木更津駐屯地航空際

木更津駐屯地航空際
2019年12月8日木更津駐屯地航空際にて撮影

2011年3月31日木曜日

ブレット・ザ・ウィザード 1巻 読了


ブレット・ザ・ウィザード 1巻 読了
園田健一/著 講談社/刊 20110323第1刷581円 アフタヌーンKC
 移動の辞令が下りたので、3年間通った職場を引き払いました。自転車で片道8㌔、往復16㌔、一週間5日出勤で80㌔、良くぞ通っていたものです。明日からはコンピュータのソフト上で片道約12.5㌔、往復25㌔、一週間で125㌔っスか。明日は荷物もあるので自転車で出かけますが、そろそろメゲそう。
 震災特番のあおりを受けて深夜アニメ番組の駆け込み最終回が集中。「君に届け2」「ドラゴンクライシス」が2話分連続1時間で放送。イッキに見ることが出来て良かったのですが、風情がないなぁ。

 さて「ブレット・ザ・ウィザード」の1巻発売中。著者園田健一は本当に鉄砲が好きですねェ。一見巨大ロボットのエグザクソンもドデカイ大砲に手足を付けたようなもんだし。日本に生まれていなかったら、恐らく実写映画を撮っていたことでしょう。と、云うか何故実写映画を撮らないんでしょうね?それだけの人脈もコネもあると思うのですが。いや、もしかしたら自主制作映像とかを撮って別名義で発表しているのかもしれません。それともそんなモノを国内で撮っている暇があったら、海外へ出かけて行って、実銃を撃ちまくってマンガ作製の資料を掻き集めている可能性は大きいですね。取材と称して、本場のガンスミスに師事していたり。
 今度のシリーズは銃と魔法をミックス。昨今“魔法モノ”が世界中で流行っていますからねぇ。単純な銃のドンパチだけでは、いくらマンガでリアルに描いても喜ぶのはマニアばかりではなかったかと。音も光も硝煙の臭いすら漂わないマンガで、絵的にハデなアクションをカマせる手段として魔法と合体させたのは、ある意味エポックメイキングの様な気がしましたが、拙宅がちょーん内でも紹介している「銃姫」他、案外魔法を撃ち出す小道具は多々見うけられるかもしれません。しかし、魔法を使える銃はあくまで小道具であって、主人公の動機や目的など、今巻はメインキャラクターの紹介なので明かされていませんが、著者園田健一の技量を考えると、今後ドラマがどのように展開していくか、期待できると思います。

 内容説明:舞台は1960年代のアメリカ。かつて、手品師として大人気を誇っていた主人公「ブレット・ザ・ウィザード」は、ある事件がきっかけで、本物の魔法を使う“魔法使い”になっていた!不思議な少女・ティティアリスと共に魔法の銃でギャングと闘う、まったく新しいガン・アクション!
 著者について 園田健一:1962年12月13日生まれ。大阪府高石市出身。愛称は「ソノケン」「園やん」。代表作品:『砲神エグザクソン』、 『ガンスミスキャッツ』、『ガンスミスキャッツ・バースト』、園田健一作品集『PRIVATES LIVE』、園田健一コミック・セレクション『PERIOD』、園田健一初期作品集『FuseBox』 。アニメ作品では、『ガルフォース』シリーズのキャラクターデザイン、『バブルガムクライシス』シリーズのキャラクターデザイン、『ライディング・ビーン』の原案・絵コンテ・キャラクターデザイン、『おたくのビデオ』のキャラクターデザインを手掛ける。(アマゾンより引用)
(アフタヌーン掲載)

2011年3月30日水曜日

境界のRINNE 7巻 読了


境界のRINNE 7巻 読了
高橋留美子/著 小学館/刊 20110323初版419円 少年サンデーコミックス
 拙者の近所では白木蓮が咲き、早咲きの桜が芽吹き始めました。春ですねぇ。今年は花粉ばかりでなく放射能まで降ってますけど。流石21世紀。日本では花粉注意報とともに放射能注意報まで日常的にTV放送されるとは!これぞSFと云わずして何をSFと云うのだろうか。
 被災地はどうか知りませんが、拙者の周りでは豆腐・パン・牛乳も出回り、本日水2ℓのペットも普通に購入できました。震災以前からコーヒーを飲むのに水を買っていたので、やっと普通並になってきた感じがします。これで納豆が出回れば日常に戻れる気がします。
 牛乳で一番最初期に見かけたのが「グリコ」でした。なんでだろうと考えたら、江崎は関西系でしたね。関西の飲料メーカーで関東に販売網を持つ会社が今回の勝ち組なのではないでしょうか。

 さて「境界のRINNE」の話。今巻は高橋留美子の真骨頂とも云える恋とドタバタの短編連作シリーズ。“恋”にって云っても好きだ嫌いだと小学生みたいな事を云っているだけな話なんですけどね。まあ、掲載誌の週刊少年サンデーの読者層がそうだと云うのなら、ちょうど良いのでしょう。いや、狙っているのでしょうか。
 あっ!主人公達が通っている高校はいまもってブルマだ。この文章を書くためににパラパラ見ていて気がつきました。サービスなんだろうけど、平成生まれの人々には江戸時代の和服もブルマも“知らない世界”のファッションと云う意味では同じなのだろうなぁ、と思うとオジサンは悲しくなってきました。

 内容紹介:今まで来なかった霊が家に現れ、困った桜は原因究明をりんねに依頼。「桜の家に遊びに行ける」と舞い上がるりんねだったが、二人の仲をやっかむ十文字&鳳が押し掛け、調査は一向にはかどらず…!?化け猫・呪いに祭の怪異…霊的トラブル続々発生で死神りんね、東奔西走!(カバー裏表紙より引用)
(週刊少年サンデー掲載)

2011年3月29日火曜日

ミニスカ宇宙海賊6 真紅の海賊船 読了


ミニスカ宇宙海賊6 真紅の海賊船 読了
笹本祐一/著 朝日新聞社/刊 20110330第1刷1000円 ASAHI NOVELS
 福島原発に一番近い大都市で“がちょーん”メンバーの一人が、己の職分を全うすべく日々奮闘しているのですが、ミニスカ宇宙海賊の最新刊第6巻を入手出来ずにヤキモキしているようです。楽天で発送未定だとか。
 岩手に週刊少年ジャンプが届かず、他地域で買った人がたまたま持ち込み、本屋に一冊だけ立ち読み様に寄贈し、その一冊を読むべく子ども達が殺到していると新聞記事にありました。拙者は既に週刊少年ジャンプに興味は失せましたが、東北に届かなかったバックナンバー分のマンガ雑誌は公立図書館に寄贈出来れば良いのにと思います。図書館も“マンガ”だからとか“雑誌”だからと云わず、この震災前後だけの分だけでも閲覧用に所蔵してもらいたいものです。

 さて「ミニスカ宇宙海賊」も6巻目。5巻6巻の続き物前後編の後編。
 銀河帝国の片隅の星系でそこそこ活躍している歴史ある公的免許書所持の海賊船の船長となった女子高生“加藤茉莉香”は、死んだ父親の遺産とも云うべき海賊船“弁天丸”を受け継ぎ、学業と家業の両立に奔走していた。赤色巨星を超新星爆発さようとする謎の軍隊との丁々発止の駆け引きの最中、茉莉香の母(引退した海賊船長)と学友を乗せた高校の宇宙ヨット部所属“オデットⅡ世”は超空間転移に巻き込まれる。転移した先に待ち受けていたのは、謎の軍隊ではなく、同業者だった!
 拳銃は最後の武器だ、と云わんばかりに、実力行使を最後の切り札として保持しつつ、“海賊”と古風に名乗りながらも、悪者をぶん殴ってお終い、といかない情報収集と情報操作により敵をいかに出し抜くか、に力点を置いた“現代戦”を描いたスペースオペラ。
 なんかジャッキーが徹頭徹尾美味しい所を持っていってないですか?ちょっとご都合主義?それともジャッキーはもっと大きな組織の尖兵でしかなかった、ってんならわからなくも無いのですが。でなければちょっとご都合良過ぎ。
 アニメ化により、姿の見えない敵と少ない情報で相手の思考を凌駕する心理戦を。どこまで表現できるかがポイントだと考えられます。その点「攻殻機動隊SAC」や「エデンの東」を作り上げた神山監督は、師匠の押井守に勝るとも劣らない才能の持ち主ではないでしょうか。

 内容紹介:ドッキングしていた制御ステーションごと、オデットII世は辺境区の七つ星連邦に跳ばされる。茉莉香はヨット部の仲間と母・梨理香を救うため弁天丸でその後を追うが、そこに待ち受けていたのは辺境海賊ギルドの大立者、ミューラ・グラントだった。漆黒の幽霊船・黒鳥号出現が引金を引いた、超新星爆弾をめぐるアクションがここに完結。アニメ制作進行中の快調シリーズ第6弾。
 内容(「BOOK」データベースより):ドッキングしていたステラ・スレイヤーの制御ステーションごとオデット2世は辺境の七つ星共和連邦に跳ばされる。茉莉香はヨット部の仲間と母・梨理香を救うため弁天丸でその後を追うが、待ち受けていたのは海賊ギルドの大立者、辺境の女海賊ミューラだった。漆黒の幽霊船・黒鳥号出現が引金を引いた、超新星爆弾をめぐるアクションがここに完結。アニメ制作進行中の快調シリーズ第6弾。
 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 笹本 祐一:1963年東京に生まれる。1984年「妖精作戦」を上梓。以降、ライトノベル作家として活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(アマゾンより引用)

2011年3月28日月曜日

メタルマックス3 1巻 読了


メタルマックス3 1巻 読了
~双銃身の魔女~ 山本貴嗣/漫画 宮岡寛/原案 エンターブレイン/刊 20110325初版680円 ファミ通クリアコミックス 
 先週「黄泉の眠り」に陥り充分な休養をとったつもりが、6日間働いただけでまた「黄泉の眠り」になってしまいました。先週寝たせいか17時間程度ですみ、鎮痛剤を飲みつつも活動中。寝ないで仕事や遊びを続けられるタフな人がうらやましい。

 さて「メタルマックス3」。今月20日に紹介した斎藤環/著「戦闘美少女の精神分析」は、先進国における女性が活躍する映画・小説・マンガ・アニメのアクション・ストーリー物で西洋型と日本型の二つに分かれるのではないかとの考察をしています。その西洋型とも云うべき男性に勝るとも劣らないタフな女性を描ける、拙者が知る唯一の漫画家が「山本貴嗣」です。しかし著者山本貴嗣の描く女性は、マッチョな男性化した女性、では無く、母性を備えながら、困難に打ち勝っていく“人”としての強さを主題に、絵描きとして単に男の絵より女の絵の方を描いていて楽しいから描いている単に著者山本貴嗣の趣味、を描いているような気がします。
 「メタルマックス」の原作はゲームだそうですが、残念ながら拙者は見たことがありません。コミックス化された著者山本貴嗣の作品は入手した記憶がありますが、あまり印象には残っていません。著者山本貴嗣のあとがきによると、もともと思い入れのある作品にあったメタルマックスに、今回はアシスタントも使わず自分に納得が出来るように描いていると、意気込みが書いてありました。おそらくゲームの世界設定のみを生かしつつ所々にゲーム・ファンを楽しませるキャラクターや小道具を散りばめ、著者山本貴嗣オリジナルのキャラクターとストーリーになっているのではないかと考えられます。それ故に舞台はマッドマックス2か北斗の拳か未来少年コナンのように現代社会が崩壊し無法がまかり通る荒廃した世界を舞台にしつつ、著者山本貴嗣が描く所のタフな女性を主人公に、ある種の復讐譚としてスタートしています。主人公の怒りを、復讐に至るまでの経緯を丹念に描いた1巻目ですが、しかし単純に復讐して終わりとは到底考えられず、今後どう展開していくのかもまた楽しみです。
 原案のゲーム・メーカー宮岡寛は著者山本貴嗣と同級生で、ツーカーの仲のようです。類は友を呼ぶのか朱に交わったのか、度々此処のブログで取り上げていますが、学生の友達関係がそのまま業界にプロとして活躍していくのは運命というか、凄いですねぇとしか云い様がありません。
 連載は無料WEBコミック「ファミ通コミッククリア」掲載の模様。最早マンガを読むにもパソコンのネット環境を整備しなければならくなってしまったのですねぇ。道楽に金がかかるのは当然としても、何か言葉で表現できないモヤモヤを感じます。

