木更津駐屯地航空際

木更津駐屯地航空際
2019年12月8日木更津駐屯地航空際にて撮影

2010年8月28日土曜日

インプレッション 観了

インプレッション 観了

 ワシ、夢邪鬼言いますネン。
 ラムさんの夢、このワテに創らせてくれまへんか?

 他人の夢の中に侵入し、秘密を盗み出す仕事をしているコブ(レオナルド・ディカプリオ)は、産業スパイの依頼を受けるが失敗。逆にスパイをしていた企業トップのサイトー(渡辺謙)から引き抜きを受ける。サイトーの依頼はライバル企業の次期社長であるロバート(キリアン・マーフィ)に自社企業解体へのアイデアを植えつける事であった。仲間を集め作戦を練りロバートの夢の中に侵入するも、最大の障壁はコブ自身の深層心理にあった。
 作品中に言及されていませんが、“夢”への侵入が当たり前の世界であり、心理学の一分野として大学で授業すらあるみたいです。学会とかも有るのでしょう。恐らく初稿の脚本や、もしかしたらディレクターズ・カット版にはそんな設定が生かされているのかもしれませんが、尺を短くされたので本筋に関係無しと削除されたのだと思います。「JM」や「「ストレンジ・デイズ」みたいに設定をくどく説明していない点に好感が持てました。
 夢へのメタ世界観の構築と脱出劇は、押井守を筆頭に常に描かれているモチーフであり、そこに「七人の侍」のコンセプトである仲間を集め、戦い、ミッションを果たす、アクション要素をメインに、主人公コブの因縁話を絡め148分の長い尺でありながら、飽きさせないストーリーは秀逸と思いました。夢を階層構造にして、夢から覚めても夢の中の入れ子式を二重三重にして、しかも観客へのビックリ箱ではなく、入れ子の中からの脱出劇にすることにより、観客への理解のしやすさとアクション脱出劇にしたあるのが、押井守の「イノセント」と違って面白い。しかも単なる脱出ではなく、それぞれ時間の流れの違う三つ(最終的には四つ)の世界で同時進行するアイデアもこれまた脱帽するしかない着想。成功するのはわかっていながらも、ハラハラ感と云いドキドキ感と云い圧巻。しかも己の潜在意識に侵入され、他人の勝手なイメージを植え付けられた青年実業家ロバートが、本人にとってはポジティブ・シンキングになった結末に、観客はある意味、爽快な結末になったが如くの印象を受けてしまうギミックがまた凄い。
 場面場面に出てくる“水”の描写ですが、いろいろと解釈はあると思いますが、私としては「死と再生」における“三途の川”や“忘却の河”であり、胎児の羊水の表現だと思います。ロバートの夢に侵入した祭、第一層では雨の中であり橋から川面への落下、第三層では“水”の形態である「雪」である点に、そして“リンボウ”、個人の潜在意識の更に下層と設定された人々を通底する共通意識(映画内ではコブ、サイトー、ロバートそして死者であるコブの妻たちの意識)として「海」が描かれているのにも、脚本家達の単なる思い付きのアクション映画ではない、テーマ性を感じさせる要因になっているのでしょう。映画「攻殻機動隊」で水に沈むサイボーグである草薙素子がダイビングを行うシーンと、オープニングのサイボーグの体が作られている過程の描写にも共通すると思います。
 コンピュータの発展により、観客の日常生活が以前と変化し、かつては観念的であった地獄や天国のイメージ(階層的でありそれぞれの階層の時間進行の速度が違うとか、またドラゴンクエスト等のゲームにより階層の移動が何を意味しているのかを認識出来るようになった)を、作品中の中に組み込む必要がなくなり、よりスピーディなストーリー展開が出来るようになったのでしょう。
 ストーリー的にとても面白いのに、冒頭からのアメリカーンなジャポニズムや、JR東海の新幹線にコンパートメントがあったり、そこまでして日本を演出しなくて良いのに、と思ってしまいました。
 ラスト・カットにもいろいろと語りたい事がありますが、我々観客が“胡蝶の夢”を植えつけられた演出でしかないと割り切るしかないでしょう。

原題: INCEPTION
製作年度: 2010年
別題: -
製作国・地域: アメリカ
上映時間: 148分
 スタッフ
監督:クリストファー・ノーラン
製作総指揮:クリス・ブリガム 、トーマス・タル
原作:-
音楽:ハンス・ジマー
脚本:クリストファー・ノーラン

 解説: 『ダークナイト』の気鋭の映像作家、クリストファー・ノーラン監督がオリジナル脚本で挑む、想像を超えた次世代アクション・エンターテインメント大作。人の夢の世界にまで入り込み、他人のアイデアを盗むという高度な技術を持つ企業スパイが、最後の危険なミッションに臨む姿を描く。主役を務めるのは『シャッター アイランド』のレオナルド・ディカプリオ。物語のキーマンとなる重要な役どころを『ラスト サムライ』の渡辺謙が好演する。斬新なストーリー展開と、ノーラン監督特有のスタイリッシュな映像世界に引き込まれる。
シネマトゥデイ(外部リンク)
 あらすじ: コブ(レオナルド・ディカプリオ)は人が夢を見ている最中に、その潜在意識の奥深くにもぐり込んで相手のアイデアを盗むことのできる優秀な人材だった。彼は、企業スパイの世界でトップの腕前を誇っていたが、やがて国際指名手配犯となってしまう。そんなある日、コブの元に“インセプション”と呼ばれるほぼ不可能に近い仕事が舞い込む。
 キャスト
レオナルド・ディカプリオ(コブ)
渡辺謙(サイトー)
ジョセフ・ゴードン=レヴィット(アーサー)
マリオン・コティヤール(モル)
エレン・ペイジ(アリアドネ)
トム・ハーディ(イームス)
ディリープ・ラオ(ユスフ)
キリアン・マーフィ(ロバート・フィッシャー)
トム・ベレンジャー(ブラウニング)
マイケル・ケイン(マイルズ)
ピート・ポスルスウェイト(モーリス・フィッシャー)
ルーカス・ハース(ナッシュ)
タルラ・ライリー(-)
ティム・ケルハー(-)
マイケル・ガストン(-)

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