木更津駐屯地航空際

木更津駐屯地航空際
2019年12月8日木更津駐屯地航空際にて撮影

2010年9月30日木曜日

ちょんまげぷりん 観了

ちょんまげぷりん 観了
 江戸時代のサムライが現代にタイムスリップしてきて洋菓子職人として認められるストーリーを、サムライを拾ってしまった幼稚園児の息子を育てるバツイチ女性の視点で描く作品。顔が良くて才能があり筋を通しながらも包容力のある王子様を追い求める身勝手な女性をともさかりえが好演しています。また錦戸亮の凛とした演技が美しく光ってます。
 女性とは?男性とは?女と男とは?性別と性役割とは?家族とは何か?職業とは何か?教育とは?等々の現代の問題を内包し、同じ“日本”という国ながら180年の時代の隔てが生むカルチャーギャップを真正面がら捉えれば、笑いをまぶした素晴らしく質の高い作品になったことでしょうが、子役を出汁に単なる女のワガママしか描かれず、人の成長が欠けているので感動が薄まってしまい、泣くに泣けない出来になってしまっています。監督&脚本家には人の生き様を描けるように成って欲しいと思います。クライマックスで錦戸亮に詰め寄られる井上順の演技が秀逸!

原題: -
製作年度: 2010年
監督: 中村義洋
上映時間: 108分
 解説: 『ゴールデンスランバー』の中村義洋監督がメガホンを取り、人気パティシエになる侍のてん末を描くハートフル・コメディー。180年前の江戸から現代にタイムスリップする侍を演じるのは、アイドル・グループ、NEWSの錦戸亮。侍が居候する家庭のシングルマザーにともさかりえがふんするほか、お笑いコンビ、キングオブコメディの今野浩喜や井上順などバラエティーに富んだ役者たちが顔をそろえる。江戸時代の侍がもたらすさまざまな振る舞いが深い感銘を呼ぶ。
シネマトゥデイ(外部リンク)
 あらすじ: 江戸時代からやって来たちょんまげ頭の侍、木島安兵衛(錦戸亮)をひょんなことから居候させることになった、ひろ子(ともさかりえ)と友也(鈴木福)の母子。友也のために偶然作ったプリンから、お菓子作りの才能を開花させた安兵衛。彼は人気パティシエとなり、ひろ子や友也とのきずなも深まっていくが……。シネマトゥデイ(外部リンク)

スタッフ
製作総指揮-
原作:荒木源
音楽:安川午朗
脚本:中村義洋
キャスト
錦戸亮(木島安兵衛)
ともさかりえ(遊佐ひろ子)
今野浩喜(-)
佐藤仁美(-)
鈴木福(-)
忽那汐里(-)
堀部圭亮(-)
中村有志(-)
井上順(-)

2010年9月29日水曜日

百舌谷さん逆上する 5巻 読了

百舌谷さん逆上する 5巻 読了
篠房六郎/著 講談社/刊 20100922第1刷600円 アフタヌーンKC

 セブンイレブンの欧風チキンカレーを晩飯に買ってみました。レジでチンを頼んだですよ。セブンイレブン印の欧風チキンカレーはレンジで温めを前提として容器も作られており、蓋のど真ん中に蒸気用口が開いているのですが、私が購入した時の付け爪で飾った若いネーチャンの店員はワザワザ開口部を開けてチンしてくれました。おかげで家に辿り着いた時にルーの大半が袋の中にこぼれていました。なんと云う心遣い!目の汗でご飯が塩っぱかったです。

 人の“エゴ”を多く感じ取ってしまう方はいらっしゃいます。弱いのではなく敏感であるがゆえに他人とのコミュニケーションを避けてしまう人々。だからと云って孤独が好きなのではなく、人とのコミュニケーションを望んではいるけれども、人と接する負担に肉体や精神が耐えられなくなってくる、まあエヴァンゲリオンのミサトさんの云う所の“ヤマアラシのジレンマ”ってものですね。でも世の中エゴのぶつかり合いみたいなものだし、ぶつかったり流したり流されたりするのが人生ってものではないでしょうか。少し前までは人と最低限でも他人と接触しなければ生きて行く手段がありませんでしたが、昨今引篭っても生きていける環境が整ったお陰で“避ける”という方法をとることが出来るようになりました。人類の進歩と調和、ありがとう科学技術。
 さて「百舌谷さん」。
 5巻にいたり、さらに関係者が登場。次巻に続くと重複する関係者であろことが分ります。今後どう関わって来るのかが愉しみです。さらにストーリー上度々出てはいたけれども素顔が現れた事の無い祖父まで登場。「ツンデレフィクションの未来を見守る会」会長が本当に居そうで怖い。竜田兄がここまで関わって来るとは思いもよりませんでした。葛原未来登場への伏線のために当初から出演しているとしたら、著者篠房六郎はシナリオをどこまで考えて毎月連載しているのか、その才能は計り知れません。単行本加筆によるストーリーの整理が上手くいったとも考えられます。脇役も含め各キャラクターの背景と物語への係わり合いが描きこまれており、最早群像劇と云っても良いので無いでしょうか。前作「ナツノクモ」前々作「空談師」で失敗した部分が生かされているのだと思われます。それとも担当者が上手くプロデュースしているのでしょうか。次巻が愉しみ。と云うか掲載誌月刊アフタヌーンで楽しみしている作品の一つ。単行本で読むと、連載時とはまた違った視点で楽しめるのが嬉しい。
 
 内容説明:『空談師』『ナツノクモ』とネットゲーム世界を描いてきた篠房六郎が、新たな世界に挑戦する――その名はツンデレ!! いろんな皮がむけてアフタヌーンに帰ってきた孤高の漫画家が、ため込んだ素敵なルサンチマンを込めて贈る、ボーイ・ミーツ・ガールみたいな何か! 言語道断のすこやか倒錯バイオレンス萌え萌えラブコメディ、一部良識派からのいろんな外圧にも負けずに、爆笑必死でお届けします!!
 転校生の百舌谷小音は、「ヨーゼフ・ツンデレ博士型双極性パーソナリティ障害」=「ツンデレ」だった! 「ツンデレ」とは好意が攻撃性に変換される症状で、好きと思った相手に罵詈雑言や暴力が出てしまうのだ。百舌谷さんを好きな竜田とカバ夫、竜田が気になる委員長・千鶴、それぞれの想いがクラスの中で交錯し大混乱! 百舌谷さんの過去を知る葛原さんも登場し、百舌谷さんが幸せになる日はやってくるのか――!?(アマゾンより引用)
(月刊アフタヌーン掲載)


2010年9月28日火曜日

仮面ライダー THE NEXT 観了

仮面ライダー THE NEXT 観了
 職場の知人に借りっ放しになっていたのをやっと観ることが出来ました。本と違って映像を観るには精進潔斎した後天地人のタイミングを見計わないと、観ながら寝てしまうので、ナカナカに大変です。
 前作「仮面ライダー THE FIRST」に続いての「仮面ライダー THE NEXT」。今回登場するは仮面ライダーV3風見志郎。炎のダブルタイフーン、哀しみのライダーパンチ!かっこ良い!!
 で、結局主人公は誰だったの?
 良い役者を揃えているし、CGもスタントも悪くないんだけど、脚本と編集が甘く感じました。PG-12指定なのだから、シナリオをもっと辛く、演出も編集もシッカリと見せるよりもリズムを大事にした方が面白いのではないかなぁ、と思う次第。尺は103分ですか、90分にまで縮められると思いますけど…。

