2010年8月5日木曜日

中国が憧れた理想の国日本 読了

中国が憧れた理想の国日本 読了
~学校では教えない本当の歴史~ 拳骨拓史/著 草思社/刊 20081201第1刷1500円

 小林製薬から発売されている「熱さまひんやりジェルマット」なるものを購入しました。3988円。意外と高い。筆者宅はエアコンはあれども使用せず、換気扇と扇風機で夏の暑さを乗り切ってきました。歳のせいか、今年が異様に暑いのか、負担がのしかかってきたところでこのようなものを発見し、小生のために開発されたのではなかろうか、と思い入手した次第。
 寝始めはヒンヤリしているような気がします。筋肉や内臓が冷えてると困るなぁ、と思いつつも安眠できました。閑話休題。

 「中国が憧れた理想の国日本~学校では教えない本当の歴史~」を読み終えました。
 主に“シナ”から日本をみた文献資料を中心に紹介されています。孔子の時代から日中戦争に至るまでの時間ですから、どうしても記録の切り張りになってしまい、それぞれのエピソードを深く描いていないのが残念。コンセプトとしては“通史”を描こうとしたのだと思います。屁理屈かもしれませんが、我々が「中国」と呼んでいる国は四千年に渡って様々な民族、様々な国が入れ替わり立ち代り興亡を繰り返して来ました。日本の様に少なくとも千数百年天皇と云う肩書きと血筋はどうあれ、代々世襲されてきた国とは異なります。ですから現在“シナ”に存在している「中華人民共和国」はアメリカ合衆国の半分にも満たない歴史しかありません。ましてや国家の中心的存在は国が変るたびに民族が代わります。「清」を簒奪した「中華民国」は女真族を“シナ”の中原より追いやり、女真族発生の地である満州で「民族独立」を果たした満州帝国すら侵略しています。何が云いたいのかといえば、我々が「中国」と称する「中華人民共和国」は第二次世界大戦以前には存在していないということです。
 その上で“シナ”と日本の関係の通史を描こうとするならば、かなり詳細な民族的民俗風俗歴史の時代背景を説明した後に、紹介すべき人物の考え方や発言を吟味する必要があるのかな、と思います。
 それでも多くの興味あるエピソードが書かれているのには間違いなく、私的には日中戦争時に南京国民政府を率いた汪兆銘とその一党については初めて知りました。南京大虐殺と共に語られることの多い南京国民政府ですが、汪兆銘が何故日本に協力したのか、そしてどういう結末をむかえたのか、大日本帝国の正統な後継国である日本国国民は知る必要があります。汪兆銘自身が例えるなら新田義貞のように所謂“負け組”であるが故に、だからこそ後世が光を当てるべきでしょう。