 内容紹介:もうひとつのメタルマックスの物語!伝説の「大破壊」から幾年月。その殺伐とした世界を舞台に、二人の姉妹の過酷な運命を描いた物語です。『メタルマックス』の生みの親である宮岡寛氏と、キャラクターデザインを手がける山本貴嗣氏のゴールデンコンビがタッグを組み、もうひとつの『メタルマックス』の世界が描かれています。"生き抜く"ことの難しさ、辛さ、そして喜びをこの作品から感じて下さい!(アマゾンより引用)
(ファミ通コミッククリア掲載)

2011年3月27日日曜日

ネクログ 1巻 読了


ネクログ 1巻 読了
熊倉隆敏/著 講談社/刊 20110323第1刷552円 アフタヌーンKC
 被災地ではまだまだ復興もままならず、福島県浜通りから逃げ出した人々も流浪の果てに疲れ切っている今日この頃ですが、新聞などを見ると、物資が届き人心地着いた避難所等ではありあわせの材料で“風呂”を作っている記事を目にします。
 新聞記事の場合、見た聞いた話を全部載せているわけではなく、見聞きした中から新聞記事として文章が成り立ち、読者に対しアピールでき共感を得られる言葉を選び出しています。その共感できる言葉が“風呂”。
 避難所の人々のインタビューで書かれる「風呂に入りたい」とか、「風呂に何日も入っていない」と言う言葉。当面の安全と食が確保できると次にくるのが“風呂”と云う感覚こそが日本人の日本人たる由縁ではないでしょうか。、
 以前も書きましたが、太平洋戦争中北は北極圏から赤道を越え南半球、太平洋からインド洋まで戦線を広げていった日本兵がする事は、先ず風呂。南極の昭和基地に設営された氷の“湯船”。そしてイラクに派遣された自衛隊員も先ず“風呂”。
 太平洋戦争後日本のライフスタイルは、それ以前の時代にくらべ大きく変貌をとげました。ガス・水道・電気の完備、モータリーゼーションや三種の神器とまで云われた家電製品の数々。しかし、実は日本人の生活や意識にとって一番画期的な存在は“家風呂”だったのではなかろうか、と思いつきました。高度経済成長が日本の何を変えたのか、物質的豊かさは、なるほどそうかも知れませんし、ガス・水道・電気が人々のライフスタイルを変えたのは間違いありません。でもその恩恵を一番受けたのが“風呂”だったのでしょう。これにより日本の人々は一日一回以上好きなときに好きなだけ湯に浸かる事が出来るようになりました。
 この事は普段人々の口に現れることはありませんが、拙者は重要な事だと思いました。
 あ、折角だから「テルマ・ロマエ」の回に載せれば良かった。

 さて「ネクログ」の話。日本の片田舎を舞台に普通の人には見えないモノを見る姉妹の話を描いた「もっけ」でブレイクした著者熊倉隆敏が描く作品。今回は近現代の中華を舞台に人ならざる存在と人とのストーリーを描いています。
 タイトルの「ネクログ」はネクロマンサーの“ネクロ”からきているのは分るのですが、最後の「グ」が何なのかわかりません。
 おそらく僵屍(キョンシー)を操る所から“道士”と紹介されている謎の存在、胡才良(フーツァイリャン)ですが、本編を読むと最早“仙人”なのではないでしょうか。本編を一読した限りでは胡才良を“道士”と呼ばれたり自称したりしているセリフはありませんが。
 
 内容説明:『もっけ』の熊倉隆敏、最新作はチャイナな仙術ファンタジー! 時は近代の中国。大都市で駆け出しの物書きとして活動する青年・宋玉生(ソンユーシェン)は、師匠である道士・胡才良(フーツァイリャン)から「腕の立つ道士」を探してこいと命令を受ける。ところが、悪鬼に絡まれたり道士たちの術較べに巻き込まれたりと大変な事に! これも全ては大好きな薛姐(シュエねえちゃん)を生き返らせる為と、宋は奮闘するのだった。
 著者について 熊倉隆敏:1974年、栃木県生まれ。漫画家。1996年アフタヌーン四季賞秋のコンテスト入賞。2000年、アフタヌーンシーズン増刊に掲載された妖怪漫画『もっけ』でデビュー。『もっけ』は、2003年3月号から掲載誌を月刊アフタヌーンに移し、現在も隔月で好評連載中。2007年には『もっけ』がTVアニメ化されている。(アマゾン掲載)
(アフタヌーン掲載)

2011年3月26日土曜日

あかねこの悪魔 2巻 読了


あかねこの悪魔 2巻 読了
竹本泉/著 エンターブレイン/刊 20110406初版720円 BEAM COMIX
 拙者は鉄筋4階建てのアパートに住んでいるでゴザル。停電になると水道から水が出ない。正確には屋上の水タンクに貯水されている分は出る。で、停電が明けると、何がどうなっているのか水道の水量と水圧が一定せず、蛇口が咳き込んだかと思うといきなりドバッと水が出る。どんでもって何気にコップを蛇口に持って行き、栓を捻ると、勢いよく水が飛び出し拙者の手からコップがスルリと逃げ出した。落ちた先には母が結婚の記念にコツコツと集めたと自慢していたNoritake Royal Blueの深皿が!拙者が生まれる前から使い馴れ親しんだ食器が!!“良い品”とは普段何気に使いえる品を云うと思います。高い品はやはり使い心地が良い。違う物を使って始めて良さに気がつくものでもあります。くッ!許すマジ東電。

 さて「あかねこの悪魔」も2巻目。本の中の“紙魚”を狩る同僚と遭遇の巻。登場人物が増えたことでストーリーに幅が出るのだろうか。単に作者が間を持たせ易くなっただけではなかろうか、と思う次第。話が続くなら、それはそれで良し。
 2チームが同一書籍の中にいると云う事は、同じ本がそれぞれの図書館にあると云う事ですよね。キャンパスが分かれていても予約や問い合わせが多い書籍ならば複数本を所蔵するのは分りますが、取り合いになるほどの人気があるとは思えない珍妙な本を、同一キャンパス内にある二つの図書館がそれぞれ所蔵していると云うのはどうなんでしょうか。そうでもしないと予算が消化できないのかな?デュマやモンゴメリならば授業でも使うし、基本図書だから各図書館に備え付けているのは分りますが。はてさて。
 
 内容紹介:少女の仕事は、紙魚退治!妙な本が好きな少女・山嶺茜子と、変な本が好きな少年・辻島透。その手の本が多い「某聖林檎楽園学園」の「第2図書館」で、「本を助ける仕事を手伝え」と言う“つじつまの悪魔”に出会ったふたりは、様々な本の中に入り込んで、本の内容を変えてしまう“紙魚”を捕まえることになったのだが……? 竹本泉の学園図書館ファンタジーコスプレ(!?)まんが、待望の第2巻!!(アマゾンより引用)
(月刊コミックビーム掲載)

2011年3月25日金曜日

機動戦士Zガンダム デイアフタートゥモロー 2巻完結 読了


機動戦士Zガンダム デイアフタートゥモロー 2巻完結 読了
~カイ・シデンのレポートより~ ことぶきつかさ/刊 角川書店/刊 20070126初版540円 角川コミックス・エース
 親指の真ん中がヒケているのに気がつきました。丸く膨らんでいなければ何か病気の前兆なのか栄養が偏っていると、かなり以前に得た幽かな記憶にあります。そう云えば左の薬指の爪には筋が走り、何かの機会に縦に少し裂けました。単なる老化か、それとも何か栄養バランスが崩れているような気がします。ウルトラQ。

 さて「機動戦士Zガンダム デイアフタートゥモロー」2巻です。未開封のままの積み本を発掘しました。丸四年ぶりなのか、現在の職場に移動してきて丸三年だから以前の職場に居た時に購入した本だった。まるでタイムカプセルと云っても過言ではあるまい。
 一年戦争時ホワイトベースのモビルスーツ・ガンキャノン・パイロットとして、アムロ・レイ程ではないにしても連邦軍中のエースとの名声があったはずの“カイ・シデン”は、軍籍を離れジャーナリストになっていた。
 戦争から7年が経ち、連邦軍内部にシビリアンコントロールを是としないジャミトフ旗下のティターンズの跳梁に対抗する如くエゥーゴ、カラバと云った組織もまた活発的活動を開始する。そしてジオン残党が、ザビ家復活を目指すアクシズが暗躍を始め中、かつて1年戦争時を共に闘い生き残ったホワイトベースの乗組員達が、そして1年戦争により人生が大きく変わったしまった人々が、新たな戦争に己が夢を賭けようとする若者達が戦火の中に身を投じていく。
 Zガンダムを駆る、若きニュータイプ、カミーユ・ビタンを主人公とした「機動戦士Zガンダム」のテレビ版劇場版の画面に現れることのなかったキャラクター達の物語を、カイ・シデンを道化役に語らせる、ガンダム・フリークスの著者“ことぶきつかさ”が描くサイドストーリーの傑作短編集。ファーストガンダム、Zガンダムの世界を深く読み込み、その奥深き世界を堪能しつつ、視聴者が見ることの叶わなかった“物語”を著者ことぶきつかさの高い創作能力によるオリジナル・ガンダム・ストーリー。各章間にある著者と担当者の会話を読むに、恐らく各短編毎がドラマシナリオ一冊に及ばんとする内容を持ちながら、削りに削り、澄み切った上辺だけを我々に提示しているのは間違いないでしょう。珠玉の一滴を数々堪能できる単行本。
 その想像世界創生能力があまりにも高性能なため、いちマンガ家として多作にならないのは残念な気がしてなりません。多才であるが故に、著者に作品を作らせる時間が不足するこのジレンマ。
 そして穴埋め的ラフカットに、読者サービスとして付ける女性キャラクターの乳輪。どこまで著者はサービス精神が旺盛なのでしょうか。でも最近コミケで売っている寿チョップの同人誌は薄いし内容が無い割りに値段が高いので、買わなくなってしまいました。中古で入手した方が安いンだもん。

 出版社/著者からの内容紹介:あのカイ・シデンがセイラと再会!?ついにフリー・ジャーナリスト、カイ・シデンの戦いに決着がつく!幻のアムロ専用機ディジェ、そしてセイラ・マスとの再会エピソードを完全収録。

