沓掛時次郎 読了
~劇画・長谷川伸シリーズ~ 小林まこと/著 長谷川伸/原作 講談社/刊 20101122第1刷933円 イブニングKC
「漫画」が好きならばこの本を読みたまへ。
物語の面白さ、演出の妙、絵で語るとはこの事だ。 残念ながらアニメショップでは入手し難いです。一般の本屋とか漫画専門店の方が並んでいます。いや、最早アニメショップであっても特化した仕入れをしなければやっていけないと云う事なのでしょうか。確かにアマゾンの方が安くて便利で楽でですから。
今作品は股旅モノの名作なれど、拙者も名前くらいは知っていましたが、内容までは知りませんでした。拙者も股旅モノで知っているのはTV番組としての「木枯し紋次郎」とか、「座頭市」がせいぜいです。拙者の幼少期が最早時代劇とか義理人情の世界は古いと云う風潮が主流になっており、古き良き日本などというものは脱皮すべきモノと見做されていました。しかし、温故知新と云いましょうか、知識や体験が増える事で“古く”て“無意味”と思われたモノが実は時代を越えて有益なものではなかろうかと考えるようになってきました。しかし草履と草鞋の区別すらつかない時代にになってしまっては、最早手遅れのような気もしないではありません。二十代三十代はともかく、四十代ですら古新聞を満足に縛ることも出来ないのを目の当たりにすると、今の子供達に生活を営む力が無い云々よりも先ず親達に生活力が無いことを実感すると供に、これほど浮世離れした時代に、地に足を着けた物語を紡いでも理解されないのではないかと思います。ライトノベルやケータイ小説が正にそう。現在に生活感が無いわけではありません。環境が変わったと云うべきなのでしょう。
原作者の長谷川伸は昭和前期に活躍した小説家で、股旅モノというジャンルそのものが長谷川伸から始まったようです。
小林まことは「1・2の三四郎」「What's Michae?」以来久々に読みました。まさかこうも背景に実写を取り込みつつ、昔のイメージのまま絵柄が洗練されていたとは知りませんでした。
内容紹介:親子連れに見える三人が、ある旅籠にやってきた。自分達は夫婦ではないという男に主人が真相を問うと、男は一言「そいつはお聞きなさらねぇでくだせえ」と言う。その男の名は、沓掛時次郎。人には言えぬ悲しい因果を背負い、女と子供を連れて旅をする、かつては博徒だった男‐。 義理とはなにか。人情とはなにか。これは日本人が忘れてはならない、美しき愛の物語である。(帯より引用)(イブニング掲載)
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