木更津駐屯地航空際

木更津駐屯地航空際
2019年12月8日木更津駐屯地航空際にて撮影

2010年8月18日水曜日

『七人の侍』と現代 読了

『七人の侍』と現代 読了
―黒澤明 再考― 四方田犬彦/著 岩波書店/刊 20100618第1刷720円 岩波新書(新赤版)1255
 映画「七人の侍」は傑作である事に異論はないと思います。演出がトロいとか白黒映画は見れないとホザくヤツは論外。私が小学生だった時、当時まだ深夜のTV放送が無かった時代、正月放送で深夜に初めて見ました。終わったのは早朝4時とか5時。不思議な事に映画を見ている間、まったく眠気を感じませんでした。冬休みでいくら夜更かしが好きだったとは云え、小学生で徹夜をしたのはこの時が初めてでした。そのくらい面白かった。名作とは時代を超え、国境を越え、年齢を越えて人々に興味を覚えさせるものだと、この時確信しました。
 では何故“傑作”だと思えるのか?
 その答えが本書に書かれています。
 本書においては、世界で普遍的存在となった“黒澤明”と彼の作品である“七人の侍”を、世界各地で映画研究をしてきた著者四方田犬彦の体験から、そして洋の東西の資料を駆使し“七人の侍”の作品の解読と監督黒澤明の解剖、そして作品の時代背景と日本そして世界の映画史上における意味を、新書と云う薄いページに対して盛り沢山の内容ながら、著者の文章の巧さとテーマを絞ったピンポイントの解説が小気味良く展開し、“七人の侍”のコードを紐解いていきます。
 “七人の侍”のみならず、黒澤明映画に興味があるならば必読。また単に映画を見るのが好きと云うだけでは飽き足らない、もっと勉強したい、と思う人は必見。ここに紹介されている映像・文章資料に目を通すだけで映画の基礎が身に付く事でしょう。
 瑣末ながら「美少女戦士セーラームーン」が“七人の侍”のモチーフを踏襲している点においては同意(この理論からすると戦隊モノも合体ロボットモノも全て当てはまるのでは?)するところではありますが、粗筋を三行で紹介しているその内容が…。確かに間違った事は書いてませんけど、当たっているとも云いがたいのですが。まあ、あえて筆を滑らせているのでしょう。(38p)
 個人的にはアニメ「ガンバの冒険」(原作名「冒険者たち」)に言及していただきたかった。「七人の侍」をなぞりながらも、児童文学として完成した傑作だと思います。
 「一九九〇年代以降のジェンダー研究では、同性愛(ホモセクシュアリティ)とは別に、男どうしの肉体を伴わない強い友情の絆を同性社会性(ホモソーシャリティ)と呼んで、区別して認識することが一般的となっている。」(113p)“同性社会性”ですか。初めて知りました。そうすると例えば漫画家横山光輝は同性社会性の強い作品を描いていると云う事ですか?本書中にも言及されている通り、マンガは映画の影響を(今もって)受けており、日本映画が「ホモソーシャリティの王国」(114p)であるならば、その影響下にあったマンガもまたそうなのでしょう。いままで手塚治虫と横山光輝の差を言語化出来ずに煩悶としていましたが、やっと言語化出来るような気がします。
 
 内容紹介:日本映画を代表する古典的名作として、幾重にも栄光の神話に包まれている黒澤明の『七人の侍』。しかし世界のいたるところで、いまなお現代的なテーマとして受容され、その影響を受けた作品の発表も続く。制作過程や当時の時代状況などを考察し、映画史における意義、黒澤が込めた意図など、作品の魅力を改めて読み解く。
 内容(「BOOK」データベースより):日本映画を代表する名作として、幾重にも栄光の神話に包まれてきた黒澤明の『七人の侍』。しかし世界のいたるところで、いまなお現代的なテーマとして受容され、その影響を受けた作品の発表が続く。制作過程や当時の時代状況などを丹念に考察し、映画史における意義、黒澤が込めた意図など、作品の魅力を改めて読み解く。(アマゾンより引用)

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