2011年3月24日木曜日

the Sneaker (ザ・スニーカー) 2011年 04月号休刊号 入手


the Sneaker (ザ・スニーカー) 2011年 04月号休刊号 入手
 付録フィギュアに釣られて購入。そうしたら休刊号でした。18年も続き、新聞によると2万部程度の販売で安定したいたそうなので、角川書店グループ内におけるスクラップ&ビルドではないのでしょうか。角川書店グループも国内での再編成および電子化やネット化そして国外展開と、一出版社の枠を超えて総合的情報産業へ向おうとしているのかもしれません。
 本誌も読者の大半も創刊号は生まれる前とか、創刊号を店頭で見ることもままならなかった年齢の話なのでしょうねぇ。拙者のとっては最近の話なんですが…。
 拙者の書庫を漁れば創刊号が出てくると思うのですが。拙者の薄れた記憶では野生時代の増刊だか別冊から始まりませんでしたっけ?本誌をせっせと買ったのは花田一三六の短編が掲載された時くらいで、あとは付録買いか何かの記念の号くらいですか。ドラゴンでも電撃でも活字の雑誌に目を通せる時間が最早無くなりました。新聞に目を通すのが精一杯。
 ライトノベル自体も以前ほど手に取らなくなりました。本誌に掲載されている作品も、作家やイラストレーターも大半が知らない人ばかり。だいたい「中高生向けのライトノベル専門誌」を中年が読む方がおかしいわけですが。そんな中でも「ダンタリアンの書架」「東京皇帝・北条恋歌」「MM9」は面白く読ませてもらいました。文庫を買うかまではあやしいですが。
 付録のフィギュアの長門有希。いつもながら海洋堂は良い仕事してますねぇ。
 内容説明:『涼宮ハルヒの驚愕』発売決定記念で特集だ!
■『驚愕』情報にハルヒ隊長も登場でカオスですー
■『R-15』アニメ情報ありまーす
■アニメ×小説--2011年もノベライズを楽しもう!
■新作ぞっくぞく! 新タイトルを発表でーす
■特別付録は「長門有希フィギュア 消失Ver.」です!!
 この雑誌について:中高生向けのライトノベル専門誌(アマゾンより引用)
(ガンダムエース掲載)

2011年3月23日水曜日

地球の放課後 3巻 読了

地球の放課後 3巻 読了
吉冨昭仁/著 秋田書店/刊 20110405初版552円 チャンピオンREDコミックス
 移動が決まった。引越しとかは無いのですが、この3年間過した部署が、私の関係する部門で一番余裕のあった場所だったので、どこへ行こうと忙しくなるのは明白であるんですが、結構忙しい場所になってしまいました。更に通勤時間が確実に伸びた。以前走った時には車上だけで1時間かかりました。そろそろ自転車では限界か?

 さて「地球の放課後」も3巻。
 突如として現れた謎の黒い存在に人類が消され、生き残った1人の少年と3人の少女たちのサバイバル生活が続く世界。登場キャラクターの過去の紹介と、謎の黒い存在への仮説が読者へ提示される。

 内容紹介:日常系終末ストーリー! 4人意外の人影が!? その正体は!? 正史たちの静かな生活に、謎の影が忍びよる――!!(帯より引用)
(チャンピオンRED掲載)

2011年3月22日火曜日

ハチワンダイバー 19巻 読了


ハチワンダイバー 19巻 読了
柴田ヨクサル/著 集英社/刊 20110323第1刷514円 ヤングジャンプ・コミックス
 7-11のお弁当も普通に補充されるようになって一安心。流石に種類は少なくなっています。増産が追いつかないのか、ペットボトルや缶の飲料系が少なめ。家の近所では即席味噌汁がありませんでした。ニュースによれば自動車道も暫時開通しているし、海上自衛隊の補給船も入港しているので、福島原発さえ終息すれば万々歳なのですが。

 デビュー作「谷仮面」、そしてアニメ化もされ著者のブレイク作ともなった「エアマスター」共に高校生が主人公で格闘色が強い作品でしたが、人死はありませんでした。読者層や登場キャラクター達の年齢による制限なのかもしれません。甘いと感じた読者もいたかもしれませんが、そこは拙者にとって虚構の中であっても暴力を感じても死を感じる事はありませんでした。ましてコメディよりもギャグに近い作風と思っていた著者柴田ヨクサルが、ここに至り連続で、しかも「将棋」と云う題材でこうも“死”をあつかうとは思いもよりませんでした。勝負事なので“決死”の覚悟ではあっても、そこはゲームではなかったのではないかと。例えば「カイジ」の場合は生死の選択が先ずあって、その選択方法としてゲームがとりあげられたのでありました。もしゲームの先が生死の二択であっても、そこは持ち前の作風で強引に捻じ曲げられるだけの実力が著者柴田ヨクサルにはあったと思っていたのですが。
 “生き様”と“死に様”は同じだと拙者は考えています。ですから死に様を描く事に違和感はありませんが、この「ハチワンダイバー」でこうもなるとは…。
 主人公爆睡中のまま怒涛の展開中。主人公が目覚めるのは何時になるのか。
 拙者は単行本で追いかけています。本編に必要ではありませんが、単行本のオマケとしての描き下ろし掌編が有ると無いとでは、感情移入に差が出てくるような気がします。

 内容説明:海豚七段、二こ神の2人を失った菅田たちに向けて、鬼将会の谷生は、さらなる鬼を刺客として差し向ける! 圧倒的な暴力と棋力を誇る鬼を迎え撃つのは鈴木八段と、澄野&斬野コンビ!! 命と命がせめぎあい、散りゆく峻烈の19巻!(アマゾンより引用)
(週刊ヤングジャンプ掲載)

2011年3月21日月曜日

電波の城 12巻 読了


電波の城 12巻 読了
細野不二彦/著 小学館/刊 20110303初版524円 ビッグコミックス
 ターミナル駅前でいつも利用しているランチを食しながら、マスターがそろそろ入荷が危なくなってきて、どの仕入先からもお詫びの連絡があっていつまでお店を開いていられるのかわからないんですよ、と言っていました。
 そこまで物流が止まっていたとは。
 東北地方太平洋沿岸部が軒並み潰滅したので、漁業関係が、特に首都圏への生産基地が大打撃をうけたのはわかるので、お魚とかが入らないのはわかります。さらに追い討ちをかけるように福島原発事故により周辺の農産物が食べられなくなるのも予想済みでした。しかし東北地方日本海側は復旧の目処はついているし、47都道府県中被害甚大かつ放射能の被害を受けそうなのは岩手・宮城・福島・茨城の4県なわけですから、他からいくらでも物資の手当ては付きそうな気がします。店頭から品物がなくなっても一時的な事だとばかり思っていたのですが、何がどうしているのでしょうか。そんな中で森永乳業製造のリプトン・ミルクティーが早速値上がりしていました。恐らく牛乳の入手が困難になった為と思われます。拙者はコーヒーに牛乳を入れる派でして、日々牛乳を飲んでいるのですが、店頭からは牛乳がなくなり、今後も入荷しないか、値上がりするのかと思うと頭が痛くなります。先日牛乳のストック分が切れ、コンデンスミルクを買ってみました。嗚呼、久しぶりにこの甘さ。

 さて「電波の城」12巻。主人公の“天宮詩織”の過去と裏社会との繋がりが読者の前に提示され、話は盛り上ってきたのですが、ここまで来ると荒唐無稽すぎませんか!?今までが荒唐無稽ではなかったのか、と云われれば、その通りなのですが、あまりにも表と裏の顔のギャップが激しすぎまして。そんな彼女にもままならない存在があって、明らかに今後の波乱への伏線として、また当初よりナレーションが過去形で始まっていますから、ナレーションの時制が一緒になった時が物語りの終わりなのでしょう。そしてナレーションとして引用されている「谷口ハジメ回想の記」の当人である“谷口ハジメ”がいよいよ!
 くわッ!巧い惹きだ!!

 内容紹介:女子アナ成り上がり烈女列伝!女子アナ成り上がり街道をひた走る天宮詩織だったが、抜擢された格闘技番組と暴力団との癒着を告発され絶体絶命のピンチ!突破口を探るため、変装した天宮が訪れたのは、なんと刑務所だった―― さて、スキャンダルの後始末は武闘派極道との一騎打ち。大ピンチの修羅場に、着物姿で極道の女よろしく啖呵を切った天宮が超弩級のド根性で挑む大勝負!烈女伝説に新たなページが――週刊ビッグコミックスピリッツ強力連載中!単行本、第12弾!
 編集者からのおすすめ情報:極道顔負けの烈女ぶりを見せる主人公・天宮ですが、第12集では、密かに気になり始めていた記者・谷口との関係でナイーブな一面を見せ、まさかの急接近。さらに彼女の衝撃の過去も明かされていきます。見どころ満載の一冊です。(小学館ホームページより引用)
(週刊ビッグコミックスピリッツ掲載)

2011年3月20日日曜日

戦闘美少女の精神分析 読了


戦闘美少女の精神分析 読了
斉藤環/著 筑摩書房/刊 20060510第1刷800円 ちくま文庫
 表紙がエヴァンゲリオンの綾波レイのクリスタルフィギュアであり、「戦闘美少女」と云うからにはアニメの美少女キャラクターをかなりディープに解説しているのだろうと勘違いして手に取ると、途中で投げ出す危険性があります。
 2006年刊行ちくま文庫以前に太田出版で2000年に刊行されており、あとがきを読むと「本書のテーマが構想されたのは1994年の9月」とあるから、かなり時代を感じさせる内容となってしまっています。もし「戦闘美少女」なる存在と「おたくという共同体」(p19)が存在すると仮定するのならば、2011年現在においても本質的に変化は無いとも考えられます。
 一読して思ったのは、とりとめの無い話を良くぞ纏め上げたなぁ、と云う事です。そして著者斉藤環は現役の精神医学者であり、正統な精神病理学者ですから、その分析についてどうこう云うだけの知識を拙者は持ち合わせておりません。ただ、初歩の初歩的発達心理学概論や教育心理学概論を学んだ素人考えとして、心理学は未だ発展途上の学問で、現在目に見える現象にレッテルを貼り分類するのが主な研究であり、後は経験則的にこうなんじゃないかなぁ、と推測をする程度のもので、サンプルをいかに多く収集して仮説を立て続けて行くしかない学問と思っています。そんな意味で日本のサブカルチャーとしての「オタク」を、正統的西洋心理学を当て嵌めて説明しようとしても無理が生じるのではないかと思いました。
 とりとめの無い話だと思ったので、感想文を書くのを止めておこう(と云うか書けない)としていました。2011年1月15日土曜日朝日新聞13版36面「文化変調 第6部 ガラパゴスの先へ 独自進化 胸を張れ ⑥識者に聞く」で本書の英訳者・日本文学者「キース・ビンセント」のインタビュー記事「『架空に寛容』オタク生む」を読んでやっと本書の内容が拙者の中で纏まりました。
 「‐前略‐斎藤環さんの指摘なのですが、例えば日本のオタクはマンガの裸を見て、時に興奮するけれど、こうしたことはアメリカでは考えにくい」(上記朝日新聞引用)
 では「マンガの裸を見て、時に興奮する」“オタク”とはどのような存在か、本書で定義されているのですが、その捉え方に問題があるのではないかと思われます。
 マスメディアに登場した1983年『漫画ブリッコ』誌上で中森明夫がエッセイの中で書いてから、と云う定番から紐解いています。マスコミに登場したのは『漫画ブリッコ』が初めてなのはまず間違いないと思われますが、世に浸透したのは、多くの人々の共感を得たからでしょう。マンガ・アニメ・マニアの仲間内の中でも特異に存在していた全国の同時多発的人物に「おたく」云うレッテルがピタリと合致したからこそ巷間に流布されていったはずです。
 「この言葉は一種の差別性をはらみつつ、」(p22)ではなく、明らかに差別語です。“あいつ”とは違うんだ、と云う意味を込めて「あいつ“おたく”だぜ」と使われたいたはずです。
 この差別の危険性に気がついた『漫画ブリッコ』の編集者大塚英志による論争と、同じく危険性に気がつき大塚英志とは別なアプローチで「おたく」の再定義を行ったのが岡田“オタキング”斗司夫であり、著者斎藤環は岡田斗司夫の「おたく」定義を採用しています。しかし、岡田斗司夫の述べている「おたく」は火消しのために差別性を上書きするための、「おたく」とはかくあるべしと云う理想像であり、いわゆる「数寄者」の現代版を唱えたと思われます。
 岡田斗司夫は著書「東大オタク学講座」(講談社/刊 19970926第1刷)の中で
 「もともとオタクとはある特定の人種、アニメやまんが、ゲームなどにハマっていて紙袋下げているいる奴を指す言葉ではありません。そういった人々がバックグラウンドとして持っている文化の総体が『オタク』なわけです。」(p6)
 逆説的に「おたく」の定義を述べてしまっています。
 ここで勘違いしないでいただきたいのは、「おたく」と云う言葉を差別語だとしたいわけではありません。今や「オタク」として世界中に流布した専門的マニアとしての言葉の意味を逆転させる事は不可能であります。不可能だからこそ、あえて今更その初源においてなぜ差別されたのかを考えたいのです。
 さて、その岡田斗司夫は2008年には「オタクはすでに死んでいる」と云う著書を刊行します。2008年5月4日日曜日朝日新聞12版12面読書の書評ページ「著者に会いたい」にインタビューが掲載されています。以下引用
 「きっかけは最近のオタクの若者に抱く違和感だという。『新製品の発売を待つだけで楽に快楽を得ようとし、自分の好きなジャンルから少しでも外れると関心がない。消費するばかりの存在。かつてオタクが共有した価値観は失われたのです』」