 内容紹介:【解説】2005年、石ノ森章太郎の原作漫画をベースに現代視点でまったく新たに映画化され反響を呼んだ『仮面ライダー THE FIRST』。その公開時から沸き起こったのが、続編を熱望する声の数々。そうしたファンの声に応え、満を持して製作された『仮面ライダー THE NEXT』。
本作の示す“NEXT”はただの続編という意味ではない。新たなキャラクターの出現と新たな挑戦を意味している。仮面ライダー史上最高視聴率をたたき出し、シリーズ化を決定付けた作品となった“V3”の登場は本作のボルテージを一気に高める。そして、新たな挑戦は、今や世界をも席巻するジャパニーズホラーの要素。元来“怪奇アクション”というジャンルとして制作されたTVシリーズ第一作を踏襲するもの……というだけでなく現代的な演出を用いて“仮面ライダー”のタイトルが持つ可能性をまたひとつ切り開く。また、前作を凌ぐ目を見張るバイクアクションをはじめとした、スピーディでインパクトあるアクションシーンの数々は、特撮映画はおろか、日本映画の枠を超えた圧倒的アクション映画が誕生したと言えるだろう。さらに、アクションヒーローとしてだけではなく、彼らが人間であることを示すドラマも健在だ。改造人間という、人間ならざるものとなった本郷や一文字の苦悩、対する風見志郎=V3が抱く葛藤を細やかに描き出し、三者三様の人間模様を浮かび上がらせている。
あらゆる意味で、《伝説的原点》を《話題の前作》を遥かに超えた“NEXT ステージ”の「仮面ライダー」、それこそが『仮面ライダー THE NEXT』なのである。
 【ストーリー】本郷猛と一文字隼人がショッカーを裏切ってから2年。本郷猛は、高校教師という日常を送っていた。そんな中、世間では顔面を無残に切り刻まれた惨殺死体が次々と発見され、同時に奇妙な噂が広まっていた。事件現場には、国民的アイドル・Chiharuの曲が必ず流れているという。ある日、本郷はクラスのなかでも問題がある生徒のひとり、菊間琴美と共に彼女の親友だというChiharuのマンションへ向かう。だが彼らを出迎えたのは顔を切り刻まれた偽者のChiharu、そしてショッカーの新たな改造人間=チェーンソーリザードとショッカーライダーの一団だった。非情なるショッカーに対し、本郷は琴美を逃がし、変身して彼らにたち向かうが、苦戦を強いられる。更なる事態の把握のため、彼らはChiharuの兄、風見志郎の元を訪れる。しかし、風見志郎はショッカーライダーたちとともに、本郷に襲いかかる。彼は、ナノロボットによる改造手術を受けたショッカーの改造人間=V3だったのだ。 (Amazon.co.jp)
 本郷猛と一文字隼人がショッカーを裏切り、死闘を生き延びてから2年。高校教師となった本郷は平和な日々を過ごしていた。だが、生徒・琴美の不審な行動の真相を探っていく本郷の前に、再びショッカーが現れる。しかも琴美の親友・Chiharuの兄である風見志郎はショッカーの新型改造人間・仮面ライダーV3であった・・・。前作に比べて過激な演出が随所に散りばめられている。仮面ライダーならではのバイクアクションは勿論の事、アクションシーンがパワーアップ。特筆すべきは、仮面ライダー誕生当初の「怪奇性」が重要なエレメントとして使われていること。しかし、友情・家族愛を柱としたストーリー展開も忘れていない。大人の鑑賞に堪えうる作品だ。(仲村英一郎)
 内容(「キネマ旬報社」データベースより):石●ノ森章太郎の原作漫画を現代的視点で映画化した『仮面ライダー THE FIRST』の続編。巷では謎の惨殺事件が次々と発生。真相究明に乗り出した本郷猛に、ナノロボットによる改造手術を受けたショッカーの改造人間・V3が襲い掛かる。PG-12作品。
 内容(「Oricon」データベースより):ショッカーの陰謀に立ち向かう仮面ライダーの活躍を描く「仮面ライダー THE FIRST」の続編!本郷猛と一文字隼人がショッカーを裏切ってから2年。改造人間となった本郷や一文字の苦悩、対する風見志郎=V3が抱く葛藤を描き、三者三様の人間模様を映し出す、原点を遥かに超えた傑作。劇場公開時に削除された幻のシーンを含むエンディングを選択できるマルチエンディング仕様。PG-12指定作品。
(以上アマゾンより引用)

題: -
製作年度: 2007年
別題: -
製作国・地域: 日本 上映時間: 103分
スタッフ
監督:田崎竜太
製作総指揮:-
原作:石ノ森章太郎
音楽:安川午朗
脚本:井上敏樹
キャスト
黄川田将也(本郷猛)
高野八誠(一文字隼人)
加藤和樹(風見志郎)
石田未来(菊間琴美)
森絵梨佳(Chiharu)
益子梨恵(-)
六角慎司(-)
未來貴子(-)
嶋田久作(-)
斎藤洋介(-)
田口トモロヲ(シザーズジャガー)
納谷悟朗(ショッカー首領)

2010年9月27日月曜日

天地明察 読了

天地明察 読了
冲方丁/著 角川書店/刊 20091130初版1800円
 
 「あそびにいくヨ!」と「世紀末オカルト学園」の最終回が重なってしまった。どちらを録画するか悩む。6:4でオカルト学園か!?

 さて「天地明察」。
 発売以来一年になろうとしている現在においても書店で平積みされている話題の書。
 江戸時代、日本独自の(国内において正確な)“暦”を作り上げた「渋川春海」の一代記。同時代を生きた一流の政治家や文化人達との交わりや支援、師から弟子へ渡される“知”と“想い”、強敵(と書いて友と読む)からの励、そして数々の困難を乗り越え達成される“真理”への道程。時代劇のため難解な漢字も多々出てきますが、武に依らずに世を変えるダイナミックで読みやすい文章と起伏に富んだストーリー。これぞエンターテイメントな一冊。読んで損無し。私は涙無では読めませんでした。
 暦と和算と聞いていたので、「マルドゥック・スクランブル」におけるトランプ・ゲームのように延々と講釈が続くと覚悟していましたが、さにあらず。暦や和算への知識が無くとも充分に楽しめます。おそらく『野生時代』に連載していたので、単行本化にあたり加筆訂正たとは云へ、各話毎に起承転結をそして全体を通しての起承転結を繰り返した結果のリズミカルな盛り上がりとなったのでしょう。
 和算と聞いて思い出すのが、ラジオ講座蛍雪時代で数学を長く担当していた“なべつぐ”こと渡辺次男先生です。予備校でなべつぐ先生の授業を受けていたのですが、他科の先生から、なべつぐ先生は和算の研究もされていて、福島県の予備校で教えるついでに神社に奉納している和算の額を見に行くんだよ、と聞いたような聞いていないような。本書にも渋川春海のパトロンとして会津松平初代藩主保科正之が登場します。和算は会津地方ばかりでなく、その東、阿武隈山地内でも盛んに行われていたらしく、奉納された遺題が現代に残されているそうです。中学だか高校の時には、紙と筆があれば楽しめる和算は安上がりで格好の娯楽だったと、教えられました。ついでに和算は代数や微分積分に近いものではあっても、代数や微分積分とは異なるものだとも聞きましたが、理数系コースでありながら代数も微分も赤点だった私にはどこが違うのか、今もってわかりません。
 さらにパトロンの一人として水戸光圀も出てきますが、キャラクターの描写を読んで脳裏に浮かぶのは原哲夫描く戦国武将みたいな光圀でした。物心付いた時にはTV番組として「水戸黄門」を見ていましたから、どうしても光圀は東野英治郎や西村晃と云った小柄な好々爺をイメージしてしまいます。でも里見浩太朗の方が史実に近いのかもしれません。山本貴嗣が西遊記を元ネタにした「西遊少女隊」の中で三蔵法師を“巌のような男であった”(夢枕獏のパロディでしょう)と書いていたときに、確かに国禁を破り砂漠を越えヒマラヤを越えインドと唐を往復する男がひ弱なわけがありません。手塚治虫の描く野沢那智/声や夏目雅子の演じる三蔵のイメージが払拭された瞬間と同じ衝撃を本書を読んでいて光圀で感じました。
 篠房六郎「百舌谷さん逆上する」6巻のカバー下表紙マンガに「冲方先生との対談」という題の1頁マンガあり。確かに著者冲方丁の活躍を見ると渋川春海ばりの三面六臂の大活躍をしていると思えます。でも「シュピーゲル」シリーズも進めて欲しい。

