木更津駐屯地航空際

木更津駐屯地航空際
2019年12月8日木更津駐屯地航空際にて撮影

2010年12月30日木曜日

進撃の巨人 1巻~3巻 読了


進撃の巨人 1巻~3巻 読了
諌山創/著 講談社/刊 ①20100317第1刷419円 ②20100716第1刷 ③20101209第1刷419円 
講談社コミックス

 「自立した個人の育成」がある意味戦後日本(旧教育基本法)の教育に課せられた使命でした。太平洋戦争の反省と民主主義の根幹には“自立した個人”が必要不可欠です。ところが残念なことに社会体制が自立した個人を支えるだけのシステムを構築するには至りませんでした。太平洋戦争による占領軍、明治維新による急激な近代化等百年間に大きく2回前時代の否定を体験した為に、人間関係と社会関係の構築を馴染ませる事が出来なかったと考えられます。
 「自立」と「自律」、「個人」と「個別」等似ているけど別な意味を成しているにもかかわらず、混同してしまっているのが現在ではないでしょうか。個人の権利とワガママは別物であり、その根幹には「自律された個人」の存在が不可欠です。自立(自律)した個人は知識を与えれば出来上がるものではなく、道徳や慣習といった地域ぐるみの人間関係と家庭教育によって伝達されます。現在日本の社会環境は地域の結びつきを薄め、血族間の結びつきを薄める方向に進歩してきました。逆説的に、人間関係を薄める事により現在の発展があったとも考えられます。でも、人間関係が薄められた時の“負の発展”とも云うべき現象もまた生じています。ここまでは一般的概説。大風呂敷を広げたまま、抽象化された個人と云う者を考えて、孤独死する壮年男性や育児放棄をする女性とか無差別殺人魔とかニュースや新聞を賑わしている話題を取り上げます。
 かつて埼玉の幼女連続殺人事件の時、犯人の部屋いっぱいのビデオやマンガの山をして、ホラ見たことか虚構と現実の区別がつかない人間がいると騒ぎ立てられました。拙者的には真向否定しますが、羊たちの沈黙ではありませんが、常に妄想(シュミレート)することを現実に移し変えるのは簡単です。
 人間はモデルとなる元がなければ想像(創造)する事が難しく出来ています。中には天才もいますけどあくまで例外です。ウルトラマンや仮面ライダーや鉄腕アトムや鉄人28号で育った人間は、正義とか悪とか平和とかの基準をTV番組に拠る可能性があります。特に日本の場合宗教的戒律の影響が諸外国に比べて小さいように見受けられますし、政治的イデオロギーも目に見える形で押し付けられていませんし、前出のように道徳・慣習・規範が戦後年を経るごとに変容しています。
 例えば学校生活では平凡な(レールに乗ったもしくは他律的なとも言い換えられられる)日常と思っていても、社会に出れば自立的に課題・目的・目標を設定し遂行しなければなりません。しかもその評価は相対的なものであり、成功もあれば失敗もあり、運不運が大きく作用します。家庭や学校に守られた平凡な日常世界においては、宇宙人攻めて来ないかなとかスーパーヒーローが現れないかなと妄想していたのが、社会と云う現実に出ていきなり自立(自律)を求められても上手く生きていく事が出来ない人が続出しています。家庭がダメな時に新たな共同体(職場とか宗教とかサークルとか)をつくるか入れるか出来ればよいですが、出来なかった場合、自傷するならまだしも他傷する人が出てきました。宇宙人も攻めてこずスーパーヒーローもロボットも現れなかった時に、とる行動は、自分が正義の味方になるのではなく、悪の手先に成る事でヒーロー(絶対他者)に自己を救済してもらうことではないでしょうか。例えるなら「アンブレイカブル」の世界であり、善人なおもて往生すまして悪人においておやの世界です。突発的に嗚呼人が殺してぇ、と思い立ったら殺しまくっていたとはとても考えられず、その前段階がいったい何だったのか、人の心など言葉で説明はできるわけはありませんが、昭和から平成の時代の中無差別殺人事件が最近増えているような気がします。