出版社/著者からの内容紹介
◎日本には、これほど魅力的な歴史があったのか!
 日中関係を歴史的に見た際、「中国は文化の父、朝鮮は兄、日本は弟」であり、「東夷」である小国日本は一貫して中国に教えを請うてきたといった構図で語られることがよくある。
 だが漢学・東洋思想を専門とする本書の著者は、そうした「矮小な日本」のイメージはじつは後からつくられたものだと説き、古来、日本は中国と対等に渡り合い、中国はむしろ日本に畏れ・憧れを抱き続けてきたということを、日中相互の史料を参照しながら明らかにしている。
 たとえばすでに『論語』でも孔子が日本に憧れを抱いていたことを思わせる記述があり、紀元二世紀成立の『淮南子』、五世紀成立の『後漢書』などでも同様に「東方」への畏敬の念が語られている。また、聖徳太子の仏教解説書がいかに驚きをもって迎えられたか、日本の遣唐使がいかに中国で尊敬を集めたか、あるいは副島種臣や大久保利通など明治時代の外務卿・外務大臣がいかなる名誉と信頼を勝ち得たかなど、知られざる歴史の実相が紐解かれる。
 歴史認識の論議がかまびすしいいま、史料に基づいた冷静な議論を深めるためにも、ぜひ読んでほしい一冊だ。 
【本書より】
○秦の始皇帝の時代、日本は「不死の民」の住む神の国と考えられていた。
○日本は一貫して「対等外交」を望む姿勢を崩さなかったため、中華思想の中国はなかなか日本と国交が持てなかった。
○宋の太宗は、日本の天皇の系譜こそが理想と考えていた。
○宋の時代、日本の木材、扇子、書画、日本刀、紙などが羨望の眼差しで見られていた。
○無謀な戦いだったと言われる秀吉の「朝鮮出兵」は、『明史』(中国の正史)では「中国が勝てる見込みはなかった」と書かれている。
○乃木希典は日露戦争の舞台となった中国・奉天(瀋陽)で尊敬され、戦死した乃木軍将兵のために中国人たちが慰霊碑を建立している。
【その他もくじより】
◎中国仏教を超える国 ◎絶賛された日本文化の数々 ◎黄金の国、真珠の国、だれにも従わない国 ◎大国に動じない遣唐使たち ◎日本に臣従した中国 ◎聖徳太子流外交術とは? ◎東方にある神の国 ◎不死の民が住んでいる国 ◎壮絶な戦いが展開された元寇の真相 ◎国を売った足利義満 ◎日本に頼りはじめた中国 ◎福沢諭吉の悲壮な「覚悟」 ◎孔子の憧れた理想の国 ◎馬賊を率いた日本人 ◎愛憎入り交じる日清戦争 ◎なぜ日本は出兵したのか ◎対支二十一カ条要求の複雑な背景 ◎日本の敗戦とともに自決した中国人 ◎吉田松陰の戦略的思考 ◎道理を貫いた大久保外交......など
内容(「BOOK」データベースより)
これまで信じられてきた「中国は文化の父、朝鮮は兄、日本は弟」という歴史は印象操作にすぎなかった!膨大な史料を渉猟し、古来、中国が日本に畏敬を抱き続けてきた歴史の真実を明らかにする。(アマゾンより引用)


2010年8月4日水曜日

バクマン。 9巻 読了

バクマン。 9巻 読了
~才能とプライド~ 小畑健/漫画 大場つぐみ/原作 集英社/刊 20100809第1刷400円 ジャンプ・コミックス
 8月4日発売の「日経流通新聞」に「渋秋系」なる言葉がうたれていました。見出しには「シブヤとアキバ融合」「ダサかっこいい渋秋系ギャル」。以下1面のINDEXより引用「アニメやマンガの要素をファッションに取り入れるギャルの姿が渋谷で増えた。オタクの聖地といわれる秋葉原にも、今まで近寄りもしなかったギャルたちの姿が。」ですって。ググると今年の5月くらいからブログ等に載りはじめていました。私に云わせれば、例えばミニスカートの女子高生は、幼稚園児の制服から成長できていないだけの幼児プレイだし、今回のシブヤとアキバの融合も、現在もTVで盛んにCMを流している幼児用の仮面ライダーや戦隊モノ、プリキュアのキャラクター子供服を大人に成っても着ているに過ぎないんじゃないの、と云いたい。ではいままでも存在していたのにそれらが表層に現れていなかったのは何故かと云えば、キャラクター子供服に対して違和感の無い世代が中年にまで上昇したために、その子ども世代が羞恥心無に着こなす事ができるように成ったと推測しています。ファッションは案外保守的で、五年十年では変らないけど、二十年経ち世代が入れ替わると、二十年前に恥ずかしかった格好が普通になると思っています。その逆もありえて、例えば電車の中で赤ん坊に乳房を含ませていた光景は絶滅しました。ともあれ、アキハバラに電化製品やソフトを買うのではなく、観光に来るのは邪魔でしかないのでこないで欲しいし、確かに便利だけどアキバに飲食店は不要だと思うし、いわんや“クラブ”なんぞSOS団か現視研だけで充分だと思う次第。閑話休題。
 