 内容紹介:江戸、四代将軍家綱の御代。ある「プロジェクト」が立ちあがった。即ち、日本独自の太陰暦を作り上げること--日本文化を変えた大いなる計画を、個の成長物語としてみずみずしくも重厚に描く傑作時代小説!!
 内容(「BOOK」データベースより):江戸時代、前代未聞のベンチャー事業に生涯を賭けた男がいた。ミッションは「日本独自の暦」を作ること―。碁打ちにして数学者・渋川春海の二十年にわたる奮闘・挫折・喜び、そして恋!早くも読書界沸騰!俊英にして鬼才がおくる新潮流歴史ロマン。
 著者について:1996年、早稲田大学在学中に『黒い季節』で角川スニーカー大賞を受賞しデビュー。以後コミック・アニメとの連動を先駆的に行いマルチな活動を続ける。著作に『オイレンシュピーゲル』『マルドゥック・スクランブル』『ばいばい、アース』などがある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
 冲方 丁:1996年、大学在学中に「黒い季節」で第1回スニーカー大賞を受賞しデビュー。以後、小説を刊行しつつ、ゲーム、コミック原作、アニメ制作と活動の場を広げ、複数メディアを横断するクリエイターとして独自の地位を確立する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(アマゾンより引用)


2010年9月26日日曜日

前方後円墳の世界 読了

前方後円墳の世界 読了
広瀬和雄/著 岩波書店/刊 20100820第1刷720円 岩波新書
 先日新聞等で「斉明天皇の墓か」(朝日新聞2010年9月10日金曜日13版1面)と奈良県明日香村の牽牛子塚古墳の発掘調査の記事が掲載されました。「がちょーん」が即売会で配布している紀行書「大和咆哮」に若干の記載がありますので、興味の有る方は是非ともごらんください。
 さて、全国各地に古墳があり、その中でも政治的宗教的デザインが強く現れていると思われる前方後円墳を中心に、我々が古墳時代と学んだ約350年に何故造られたのかを考える内容になっています。
 文字記録が残っておらず、造られた古墳と副葬品などから推測するしかない状況において、数多くの発掘により事例が豊になってきた事と、古墳の保存や研究が進展してきたこともあり、各地の巨大古墳を紹介しつつ、従来の定説ちが違った視点による“歴史”をとらえようとする意欲作。ただし前方後円墳以外の古墳の形や石室の種類等の事例がある程度理解している前提で書かれているので、全くの初心者には向かない内容になっています。
 船型埴輪や石室に描かれた船が、魂を運んで行くのではなく、古墳に魂を運んできた説は本書にて初めて知りました。「大和咆哮」の著者に感想を聞いてみたいものです。

 内容紹介:見る者を圧倒する巨大な墓、前方後円墳。造られた当初は、全体が石で覆われ、時に埴輪をめぐらすなど、さらなる威容を誇っていた。3世紀半ばから約350年間、この巨大古墳が列島各地に造られたのはなぜなのか。史跡として復元・整備された古墳を紹介しつつ、その世界観や地域相互の関係に迫る。
 内容(「BOOK」データベースより)見る者を圧倒する巨大な墓、前方後円墳。造られた当初は、全体が石で覆われ、時に埴輪をめぐらすなど、さらなる威容を誇っていた。三世紀半ばから約三五〇年間、この巨大古墳が列島各地に造られたのはなぜなのか。共通する墳形にはどんな意味があるのか。史跡として復元・整備された古墳を歩きつつ、その世界観や地域相互の関係に迫る。
 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より):広瀬 和雄 1947年京都市に生まれる。同志社大学卒業。大阪府教育委員会、大阪府立弥生文化博物館勤務の後、奈良女子大学大学院教授。現在、国立歴史民俗博物館教授、総合研究大学院大学教授。専攻、考古学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(アマゾンより引用)


2010年9月25日土曜日

100縁ショップ 鬼安堂 読了

100縁ショップ 鬼安堂 読了
池田陽介/著 アスキー・メディアワークス/刊 20100827初版850円 Dengeki Comics EX
 池田“恵”(無敵のビーナス・魔法の少尉ブララスターマリ等)の新刊出た!と買っちゃった一冊。絵柄が大分変わったなぁ、と思ったら「池田“陽介”」さんでした。失礼。
 内容的には全く持って問題なし。絵柄もかわいいし。私の壷にスポリと嵌りました。
 これも何かのご縁でしょう、今後は著者池田陽介の作品にもアンテナを伸ばす事決定。

 内容紹介:化け猫になっちゃった女子高生・栞。ふしぎなご縁で、もののけたちが集ういこいの場・鬼安堂に招かれるが……?ろくろ首や百目など日本のもののけたちはもちろん、口さけおんなや骨格標本など都市伝説級もののけまで大集合!?ゆるゆる系もののけ4コマ、百鬼夜行のはじまりはじまり。(カバー裏表紙より引用)
(電撃黒魔王掲載)


2010年9月24日金曜日

アイランド・ライフ 読了

アイランド・ライフ 読了
―海を渡って漁師になる・甑島(コシキジマ)日記― ジェフリー・S・アイリッシュ/著 北野幸子/訳 淡交社/刊 19970514初版2000円 
 著者ジェフリー・S・アイリッシュは限界集落にやって来たアメリカ人と云う事で以前新聞記事で目にしていました。先日朝日新聞別刷「The Asahi Shimbun GLOBE」2010.9.20月曜日No.48の6面に記事が掲載されていたので、近所の図書館で著者の本を借りて読んでみました。
 著者は清水建設で働いた後、1990~93年を甑島にて生活。この本はその時の日常を淡々と描いています。何かを紹介したり、考えたりするのではないのにもかかわらず、一章毎にエッセイとしてまとまっている文章の構成能力は素晴らしく、勉強になります。多分に翻訳者北野幸子の日本語表現力も豊であろうことも影響していると思われます。
 著者は甑島生活の後ハーバード大学院に入り民俗学の研究に京都大学へ留学、京都大学修士課程を終了。現在は鹿児島の土喰集落にて家族と生活。朝日新聞での肩書きはノンフィクションライター・鹿児島国際大学准教授。最近宮本常一の「忘れられた日本人」を翻訳し米国で出版。
 本著「アイランド・ライフ」以外にも日本語の著書を出版しているようですが、残念ながら近所の図書館では所蔵していないもよう。他市町村への相互貸借とやらを申し込んでみようか思案中。
 内容(「MARC」データベースより):日本の原点である田舎と出会いたいと著者は甑島(こしきじま)に定住する。定置網や田畑の仕事の加勢をし、島の人々と交流しながら見た、村の人々の暮らし、儀礼、自然への対応などを、新鮮な目で綴る。〈ソフトカバー〉(アマゾンより引用)


2010年9月23日木曜日

新 仮面ライダーSPIRITS 3巻特装版 読了

新 仮面ライダーSPIRITS 3巻特装版 読了
村枝賢一/著 石ノ森章太郎/原作 講談社/刊 20100917第1刷952円 プレミアムKC
 特装版は「仮面ライダーSPIRITS」第1話「摩天楼の疾風」オールカラー化バージョン。読んで損無し。
 仮面ライダーの仮面ライダーたる所以は「変身」にあると思います。カラー化した第一話での1頁の大ゴマと筆書きによる「変身」の文字に、かつて少年だったった頃の心を思い出しました。平成の仮面ライダーWも仮面ライダーOOOも「変身」の掛け声です。逆に仮面ライダー××とタイトルを付けなくとも「変身」の掛け声とともに変身すれば仮面ライダーになってしまうのではないでしょうか。
 そう考えるとアマゾンが変身の掛け声ではなく、己の名を唱え変身し、変身前と変身後の正体を隠さないストーリーであったのは、昆虫タイプではなく爬虫類タイプになったこととともに、特筆すべき点ではないでしょうか。また現代科学の延長ではなく、滅んだ超古代文明の秘術を授った点もまた従来の仮面ライダーとは異なる点であり、平成仮面ライダーに引き継がれる原点となった作品ともなりました。
 アマゾンは名乗るのが良い、と云った知人がいました。なるほどオープニングでは「アマゾンライダーここにあり」と名乗っています。しかも二度。潔良いですね。
 巻末特別インタビューは仮面ライダーアマゾンに出演した岡村マサヒコ役の「松田洋治」。
 えーっ!松田洋治ってアシタカ(もののけ姫)の声じゃん!?気がつかなかった。

