木更津駐屯地航空際

木更津駐屯地航空際
2019年12月8日木更津駐屯地航空際にて撮影

2011年5月16日月曜日

星を追う子ども 観了


星を追う子ども 観了
 何と云う“アンチ宮崎”。
 悪い意味ではなく、日本の映像製作者、特にアニメーション関係者に巨壁として聳え立った日本が世界に誇る英雄宮崎駿。ある一定年齢以下の日本人であるなら影響を漏れなく受けていると云っても過言ではないでしょう。そして同じ土俵に立つアニメーション関係者であるならば、必ずや何らかの形で超えねばならない存在でもあります。超えねば為らない巨大な存在に真向勝負をかけるのは、アウェーでの勝負というか、ある種風車に対し正面突撃をしかける様相があります。しかし、対抗者としてではなく、影響を受けた者としてみるならば、自分の成長の過程を振り返る意味でも自分の一部に成っているであろうモノを己の手で形にして見たいと思うのもまた当たり前だと思います。
 雑誌『ダ・ヴィンチ』の監督新海誠インタビュー記事に、世界名作劇場を目指した云々、と書いてあったような気がします。と、なれば名指しをしているようなものでしょう。ある意味、偉大な監督の息子よりも、弟子のアニメーター達よりも、正統な後継者ではないかと考えられないでしょうか。
 更に主人公の名前が“アスナ”に“シン”とか、同行する分別の有るべき中年男性が亡き妻の面影を追い続けて手段を選ばないとか、もしかしてジ○リばかりでなくガイナ○クスにまで喧嘩売ってます?
 その意気や良し。
 たった一人でアマチュアとしてアニメーションを製作し名声を得て劇場作品を何本もつくり続けているクリエーターである監督新海誠ならば、既成のシステムに乗っている他クリエーター全てに文句を言う権利があります。オマージュであることは充分承知しております。
 押井守風に云えば常勝監督でしょう。
 宮崎駿と新海誠に共通している点は、本来ならば複数人で分担しなければ出来ないアニメーション製作に必要な技術全てを個人が其々トップクラスの技量で所持している才能にあると思います。ストーリーである脚本は元より、演出もキャラクターの絵も、背景も、世界設定やメカや大道具から歯ブラシやボタンの一つに至るまで世界設計をしてしまえる巨大な“技”を持っており、時間が許すならば個人だけで全て作り上げたいであろう所を、様々な制約下の元で“指揮官”(=監督)として他人をコントロールする点でも似たような境遇であろうと見えます。比較するなど全く意味の無いことであり失礼な事でもあるのですが、吾朗氏は全てを持っていないにもかかわらず、ただ息子であると云う一点のみの理由で担ぎ上げられた、アニメーション製作・映像製作とは関係の無い理由で監督をしてしまった、何ともリアル「ゲド戦記」な話ではないでしょうか。王を刺した王子のシーンを試写でみたジブリスタッフの顔を見てみたかったです。もし本当に本人にアニメを製作したい意思があるならば、どんな形でもチャンスはチャンスであり、生かしてこその機会です。才能があるならば必ずや花開くことでしょう。拙者の記憶には円谷プロダクション等の事例とジ○リの行く末が重なって仕方が無いのですが…。閑話休題。
 物語の中盤以降異世界での旅が主題になるわけですが、その異世界の文化設定がまるでナウシカのような…島本須美まで出てるし。まあ日本の源流を求めてアジアの奥地へ分け入っていくと、そういった文化圏に行き着くのは充分わかります。幼き男女が冥府で逃げ回る神話的モチーフを生かしたストーリーを観たとき諸星大二郎を思い出してしまいました。行って帰る物語構造とパンフレットの中でも言及されておりますが、世界各地に普遍的に存在する“死と再生”の物語と、児童文学「ピラミッド帽子を、さようなら」を監督新海誠に入力すると何故「星を追うこども」として出力されるのか、無論全てのクリエーターの作品に通じる入力と出力であり、拙者の昨日のブログの様に子ども向けの本を読んで寂しいとか吠ざくのが精一杯の人間には到底思いもつかないその精神的創作活動に憧れとともに畏敬の念を憶えざる得ません。黄泉津醜女をあのように演出した事だけにでも喝采を送りたいです。
 TVCMを見たとき、また井上和彦だと思いエンディングテロップのスタッフに三ツ矢雄二を見たとき、嗚呼と思った事がパンフレットに当然書いてありました。

(以下yahooより引用)
 解説: 『ほしのこえ』『秒速5センチメートル』などで熱烈なファンを獲得した新海誠監督が手掛ける、孤独な少女の冒険の旅をファンタジックに描くアニメーション。ヒロインがたどる未知の場所への冒険を通して、この世界の美しさや輝きを紡ぎ出す。音楽を担当するのは、これまでの新海作品にも印象的なメロディーで彩りを添えた天門。何げない言葉や風景が繊細に溶け合い、観る者を癒やす独特の世界観に魅了される。
 あらすじ: 父親の形見の鉱石ラジオから流れる不思議な音楽に耳を傾けながら、思いをはせるアスナ。孤独な毎日を送るアスナは、ある少年と再会するための旅に出ることにする。それはアスナにとって、世界の冷酷さと美しさ、そして別れを知るための冒険の旅となる。

原題: -
製作年度: 2011年
監督: 新海誠
上映時間: 116分
スタッフ
監督:新海誠
製作総指揮:-
原作:新海誠
音楽:天門
脚本:新海誠
キャスト
入野自由(シュン/シン)
井上和彦(モリサキ(森崎 竜司))
島本須美(リサ)
日高里菜(マナ)
竹内順子(ミミ)
折笠富美子(アスナの母)
(あれ?主人公のアスナ役イカ娘の金元寿子の名が欠けてるけどミス?それとも大人の事情?)

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