木更津駐屯地航空際

木更津駐屯地航空際
2019年12月8日木更津駐屯地航空際にて撮影

2010年12月4日土曜日

ハリウッドではみんな日本人のマネをしている 読了

ハリウッドではみんな日本人のマネをしている 読了
マックス桐島/著 講談社/刊 20091120第1刷838円 講談社+α新書
 ビデオ&DVDデータ等を眺めていると日本未公開の映画のなんと多い事か。映画館で公開される洋画は全体の極一部にしか過ぎないのだと云う事に改めて気がつかされます。劇場公開作品を追いかけるだけでも大変なのに、有象無象の映画を追いかけるなんて一日24時間しか無いのだから物理的に不可能としか云いようがありません。映画も商品なのだから、売れなければ日本に持ち込んだ会社が潰れます。海外から買ってくる場合、当然日本で売れる作品のみを買い付けてくることになります。それでも売れるかどうかは公開しなくては解りません。日本で公開される、と云う行為だけでも、既にディーラーのフィルターを通して上澄みだけを、玉石混交の玉だけを取り出して来ていると考えられます。その逆もまた然り。海外に輸出されているのは、日本国内でのフィルターを通した後の品なのでしょう。
 本書の中で、ハリウッドの映画現場で映画学校の日本人留学生を重宝していると書いてあります。でも、国内ではなく、あえて世界を相手にしようとわざわざ国外へ出るような人間を考えれば新進気鋭に富むチャレンジ精神が爆発しているようなキャラクターなのではないでしょうか。その点アメリカ本国の学生が、現場で使い物にならないのは、日本国内においてもマンガや映画の専門学校に通う学生の大半が他では使い物にならないような、満足にバイトも務まらないようなキャラクター達であることを思えば当たり前だと云う事に気がつきます。
 すなわち本書のコンセプトは、著者がアメリカで見た“クール・ジャパン”の上澄みだけを選りすぐって並べた、日本人にとってとても気持ちの良くなる内容と云う事です。
 それでも鏡としてアメリカに映る“日本”と云う存在を見直した時に、コピー商品と粗悪品の代名詞であった「メイド・イン・ジャパン」の数々が、農協観光で世界中に顰蹙をかった世界の田舎者が、今や耐久性や性能で世界で一番信用されるブランドとなり、アンケートなどで観光客の好感度が常に上位に選ばれたりと、昭和のある時期を知る世代としては隔世の感があります。
 先進国内では唯一の非キリスト教国家であり、非白人の国であり、世界最古(に結果として成ってしまった)の王家を頂く国、千年におよぶ歴史を内包し、植民地化されることなく、独自の文化を継承しながら、もしかすると民生テクノロジーに関しては世界No.1であるかもしれない、サムラライとニンジャの国“Japan”。ほぼ同じ価値観を持つ先進国同士の中で唯一エキゾチック感を醸しながら、安心と安全と快適性を保障された国だからこそ諸外国に人気があるのではないかと思う次第。
 先日会社の同僚がポルトガル旅行のお土産として「カステラ」を買ってきてくれました。ポルトガルの空港で購入したそうですが、日本のカステラそっくりで驚きました。中に解説書があり、日本語で書いてありました。カステラは戦国時代ポルトガルから伝わったと言われていますが、材料の入手条件などから日本の風土に根ざした菓子となってしまい、またポルトガルでもかつて日本に伝わったであろう菓子とは別物になってしまったそうです。そこでポルトガルの若者が長崎の老舗カステラ屋で修行して帰国したのが、空港で売っていた「カステラ」でした。さあ、この「カステラ」は何処の国の食べ物だ?
 別な同僚がパリで日本食を食べたくなってラーメン屋に入ったんだそうです。出されたのはモヤシがイッパイ入ったラーメン。でもそのラーメンは明らかにインスタント食品で、モヤシもモヤシ臭いものだったそうです。ラーメンとビールで二千円くらい。世界中で日本食の誤解が広がっているような気がします。だいたいカツオ出汁とコンブ出汁の区別がついているのでしょうか?そもそも出汁を使っているのでしょうか?等など疑問百出です。拙者は海外に出た事無いけど、知人の話を聞くと、日本食の認定を政府がしたがる気持ちも解るような気がしてきました。いやいや、ワールドワイドな食とは現地化してこそではないか、カリフォルニアロールを見よ、異なる文化が出会って新たな文化が生まれるのだ、と云う気もしないでもありません。
 話が食へ行ってしまいましたが、ハリウッドで日本を重視するのは、SONYを筆頭にジャパン・マネーが流入しているのもあるでしょうし、何より日本がハリウッド・ムービーの大市場となっているからだと思います。アメリカ本国で売れても世界で売れなければ、ハリウッドの大作は制作費の回収は出来ません。アメリカで人気が出たと云うより、現在では日本で受けたと云った方が世界市場での通りが良いのだとか。その辺の話が本書では紹介されていないのが残念です。折角日本人でありながらハリウッドのプロデューサーの肩書きを持っているのであれば、ハリウッドの裏話も聞きたい所です。でもその手の話が無いのが逆に不思議に思いました。

 内容説明:日本のソフトパワーが遂にアメリカを変えたハリウッドのセレブのあいだではいま、日本人の「心」をコピーするのが大流行。アフター5も「TOKYOスタイル」が定番に。日本が世界の中心になる日も近い!
 内容(「BOOK」データベースより):日本化する米国人。世界の文化の中心もJapan。「いま日本で流行っている物は何?」が合い言葉。
 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より):マックス桐島 1956年、神奈川県に生まれる。日本人有数のハリウッド・プロデューサー。DENピクチャーズ社長兼CEO。上海SJSスタジオ・マネージングパートナー。現在までに、大手スタジオ作品1本を含むハリウッド映画14作品をプロデュース。「ブルーヒル・アベニュー」でアカプルコ国際映画祭最優秀映画賞受賞。UCLA映画学科で映画制作を専攻したあとハリウッド俳優に。その後、ハーバード大学でビジネスを学び、1990年、映画ビジネスを始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(アマゾンより引用)


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