 内容説明:ゼロ大帝はアマゾンの左腕を自らに強制結合し、アマゾン同様の姿へ変貌を遂げた。ギギとガガの腕輪を合わせ、さらなる力を求めるゼロ大帝はいまだ仮死状態のアマゾンを喰らおうと、第10分隊のヘリに乗り込む。必死で立ち向かうマサヒコに魔手がふりおろされそうになったその刹那、ついに奇跡が――。『アマゾン編』終幕!そして舞台は北陸・金沢、ジンドグマと交戦中の沖一也=仮面ライダースーパー1の姿があった。(カバー裏表紙より引用)
 特装版解説:「仮面ライダーSPIRITS」第1話「摩天楼の疾風」オールカラー化バージョンの別冊を同梱!! カバーは、新2号&改造サイクロンのレアバージョンだ! 本文は、通常版の第3巻と同内容です。(アマゾンより引用)
(月刊少年マガジン掲載)


2010年9月22日水曜日

境界のRINNE 5巻 読了

境界のRINNE 5巻 読了
高橋留美子/著 小学館/刊 20100922初版419円 少年サンデーコミックス
 狂言回しに“シャンプー”いやいや“ラム”そうそう“鳳(アゲハ)”登場。うる星やつらの時は狂言回し役がヒロインの座を得てしまいましたが、腕を磨いて後は初期キャラクター設定がブレることもなく、今回も報われぬ努力をし続ける健気な役どころなのでしょう。
 しかし、似たようなラブコメで三十年、ここまでくるとイッソ清々しいと云いましょうか、天晴れとしか云いようがございません。「犬夜叉」の時は「人魚の森」のような連載と短編のようなバランスをとる意味で開始されたのかと思いましたが、才能のある著者の力量によって長期連載と壮大なストーリーとなりました。でも“うる星”“らんま”のラブコメの流れが著者高橋留美子の本流のような気がしますので、「境界のRINNE」で戻ってきたと思えます。

 内容説明:死神・鳳の登場でラブコメモード本格化の第5巻!!
 りんねに「堕魔死神カンパニー」を継がせるため、強引に結婚指輪(百万円!)を用意し、桜とりんねの結婚を画策する父・鯖人。だまし神に恨みを持つ死神少女・鳳の乱入で事態は混沌!!りんね・桜・鳳の三角関係も加わって、もつれにもつれる会社相続騒動!!
 編集担当者からのおすすめ情報:情熱的死神少女・鳳が乱入!りんね×桜×鳳の新たな三角関係が!?ラブコメモード本格化、るーみっくこめでぃー第5巻!!(アマゾンより引用)
(週刊少年サンデー掲載)

2010年9月21日火曜日

ハチワンダイバー16&17巻 読了

ハチワンダイバー16&17巻 読了
柴田ヨクサル/著 集英社/刊 各20100922第1刷514円 ヤングジャンプ・コミックス

 興に乗って下書きを書いていたら、日がかわってしまいました。無念

 16巻17巻同時発売ですか!?コツコツ出してくれた方が財布の中身もいきなり無くならずに良いのに、と思いつつも読んで考えを改めました。編集者とすれば、確かに二冊同時に読んだ方が面白い。16巻においてヒロインがピンチに陥り、17巻においては主人公が全力でヒロインを助けに行く。これぞ“物語”の王道!だがしかし、言葉で書くのは簡単でも、マンガで表現するのは至難の業と云えます。それを将棋と云う見た目地味なゲームでかくも文字通り“命をかけた”勝負を描き出すとは!!苦難の試練をヒロインの名を叫びながら突破して行くのが良いですね、未来少年しかり天空の城しかりもののけしかり、って宮崎駿ばかりですけど。
 こう云ってはなんですが、冒険とヒロインがストレートに=で繋がるのは米国映画か宮崎駿くらいしか残っていないのではないでしょうか。おそらく戦後の作家では描けないのではないかと思います。例えば戦前の、海外へ飛躍、大陸浪人、馬賊、と云った海の外の“夢”が、戦後では単に“国外”になってしまい、少年が夢を描く余地が無くなったのと関係があるような気がします。閑話休題。
 本編がここまで盛り上っておきながら、作者のペンタッチが変化していませんか?トーンの映りが妙に綺麗でキャラクターの主線が細かく見えるのは、もしかしてコンピュータを導入したのでしょうか!?道具が日々進化するのは仕方が無いし、脚本・演出・作画を一人でこなしているマンガ家の作業量が減ることは、それだけ内容の充実に繋がるわけですから、歓迎すべきことなのですが、“絵”が綺麗になることが必ずしも内容の熱量を高める事と比例しているとは限らないのが、マンガの面白い所とも云えます。
 18巻が待ち遠しい!
 中扉は16巻はいいけど、17巻だけでは意味が無い!表紙に対抗しているんでしょうけど。

 ハチワンダイバー 16内容説明:そよを先頭に、破竹の勢いで突き進む「モンジ隊」だったが、鬼将会のドン、谷生がそよに問答無用の勝負を挑んでくる! 己の鬼将会入りを賭けた緊迫の一戦、彼女は勝利を手にできるのか!? 将棋の鬼に戦慄する16巻!
 ハチワンダイバー 17内容説明:谷生にそよを奪われた菅田は彼女を奪還すべく、力技で鬼将会ビルの階上へ上がる! 暗殺部隊が目を光らせる異空間で、菅田は謎の男との100時間将棋へ挑むが、限界を超えた対局の末に命が!? 魂が咆哮するド迫力の17巻!!


2010年9月19日日曜日

戦国大名伊達氏の研究 読了

戦国大名伊達氏の研究 読了
小林清治/著 古志書院/刊 20080915第1刷10000円
 「野郎共、パーティだぜッ!!」
のモデルになった“伊達政宗”を中心として政宗までにいたる戦国期伊達氏文献研究書の集大作。
 仙台藩始祖となり平和となった江戸初期を生き残ったため伊達政宗の記録は、父輝宗までに比べ数多く、また政宗自身が筆まめであったため政宗本人による第一級資料が他戦国大名に比べて数多く残っているのが特徴と聞いていました。
 例えば小林清治氏は伊達氏の手紙と、応答した相手の手紙、近隣ばかりではなく累代伊達当主と足利政権や輝宗と織田信長、秀吉政権との応答、小田原北条氏、越後上杉氏等々とを比較対照しています。21世紀の現在ならばコンピュータによるデータベース化が進められており、ネットでも検索可能ですが、コンピュータ化される以前の紙資料を当たるとなると、学術誌は当然として恐らく都道府県市区町村史の資料に当たり古文書目録に当たり更には現地でオリジナルを確認していったと考えられます。その労力たるやいかばかりのものであったか、想像もつきません。
 また伊達氏周辺の戦国大小名についてもかなりページを割いており、戦国期における南奥州の動向がわかるようになっています。
 常陸の佐竹氏が棚倉や白河にまで進出していた事を、この本を読んで初めて認識しました。更に縁組によって葦名氏と結びつく事であの人取橋の合戦(写真人取橋古戦場碑 http://blogs.yahoo.co.jp/akamaty1000/55903476.html)にいたったと。佐竹はあくまで補助勢力だと思い込んでいましたが、実は中核戦力であったわけですね。
 その他学ぶ事は数多く、それがまた楽しくもありましたが、難しい内容でした。イッキに読破できないのでコツコツと読み進めて数ヶ月。それでも古文書の部分は飛ばし読みをしてしまいました。少なからず土地勘もあるので、知らない人よりはイメージが掴みやすかったと思います。482頁で一万円と云う値段も誰もが買える資料とは云い難いでしょう。アマゾンで見ても既に入手不可能ですから、図書館で閲覧するのが良いでしょう。
 マンガやアニメ、ゲーム等で伊達政宗に興味を持ったら、伝記等にいきなり行かず、歴史読本スペシャルとか小説に目を通す事をお勧めします。小説であれば晩年の政宗ですが、司馬遼太郎の「馬上少年過ぐ」がオススメ。短編ながら胸を打ちます。
 戦国時代を駆け抜けた武将の詩やら歌やら数多く残っている中で、秀吉を筆頭に何処かかっこ良過ぎて本人作では無いような気がしなくもありませが、この「馬上少年過 世平白髪多 残躯天所赦 不楽是如何」は、いかにも人生を振り返った文武に秀でた“伊達者”らしさがあるような気がします。

