2011年5月1日日曜日
テルマエ・ロマエ 3巻 読了
テルマエ・ロマエ 3巻 読了
ヤマザキマリ/著 エンターブレイン/刊 20110507初版680円 BEAM COMIX
TVアニメ「GOSICK」は此処に取り上げる機会がなかなか見当たりませんが、ぶわぁッと盛り上るわけではありませんが、細く長く名作劇場的な舞台設定を優良な質を維持し続ける作品としてオススメしたいところ。深夜ではなく、出来れば子ども達がTVの前で見ることが出来る時間帯で放送してもらいたい作品です。後期エンディングの冒頭、塔の天辺に立つ二人は毎回見るたびに足がすくみます。それだけ雰囲気が出ていると云う事なのでしょう。
さてローマ風呂物語。
アニメ化ではなく、実写映画化だそうです。主役が阿部寛とは!確かに合っている。本人はいたって真面目ながら状況的に笑えてしまえる演技は巧いでしょうな。でも古代ローマ人が現代日本にタイムスリップしてしまうのが骨子なのになのに日本人が演じてしまったら意味無いんじゃ…?ここまで国際化されていればイタリアの一流俳優を日本映画に出演させるのは難しくないと思います。マンガのもう一つのミソである古代ローマ文化の薀蓄は映画で描く時間があるわけもなく、タイムスリップしたカルチャーギャップが主眼なんでしょうし、折角だからイタリア人総出演でもいいんじゃないのでしょうか。制作がフジテレビで実写版のだめの監督らしいですから古代ローマ世界で主役ルシウスだけが阿部寛の日本人なんだろうなぁと思う次第。良い意味で拙者の予想を裏切って欲しいものです。
ルシウスが11話目で馬に乗っている描写があります。拙者の記憶が確かなら、この時代に“鐙”は無かったような。それともハドリアヌス皇帝や賢人皇帝マルクスの頃には鐙は普及していたのでしょうか。マルクス皇帝の死後を描いた映画「グラジエーター」では鐙が普通に登場していたはず。鐙の無い裸馬での乗馬は、とてつもない修練が必要だそうです。ギリシア軍やローマ軍団に騎馬兵がおらず、歩兵が中心なのは馬に乗るだけでも大変なのに馬上で戦闘行動をとるとなると生まれた時から馬に乗っている人々でないと出来ないからなんだそうです。既に遊牧民等はいましたから、ヌビミア騎兵など有名な傭兵部隊も活躍しています。映画ベン・ハーで有名な“戦車”レースも騎乗が一般的ではない時代のレースと云えます。中華平原でも同じ事が云え、戦国時代等まではやはり馬に引かせる“戦車”が使われています。地中海世界での鐙の話は雑誌『アフタヌーン』掲載の「ヒストリエ」で描かれていますので、興味の有る方は是非ご覧ください。話がズレてしまいましたが、馬に乗れるルシウスって特殊技能者なのではないでしょうか。もしくは元々は貴族階級の出とか。
14話では木製風呂桶について描かれていますが、これまた拙者の記憶が確かなら、日本で“桶”とか“樽”のように木製品で液体を密封出切る品を生産出来るように成ったのは(日本の)戦国時代ポルトガル船の来航以来だったような。それまでの密閉容器は“瓶”等であり、手桶等は無く、“曲げ物”等を使っていたような。法政大学が出版している図書館で良く見かけるアノ本あたりを調べれば詳しく出いていると思うのですが。シリーズタイトルすら思い出せん(法政大学ナントカ叢書?)。江戸時代に樽や桶の生産が飛躍的に伸び、味噌や醤油や酒が大量生産され、それらを運ぶため“樽廻船”が日本海航路の北前船や太平洋航路を行き交い、江戸時代末期には大量輸送時代をむかえていたとか。樽廻船を今で云えばコンテナ船ですね。しかも江戸時代前期においては京都大阪の上方から、大消費地江戸へ味噌醤油は云うに及ばず飴玉まで輸送していたとか。当時は一応京都が首都なので上り下りで云うと江戸行きは“下り”になります。上方から江戸へ来ない“物”、江戸に運んでも売れない“価値の無いモノ”すなわち“下らないモノ”が「くだらない」の語源らしいですなぁ。江戸時代も後半になると味噌醤油は江戸近郊の流山とか野田とか千葉県北部から茨城県南部が大生産地になり、江戸時代前半とは異なり京都大阪へ輸出していたんだとか。それば醤油王国やらの名残になっているんですね。
拙者の中学時代の日本史教科書に樽廻船や菱垣船等が紹介され、テストにも出ましたが、具体的にどう云う船なのかは紹介されず、千石船や樽廻船や菱垣船の違いを教わりませんでした。樽廻船についての“コンテナ船”は中学時代の近野先生の発言です。具体的にどう使われていたかを知ったのは中学から十年以上経て司馬遼太郎の本を読んでですね。ヨーロッパの国々が大航海時代を迎えられたのは、船舶を密封し、例えるならば樽の如く漂う事ができたからだと書いてあったと記憶しています。
なるほど映画「アルゴ探検隊」に出てきた船や、小さなバイキングビッケのバイキングの船はボート池のボートを大きくしただけのような形をしており、司馬遼太郎の例える所の御椀を浮かべたようなもので、水が椀の中に入ると人力でくみ出すしかなく、水量が多ければ沈むが転覆するしかありますまい。しかしいつの頃からかお椀の船に“甲板”という蓋をするようになりました。舷側の窓と甲板の出入り口を密閉することにより、内部に浸水することなく、海を渡ることが出来るようになったのが大航海時代だったとです。宮崎駿の「どうぶつ宝島」で主人公が樽を改造した船で旅立ちますが、実はとても理屈に合致した描写だったのですね。
何故日本で甲板船が発達しなかったかは、諸説出ており、幕府が許さなかった等もありますが、甲板で密閉した船と甲板をしていない船では積める量が違い、港での荷物の上げ下げの手間も段違いになるとか。日本は陸地を見ながらの沿岸航行が主であり、悪天候の時には港へ直ぐ退避できました。遠くへ行くにしても沖縄、台湾、朝鮮半島、北海道、サハリンくらいならば太陽や星を見ながら沿岸航行で辿り着けたようです。閑話休題。ルシウスが風呂桶作りに指定した素材“レバノンン杉”にも色々と面白い歴史があるのですが、それについては追々。
日本人が如何に風呂好きか、現在も被災地からの新聞記事に風呂が話題になっています。そんな風呂好きな日本人のツボにはまった傑作マンガ!日本人なら必読。
内容紹介:シリーズ累計250万部突破! 映画化決定! モンスターヒット作、話題“沸騰”の第III巻!!驚愕の実写映画化決定!(出演:阿部寛・上戸彩 監督:武内英樹『のだめカンタービレ』 製作:フジテレビジョン 配給:東宝)。すべての“風呂”は、“ローマ”に通ず。
風呂&古代ローマを巡って、さらなる大冒険は続く…!マンガ大賞&手塚治虫文化賞のW受賞など、ほとんど社会問題化している超ベストセラー・爆笑コミック、全世界待望の最新III巻!
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