 この「消費するばかりの存在」これこそが正に「おたく」の本質を言い表していると拙者は考えます。
 「おたく」は情報(=虚構)の再生産をしません。
 しかし、「戦闘美少女の精神分析」の中における「おたく」は二次創作をはじめコスプレやある種の活動を行ます。アニメやマンガ作品にインスピレーションを得て、パロディかもしれませんが、自らが「創作者」たらんとする存在を「おたく」としました。そのある種究極の姿が「ヘンリー・ダーガー」の創作活動だと云うのでしょう。
 芸術活動が、ある種の情報発信であり、経済活動の中で糧を得るために作品を切り売りする行為を「芸術」とするならば「ヘンリー・ダーガー」の行為は「芸術」ではありません。しかし結果として「芸術作品」足り得る“創造的作品”が残ったために芸術と見なされたのであり、その行為は「おたく」ではなく「クリエーター」として評すべき行為ではないでしょうか。
 例えば司馬遼太郎の「燃えよ剣」の中にこんな一説が出てきます。

「閣下はアルテイスト(芸術家)か」
 と、この仏国陸軍の下士官はちょっと妙な顔をしていった。
「あるていすと、とは何だ」
 と、歳三はきいた。歩兵頭は、「歌よみ、絵師のことだと思います」といった。もっともあるていすとには、「名人」とか「奇妙な人」という意味もある。歳三は、その奇妙なひとのほうかもしれなかった。

 この文章の前段では、土方歳三は戦場で俳句を捻っています。さらに本文中度々出てくる、戦場を土方自身の作品と評したくなるような、こだわりを主人公にとらせています。
 「アルテイスト」がもし「奇妙な人」であるならば、正に自己完結型「ヘンリー・ダーガー」はそう(アーティストと)評されて良い人ではないでしょうか。

 「アーティスト(アルテイスト)」とか「クリエーター」と云った作品を通してある種の創作活動をする同好の士の輪の中に、ポツネンと情報の「消費」しかしない存在がいたとしたら、輪の中から浮かざるえません。その浮いた存在に付けられたレッテルが「おたく」ではないでしょうか。

 「おたく」とは虚構に興奮できる存在、だとしましょう。

 「おたくとは近代的なメディア環境が、わが国の思春期心性と相互作用することによって成立した、奇妙で独特の共同体だ。」(p19)
 「マニアの一部がメディア環境の変化に対応して一種の『適応放散』を遂げた形が、現在のおたくなのではないかと考えている。」(p34)
と、あります。鋭い指摘だと思いますが、果たしてそれだけでしょうか。
 例えば『サンデーGX』2011年4月号「浜田ブリトニーの漫画でわかる萌えビジネス」(p313)を挙げます。日本の文化の中で二次元や虚構に性的興奮を覚える人々はいたのではないか、と考えさせられる内容になっています。しかし、マンガ作品中の解釈をそのまま鵜呑みにする事は危険です。時代も違いますし、論拠がまるでありません。現代的視点から過去を面白おかしく解釈しているだけなのかもしれません。

 ここまで読んでいただければお解りの通り、拙者は拙者の独自のサングラスをかけており、偏向グラス越しに「戦闘美少女の精神分析」をいくら読み解こうと頑張っても、始まりから向いている方向が違うので、理解できるわけがありません。しかも後だしジャンケンと同じで未来から過去を見ているのでこの十年にわたる変化を踏まえてしか読むことができませんでした。あくまで「戦闘美少女の精神分析」を読んで触発された拙者の意見を述べているにすぎ無い事を、ご理解いただきたいと思います。そして拙者がより知識を得ることができれば本書を理解が進む事は間違いありますまい。冒頭の「おたく」の定義だけで、これだけ考えさせる事の出来る本書は一読の価値があると断言できます。
 他にも「アニメの伝統や文脈に無知な非おたく作家には、決して良質なアニメ作品が作れないないだろう。」(p220)とか「日本の漫画家やアニメーターの評価においては、絵のテクニックが最優先事項ではないということ。」(p283)等興味深い指摘が多いので、機会があればいつか騙りたいと思います。

 内容(「BOOK」データベースより):ナウシカ、セーラームーン、綾波レイ…日本の漫画・アニメには「戦う少女」のイメージが溢れている。筋肉質なアマゾネス系女戦士とは全く異なり、「トラウマ」を持たない可憐で無垢な戦闘美少女。この特殊な存在は、果たして日本文化のみに見られる現象なのか。彼女たち「ファリック・ガールズ」の特性と、それを愛好する「おたく」の心理的特性を、セクシュアリティの視角から徹底的に分析する。
 内容(「MARC」データベースより):ナウシカ、セーラームーン、綾波レイ…。日本の漫画、アニメ空間には「戦う少女」のイメージが溢れている。「トラウマ」をもたない可憐で無垢な戦闘美少女の特性と、「おたく」の心的機制を、セクシュアリティの視覚から分析。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 斎藤 環:1961年生まれ。岩手県出身。筑波大学医学部研究科博士課程修了。医学博士。現職は、爽風会佐々木病院診療部長。専門は思春期・青年期の精神病理学、病跡学、ラカンの精神分析、「ひきこもり」問題の治療・支援ならびに啓蒙活動。漫画・映画等のサブカルチャー愛好家としても知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(アマゾンより引用)

2011年3月19日土曜日

Sound of GANTZ 視聴


Sound of GANTZ 視聴
~ガンツ・オリジナル・サウンドトラック Sound of GANTZ~ バップ/発売 VPCD-81693 2381円
 本日は「黄泉の眠り」が始まり24時間布団の中に居ました。まあ、仮眠をとったとは云え徹夜した後に普通に仕事をし続けられた自分に不思議だったのですが、連休をもらって気が抜けたら当然体が動かなくなりました。
 そんな中、知人から電話をもらい、その風聞。裏付けも何も無い話です。福島県浜通り等からの避難者を受け入れている事で新聞やニュースに出てきている、福島県のほぼ中央に位置し交通の要所となっていて県下随一の商工業都市の郡山市の話。市役所旧庁舎が半壊して役場機能がダウンして、頭をとる所がなくなり、支所単位で独自に動いている。だから郡山市民の避難民数すら市役所では把握していないとか。開成山公園に仮説の市役所を設置したりしているらしいですが、パソコンや書類はどうにもならんですよねぇ。役所に限らず書類とかは今やパソコンのネットワーク上に存在しますから、ホストコンピュータがどうなっているのかが焦点でしょう。さらに郡山市長が何処で何をしているのか市民が知らないらしいです。何時の時点の話か知らないですけど。
 陸上自衛隊の駐屯地もあるし、郡山が物資の集積地点であることは先ず間違いないし、今後東北地方復興の大動脈の中継地になることは間違いないと思うのですが、市の中枢機能が欠損してしまっては、いやはや、他人事ながら大変ですねぇ。

 さて映画「GANTZ」のBGM集です。黄泉の眠り中なので活字すら目にできませんでしたので御蔵だしです。
 音楽が“川井憲次”だったので買ってしまいました。最近はアニメ以外の仕事も増え、海外でも名が売れて、超有名になってしまいました。
 映画を見ていた時、初めは気がつかなかったのですが、これはもしやと思い始め、中盤からいつものドラムリズムにストリングスがかかり確信しました。エンディングテロップで名を確認した後、映画館で売っているのを見て買ってしまいました。最近は店頭で見る事無く、取り寄せしないと買えない事も多くなってきたので、一期一会の気持ちで買うようにしています。また、それに耐えうる金銭的余裕も出来た事が大きいですが。
 先日観た「劇場版 マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜」の開映前に劇場内で流れていた音楽が「RESURRECTION IN THE GANTZ FIELD-復活-」で思わず笑ってしまいました。劇場で低音の効いたこの曲はとてもかっこよくて素晴らしいのですが、マクロスの映画がかかるのに何故GANTZ?もしサヨナラノツバサのBGMが入手できなくとも、イツワリノウタヒメでも流せば良いのにと思いました。おそらく、劇場スタッフの趣味なんでしょうねぇ。その意気や良し。

内容
1. 黒点起動
2. ラジオ体操の歌
3. 啓蒙放射
4. 転送
5. 追走カノン
6. 目覚めぬ夢
7. 友
8. 目覚める夢
9. セカンドライフ
10. 田中星人
11. 奇襲
12. メッセージ
13. WAX ON
14. 邂逅
15. 糾合の鐘
16. 仁王 太古からの目覚め
17. 千手 聖戦のはじまり
18. 復讐
19. 蘇る鼓動
20. 英雄
21. 失われた光
22. 回生
23. BOOT UP KURONO-起動-
24. RESURRECTION IN THE GANTZ FIELD-復活-
(アマゾンより引用)
 映画に関しては2月11日投稿「GANTZ 観了」をご覧下さい。

