木更津駐屯地航空際

木更津駐屯地航空際
2019年12月8日木更津駐屯地航空際にて撮影

2010年10月3日日曜日

ル・オタク 読了

ル・オタク 読了
~フランスおたく物語~ 清谷信一/著 講談社/刊 20090115第1刷476円 講談社文庫
 ヨーロッパの国々で若者達に日本のサブカルチャー系のマンガ・アニメ・音楽・ファッションが受けているらしい。その中でもフランスにおいてはマンガ・アニメ・ゲームを好きな連中が集まって日本のようなイベントを行い、コスプレで楽しんでいると新聞などが取り上げています。
 一見すると21世紀にはいり突然“ジャパン・ブーム”が到来したような印象をうけますが、当然前史とも云うべき数々の出来事があり、特にフランスを中心としたフランス語圏の国々において日本のマンガやアニメがどう受け入れられていったのかを概説したルポルタージュ。初出は1998年にKKベストセラーズより刊行された「Le OTAKU フランスおたく事情」。文庫化にあたり改題・加筆修正が行われています。特に十年を経ての文庫化にあたり、第7章として最近の事情を加えています。
 フランス語圏(フランス・ベルギー・スイスの一部等)において「バンド・デシネ」と呼ばれるマンガのジャンルがもともとあり、例えば作品なら日本の公立図書館の絵本コーナーに必ずといってよいほど揃えられ絵本として有名な「タンタン」シリーズや、作家なら日本でもアニメ・マンガ雑誌等でも多々紹介されている作家「メビウス」などが代表として挙げられます。これらを底流として、80年代に国営テレビしかなかったヨーロッパ各国が一斉に規制緩和をし民放テレビ局を設立したが、放送する番組が無く、番組価格が安い日本製アニメを放送していたために、当時の子ども達の記憶に日本製アニメが刷り込まれた、としています。そして80年代のフランスで日本製マンガ・アニメとその周辺グッズを売るお店「トンカム」を設立した「ドミニク」氏の半生を紹介しつつフランスでのマンガ・アニメの動向を紹介していきます。
 ルポ系の文章は主観こそが命であり、その人(著者)の話が面白いかどうか信用できるかどうかが重要になります。その点ミリタリー系の書籍を数々出し、ゲームのシナリオを書き、シュミレーション小説を書き更にマンガ・アニメを趣味とする著者と、読者の私は殆ど重なっていると云っても良く、親しみすら持ちつつ読み進められました。また著者は貿易商の顔をもっているらしく、世界各国を渡り商売をしているそうですが、日本の外務省の無能ぶりにホトホト愛想をつかしているのか怒っているのか、ミリタリー的思考における国家戦略の無い唯一の先進国“日本”の不甲斐なさぶりを書き連ねています。不思議な事にライトノベル作家「鷹見幸一」が日本の外務省について作品内で書いた話と視点がほぼ同じに感じました。海外において同じような体験をしたのかもしれないし、ミリタリー系で繋がりがあるのかも、とか考えてしまいました。
 人に歴史があるように、社会現象においても歴史があるものだ、と思いました。“オタク”と云えば宮崎事件とキモ気味悪がられていた時代とは雲泥の差を感じます。


 内容説明:フランスで起こった日本アニメ旋風、その後ジャパニメーションと呼ばれ、フランスを中心にヨーロッパで日本のアニメは絶大な支持を得る。だが90年代後半を境に、日本のアニメの人気にがりが見え始めた。
 内容(「BOOK」データベースより):一〇年ほど前、世界は「おたく」を求めていた。パリを中心に、欧米で巻き起こった二〇世紀末のジャポニズム、それに関わった者たちの姿をレポートする。フランスだけでなく、日本のアニメ産業の現状や、問題点も鋭く分析。文庫化にあたり再取材を敢行し、今日の「おたくカルチャー」のすべてがわかる決定版。
 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より):清谷 信一 1962年生まれ。東海大学工学部卒。ジャーナリスト、作家。日本ペンクラブ会員。広告業界、ロンドン遊学を経て執筆業に。執筆業の傍ら起業、貿易・小売も営む。買い付けを兼ねて、毎年欧州、中東、南アフリカなどを主たるフィールドとして軍事を中心に海外取材活動を行う。ゲームのシナリオやTシャツのデザインなども手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(アマゾンより引用)


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