 さて「進撃の巨人」の話。各界で話題の作品。ストーリーは根幹はぶっちゃけゾンビ・モノです。天敵に喰われ絶滅寸前に追い込まれた人類が砦に籠り百年、難攻不落と思われた外壁が天敵に落とされ、後を無くした人類が内壁を死守しようとしているのが現在。仲間達が次々と倒れ喰われているなか、主人公にも絶体絶命に陥る。秘められた力が発動し奇跡の大逆転。だがしかし狂乱の極みに至った人間達にしてみれば主人公もまた天敵と同じバケモノにしか見えなかった!
 人類の天敵が“巨人”と云うのも秀逸ですね。怪獣でも良いんでしょうけど、人と同じ姿をした存在が不気味さをいや増します。舞台世界の設定も小出しだし、巨人という存在の謎、主人公達の謎とか伏線が盛り沢山なのも次回への期待が膨らみます。そして、生か死かみたいな二者択一ではなく、絶望の中でただ生きる為だけに、人間のエゴ丸出しの最前線において唯一家族を守るためだけに命を投げ出し喰われて行く人々を描く究極の生き様に、読む人々の琴線に触れるのは当然でしょう。中には絵がダメな人もいるとは思いますが、それは好みの問題なので致し方ないですし、1巻発売時で23歳の著者と云うのも才能の発露と云うか、このストーリーと演出は無茶苦茶凄いですねぇ。これで絵が上手ければ「バクマン。」の新妻エイジと云っても過言ではありますまい。
 まあ、どん詰まりの絶望状況の中で主人公と思われていた少年が巨人に喰われてしまうのも衝撃ですが、2巻終わりがまた劇的な演出で感動。マンガは“絵”じゃないですから、あくまで“図”なんです。それに経験を積めば絵は上手くなります。センスは経験でどうにかなるようなものではありません。
 拙者は何故かこのマンガを秋田書店系と認識していました。コミックスを読んで益々その思いを強くしましたが、この文章を書くにあたり、あれチャンピオン掲載でなくてマガジンだったの?と云うのが正直なところ。不思議です。

 さて、2010年冬コミの2日目。
 見よ東方は赤く萌えている~!(東方不敗風に)
 この場合の“東方”は“東方プロジェクト”です。東2館の横中央通路は“漢祭”。前が詰っているのに押してくる馬とか追い越そうとして混乱に拍車をかける鹿続出。男性ならまだしも女性にいたってはただモミクシャにされながら流されているだけなのを何人も見かけました。
 本日ご紹介するのは「落人舎」(東ロ04a)の「ヘッドボム」Nol.4。えーっと、この本を書いているのは拙者をこの即売会の世界へ引導した袋御面氏が主催しています。ですのでまあ身内の宣伝と思ってください。60年代とか70年代の懐かしい番組とかサブカル系の紹介をしています。
 袋御面氏とは最近はコミケで挨拶するくらいになってしまいました。機会をつくって飲みたいものです。

 1巻内容説明:巨人がすべてを支配する世界。巨人の餌と化した人類は、巨大な壁を築き、壁外への自由と引き換えに侵略を防いでいた。だが、名ばかりの平和は壁を越える大巨人の出現により崩れ、絶望の闘いが始まってしまう。
 2巻内容説明:巨人が支配する世界。まだ見ぬ壁外の世界に憧れるエレンは、訓練兵となり、仲間とともに巨人に対抗する技を磨く。だが大巨人の出現により、無数の巨人が壁の中に侵入。親友であるアルミンを助けようとするエレンだったが、かわりに自らが巨人に食われてしまう‥‥!!
 3巻内容説明:大巨人の出現により壁が崩壊し、無数の巨人が壁の中に侵入する。ミカサは次々に巨人を倒すがエレンの死の知らせに動揺し、危機に陥ってしまう。そこへ巨人を襲う謎の巨人が登場し、ミカサの窮地を救う。何体もの巨人をなぎ倒し、遂には力尽きた謎の巨人。その正体は‥‥!!(アマゾンより引用)
(別冊少年マガジン掲載・週間少年マガジンにて読切り掲載)

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