目次
まえがき
Ⅰ 南奥羽の中世と伊達氏

第一章 鎌倉時代の伊達氏
 第一節 伊達氏の成立
 第二節 伊達総領の桑折氏
 第三節 伊達勢力の構成と伊達郡
 第四節 伊達氏の惣領制と支配の様相
 第五節 鎌倉期の梁川地方

第二章 戦国大名伊達氏
 第一節 伊達植宗――大名権力の成立――
 第二節 実元入嗣問題と伊達氏天文の乱
 第三節 晴宗と米沢
 第四節 輝宗の治世

第三章 青年政宗
 第一節 政宗と父輝宗
 第二節 図南の歩武
 第三節 伊達両国と米沢
 第四節 北条と豊臣のはざま

Ⅱ 政宗と重臣・近隣大名

第一章 片倉小十郎と伊達政宗
 第一節 片倉小十郎の誕生
 第二節 政宗との出会い
 第三節 政宗の宰相――智勇の将小十郎――
 第四節 主従交流
 第五節 備中病患
 第六節 死去――仁と義の人――

第二章 上杉景勝と伊達政宗
 はじめに
 第一節 戦国大名、上杉と伊達
 第二節 小田原参陣と奥羽仕置
 第三節 関が原合戦と景勝・政宗
 おわりに

第三章 相馬義胤と伊達政宗
 第一節 家系と婚姻関係
 第二節 出会い
 第三節 抗争激化
 第四節 秀吉と義胤・政宗
 第五節 関ヶ原合戦と義胤・政宗
 第六節 義胤・政宗の最後

Ⅲ 戦国の南奥羽諸氏

第一章 二本松と畠山氏
 第一節 伊達と畠山
 第二節 畠山氏滅亡と伊達氏の二本松支配
 第三節 奥羽仕置と二本松

第二章 戦国末期の長沼
 第一節 蘆名盛氏と長沼
 第二節 佐竹氏の仙道進出と長沼
 第三節 伊達政宗の南奥羽制覇と新国貞通
 第四節 戦国期長沼の村々
 第五節 戦国の大詰

第三章 義親と中世白川氏の終末
 第一節 隆綱(義親)の家督相続
 第二節 佐竹への服属
 第三節 伊達政宗の制覇と白川義親
 第四節 戦国大名白川氏の終末

Ⅳ中央権力と領主支配

第一章 坂東屋富松と奥州大名
 はじめに
 第一節 伊達植宗の礼儀料・礼物進納
 第二節 坂東屋富松
 おわりに

第二章 坂東屋富松と奥州大名:補考
 はじめに
 第一節 天文期の富松与次と与一
 第二節 天文末~弘治期の富松四郎左衛門尉
 第三節 永禄二、三年富松四郎左衛門尉の奥州諸家歴訪
 第四節 その他
 おわりに

第三章 奥州における戦国大名の成立と守護職
 はじめに
 第一節 伊達氏における段銭・棟別銭の開始
 第二節 守護職補任以前における伊達氏段銭の性格
 第三節 蘆名氏における段銭・棟別銭
 第四節 奥州の戦国大名と守護=検断職
 おわりに

補論 塵芥集の世界
 蛇行する阿武隈川/大崎から伊達へ/「塵芥集」の成立/領国の「平和」貫高制の採用/天文の乱/理想主義者植宗/忘れられた法典

故小林清治先生のこと
あとがき

 内容紹介:本書は故小林清治氏(二〇〇七年四月四日死去)が生前に情熱を注がれた伊達氏研究の一部を構成するものであり、小林氏が市町村史等に執筆された伊達氏研究の論考、学会誌に発表された論文を中心に、さらに地域での講演等を付け加えて編集したものである。(まえがきより引用)



2010年9月18日土曜日

ヒー・イズ・レジェンド 読了

ヒー・イズ・レジェンド 読了
クリストファー・コンロン/編 小学館/刊 20100411初版819円 小学館文庫
著者:スティーヴン・キング&ジョー・ヒル
   F・ポール・ウィルソン
   ミック・ギャリス
   トマス・F・モンテルオーニ
   リチャード・クリスチャン・マシスン
   ジョー・R・ランズデール
   ナンシー・A・コリンズ
   ラムジー・キャンベル
翻訳:風間賢二
   白石 朗
   田中一江
   幹 瑤子
 リチャード・マシスンへ捧げたアンソロジー。
 私は映画の原作者としてのリチャード・マチスンの名は目にしており、記憶の中にはありましたが、それ以上でもそれ以下でもなく、ただ知っていただけでした。ナンシー・A・コリンズの新刊を探して検索していたところ、この「ヒー・イズ・レジェンド」が引っ掛ったので手にして見てはじめてリチャード・マシスンなる人物の偉大な足跡に気がつかされました。
 この本はリチャード・マシスンの作品を元ネタに、現在各界で名の売れている作家が書いた短編を集めたアンソロジーになっています。元ネタの一覧は「激突!」「種子まく男」「アイ・アム・レジェンド」「ある日どこかで」「縮みゆく人間」「陰謀者の群れ」「狙われた獲物」「地獄の家」となっており、映画に興味の有る方ならば、何処かで聞いた事の有る作品ばかりですし、SFマガジンやハヤカワ文庫の並びを眺めた事の有る方ならば、やはり目にしたような作品群になっています。さらにリチャード・マシスンは映画ばかりではなく、「ミステリーゾーン」などのTV番組の脚本なども手がけており、私にとっては彼を知らずともその作品に親しんできたと考えて間違いないでしょう。
 また、この本の解説を瀬名秀明が書いており、ゾンビ映画の原点が「アイ・アム・レジェンド」にあったことを始めて知りました。偉大なりリチャード・マシスン!しかもまだ存命中だそうです。私にとっては古典と思われた1950年代から60年代の作品はまだ現役の人の作品だったとは!?驚きを隠せません。俄然オリジナル作品を読みたくなりました。

 内容紹介:リチャード・マシスンの凄さをわかってほしい――スティーヴン・キングやディーン・クーツが畏敬する巨匠と言えば、わかるだろうか。それとも、スピルバーグのデビュー作『激突!』、『アイ・アム・レジェンド』『ヘルハウス』『ある日どこかで』等の名作映画の原作や脚本を書いていたと言えば、驚いてもらえるだろうか。本書は、そのマシスンの作品にインスパイアされ、人気作家が競作したトリビュート本である。スティーヴン・キング&ジョー・ヒル父子が『激突!』を親子版で描く。そのほか、『アイ・アム・レジェンド』の前日譚や、地獄の家の序章等々、驚異の力作ぞろいだ。(カバー裏表紙より引用)


2010年9月17日金曜日

かっこいいスキヤキ 読了

かっこいいスキヤキ 読了
泉昌之/著 青林堂/著 19830620第2版850円

 身辺雑記:電球が切れた。PanasonicパルックボールスパイラルEFG25EDG/20である。考えてみれば数年使っていたようなきもする。白熱灯に比べれば長持ちしたと思うが、コストと電気代はいくらであったのだろうか。インドネシア製であったのが失敗だったか?因みに夏の私の電気代は1200円+数円で、冷蔵庫が壊れてから電気代に変動は無い。新型LED電球も目にはいったけど、今回は東芝ライテック社製ネオボールZReaLEFA25ED/21-Rを買ってみた。今回は電球に購入日付を書いたので、寿命がわかるだろう。