2011年3月18日金曜日

夏目友人帳 2巻 読了

夏目友人帳 2巻 読了
緑川ゆき/著 白泉社/刊 20060810第1刷390円 花とゆめCOMICS
 出勤の途中の五叉路で自転車とバイクの衝突を真正面で見てしまいました。イガグリ頭でジャージ姿のスポーツマンタイブの高校生が斜め横断をしかけ、自転車を右車線へ突っ込ませた所にバイクが2台順に走って来て、一台目はなんとか避けられたのですが、二台目は避けきれず衝突。バイクはハンドルを左に切りバランスを崩し転倒、自転車もクロスするように接触して吹っ飛ぶように転がりました。拙者はと云うと目撃しただけで、信号が変わるとそのまま素通りしてしまいました。無論周辺の通行人が助け起こしていました。今さらながら警察くらいには通報すべきだったと考えます。自分が自損で骨折した時には助けられているのに、いざ事故を目にしたときに何もしないのは、なんたる不人情、なんたる間抜け。これでは東電社員に何も云えないなぁ。

 さて、夏目友人帳の第2巻。 著者緑川ゆきは、妖怪を落魄した神々と捉えているような感じがします。
 シリーズが完結したら全巻合わせて購入しようと考えていたのですが、実は1.2巻とも拾ったモノでした。これを機会に現在発売中の全巻を揃えて購入しようと思います。
 アニメのオープニングは一期二期共に、とても素敵でした。一期目のオープニングは最初に何を表現しているのかわかりませんでした。何度か見ているうちに、同じ風景なのに見えているものが違う事に気がつくことが出来ました。第三期目にも期待。

 妖怪ついでに、彼岸がやってきました。東北地方の太平洋岸はあれだけの被害を出したので、今年の彼岸とか盆に海辺にいると普段会うこともままならない現象に出会いそうな気がします。海岸で出会ったオジサンの言われるままに地面を掘り返したら、そのオジサンが埋もれてたとか、連絡がつかなかった友人からケータイにメールとか電話が届いてホッと胸を撫で下ろしたら、亡くなっていたとか。それとも大量のエビスさまが海から戻ってくるとか、原発で人死が出る大事故が起きるとか、季節の変わり目は気をつけるのが、昔からの言い伝えだと思います。

 内容紹介:祖母の遺品で、妖怪達を統べる契約書「友人帳」を受け継ぎ、妖怪達に名前を返す日々を送っている少年夏目。ある日クラスメイトと肝だめしに参加するが、そこには妖の気配が! 用心棒のニャンコ先生と共に招待を探る夏目だが…!?あやかし契約奇談第2巻登場(カバー裏表紙より引用)
(LaLa掲載)

2011年3月17日木曜日

夏目友人帳 1巻 読了

夏目友人帳 1巻 読了
緑川ゆき/著 白泉社/刊 20051010第1刷390円 花とゆめCOMICS
 今朝出勤する際、防空頭巾を被った小学生達と擦れ違いました。最近建設した法務局の入出国を扱う建物の前には、7時30分だと云うのに長蛇の列が作られていました。因みに私の帰宅時にも屋外に並んでいましたので、おそらく17時までに並んだ人を受け付け、法務局の職員は残業をして窓口処理を行っていたのでしょう。そして拙宅で夜間の計画停電が行われました。7-11に寄ったら停電時だと云うのに販売していて感動。弁当とほうれん草のソテーを買いましたが、レンジで温めるわけにもいかず、ご飯は峠の釜飯の陶器製容器に水少々と共に入れ温めなおし、ほうれん草は鍋で炒めなおし。拙宅は鉄筋アパートなので、停電時に水道が停止。ガスだけでも通っていて助かりました。蝋燭の下で冷たいご飯を食べていたら侘しくて泣いていましたよ。温かいご飯バンザイ。被災地の人々の事を考えれば贅沢中の贅沢でせう。
 
 さて、夏目友人帳。祖母の遺品により、今まで苦しめられていた己の才能に目覚め、他人とのコミニュケーションもとれるようになった少年の話。そして積極的に己の才能を生かす成長の物語でもあります。
 テレビアニメ化されヒット。今度第三期も放送されるそうです。主役の声神谷浩史がラジオの中で話していましたが、自宅で“ニャンコ先生”と名付けた猫を飼っているそうで、オーディション時のセリフは普段の日常のままのニャンコ先生との会話だったとか何とか。
 テレビアニメ放送時アニメイト某店内で女子高生の一人が友人に推薦していましたが、拙者も同じようにアニメもマンガもオススメしたいと思います。アニメは原作通りの展開であり、原作の雰囲気を生かしつつ巧く映像化していました。
 人と妖怪との、その“はざ間”にいるからこそ、人と妖怪を繋ぐ存在としての“夏目”と、夏目を慕い集う“普通の人々”と“妖怪達”の物語を、切なくも哀しくそして愛しい関係を紡ぎ出しています。
 2巻に続く。

 内容紹介:妖怪が見えるという秘密を抱えた少年夏目。彼は祖母・レイコの遺品である妖怪達との契約書「友人帳」を手にする。以来、妖怪達から追われる羽目に。用心棒・ニャンコ先生と共に妖怪達に名前を返す日々を送ることになった夏目は―――!?あやかし契約奇談第1巻!!(カバー裏表紙より引用)
(LaLa掲載)

2011年3月16日水曜日

メルモちゃん 1巻 読了

メルモちゃん 1巻 読了
福山けいこ/著 手塚治虫/原作(『ふしぎなメルモ』より) 徳間書店/刊 20110401初版590円 RYU COMICS
 本日帰宅途中消えている信号機発見。しかし1ブロック先の信号機は点灯中。なんとも不思議な光景でした。帰りに寄ったいつもとは違うスーパーでは惣菜弁当は並び男前豆腐も並んでいたけど、パンお米麺類缶詰レトルト類水に砂糖とトイレットペーパーが消滅。恐らく放射能汚染と停電が生活防備に走らせているのでしょう。
 
 さて、拙者は「ふしぎなメルモ」本放送時に裏番組を見ていたらしい。と、云うのは老いた母がそう云っていますが、拙者の記憶にはありませぬ。当時の拙者の家は足付きの白黒テレビでした。
 ふくやまけいこはオーソドックスな“まんが”絵ですから、手塚治虫調作品と親和性はとても高いと思います。それに輪をかけて、作者自身の手塚治虫への想いがキャラクターの描き分けや、出てくる小物にいたるまで、オマージュに溢れていて眺めているだけで楽しくなります。このまま話数を重ねて、オール・キャラクター総出演を是非ともやっていただきたい。まあ、ひげおやじとかハムエッグやランプ等超有名なキャラクター達が、現実の役者が役毎に入れ替わっているような演出をしている手塚作品であっても、作品数が膨大なため、キャラクターもまた膨大なので、主役級のキャラクター達だけでもかなりの話数がかかると思います。アニメ出崎版ブラックジャックでランプを羽佐間道夫が演じた時に、一見違和感を感じましたが、見終わった時にはスッカリ羽佐間道夫に合致していました。声優の技量だけでなく、脚本演出作画が冴えていたためなのでしょう。「大正野球娘。」と云い「メルモちゃん」と云い、雑誌リュウは時流に乗っているとは云い難いところながら、最近波に乗っていると思います。

 内容紹介:まんが&アニメが今でも多くのファンから支持されている手塚治虫の「メルモちゃん」を、福山けいこが新たなお話を描くシリーズ。天国のママからもらった不思議なキャンデーがいろんな騒動を巻き起こす!?(アマゾンより引用)
(月刊「COMICリュウ」掲載)

2011年3月15日火曜日

大正野球娘。 5巻完結 読了

大正野球娘。 5巻完結 読了
伊藤伸平/漫画 神楽坂淳/原作 徳間書店/刊 20110401初版648縁 RYU COMICS
 福島原発の話題で盛り上っていますが、拙者の周りの人々は意外と原爆みたいに爆発すると思っている人が多い事に驚きました。水素爆発等の映像をみて、原発は爆発するものなのだと刷り込まれたのか、ビカドンのイメージが強すぎるのか。だからこそ不安も持たず原発を消極的推進していたのでしょう。地震と津波は自然災害であり“しょうがない”面はありますが、原発事故は人災です。金の先物取引や株の売買を、絶対損はしないから、と云って売りつけておいて、損失が出た時に、想定外の事態が起きた、と云っている詐欺師と同じです。原発推進をしてきた自民党の尻拭いをする民主党には可哀相ではありますが、特攻を命じる他手段は無いのでは。

 さて、伊藤伸平版「大正野球娘。」完結。一冊丸々が起承転結の結びの一番なのがキレがあってよろしいですな。でも、できることならもう、少々薄くても一冊分増やして欲しいと思いました。逆に考えると、少々無理をしても一冊にまとめなければならなかったのでしょうか。もったいない、こんなに面白いのに、この面白さがどうして解らないんだろう。この面白さを言葉で伝える才能が無い自分が情けない。もしかして原作のイメージを引きずったのが敗因なのでしょうか。でもこれはこれで面白いと思いますけどねぇ。アニメはアニメで面白かったし。マンガも完結したことだし、原作小説も読んでみますか。

 内容紹介:『大正野球娘。』(原作:神楽坂淳徳間書店刊)を伊藤伸平が脚色しコミック化したスポーツコメディ。物語は大正時代の女学生たちが女性を軽んじる男性の鼻を明かすため"野球"で勝負を挑むのだが…。「東邦星華桜花会」対「朝香中学校野球団」の白熱した試合は佳境を迎える!果たして乙女たちの勝利はあるのか?いよいよ完結。(アマゾンより引用)
(月刊COMICリュウ掲載)

2011年3月14日月曜日

まおゆう魔王勇者 1巻 読了

まおゆう魔王勇者 1巻 読了
~「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」~ 橙乃ままれ/著 エンターブレイン/刊 20110111初版1200円
 拙者は北関東の南端の大都市に住んでおりますが、スーパーマーケット・イオンの店頭から惣菜系が消えてしまいました。即席麺系は云うに及ばずお米や乾物麺類まで、冷凍食品のうどんが残っていたので買ってきましたが、冷蔵庫を所持していないため冷凍食品の買い溜めが出来ないのは痛い。東北の被害が甚大なのはわかりますが、同じ東北と云えども日本海側の被害は少なく、西日本に至っては何ら問題無い状態なのだから、関東や甲信越で地震が続いたり混乱していても、物資の欠乏っておかしくないですか?国道17号、17・16号バイパス、4号の大渋滞が震災直後から続きっぱなしなので周辺道路も混雑しているのは分るのですが、こういう場合どうすれば良いんでしょうかね。

 さて「まおゆう」1巻読了。本書の見所は総監修の枡田省治があとがきで全て書いていますので、御検分下さい。
 RPGの魔王(♀)と勇者(♂)が手に手をとって社会改革に挑む物語。RPGだと思って手にとってみたらシュミレーション・ゲームだった的な感じでしょうか。ファンタジー世界に召喚された現代人が、進んだ知識で過去に干渉するストーリーはマークトウェンの「アーサー王に遭った男」以来「戦国自衛隊」とか最近だと風呂敷広げるだけ広げて作者が逐電した未完の大作「A君(17才)の戦争」まで数々の物語の基本となっています。本書も同じ系列的には属していると考えますが、総監修・枡田省治が云う所の戯曲小説なる切り口が祖先帰りとして真新しい。この点から考えるに、岩波文庫に収録されている古典文学は、ある種の“約束事”を踏まえて読まないと面白さが半減してしまうのではないでしょうか。源氏物語が日本で最初の小説であったの同じように、世界で始めての腐女子小説でもあり、現実世界をモトネタにしていた点も考慮すればするほど、当時の貴族社会のゴシップ集と云う面も汲み取れます。
 まるで生物の進化系統樹を見る如く、幹から枝分かれし繁栄や絶滅を繰り返し、希に先祖帰りをして繁栄する種を見たような気がしました。全5巻らしいので、今後の承転結がどうなっていくのか期待大です。

