木更津駐屯地航空際

木更津駐屯地航空際
2019年12月8日木更津駐屯地航空際にて撮影

2019年7月18日木曜日

コバルト文庫で辿る少女小説変遷史 読了

コバルト文庫で辿る少女小説変遷史 読了
嵯峨景子/著 彩流社/刊 20161230初版1800円
 少女小説の定義から始まる、お堅い本。拙者も流石にコバルト前史は知らないが、前史の作家達の名は見たことがある。コバルト以後はほぼ拙者の読書遍歴と重なるので懐かしさを覚えつつ読み勧めるが、炎のミラージュ以後になると離れてしまい、仕事柄背表紙だけは見続けてきているから、なんとなく分かる程度になる。コバルト以外の講談社他の流れもだいたい分かっているが、シリーズの方針や浮沈について興味深く読んだ。
 ちなみに小林深雪はティーンズハートから青い鳥文庫へと移りつつも、ティーンズハートで書いていたシリーズを引き継がれ今も読まれ続けられている。著者の力量は言わずものがな、出版社が講談社だったからこそできたとも云えるだろう。
 拙者の場合コバルト文庫シリーズだから手に取ったのではなく、古くは新井素子から、昨今では高殿円(最早ライトノベルは書いていないが)まで著者で読んでいた。人としての生き様や面白さを追求された作品であれば性差は関係無いと云うのが拙者のスタンスなのである。それでも時代により流行り廃りがあるわけで、個人的嗜好も大なり小なり"時代"に影響されてしまう。
 日本においてはジャンルが細分化されており、活字であっても男女の性差がくっきりと区分され、コバルト文庫シリーズを手にしていない男性が大勢存在するのもまた事実であろう。
 ライトノベルを総括した資料が無い現在、ヤングアダルトモノとして男女共に最長を誇るコバルト文庫シリーズを総括した本書は、日本のハイティーンをターゲットにした小説群の総括とも云えるのではないだろうか。
(以下アマゾンより引用)
 内容紹介
 帯文は新井素子先生!
 常に少女たちの「居場所」となり、「読者」と共に歩み続ける「Cobalt」/コバルト文庫。そんな「コバルト」を追うからこそ見える少女小説史! 雑誌「Cobalt」の前身である『小説ジュニア』から、Web マガジンCobaltまでの時代を追い、各時代の読者と「少女小説」の移り変わりを徹底追跡。学校読書調査や雑誌の読者投稿なども引用し、時代のリアルな空気も読み取れます。80年代のコバルト読者からライトノベル世代の中高生まで、幅広い世代に楽しんでもらえる一冊です。

【目次】

第1章 『小説ジュニア』から『Cobalt』へ
1 少女小説前史――戦前期から戦後概略
2 一九六〇年代のジュニア小説とその書き手たち
3 氷室冴子の登場と若手作家たちの活躍
4 『小説ジュニア』から『Cobalt』への転換
第2章 一九八〇年代と少女小説ブーム
1 『Cobalt』とコバルト文庫にみる少女小説家プロモーション
2 講談社X文庫ティーンズハートの創刊と読者層の拡張
3 拡大する少女小説マーケット
4 学園ラブコメからファンタジーへ コバルト文庫の新たな世代の書き手たち
第3章 ファンタジーの隆盛と多様化する九〇年代
1 ファンタジー小説の流行
2 少女小説レーベルのなかのBL
3 九〇年代の世相と少女小説の動向
4 九〇年代的コバルト読者共同体
第4章 二〇〇〇年代半ばまでの少女小説
1 角川ビーンズ文庫の創刊とその躍進
2 『マリア様がみてる』と『伯爵と妖精』 ゼロ年代前半のコバルト文庫とヒット作
3 少女小説における学園小説の衰退と読者層の変化
第5章 2006年から現在までの少女小説
1 二〇〇六年前後の少女小説レーベルの再編成
2 少女小説ジャンルのなかの「姫嫁」作品の増加
3 ネット発コンテンツと少女小説 ボカロ小説とウェブ小説の動向
4 ライト文芸と少女小説
5 少女小説の未来へ

付録
「コバルト」と各レーベル刊行時期の比較
コバルト50年史
コバルト・ノベル大賞受賞者一覧
 内容(「BOOK」データベースより)『小説ジュニア』から40周年記念まで。「コバルト50年史」チャート!ティーンズハートやビーンズ文庫も!少女小説レーベルの歴史が一目でわかる「各レーベル刊行時期の比較」チャート付き!「読者投稿欄」にも言及。
 著者について:嵯峨/景子 1979年生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。専門は社会学、文化研究。現在明治学院大学非常勤講師、文化学園大学文化ファッション研究機構共同研究員。
 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)嵯峨/景子:1979年生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。専門は社会学、文化研究。現在明治学院大学非常勤講師、文化学園大学文化ファッション研究機構共同研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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