 “料理”マンガと“グルメ”マンガは違うと考えています。“料理”マンガは字の通り料理や調理が載っているマンガです。その魁は「包丁人味平」(原作:牛次郎 漫画:ビッグ錠)であり、以後少年漫画では料理勝負モノ(傑作はTV版「ミスター味っ子」でしょう、TV番組「料理の鉄人」もマンガがあったからこそ成り立った番組だと思います。アメリカに輸出された「アイアン・シェフ」も好評だそうですが、コアなファンは「料理の鉄人」をオリジナルとして尊重しているとか。)、成人向けでは板前やコックが料理によって人を癒すストーリー等様々に派生しています。フランスの日本マンガファン系ブログでも紹介されているみたいです。
 では“グルメ”マンガとは何か?同じ“食べ物”を扱うけれども、主人公は“調理しない”で“食べる”のみの作品と(私が)定義してます。その“グルメ”マンガの先駆にして、私のグルメ・マンガの双璧の一方がこの「かっこいいスキヤキ」に掲載されている短編「夜行」です。
 トレンチコートを着たハードボイルドっぽいおじさんが夜行列車の中で駅弁を食べるだけのストーリーでありながら、人生の悲哀すら感じさせるほどに昇華された作品と云ったら大げさでしょうか。昨今のイベントに担ぎ出される駅弁では考えられませんが、現在の値段の半分以下で、三十年前ではホカ弁がやっと普及しはじめた頃、弁当と云えば駅弁が当たり前であり、お茶がまだプラケースで売られていた時代ならではの着眼点でもあります。
 この「夜行」は著者泉昌之のデビュー作であり、雑誌『ガロ』1981年1月号に発表されました。「泉昌之」は泉晴紀と久住昌之によるコンビ名。書名の「かっこいいスキヤキ」他ガロや宝島で1983年までに発表された短編が集められていますが、読み進めて行く途中で“ある”舞台装置に気付かされます。初めて読む人なら、はたと膝を打つ事でしょう。掲載誌が違うのに、作者達が伏線として仕込んで発表していたのかどうか、とても気になります。
 私的に「夜行」の次点は「ARM JOE」です。実話としか考えられない内容です。これほどの想像力豊かな少年だったからこそ、著者はこの道に進んでしまったのだと納得しました。また、今となってはありふれたギャグネタに成ってしまいましたが「スーパーウルトラジャイアントギングG」も初めて読んだ時には目から鱗が落ちたような感動を覚えました。「ロボット」は身につまされて笑えません。
 因みに私のグルメ・マンガ双璧のもう一方は「孤独なグルメ」(原作:久住昌之 漫画:谷口ジロー)です。最近再販されたようなので、機会があれば「孤独なグルメ」についても騙りたいと思います。


2010年9月16日木曜日

アキハバラ無法街 読了

アキハバラ無法街 読了
杉村麦太/著 秋田書店/刊 20080320初版552円 チャンピオンREDコミックス
 荒廃し廃れたアキバの街で細々と営業しているメイド喫茶に再開発の名の暴力がおとずれようとしていた時、女装娘メイド「くるり」が皆の街を守るため立ち上がる!!
 画面に描かれるアイコンは“cool Japan”ながら、ストーリーは見慣れた(私らの年代にはね)ウエスタン・アクション物を基本に忠実に作り上げているので土台はしっかりとしています。古典をシッカリと踏まえながらも(多分著者は古いアクション映画がお好きなのでしょう)荒唐無稽な世界設定を力技で魅せつけてくれる技量に敬服。何故に人気が出なかったのか!?私も新古書店で手に取るまで、この作品の存在を知りませんでした。著者杉村麦太の次回作に期待。
 最近の秋田書店は侮りがたし。私を面接で落とした恨みは忘れんが。

 内容紹介:旧アキバVS新アキバ!!!! 20XX年―――古き良き伝統と文化を守る「旧アキバ」を「新アキバ」の無法な暴力が襲う!!たった一人で非力な街を守るのは女装メイド少年、その名も「くるり」!!


2010年9月15日水曜日

ドリームバスター 7巻完結 読了 


ドリームバスター 7巻完結 読了

中平正彦/漫画 宮部みゆき/原作 徳間書店/刊 20101001初版619円 RYU COMICS
 「後に残されたのは、でっかい親心てかぁ」 薄ら覚えですけど「ジャイアントロボ‐地球が静止する日‐」で鉄牛がジャイアントロボと大作少年を揶揄した時のセリフを「ドリームバスター7巻」を読み終えた時に、浮かんできました。親の、特に母親の子への愛は海よりも深く山よりも高いものではないかと思う次第。 ただし、物語のテーマとしてです。だから現実を反映しているとは申しません。むしろ現実に出来ないからこそフィクションの中において人々の“理想”として描かれるんだと思います。現実世界において、美談としては良く眼にします。 これら子への愛を万人に挺することが仏教やキリスト教における“愛”であると思うのですが、腹を空かせた母親虎に身を食べさせる仏陀の小話ではないでしょうか。いやはや私には無理です。

 内容紹介:時間鉱山でマッキーと合流し、幾多の障害を乗り越え、結晶の城にたどり着いたシェンたちのパーティーに、再び数々の試練が襲いかかる!それぞれラストステージをクリアすることができるのか!?驚愕のコラボレーションコミック最終章!!

2010年9月14日火曜日

電波の城 11巻 読了


電波の城 11巻 読了

細野不二彦/著 小学館/刊 20100904初版524円 ビッグ コミックス 体調を考えちょっと休みを貰いまして、TVアニメ「化物語」の配信話と、先日録画し損ねた「刀語り」、「異世界の聖機師」、私にとって裏番組となってしまい視聴していなかったけれども世間的に好評な「世紀末オカルト学院」をネットで視聴してみました。 どれも面白い。 体休めろよって話ですが、完全に不調だと布団から起き上がれませんから、マズマズなのでしょう。 地方のアニメショップでCD・DVDやらアニメグッズを並べているのを見て、地域で放送していない番組が売れるのか疑問でしかたがなかったのですが、パソコンがあればほぼ関東地方と同じ視聴ができる事を考えると、なるほど今だからこそアニメショップが地方に展開出来るのだと思います。 それしにしてもネットと宅配の普及により、オタクにとって良い時代になりました。いや、良い時代になったからオタクが増えたとも考えられまが。
 最近は電波ばかりではなくネットでも視聴できるようになり、四六時中放送されているTV番組ですが、我々が見ている番組の舞台裏がどうなっているのかは、ほとんど知る事はできません。華やかな芸能界も“芸能界”という幻想がメディアにより演出されているとしか思えません。ただ今や“芸能”という特殊技能者達の世界ではなく、薄っぺらな“タレント”業界になってしまっているのは確実のようですが。 お台場に立つ丸の内テレビに乗り込んできた女子アナウンサー天宮詩織、彼女は日本中が注目した過去を持ちながらそれを押し隠し、何かの目的を持ってテレビ局に入り、人気を取っていった。そしてテレビ局にはテレビ局の思惑があり、テレビ局に勤める何百何千と云う人々が其々に思惑をもって行動し、その人々には家族がいた。無数の小さな渦がやがて大きな渦巻きに集合していくような、テレビ局を舞台にした大河ドラマ。 「ダブルフェイス」では全連載ページの主線をアシスタントが描いている回もありますが、「電波の城」での主要キャラクターは作者本人がペン入れをしているように見受けられます。それだけ気合の入れ方がちがうのでしょう。

  書籍紹介: 女子アナ成り上がり列伝!今年の女子アナMVP!!ーーバラエティから報道、お天気お姉さんまで フリーアナ・天宮詩織の人気は、さらに大晦日の格闘技特番で向かうところ敵なしのウナギのぼり状態!しかし、絶頂目前の天宮の前に再びトップキャスター・本城律子が立ちはだかる。テレビの腐敗を暴き、天宮を窮地に陥れる衝撃の告発番組とは!?権謀術数うずまくテレビ界に新たな激震がーー