 内容紹介:ネットで話題騒然の『まおゆう』が遂に登場!王道RPGにおけるオーソドックスな対峙--- 片や、剣と魔法を自在に操つり、一人で一軍にも匹敵すという、勇者。片や、魔界のすべてを統べる、魔王。魔界にそびえる魔王城、その奥深くにある謁見の間。魔王のあまりにもありがちな問いと、勇者のわかりきった答えから、全世界を巻き込んだ魔王と勇者の冒険劇が、いま始まる。書籍化にあたり著者である橙乃ままれ自身による大幅な加筆修正はもちろん、この作品に惚れ込んだゲームデザイナー桝田省治が全面監修。 この物語を見ずしてファンタジーは語れない!?
 内容(「BOOK」データベースより):各業界のクリエーターを震撼させた異端の小説、ネットで話題の『まおゆう』登場。大幅な加筆修正を加え、ゲームデザイナー桝田省治が完全監修。
 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 橙乃 ままれ:『まおゆう』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(アマゾンより引用)

2011年3月13日日曜日

狼と香辛料 16巻完結 読了


狼と香辛料 16巻完結 読了
~太陽の金貨 下~ 支倉凍砂/著 アスキー・メディアワークス/刊 20110210初版610円 電撃文庫
 狼と香辛料16巻の隣の写真は、地震直後の拙者の寝床です。拙者の表の顔を知っている人にはお馴染みの「埋もれたおにーさん」のリアル・バージョンとなってしまいました。地震の発生が日中で良かった。阪神淡路の時刻だったら本当に埋もれていましたよ。

 さて「狼と香辛料」。 歳を経た狼の化身“ホロ”とホロをひょんな事から拾った行商人“ロレンス”の物語もこれにて完結。中世から近世へと貨幣経済と云う新たな時代の変化を、時代に適応しようともがく古き神々と、赤子のような冒険心に富む時代の寵児のコンビによる旅の物語。擦れ違う道もあれば交差する道もあり、また連れ合って歩いても何処かで別れる道もある。決して交わることのない道もあれば、眺めるしなか無い道を歩む人々もいる。そんな、様々な旅の道すがら共に歩み続けようとする二人の物語。
 物語は完結しても二人の人生は続くわけですが、行商を続けるにせよ店を構えるにせよ、今後は人並みの波乱万丈はあるにせよ、人知を超えた冒険はしなくとも良くなったため、作者も筆を置いたのだと思います。
 ライトノベルとしては珍しい経済に視点をおいた物語。軍政としての経済はライトノベルと相性が良く、作者も読者もミリタリーに強い人は多くても、事経済に関しては真新しい作品でした。しかもファンタジーと現実的とも云える“金”の融合ですから、巧く噛み合わせた魁として著者支倉凍砂の名は刻まれることでしょう。女の子にチヤホヤされる“萌え”的ライトノベル全盛の時代に文章だけを読んでいると萌えとは程遠く感じるにもかかわらず、アニメ化を2期に渡り制作された作者デビュー作としては大成功の作品でした。
 どうこの物語をアニメ化するのだろうかと思いましたが、良く出来ていました。拙者は第1期のオープニング・エンディングとサントラ集をBGMに使っています。原作も完結した事だし、アニメも完結編として第3期を制作してもらえないですなね。著者支倉凍砂の次回作に期待。
 内容(「BOOK」データベースより):鉱物商・デバウ商会によって新貨幣が発行され、自由と希望の町となるレスコ。ロレンスはその町で、ホロと共に店を持つことを決める。しかしその矢先、ホロとロレンスの前にコルの頭陀袋を持った人物が現れ、二人はデバウ商会の内部分裂による大きな事件に巻き込まれることとなってしまう。ホロは、禁書を得るためコルとエルサを追ってキッシェンへ。ロレンスは、デバウ商会に追われミューリ傭兵団とともに雪山を越えることになる。バラバラになってしまった二人の運命は―?行商人ロレンスと賢狼ホロの旅を描く新感覚ファンタジー、ついに本編感動のフィナーレ。
 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 支倉 凍砂:1982年12月27日生まれ。第12回電撃小説大賞“銀賞”受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

2011年3月12日土曜日

シンバシノミコ 2巻 読了

シンバシノミコ 2巻 読了
光永康則/著 集英社/刊 20110309第1刷562円 ヤングジャンプ・コミックスBJ
 11日から続く災害の被害に遭われた方々には、心よりお見舞い申し上げます。そして援助救援に向われた方々へは応援申し上げます。拙者はせいぜい義捐金をわずかばかり出すくらいですが、出来ることがあれば、可能な限り努力したいと思います。
 今朝方避難所になっている公園の体育館にいました。幸いな事に、その場所へは被災された方は来なかったそうですが、朝いつも予約とりに来ているらしいおじいちゃんが来て、何故予約が出来ないんだ、とわめいて帰って行きました。施設の職員とは別に徹夜で避難所を開いていた職員にまでヒマしているとか暴言を吐いて行きました。日本中にこの人だけだとは思いますが、あれだけテレビでラジオで苦しんでいる膨大な人々を放送していて、被害が少ないとは云え同じ市内に避難している人々までいると云うのに、自分の事しか考えられない人がいるというのは悲しくなります。
 坂上二郎さんのニュースが霞んでしまいましたねぇ。

 さて「シンバシノミコ」2巻目。スタイル抜群のOLは仮の姿。総務2課の宮間一子の仕事は悪霊を払うことだった。総務2課に配属された菰田貞夫は、意外な才能が開花するのであった。
 ちょっとセクシーな悪霊退治ストーリー。悪霊退治をするには童貞と処女でないと出来ない設定なのでHは無し。まるでOLモノなのにメインデッシュが無いAVのようですが、そこはコメディと云う事のお約束。一話完結型ながら、都内の町毎の巫女が登場し、主人公への伏線が張られているので、今後の展開が楽しみです。
 考えてみたら拙者は悪霊と闘うマンガの紹介が結構多いなぁ。拙者の趣味なのか、作品が世に叛乱しているのか、どっちなんでしょうね。

内容説明
集英商事の通称「退魔課」が担う仕事は“魔に差された"人々の救済と魔物退治!! OL兼巫女の巨乳美女・宮間一子と部下で童貞の新米社員・菰田貞夫は日々、魔物騒動で多忙を極める!! コスプレOL、痴漢サラリーマン、さらに、心霊スポット失踪事件も…。魔物に立ち向かう一子と貞夫に今日も新たな神託が届けられる!!(アマゾンより引用)
(『ビジネスジャンプ増刊・ビージャン魂』および『ビジナネスジャンプ』掲載)

2011年3月11日金曜日

バクマン。 12巻 読了

バクマン。 12巻 読了
~画家と漫画家~ 小畑健/漫画 大場つぐみ/原作 集英社/刊 20110309第1刷400円 ジャンプ・コミックス
 新連載のマンガが期待以上に人気が伸びず四苦八苦するも、なんとか軌道に乗せる事が出来た二人。更なる高みを目指し二人は新たな挑戦を開始する。折しもアシスタントにはいった白鳥シュンの作品が編集者の目に留まることになった。
 アニメ大好評放送中。動画の枚数は少なそうなのに、ストーリー的に盛り上るのは脚本と声優の腕なのでしょうか。主人公亜城木夢叶の二人が揃ってメインパーソナリティーを勤めるネットラジオも放送中。キャラクター像があまり崩れていないのが驚き。アニメを見ていると既刊を読みたくなるのですが、拙者所蔵の資料が何処に埋もれているのか捜し出せず悪戦苦闘。何のために買って捨てずにとってあるのか。意味無し!
 
 内容説明:PCPの連載を続けていく為には、半年内にエイジの作品と同等の人気作になっていなければならない!! そんな厳しい条件の下、最高と秋人は5話のシリーズもので勝負に出る!! 連載継続を賭けた2人の未来は!?(週刊少年ジャンプ掲載)
(アマゾンより引用)

2011年3月10日木曜日

ヒコボシ 読了

ヒコボシ 読了
~ふくやまけいこ作品集~ ふくやまけいこ/著 ジャイブ/刊 20110313初版850円 CR COMICS DX
 アキバのダンジョンブックスが閉店したらしい。立地条件が文字通りダンジョンの様な場所にあった本屋だったし、2階の店は本屋以外はあまりにも危険な香過ぎる店舗ばかりであったので、拙者達みたいな“大人”が買うには逆に客が少なくて品定めしやすかったと云えます。ただ店舗面積も小さく、アキバに犇く同業書店との差別化もままならなかったのでしょう。拙者もそんなに足繁く通ってたわけではないですからねぇ。

 以前当ブログで紹介している「オリヒメ」と対を成す珠玉の掌編集。忘れかけた幼き日の懐かしくも切ない思い出を、ふくやまけいこが描き出す。
 突然思い立ちましたが、著者ふくやまけいこの絵柄で「魍魎の箱」をマンガ化したら、案外いけるのではないでしょうか?30年代の日本の風景にセーラー服の女子高生が似合いそうな絵柄でしょう。となれば理とか雫もよさそうですね。でも恐ろしい描写がなさそうなのが残念ですが、そこら辺の残酷描写もどう著者ふくやまけいこだとどう演出するかと云う点も、また見所の一つとなるでしょう。

 内容紹介:『オリヒメ』に続く単行本未収録作品集が登場!! 連れ合いを亡くしてから、嫁や孫には理解できない行動をとる祖母。その胸の奥深くにしまわれた大切な想い出とは……。『風鈴』  理科の授業でもらった虫めがねに夢中な妹に、困った姉が取った策とは?『虫めがね』 ほか、味わい深く秀逸な24作品に描き下ろしページも多数収録!!
(アマゾンより引用)

2011年3月9日水曜日

機動戦士ガンダムUC 1巻 読了

機動戦士ガンダムUC 1巻 読了
~ユニコーンの日(上)~ 福井晴敏/著 角川書店/刊 20070926初版640円 角川コミックス・エース 矢立肇・富野由悠季/原案 安彦良和/キャラクターデザイン・挿絵 カトキハジメ/メカニックデザイン
 角川コミックス・エースのシリーズですが小説です。福井晴敏版ターンエーガンダムの小説に感動した身として、著者がオリジナルのガンダム小説を発刊したと聞き、全巻揃えねばなるまいと購入していましたが、全巻未開封のまま埋没。アニメ版を見る機会を得て俄然小説版を読みたくなり、図書館より借用して読みました。
 アニメは第1話、第2話を視聴。素晴らしく良く出来ていると思います。現在第3話を映画館で上映中なので、観に行くかどうか思案中。
 人気があって売れている現役小説家が嬉々として筆をとった物語が面白くないわけがなく、脂の乗った想像力と文章力がガンダムの世界観を舞台に、キャラクター達を活き活きと描いています。
 小説を読むまで“ガンダムUC(ユニコーン)”と“宇宙世紀=UC”がかかっているとは気がつきませんでした。発端は宇宙世紀が始まる数時間前から始まり、主人公のバナージ・リンクスに至る3代の宇宙移民者のバトンが手渡されるのでしょう。アニメを見てしまいましたが、小説においては第1巻では、宇宙世紀初頭のテロと、宇宙世紀96年身寄りの無い苦学生バナージが生活する企業傘下の工業スペースコロニーに降り立った謎の少女と出会うまでを描いています。典型的ボーイ・ミーツ・ガールの物語でありながら、丹念に描いた内容は、万が一このままガンダムが出てこなくとも拙者は満足してしまいそうです。上下巻の上なので起承転結で云えば起承部分だけなのでしょう。転結の下巻を期待に胸を膨らませています。

