鹿と日本人 読了
~野生との共生1000年の知恵~ 田中淳夫/著 築地書館/刊 20180709初版1800円
奈良公園周辺へ行くとシカが闊歩している。修学旅行の定番だろう。昨今は海外観光客に大人気らしい。
飼われているシカかと思いきや、野生のシカなんだそうだ。 創建以来絶えた事の無い東大寺の鐘の音を聞くため境内を歩いているとシカと出会って驚く。今は全てのトイレにシャッターや格子がついているが、昔はシカがトイレの中に自由に出入りしていて、拙者がトイレに入ろうとすると、個室からシカが出てきて叫び声を上げたものだ。便器の水を飲んでいるのか、トイレットペーパーを食べていたのか、両方かもしれぬ。
夜間、南大門に来たタクシーが客を呼ぶためか警笛を鳴らしたら、林の中から地響きと共にキラキラひかる何かが近づいてきたことがあった。シカの目だった。今の南大門周辺は街頭も立って明るくなったが、かつては大仏殿の提灯が闇夜に浮かんでいるだけの暗い場所だったのだ。二月堂だけが常夜灯に輝いていた。
最近奈良へは行ってないけどね。
さて、そんなシカたちは野生であるがゆえに、街の中を闊歩しているがために、色々と人間にとって好都合な面もあれば、不都合な面もある。あるいは奈良にいるシカばかりではなく、全国の山林のシカが増えすぎて樹木や山間部の農家に莫大な被害を生じていたり、各地でシカが問題を起こしていたりする。
奈良のシカを中心に、日本人が今までシカとどのように関わってきて、今現在どのような問題を抱えているのかを紹介しているのが本書なのだ。ルポルタージュもしくはドキュメント的内容と云って良いだろう。活字も大きくて内容的にも読みやすく書かれていて手に取りやすいと思われるが、書かれているのは答えの出ない深刻な事ばかりであった。
(以下アマゾンより引用)
内容紹介
神の遣い? 畑や森の迷惑者?
赤信号は止まって待つ?
鹿せんべいをもらうとお辞儀する?
シカは人間の暮らしや信仰にどう関わり、どのような距離感でお互いに暮らしてきたのか。1000年を超えるヒトとシカの関わりの歴史を紐解き、神鹿とあがめられた時代から、奈良公園をはじめ全国各地で見られるシカとの共存、頻発する林業や農業への獣害とその対策、ジビエや漢方薬としての利用など、野生動物との共生をユニークな視点で解説する。
出版社からのコメント:野生鹿が、市民と一緒に普通に横断歩道で信号待ちをする街、奈良在住の手練の森林ジャーナリストが書き下ろした、日本列島に住む野生動物と人間社会の関係のあり方を論じた本です。1000年に及ぶ野生鹿との共生の歴史を持つ奈良の事例をひもときながら、「共生とは、みんな仲良くではなく、みんなスキなく、適度な緊張を持ちながら棲み分ける生き方」(本書あとがきより)だと著者は言います。今まさに始まった人口急減社会のなかで、家畜、ペット、害獣という分け方を超えた、動物との新たなインターフェイスを考えるにあたっての、刺激に満ちた本です。
内容(「BOOK」データベースより)シカは人間の暮らしや信仰にどう関わり、どのような距離感でお互いに暮らしてきたのか。1000年を超えるヒトとシカの関わりの歴史を紐解き、神鹿とあがめられた時代から、奈良公園をはじめ全国各地で見られるシカとの共存、頻発する林業や農業への獣害とその対策、ジビエや漢方薬としての利用など、野生動物との共生をユニークな視点で解説する。
著者について:1959年生まれ。奈良県在住。静岡大学農学部林学科卒業後、出版社、新聞社等に勤務の後、現在はフリーランスの森林ジャーナリスト。森林、林業、山村問題などのほか、歴史や民俗をテーマに執筆活動を行う。著作に 『イノシシと人間――共に生きる』(共著、古今書院)、『森を歩く──森林セラピーへのいざない』(角川SSC新書)、『森林異変──日本の林業に未来はあるか』 『森と日本人の1500年』(以上、平凡社新書)、『日本人が知っておきたい森林の新常識』 『森と近代日本を動かした男 山林王・土倉庄三郎の生涯』(以上、洋泉社)、 『ゴルフ場に自然はあるか?──つくられた「里山」の真実』(電子書籍、ごきげんビジネス出版)、『樹木葬という選択──緑の埋葬で森になる』(築地書館)、『森は怪しいワンダーランド』(新泉社)など多数。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)田中/淳夫:1959年生まれ。静岡大学農学部林学科卒業後、出版社、新聞社等に勤務の後、現在はフリーランスの森林ジャーナリスト。森林、林業、山村問題などのほか、歴史や民俗をテーマに執筆活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
0 件のコメント:
コメントを投稿