2010年9月13日月曜日

桜蘭高校ホスト部 17巻 読了


桜蘭高校ホスト部 17巻 読了

葉鳥ビスコ/著 白泉社/刊 20100910第1刷400円 花とゆめCOMICS

 “愛の告白”ってのが少女マンガにおける一大クライマックスとなったのは、マンガが勃興した当時の出版倫理とか社会道徳の制約があり、かつ消費者としての読者の受け入れられる最大公約数にあったためと推測しています。マンガが技術的にも出版的にも進歩し、1980年代末頃から読者層の拡大が“大人の愛”を描ける雑誌の出現を促しましたが、主に出版社側が読者の嗜好を捉えきれずジャンルの発展に失敗し、製作者と消費者が同一である同人市場から発展した、より抽象化された愛、すなわちボーイズラブ系の隆盛が昨今の女性層ではないかと思います。ただ、少年から青年中年となっても夢想世界に遊び続ける男性と違い、女性の場合は少女から卒業にともないマンガへの興味も失う事も多いと思われます。

 マンガの一般論はさておき、ホスト部17巻です。 クライマックスです!18巻目もある様な事が宣伝されていますが、18巻目はエピローグと云うか余談とかボーナストラックとも云うべきもので、実質的最高潮はこの17巻である事が、読んだ人であれば疑うべき必要要の無いことだと実感できるはずです。

 曲解した例え話として、「ホストクラブ」は女性の癒しの場との定義をして、金持ち学園の中でも一級の金持ち且ハンサム(死語か?)が揃ったホスト部は、学内の様々な(主に男女の恋愛関係)を解決し、さらにはホスト部部員たちすらも友情の発露により癒され、最後に部長である環のコンプレックスが解消されるまでを描いた力作であったと云えるでしょう。さらには金持ち学園に特待生として入学してきた男装の貧乏少女がトリックスターとして読者の感情移入先の受け皿となる事により、物語をより安定させているヒロインとしての座が確固として首尾一貫していた点が、ここまで連載が続いた理由ではないかと思います。

 金持ちでカッコイイ男にに、貧乏だけど頭が良く気立ての良い娘が見初められる、オーソドックスな物語ではなるのですが、オーソドックスであると云う事は最大多数に受け入れられ易い事でもあり、伝統の流れの中にその時代性を組み込む事がヒットする要因であるとも考えられます。でもアレンジとはちょっと違うんですよね。

 内容紹介:環の退部騒動を受けホスト部は解散!祖母との関係修復に環は悪戦苦闘する。彼の真意を察したハルヒは、環と出会う前の自分に戻ると宣言!!一方、環を信じ待つ部員達は、鏡夜を中心に理事長の裏計画を突き止め!?悩める環のため動きだ出すホスト部…緊迫の17巻!!(カバー裏表紙より引用)

2010年9月12日日曜日

騒がしい死者の街 読了

騒がしい死者の街 読了
~優しい煉獄2~ 森岡浩之/著 徳間書店/刊 20080229初刷819円 TOKUMA NOVELS Edge

 このブログのタイトルは「がちょーん」です。直接は高橋留美子の「うる星やつら」からきています。私が高校時代「東北地区ラムさん親衛隊」と云うサークルを立ち上げ、会誌を作ろう誌名募集と云ったら、「ガチョーン」はどうだろうか作中でも使われているし、と云われたので「ガチョーン」に決定しました。以来幾年月ほとんど個人活動的存在になってしまいましたが「がちょーん」を名乗り続けています。「ガチョーン」と思いついたヤツもコミケに同人誌を搬入している印刷所の社長をやっているらしいし、人生は不思議なものですなぁ。
 我々の基となった「うる星やつら」ですが、やはり原点は谷啓氏の「ガチョーン」であることは明白でしょう。その谷啓氏も鬼籍に入ってしまわれました。黙祷。

 さて、現実世界で肉体は滅んでしまったが、コンピュータに創られた擬似空間の中で生き続ける主人公は「探偵」稼業を営む事に。
 死んでも金の必要な世界とは、夢も希望もありゃしませんぜ。
 “探偵”と云えば、昔は子ども向けの特撮・アニメ・マンガ・読み物にそりゃ溢れかえっていましたよ。探偵の秘密七つ道具と云えばちゃっちい玩具も欲しくて欲しくて堪らなくなったものです。最近だと「仮面ライダーW」が探偵らしい探偵ですかね。仮面ライダーWは最終回を見逃しちゃって無念。石ノ森章太郎や師匠手塚治虫には“探偵”は大活躍しています。恐らく使い勝手が良い肩書きだったのでしょう。残念ながらリアルな“探偵”はロマンの欠片も推理も無く、だったら弁護士とか“~士”のライセンスを修得して開業した方がまだ私の思い描く“探偵”の業務に近いような気もします。毛利小五郎探偵はどうやって稼いでいるのでしょうか?画面には出てこないだけで娘を高校に通わせるだけの仕事はしているということでしょうか。事務所の賃貸料も結構かかっているんじゃないんですか。なんて考えていくと、今もって“探偵”なキャラクターはけっこう居そうですね。
 「優しい煉獄」シリーズにおいて舞台は昭和末期の街を再現したバーチャルリアリティながら、日々コンピュータの設定が進化し続け、街の外観と共によりリアルな世界に近づいていく展開となっています。そしてリアルに成れば成るほど、人々の関係も複雑化してゆき、当初開店休業中だった探偵業も繁盛するようになり、新たな事件新たな人物との出会いと別れが描かれます。
 雑誌『SFジャパン』で連載していた一話完結型ではありますが、場所や人間関係等が繋がりを持っているので興味のある方は1巻から読む事をオススメします。
 でも、最後に白猫がやってきちゃったらなぁ。ユリアで良かったよ、クララだったらどうしようかと思っちゃいました。

 内容(「BOOK」データベースより):犯罪が始まってから、おれは忙しい。ここはVRNWS、電子的な死後の世界。そして、おれが這いずり回るこの下部世界は昭和末期を模している。おれがこの街でたった独りの探偵であるように、VRNWSで犯罪が可能なのはこの街だけだ。忙しいのはありがたいことだ―少しずつ「現実」に近づいていく、「仮想現実」。死者の街を駆ける私立探偵・朽網の活躍を描く、SFハードボイルド第2弾。
 内容(「MARC」データベースより):ここはVRNWS、電子的な死後の世界。下部世界は昭和末期を模している。少しずつ「現実」に近づいていく「仮想世界」。犯罪が始まってから、おれは忙しい…。死者の街を駆ける私立探偵・朽網のSFハードボイルド第2弾。
 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より):森岡 浩之 62年生まれ。SF作家。91年、「夢の樹が接げたなら」で第17回ハヤカワ・SFコンテストに入選し、作家デビュー。『星界の紋章』『星界の戦旗』がベストセラーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(アマゾンより引用)

 なんとか感想文が書ける程度には回復。お騒がせしました。人間寝ないと回復はおぼつかない。


2010年9月11日土曜日

帰宅してから今まで熟睡。

無論外で食事済み。今年度は駅前のデパートの中にある蕎麦屋で一週間か二週間に一度「穴子天せいろ」を食べている。自分としても結構な贅沢。で、食べ始めた頃に比べ天ぷらの野菜の数が二品も減った。野菜高騰のせいと思いたい。


2010年9月10日金曜日

少し回復

昨日抱えていた仕事が終了し前後不覚に睡眠したのが効を奏したのか、今朝歯医者で治療を受けたら大分症状が軽くなった。痛みが無くなると気持ちも大きくなって、読書をして感想文を書きたくなったが、土日仕事なので大事をとって寝る。

2010年9月9日木曜日

不甲斐ない

患部が痛いのか、その周辺が痛いのか判断できないほど右下顎全体が痛くなってきた。鎮痛剤が切れると七転八倒。

2010年9月3日金曜日

読経しちゃうぞ 読了

読経しちゃうぞ 読了
絹田村子/著 小学館/刊 20100315第1刷400円 flowersフラワーコミックスα

 古書店にて100円でGET!奥付を見ると6月20日第3刷版。新品同然でラッキー!! 神社と寺と教会の跡取り息子同級生達が恋に恋するコメディ。一歩間違えるとギャグになってしまうところを、危うくコメディーで堪えている才能に感動。TVで放送している新耳袋よりこっちの方が怖い。
 内容説明:審査員激賞のデビュー作ほか、珠玉の名品8作収録! 2010年漫画界最強の大型新人による神をも畏れぬ超絶コメディー! 神主の息子・恭太郎(きょうたろう)、住職の息子・孝仁(たかひと)、牧師の息子・工(たくみ)の3人は、宗教違えど心はひとつ! 家業と恋との間で苦悩する、若き聖職者たちの知られざる日常とは? 超運命的な出会いを果たした神社仏閣教会トリオの新感覚コメディーほか、コミックオーディション銀の花賞受賞作も収録された充実の1冊です! ●収録作品/鳥居は端からくぐれ!/金曜日は悪魔祓い!/読経しちゃうぞ!/僕達には秘密がある/鎮めてみせます!/小羊の召すまま!/道行き/夏男と鳥女 (アマゾンより引用)