内容紹介:人類が、増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって一世紀。工業用コロニーに住む平凡な少年、バナージ・リンクスは、謎の少女オードリー・バーンとの出会いから『ラプラスの箱』を巡る事件に巻き込まれていく。宇宙世紀の開闢とともに生まれ、開放されれば連邦政府が終焉すると言われる『箱』の正体とは。新たなるガンダムの鼓動が、世界に革新の予感を告げる―――。文壇の気鋭・福井晴敏が放つ、21世紀の宇宙世紀神話、堂々開幕!(カバー裏表紙より引用)
書籍紹介: 文壇の気鋭・福井晴敏が贈る、新たなガンダム神話!宇宙世紀0096--伝説の神獣の名を冠したMS「ユニコーンガンダム」が宇宙世紀百年の闇を払う! 文壇の気鋭・福井晴敏が贈る、新たなガンダム神話の幕開け!(yahooより引用)

2011年3月8日火曜日

鉄腕バーディー EVOLUTION 7巻 読了

鉄腕バーディー EVOLUTION 7巻 読了
ゆうきまさみ/著 小学館/刊 20110303初版933円 ビッグコミックス 限定版
 宇宙規模のテロの頭目と指名手配をされているレビの地球(日本)の拠点の一つに潜り込むバーディーとつとむ。突如襲いかかってきた謎の集団と闘いレビと共に呉越同舟に退避するバーディーたちは、レビ自身の口からレビの過去を聞く。
 やっとバーディーの目的である敵の首魁の“姿”が読者の前に顕となりました。それはバーディーの出生にも関わる話でもありました。物語の外郭が大きな割にはバーディーの活躍がせせこましく、今一つ盛り上りに欠けていましたが、ここでやっとバーディーの追う“事件”の概要が語られるのか!?と云う感じになりました。このままサクサクとストーリーが展開すると良いのですが、個々のキャラクターの物語を丹念に追う群像劇さながらの展開なので、今後連載が何年続くのだろうかと考えるとゲンナリ。
 限定版付録のイラスト集(B5版)は、通常版+500円で手に入る事を考えると得だと思います。小学館のマンガ家さんたちを主に寄稿されたイラストは一見の価値あり。

 内容紹介:バーディーが追う逃亡犯、レビの真実!!レビを抹殺せよ。連邦政府の方針に背を向け、あくまで逮捕を望むバーディー。レビは意外にもバーディーを自身のもとに呼び、己の過去を語り始める。「自分は奥の院によって生み出された化け物だ」と明かしたレビが辿った悲劇。なぜ、テロリストと成ったのか…? 問わず語りは核心へと!!真実を抉る第7集、登場!!

ゆうきまさみ30周年記念付録、第2弾!
ゆうきまさみ氏画業30周年記念のイラスト集付き「鉄腕バーディーEVOLUTION」第7集の初版限定版です。
【イラスト集「ゆうきまさみ 30+1」の内容】12/7~1/10まで渋谷パルコにて開催された「ゆうきまさみ開業30周年記念!企画展」に際して寄稿された、30名の先生方からのお祝いイラスト(青木光恵氏、あだち充氏、あらゐけいいち氏、荒川弘氏、石川雅之氏、出渕裕氏、うっけ氏、カサハラテツロー氏、椎名高志氏、島本和彦氏、志村貴子氏、新谷かおる氏、高田明美氏、高橋留美子氏、田丸浩史氏、とり・みき氏、堂本奈央氏、西村誠芳氏、日本橋ヨヲコ氏、灰原薬氏、
畑健二郎氏、氷堂涼二氏、藤田和日郎氏、松本テマリ氏、美樹本晴彦氏、幸村誠氏、吉田戦車氏、りょーちも氏、redjuice氏、若木民喜氏)+ゆうき氏の描き下ろし漫画と、各先生方への御礼メッセージ イラスト集のサイズは、B5版になります。編集者からのおすすめ情報記念展の開催が東京のみでしたので、会場にいらっしゃれない方々から「ぜひお祝いイラストが見たい!」という声を多々頂戴したため、今回の単行本に初版限定として付録本を付けさせていただきました。30人の先生方からの愛溢れるイラストと漫画を、ぜひご覧になってください!
 編集者からのおすすめ情報:画業30周年を迎え、ますます筆が冴えるゆうき先生の最新刊です。今巻で描くレビの少年時代のエピソードは、必読です!(小学館ホームページより引用)

2011年3月7日月曜日

劇場版 マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜 観了


劇場版 マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜 観了
 良い映画を見終わった帰り道と云うのは至福の喜びですなぁ。正に余韻に浸ると云う言葉が的を得ていると思えます。「劇場版 マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜」は鼻歌交じりにスキップして帰りたくなる、心浮き浮きな帰り道でした。
 ですが、「劇場版 マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜」が良い映画であったのかと云うと、良かったとは断言しがたい一面もあります。なにより第一に前後編なので、前編を見ていないと設定や人間関係に理解できず、またTV版マクロスFとは大幅なストーリー変更があったとは云え、TV版全26話を見ていないと世界設定や人間関係を理解できるとは言い難いと思われます。またマクロス・シリーズをある程度把握していないとストーリー的に楽しめるかどうか。無論マクロスF前史を知らなくとも大丈夫なように作られてはいますが、可変翼の宇宙戦闘機がロボットになる理由とは劇中で語られていません。況や宇宙船がロボットに成る理由とは!
 TVでが学園青春モノっぽく描かれていたのが、楽屋恋物語、天才子役だった歌舞伎の御曹司と移民船団のネットワークで成功している現役アイドルと新人アイドルとの三角関係、を描いたようなストーリーになってしまいました。
 話は飛んで、邦画は“ミュージカル”と云うジャンルを成し得る事が出来ませんでした。しかし、物語と音楽と踊りが日本に無かったわけではなく、能も浄瑠璃も歌舞伎も歌と踊りが見せ場の一つです。ところが映像の発展に対し何故か物語と歌のジャンルが大々的に育つことはありませんです。舞台であれば宝塚にしても劇団四季にしても興行的に成功した運営をなされています。声優は“俳優”業の副業的存在として発生した面があります。現在もまた声優だけで生活している人は希で、ラジオのパーソナリティーや舞台を普通に行っています。声優学校での訓練もまた“声”だけではなく俳優としての勉強を為されていると聞きます。声を稼業にしている“声優”が歌うのはある意味当然の業務だと思われます。
 映画でミュージカル映画が作られてはいましたが、ジャンルとして定着するには至らない中、TV番組中で歌と映像がミックスしたジャンルがNHKのみんなのうたを筆頭にした幼児向け番組とアニメでした。TV番組においてオープニング・エンデングはスタッフ・テロップと共に、本編を完結かつ魅力的にまとめた映像と印象深い音楽や歌と結合された作品を作り続けてきました。またTVアニメ作品はアニメ本体では制作費の回収をする事が出来ない条件下で制作されてきたので、オープニングやエンディングの曲を売る必要もあったのではないかと考えられます。本編中にもキャラクターによる挿入歌が繰り込まれていました。
 それら脈々と受け継がれた大衆文化の文脈の中で、アニメにおけるロボット戦争モノ+恋愛三角関係+歌と云う三つのコンセプトを高々と謳い上げ、成功させた作品が「超時空要塞マクロス」です。
 以後「マクロス」は同様のコンセプトでシリーズ化され、25年の時を経て作られたのがTV放送された「マクロスF」であり、「マクロスF」の人気をして劇場化したのが前編「イツワリノウタヒメ」そして後編が本作品「劇場版 マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜」でした。
 本作のヒロイン二人がステージの上で歌い舞い踊る!その背景として宇宙移民船団が異星の生命体に襲われ、二人が慕う青年が戦闘機のパイロットとして戦うと云った方が良いでしょう。戦闘シーンは何をやっているのかワカらん。最早目が追いつかず。
 マイケル・ジャクソンのスリラーをして映画のようなミュージック・クリップと云われましたが、本作品はストーリーのあるミュージック・クリップ、と云った方が良いかもしれません。
 超時空要塞の羽田健太郎も素晴らしい作曲家ではありますが、なんと云っても菅野ようこと云う歌謡曲からオーケストラ組曲まで縦横無尽に作曲演奏できる稀代の音楽家を、河森正治が得ることが出来た、その運命の出会いを絶賛するしかありません。
 ジェリルとランカの歌が好きな方と菅野ようこの好きな方にはオススメ、必見の価値あり。映画館の大音量で楽しまなければ損をします。映画館の規模にもよりますが、音響と椅子が良い所ならばお金を払うだけの価値はあります。拙者はマクロスFのネットラジオを視聴しているので、アルトやランカの声を聞くと最近ではラジオのイメージに引きずられてしまうようになり、劇場でも笑いたくなってしまいました。
 ネタバレで云わせてもらえば、思い続けた初恋が実る瞬間を描き、初恋が破れる瞬間を描いた素晴らしい作品であったと思いますよォ。でもアノ終わり方では、続編への布石にしか思えませんでした。
 マクロスシリーズの最終シーンはリン・ミンメイの天使の絵具のコンサート・シーンしか無いを思われますが、いかがでしょうか?