 本題の「バクマン。」9巻の話。
 見吉香耶の実父が、愛娘の親友の母親が自分の同級生だったことを知らないとは到底考えられないんですけど。しかも自営業で同じ街に住んでいながら。これがサラリーマンで転勤していたとかならまだ分らなくも無いんですけど、地元に密着した商売人の情報網は侮れず、直接会ったのは学校卒業以来無かったとしても、知人の伝で必ず耳にしているはず。いくら都会だったとしても。伏線なのか、ストーリーをシンプルにしたいが為の演出なのか、いくら荒唐無稽なストーリーであったとしても、逆に脇の部分は地道に固めておくべきではないでしょうか。
 その一点以外は、燃える展開、ページをめくる度にハラハラしつつ読み進めました。この緊張感をアニメでより盛上げられると良いですね。
 蒼樹嬢のポジションが岩瀬嬢にシフトしているのが不思議。作者達の中で何があったのでしょうか?いや、でも岩瀬嬢は当初から出演しているから、規定の流れと考えるべきでしょうか。
 どちらにせよ、今後が愉しみです。週刊少年ジャンプの中では唯一購入を続けている作品になってしまったのが、自分でも驚き。
 内容説明:会議に通り、遂にギャグマンガの連載開始! しかし同時にエイジ&岩瀬の作品も掲載される事に! 上の順位を目指すべく最高と秋人は大奮闘するが、ギャグのネタに悩まされ、秋人の仕事に遅れが出始めて…!?(アマゾンより引用)
(週刊少年ジャンプ掲載)


2010年8月3日火曜日

ドロねこ9 2巻 読了

ドロねこ9 2巻 読了
奥瀬サキ/著 幻冬舎/刊 20100724第1刷590円 バーズコミックス
 出版社の東京三世社が会社整理になると知人から聞きました。エロマンガでは老舗であるのに…と思いましたが、近年ヒット作も有名作家も輩出することなく、代表的雑誌も思い浮かびません。ジャンルが異なるとは云え『コミックバンチ』が休刊するような時代ですから、明らかに売れていない所は最早ダメなんでしょうね。元々出版業なんて水商売みたいなものですし。閑話休題。

 本題の「ドロねこ9」の話。
 「白波」とは盗賊を示します。白波五人男の白波です。広辞苑を紐解くと、(後漢書に見える、黄巾の賊の残党で西河の白波谷に籠って略奪をした「白波賊」の、白波を訓読していう)盗賊の異称。とあります。とは云え、もうこう云った類の日本語を知っている読者も少数となったことでしょう。でも「物語」の原型を漁っていくと落語や能・狂言・歌舞伎に行き着くことが多々あります。“温故知新”とはこのような時に使うのでしょう。
 劇中劇としてマンガだか小説だかを編集部に持ち込むストーリーがあります。ジャニーズか漫画家とモノローグに書いてあるので、たぶんマンガなのでしょう。劇中のマンガにおける編集者の発言は、そのまんま著者奥瀬サキが言われた事なんだろうなぁ、とか思ったりして。
 サイボーグ009のパロディにもなっているのではないだろうか、と邪推しているのですが、9人全員がなかなか出てこないし、物語の進展が遅いような気がするのは、私には受信能力が無いだけなのでしょうかね。

 内容紹介:<白波まやあ>は公園ぐらしのホームレス女子高生で、不思議な能力を持つ「蠱り者」。彼女は「公には存在しない品」を盗み出す組織の一員だった。学校で出会った、同じ「蠱り者」の<柴田浪玖>と順調(?)に交流を深めているが、「蠱り者」ゆえのしがらみから逃れることは出来なかった…!!まやあと8人の弟達、そして浪玖をも巻き込んだ争いの幕が上がる!!!(カバー裏表紙より引用)
(月刊コミックバーズ掲載)