 現在発売中『月刊アフタヌーン10月号』掲載「百舌谷さん逆上する」第30話 韮沢家の一族 は趣味にはじけていて素晴しい。

 「シドニアの騎士」はなんとなく「ファイブスター物語」の番外編を見ているようだ。

2010年9月2日木曜日

優しい煉獄 読了

優しい煉獄 読了
 森岡浩之/著 徳間書店/刊 20070831初刷648円 徳間デュアル文庫

 9月4日5日と埼玉県の鷲宮神社でお祭りがあります。もはや“祭”だと云っても過言でもないような気がします。埼玉新聞のHPを見ると大宮のパレスホテルでねんどいろフィギュア付きの宿泊プランとか、「アニメの第15話にちょっとだけ登場した」とかパレスホテルが宣伝しているし、もう何がなにやら判らない情況に陥っていますねぇ。一時埼玉新聞倒産説が流れましたが、もしかして「らき☆すた」効果がカンフル剤になりましたか。夏コミでは玉ニュータウンが会場外で番組宣伝していましたが、埼玉新聞は企業ブースに参加しても充分やっていけるような気がします。鷲宮神社と組んで限定絵馬でも売れば売れると思いますよ。幸手も虎視眈々と聖地の地位を狙っているみたいだし。閑話休題。

 「優しい煉獄」の話。
 古書として購入してから数年、玄関脇に積まれていた本を発掘してみました。 森岡浩之と云えば「星界の紋章」シリーズでしょう。戦う女の娘と脇に立つ常識人の“萌え”SFの先駆的作品(イラストが大当たりの可能性もあり)だと思っています。 そして今作品はハードボイルドの雰囲気を目指すキャラクターによるSF設定。「仮面ライダーW」を見る前に読んでおくべきでした。イメージが引きずられてしまいました。 細かい教義は知りませんが“煉獄”とはキリスト教徒が死んだ後神の裁きを受け天国と地獄に振り分けられる間存在する世界の事だったと記憶しています。初期キリスト教には存在していない概念ではなかったでしょうか。本作においては機械の力を使い「ゼーガペイン」の世界を死者生者入り混じっての世界にしています。 私事ですが、押井守の作品群や「空談師」に触発され、ゲーム世界で遊んでいる内にノンプレーヤー・キャラクター達が進化してしまい、プレーヤー達の殆どは違うゲームに移動してしまったが、まだ何人かのプレーヤー達がゲーム内に“名も無き神々”として留まっていた。ゲームマスターとしてはプレーヤーとの契約を打ち切りを望み、ゲームプレーヤー達を現実世界へ覚醒させるべく、キャラクター達に使命を与え古き神々(プレーヤー達)を目覚めさせるミッションを与える。かくして神と云う名を与えられたゲームプレーヤーへのメッセンジャー達と、世界を崩壊から救おうとするノンプレーヤーキャラクター達との闘いが始まった。と云う舞台設定に普通の男子高校生が転校してきた使命を帯びている美少女とともに巻き込まれるストーリーを考えていました。が、やはり素人の考えた事は陳腐としか云いようがありません。プロの書いた物語の面白さに打ちのめされるしかありませんでした。
  出版社 / 著者からの内容紹介:死者の街をゆく、私立探偵・朽網(くさみ)の活躍。全四話の連作長篇に書下しのエピローグも付す。アニメ化、ゲーム化もされたベストセラー「星界の紋章」「星界の戦旗」(ハヤカワ文庫JA)作家の最新長篇。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
 内容(「BOOK」データベースより):「マスター、このコーヒー、冷めているよ」「お客さん、今朝からコーヒーは冷めるようになったんですよ」この世界、リアルを追求すると、不便になっていくのだ。そう。ここは、現世で死を迎えた連中が、生前の記憶を仮想人格として保持し、電子的な夢を共有するフィールド。すなわち―死後の世界。私立探偵を営むおれ、朽網康雄は、喫茶店『カトレア』で今日も油を売っていた。事務所へ戻ると、黒電話が耳障りな音をたてている。依頼の電話か?おれは受話器をとった。それが事件の始まりだった…。
 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より):森岡 浩之 SF作家。1962年生まれ。1991年、「夢の樹が接げたなら」で第17回ハヤカワ・SFコンテストに入選し、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) (アマゾンより引用)

2010年9月1日水曜日

司馬遼太郎が語る(第三集) 聴了

司馬遼太郎が語る(第三集) 聴了
~草原からのメッセージ~ 新潮社/刊 20050925発行

 先日昼飯に蕎麦をたぐっていると、小学生の男の子を連れた三人家族が座っていました。男の子は暇をしているのか、しきりと「ビョウ、ビョウ」と繰り返していました。私は、嗚呼少年は「もののけ姫」を見てサントラで云うところの28曲目「黄泉の世界」を口にしているのだろう、と考えました。その家族の父親が、何だその“ビョウ、ビョウ”と云うのは?と聞くと、少年に代わって母親が、狂言の犬の鳴き声ですって、と答えました。
 “ビョウ ビョウ”と云うのは犬の鳴き声だったのか!
 ならば久石譲はシシ神が死を振りまく黄泉の世界の中で、犬神(この場合は“オオカミ”狼=大神の意が妥当ではなかろうか?)の母の死と共に、犬の声をBGMに入れていたと言うのか!
 久石凄えぇ。
 当然ながら宮崎駿も知っていたのだろう。
 犬の鳴き声はワンワンだ、と少年は声を張り上げましたが、確かに狂言ではある種の様式化定型化をする古い演劇スタイルと考えられるますが、犬ではなく狼のマネをしたのだとすると、狼は犬の様に吠えないので、喉を鳴らす現代なら“グルグルグル”とでも表記する唸り声を“ビョウ ビョウ”としたのかもしれません。
 子どもに狂言を見せるなんて、なんて教育的な家庭なんだろう、と思いつつ店を出、電車に乗った時、「日本語であそぼう」かもしれない事に気がつきました。閑話休題。

 講演会の記録CD「司馬遼太郎が語る(第三集)~草原からのメッセージ~」を聞きました。
 話の内容はだいたい「草原の記」や「この国のかたち」等のエッセイに書かれているものがほとんどでした。
 文章を完成させるには過程の何処かで音読か黙読かは人によりますが、“読む”行為が必要になります。出身地方や個人の資質でどうしても独特のイントネーションが生じます。日本の学校教育の賜物か、お隣中国が話し言葉は異なれど漢字で共通化することに成功した事がお手本になっているのか、書き文字にするとほぼ意味の伝わる“文章”になります。況や司馬遼太郎は新聞記者であったためか、とても読みやすく解りやすい(誤解されにくい)文章を書きます。
 それでもやはり大阪出身のご本人の声を聞くと、文字情報とは違う、関西弁の温かいニュアンスが伝わってきます。「情報」としてならば“ノイズ”でしかないのですが、例えば芸術で写実性なら写真に劣る絵画が今もって描かれ続けているのは、個人のフィルターを通しての“ノイズ”にこそ芸術性を求められるのではないのでしょうか?神林長平がそんな短編書いてました。
 死して十数年、博覧強記の司馬遼太郎の“モノ語り”を聞ける幸せを噛締て、司馬遼太郎記念館へ無性に行きたくなりました。

 内容紹介:中国東北部から東ヨーロッパへと続く広大なステップを舞台に、栄枯盛衰を繰り広げてきた草原の民──匈奴、スキタイ、モンゴル、韃靼などその時々でさまざまな呼び名を持つこの草原の民と彼らが築いた「遊牧」という文明の意義について語る。(1992年千葉市文化センターにて収録)