以下yahooより引用
原題: -
製作年度: 2011年
別題: -
製作国・地域: 日本
上映時間: 115分
スタッフ
監督:河森正治
製作総指揮:-
原作:河森正治 、スタジオぬえ
音楽:菅野よう子
脚本:吉野弘幸 、河森正治
キャスト
中村悠一(早乙女アルト)
遠藤綾(シェリル・ノーム)
中島愛(ランカ・リー)
小西克幸(オズマ・リー)
神谷浩史(ミハエル・ブラン)
福山潤(ルカ・アンジェローニ)
豊口めぐみ(クラン・クラン)
三宅健太(ボビー・マルゴ)
小林沙苗(キャサリン・グラス)
保志総一朗(ブレラ・スターン)
井上喜久子(グレイス・オコナー)
杉田智和(レオン・三島)
 解説: 人気SFアニメ「マクロス」シリーズで、2009年に公開されて大ヒットした『劇場版マクロスF~イツワリノウタヒメ~』から続く完結編。軸となるテレビ版ストーリーを大幅に改変し、二人の少女の歌声に秘められた謎をめぐる死闘を描く。監督は、テレビシリーズ第1作目からスタッフに名を連ねる河森正治。「マクロス」史上かつて類を見ないハイクオリティー映像で繰り出される激しいメカアクションと、テレビ版とは異なる新たな結末は必見。
シネマトゥデイ(外部リンク)
あらすじ: 銀河移民船団「マクロス・フロンティア」に住むパイロット志望の少年、早乙女アルトは、歌姫のシェリル・ノームとスターを目指すランカ・リーと出会う。しかし、二人の歌声には、船団の脅威となる重機甲生命体「バジュラ」の謎が秘められていた

2011年3月6日日曜日

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 22巻 読了

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 22巻 読了
~ひかる宇宙編・後~安彦良和/著 角川書店/刊 20110226初版560円 角川コミックス・エース
 ア・バオア・クー戦もホワイトベースの強襲揚陸により、いよいよ佳境か!と思いきや、ここにいたり著者安彦良和によるオリジナルの展開が始まったッ!!
 まさかここに至りこのタイミングとはッ!
 刮目!
 ジーク・ジオン!!
 前半はアニメ版通りの展開で何気に読んでいましたが、オリジナルストーリーに突入するや、俄然盛り上がり、読了後もしばらく興奮が冷めやりませんでした。次巻を切に望む。雑誌を購入するのも手か。
 巻末の安彦良和と大河原邦男の対談も必読。拙者は2011年冬のワンフェス会場で「西町文庫だより2011winter vol.2~機動戦士ガンダムの原作者が鳥取で語る~」と云うA2版程度の両面印刷されたFREEペーパーを入手しました。富野由悠季監督の鳥取での講演会を元に、講演を企画した関係者が講演会やガンダムや富野監督について寄稿しています。佐々木孝文氏の文章の中で、監督は「作品に求められる条件によって、作り方を変えている」のであると書いています。大雑把に云えば商品としてのアニメと作品とアニメの監督におけるバランスみたいな事かと思っていましたが、今22巻の安彦・大河原対談で、ザンボット3以降のサンライズと云うアニメ製作会社のスタンスと、会社の存続をさせなければならない(稼いで社員を食べさせる義務を負う)監督の責務を負う富野監督のガンダムへのスタンスが語られており、この二人の対談を読むことにより「西町文庫だより」の文章が理解する事が出来ました。
 現在再放送中の「ターンエーガンダム」を見ているのですが、面白いじゃありませんか。でもVガンダムにしても、ターンエーにしても敷居が高すぎませんか?一年戦争は太平洋戦争とか欧州戦争の如き大会戦ですが、Zガンダム以降は戦争ではなく“紛争”と呼ぶべき戦いを描いていたのではないでしょうか。
 
 内容紹介:主力艦隊壊滅の逆境を打開せんと、ワッケイン司令は生き残った兵力によるア・バオア・クー直接攻略を決断した。アムロら、MS隊は先鋒に選抜されたが……、一方ゲルググを失ったシャアは意外な人物の許へ向かう。


2011年3月5日土曜日

超級!機動武闘伝Gガンダム 3巻 読了

超級!機動武闘伝Gガンダム 3巻 読了
島本和彦とビッグバンプロジェクト(宮北和明)/漫画 今川泰宏/脚本 矢立肇・富野由悠季(「機動戦士ガンダム」より)/原作 角川書店/刊 20110226初版580円 角川コミックス・エース
 ネオイタリア、ネオアメリカ、ネオフランス、ネオチャイナのガンダムと闘いを繰り広げてきたネオジャパンのGガンダム、ドモン・カッシュはネオロシアのファイターと闘うことに。ここまではTV通りの展開。そしていよいよ、TVでは描かれなかった、しかし必然の出会い、マスター・アジアとの邂逅の物語が始まる。いよいよのオリジナル展開。折角オリジナルのデザイナーである著者島本和彦が描くマンガなのだらか、テレビの制約を受けないオリジナルストーリーには島本和彦らしい展開を期待。

  内容紹介;ネオロシアへやって来たドモンはひょんなことから強制収容所へと収監されてしまう。ドモンは脱出を試みるも、ネオロシアのガンダムファイター、アルゴ・ガースキーの乗るボルトガンダムに阻止されてしまうのであった。(アマゾンより引用)
(ガンダムエース掲載)

2011年3月4日金曜日

日本の宇宙技術 読了

日本の宇宙技術 読了
世界にはばたく日本力~ こどもくらぶ/編さん 渡辺勝巳/監修 ほるぷ出版/刊 20110130初版2800円
 28サンチの子ども向け図鑑。拙者が年少の頃の宇宙関係の図鑑ではサターンやアポロが主であり、日本のロケットはカッパーやラムダが主で、子供心にも見劣りがしていましたが、昨今はたいしたものですなぁ。宇宙技術者達や行政マン達の不断の努力の結果だありましょう。
 拙者もまた「はやぶさ」以降日本の宇宙技術に俄然目が行くようになりました。本書は子ども向けに作られているため漢字にはルビが振られ、ビジュアル的に見やすく出来ていて、日本の宇宙技術開発を平易に紹介している点で、興味はあるがマニアではない大人にも理解しやすいと思います。
 ただ難を云わせていただければ、シリーズ名とかタイトルからして“日本の”とか“日本力”とか、また内容にも“ここがすごい!日本の”やら“世界にほこる日本の”とか、何かと“日本”を連発してうざく感じます。どこぞの国みたいに“わが国は”とか大~とか小~とか、自ら三流を暴露するような、見るからに浅はかな表現を真似しなくても良いのではないかと思います。慎み深さこそが日本の美徳だったのではないでしょうか。まあ、大陸渡来の品々を有り難がるのも日本の伝統であると云えますが…。それと日本の宇宙開発や運営はNASAその他国際的協力により成り立っているはずです。日本独力では出来ない事ばかりのはずなので、国際協力もまた紹介してもらいたいものです。子ども向けであるためか、統計等の数値が大雑把で不確かに感じました。
 少々お値段が高めなので図書館を利用すると良いかもしれません。

 内容紹介:この本は、日本のさまざまな技術力と、これを可能にあうる「日本力」を、みなさんといっしょに見ていくシリーズです。この巻では、宇宙の技術力のなかから、ロケット技術、人工衛星の技術、天体観測技術を見ていきましょう。また、「はやぶさ」の地球への帰還で、日本が世界的に高く評価された惑星探査についても見ていきましょう。そして、日本の技術力のすごさ、その背景となるもの、その技術力によって世界で活躍する日本人について知りましょう。(カバー返しより引用)

2011年3月3日木曜日

プ~ねこ 4巻 読了

プ~ねこ 4巻 読了
北道正幸/著 講談社/著 20110223第1刷533円 アフタヌーンKC
 ネコをキャラクターに仕立てたマンガは良く目にしますが、イヌのキャラクターって数少ないと思いませんか?「わんわん三銃士」とか宮崎駿の「名探偵ホームズ」とか、アニメでは結構イヌをデザインした作品を思いつくのですが、でもこれらの作品はあくまでイヌのデザインの応用で、イヌが活躍するわけではありませんからねぇ。脇役ならば「ケンケン」を筆頭に「ヘムヘム」とか、マスコットとしてのペットならいくらでもいますが。擬人化されつつもイヌのままの主役か主要キャラクターだと「スヌーピー」くらいしか思いつきません。この前映画で上映していた「宇宙ショーへようこそ」はイヌ型宇宙人でした。
 さて「プ~ねこ」。連載しているんだか、していないんだか。そう云えば最近数ページであっても、常にアフタヌーンに連載していましたね。ちゃんと単行本が出たのか。素晴らしい。四コママンガなので、ストーリーを語るような野暮なマネはできません。

 内容説明:やけに厭世的なネコちゃんたちが、愉快におしゃべりして昼寝して、夜にはまた寝 て、朝も寝る……。そんなお話だ。うらやましいだろ!
 著者について:北道正幸 1967年生まれ。福井県出身。1992年、アフタヌーン四季賞佳作を受賞。以後、「アフタヌーン」に、ギャグ漫画『スカタン野郎』『スカタン天国』、特撮のパロディ『ぽちょむきん』を連載。現在はシニカルな猫たちを描いた4コマ漫画『プ~ねこ』を連載中。(アマゾンより引用)
(アフタヌーン掲載)

2011年3月2日水曜日

ああっ女神さまっ 42巻 読了

ああっ女神さまっ 42巻 読了
藤島康介/著 講談社/著 20110223第1刷495円 アフタヌーンKC
 魔族の女王を救うため、死亡の塔よろしく、各フロアに陣取る魔族との勝負を続けるベルダンディー一行。今巻はスクルドが活躍だ!
 OVA付特装版が出ている事を、通常版を入手してから気がついた。古書で買うか。
 毎回同じような事を書いていますが、「アフタヌーン」と云う雑誌は「ああっ女神さまっ」を連載させるために出来たような雑誌だから、もし「ああっ女神さまっ」が終わったらどうなってしまうのだろうか、と文字通り“杞憂”にドキドキ。
 内容説明:女神の法術を封じる第3の魔属が現れた!! その名はモックルカールヴィ。劣勢に立たされるベルダンディーとウルドを救うため、スクルドがばんぺいくんとともに立ち上がるっ!!
 著者について:藤島康介 1964年7月7日生まれ。漫画家、イラストレーター。1986年、「モーニング」掲載の『Making BE FREE!』でデビュー。1986年よりモーニングに『逮捕しちゃうぞ』、1988年より「アフタヌーン」に『ああっ女神さまっ』を連載開始。代表作に『逮捕しちゃうぞ』、『ああっ女神さまっ』など。(アマゾンより引用)
(アフタヌーン掲載)

2011年3月1日火曜日

謎の彼女X 7巻 読了

謎の彼女X 7巻 読了
植芝理一/著 講談社/著 20110223第1刷571円 アフタヌーンKC
 最近TV番組なんてアニメしか見ていないので、流行モノとかアイドルとかに疎いのですが、アイドルって居るんですかね?AKB?ドンキホーテの客引きやってる女の子達のことで?デフレが進んだとニュースや新聞で云われても、今一つ実感できませんでしたが、アイドルのデフレと云われると実感しますわ。かつてはTVに出る事ですら一つのステータスでしたが、今は猫も杓子も簡単にテレビに出られるようになりましたなぁ。テレビと云わず、「マス」に市井の人間か関係すること自体が困難でしたが、今やコンピュータの発達により誰も彼も簡単に世界中に情報が発信できる時代になりました。そうなると相対的に“アイドル”の値打ちも下がるわけですか。アイドルの値打ちが下がっても“芸人”もしくは“芸能人”の値打ちが下がるわけではありますまい。逆に“芸”と云う技術で世を渡っていく難しさは今も昔も変わりますまい。「マス」に出るのは簡単でも出続けるのはまた別な話しだし、人気を得続けるのは更に困難な事でしょう。
 拙者が少女漫画をセッセと読んでいた頃は、アイドルに成るとか芸能界と市井の人とのギャップが恋や笑いとして大量に消費されていましたが、今はどんなものなのでしょうか。「謎の彼女X」の7巻を読んだら久々に“アイドル”なんて事を考えてしまいました。

 内容説明:自分にそっくりな人気アイドル・今井百夏の代役としてライブの特訓に励む卜部にライブ前日、行方不明の百夏から連絡が! 彼女は椿とライブに来て、後半は自分が出るという。ということは前半は卜部が出演!? 人生初舞台、緊 張する卜部にマネージャーがかけた言葉は……。今、卜部は椿への想いをこめてステージに立つ!! アイドル編、大団円?の第7巻!
 著者について:植芝理一 1991年、コミックオープンちばてつや賞一般部門受賞。代表作に「ディスコミュニケーション」「夢使い」がある。「夢使い」は2006年、TVアニメ化された。現在、月刊アフタヌーンで「謎の彼女X」連載中。(アマゾンより引用)
(アフタヌーン掲載)