2010年8月2日月曜日

まかでみックス しくすす 読了

まかでみックス しくすす 読了
~名探偵と呼ぶんじゃねえッ!~ 榊一郎/著 エンターブレイン/刊 20100811初版640円 ファミ通文庫
 今巻を買おうとレジに持っていくと、フェア中なのでファミ通文庫二冊お買い上げの方に小冊子をお付けします、と言われたので、再度本棚の前に立つも買えるモノも無く会計を済ましました。小冊子を貰ったところで、内容的にもしょうもないものだし保存するために入手するだけジャン。と葡萄の下のキツネに想いをはせて見たりして…。閑話休題。
 
 本題の「まかでみックス しくすす~名探偵と呼ぶんじゃねえッ!~」の話。
 現代に生きる魔法使い達の拠点の一つ「マジシャンズ・アカデミィ」で生じるドタバタを描いた前作「まじしゃんず・あかでみい」シリーズ。それに引き続き魔法とは関係無い少年少女達を集めたアバロン学園都市編が「まかでみックス」シリーズになります。アニメ版「まじしゃんず・あかでみい」の最終話を見た人は思い出してください。さて、魔法に関係ない子達を集めたはずななのに主人公周防千里には過去からの因縁がチラホラと。今巻は中編が二つ。薄い本二冊に出来たような気もしますが、あえて巻数を増やさず、ストーリー展開を進めようとする戦略ではないかと思います。売らんかな商売よりよっぽど善意的だと思われます。
 考えてみたらファミ通文庫の売れている作品は悉くアニメ化されていますねぇ。京アニほどホームランをかっ飛ばしていないとは云え、手堅く質の高いアニメを連続安打しているように思えます。
 内容紹介:海だ! 水着だ!! 密室○人!? 青い空、白い雲、そして目の前に広がるビーチ! 毎度のことながら突然亜空間の孤島へと臨海学校に連れて来られた千里達アバロン学園普通課の面々。海だ水着だと浮かれるクラスメイトに釣られてか、千里もクフィールに泳ぎを教えたりとそれなりに満喫しちゃったり。しかし、そんなキャッキャウフフ空間を嘲笑うかの如く事件が発生! おい……なんで由々子先生がこんな無残な姿になってるんだよ……。暴走するネオ・ハイブリッド学園ラブコメ第6弾!!(アマゾンより引用)


2010年8月1日日曜日

デトロイト メタル シティ 10巻完結 読了

デトロイト メタル シティ 10巻完結 読了
若杉公徳/著 白泉社/刊 20100805第一刷514円 JETS COMICS
 TVアニメ「ハートキャッチ・プリキュア」のエンディングが変更されました。ここで“ゴスペル”(と言ってよいのか?)調になるとは予想すら出来ませんでした。カッコイイ。ダンスもかなり考えられたステージっぽい振り付けだし、三人しか活躍していなくても四人出演しているし、本編の今後の展開が楽しみです。映画版オールスターⅡも見たくなってきました。閑話休題。

 本題の「デトロイト メタル シティ」10巻の話。
 ネタバレします。
 まあ、エンドレス落ちです。ネバーエンディング落ちと云うべきでしょうか。終わりとして悪くないけど、だからどうした、と云う感も否めません。ただ物語りの落ちとして極論は主人公が死ぬか生きるかの二者択一しかなく、“生きる”となれば物語は終わっても主人公の人生は続くわけですから、主人公が生きている物語の終末は全てエンドレスと云っても良いでしょう。
 クラウザー二世を主人公とするなば、少なくとも日本のデスメタル界のトップに君臨したのだからハッピーエンドです。クラウザー二世の中の人である根岸君を主人公とするなばら進展は丸で無し。まあ、この裏表の二つの顔の乖離があってこその物語ですから、統合してしまっては本当に終わってしまいます。クラウザー二世の栄光と根岸君の挫折がこそがこの物語の根幹ですから。
 ウーム、実写版劇映画の出来が良すぎたような気がします。新連載が白泉社ではなく、講談社だったことに驚きましたが、著者若杉公徳のペンタッチからするとマガジン系の方がシッくりと来るのは何故でしょう。
(ヤングアニマル掲載)