2011年5月9日月曜日
イヴの眠り 全5巻 読了
イヴの眠り 全5巻 読了
~YASHA NEXT GENERATION~ 吉田秋生/著 小学館/刊 1巻20040220初版390円 2巻20040820初版390円 3巻20050120初版390円 4巻20050820初版390円 5巻20060120初版390円 flowersフラワーコミックス
テレビドラマ化もされた「YASHA」の続編。「BANANA FISH」に直接は繋がっていないですが、脇のキャラクターに視点を置くと、ある意味壮大なサーガとも云うべき世界を描いているのではないでしょうか。
本書はYASHAに登場して生き残ったキャラクター達の後日譚とも云うべきストーリーなので、前作を知っているとより面白さが増します。拙者はYASHAを読んでいるはずなのですが、既に記憶は忘却の彼方と消え去っているので、何とかして再読した後にまた本書を読まねばなりますまい。
主人公はYASHAの主人公の娘・アリサへと代替わり。だから副題も~YASHA NEXT GENERATION~となっているのでしょう。遺伝子操作や殺人ウィルスやコピー人間などSF的ガジェットを散りばめながらも、自然に抱かれたスピリッチュアルな世界観と自分探しの物語が女性を主人公とした為によりいっそう前面に押し出ている感じがします。
一般的に云って翻訳モノのSFは、根底にキリスト教的倫理観があって神々の力の代わりに科学の力があるような気がしますが、日本の小説も含めマンガにおいても確固たる倫理があるわけではなく汎神論的アミニズムの中で人が人たるにはどう考え行動すればよいのかを問うストーリーであって、科学技術はガジェットでしかないような気がするようになりました。神が独りしか居ない文明の人々が日本にエキゾチックさを感じるのも、そんな所にあるのでしょうか。閑話休題。
主人公の名は“アリサ”ですが、“アリサ”と聞くとモーゼルを思い出します。ニヤリと笑った方は今や社会的には中堅以上の年齢に達している人だと思います。戦う美少女モノではありますが、やはり男性作家が描く戦う美少女と、女性作家が描く戦う美少女とではニュアンスが異なるでしょう。前者は永遠の美少女なのに対し、後者は“母”へなる前の前段階として連綿と続く命のリレーを見通しての存在として描かれます。物語舞台がハワイから沖縄へと古の母系社会が強い南洋を設定した著者吉田秋生が、命を扱いながらも男の主人公だった「YASHA」では飽き足らず、娘を主人公にしたて、物語に一つの決着をつけさせたのも何かを示唆しているように思えます。是非「BANANA FISH」「YASHA」そして「イヴの眠り」を通して読んでみると面白いかもしれません。
5巻:出版社 / 著者からの内容紹介:大ヒット・コミック「YASHA(やしゃ)」のスーパー・ヒーロー・有末静の遺伝子を受け継ぐ少女、アリサ。彼女を待ち受ける想像を絶する運命とは?
まんまとアリサたちの捜索の手から逃げおおせた死鬼(スー・グイ)。そんな彼の狙(ねら)いは、忌わしきウイルスを使った戦争(バイオ・テロ)だった! ウイルスのデータを守る今井(いまい)をつけ狙う死鬼。アリサはその計画をくい止めるために、静(セイ)に助けを請うが???!? DNAで繋がる物語、感動の最終巻!!(アマゾンより引用)
(flowers掲載)
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