木更津駐屯地航空際

木更津駐屯地航空際
2019年12月8日木更津駐屯地航空際にて撮影

2010年11月24日水曜日

箆棒な人々 読了

箆棒な人々 読了
~戦後サブカルチャー偉人伝~ 竹熊健太郎/著 太田出版/刊 19980807第1刷1800円 
 目次
現世はすべて神の遊戯 康芳夫 対談 7-106
画怪人かく語りき 石原豪人 対談 107-192
憎むな!殺すな!赦しましょう! 川内康範 対談 193-272
ダダの細道 糸井貫二 対談 273-338

 雑誌『クイック・ジャパン』に連載されたインタビューをまとめた本。
 1998年の時点での本として認識してください。現在は河出文庫で入手可能。
 康芳夫は今で云えば“イベント・プロデューサー”ですか。モハメド・アリの世界ヘビー級公式戦やアリVS猪木異種格闘試合のプロモーターであり、ネッシー捕獲探検隊、謎の猿人類オリバー君来日イベント、ノアの方舟探索プロジェクトを企画、また「家畜人ヤプー」の出版プロデューサーでもある人です。'60年代後半から'70年代に少年時代をおくった人ならば、康芳夫は知らなくとも、これらイベントの数々には心ときめかしたのではないでしょうか。
 石原豪人はイラストレーターとして有名。彼の絵は必ずどこかで目にしているはずです。詳細は後日。
 川内康範はこのブログを読むであろう人々にとって「月光仮面」を作った人であり、「レインボーマン」「ダイヤモンドアイ」に携わり「コンドールマン」にも関係しているのかな。さらに小説家や作詞家でもあり、森進一の「おふくろさん」騒動でこの人まだ生きていたのか!と思った方々も多かったことでしょう。また政治活動にも関係しており、多才にして多方面で大活躍した人であります。信念の「生涯、助っ人」はまた墓碑にも書かれたとか。
 糸井貫二は通称「ダダカン」として知られており、やはり'70年代のサブカルに興味がある人々にはパフォーマーとして名だたる存在です。拙者も何処かで聞いた記憶があるのですが、詳しく知ったのは本書が始めてでした。
 タイトル「箆棒な人々」の"箆棒"につていまえがきで著者竹熊健太郎自身による解説がなされているので、以下余談ではありますが、"永田式翻訳術"(予備校講師)で考えると、"箆棒"は強めの副詞であり「鬼の様に」と訳してしまえば意味は通じるわけです。「鬼の様な人々」。
 ここに出ている人々は“鬼の様な”生き様の人々なわけです。多くの人々の記憶に残り、少なからずの人々の生き方に影響を与えた人々でもあります。日本の正史に名は出てこないけれども、大衆史の中には必ず顔を出す人々であり、ある時代を体現する人々でもあります。彼らへのインタビューは、著者竹熊健太郎が子どもの頃に不思議に思った出来事や印象に残った何かを紐解く作業でもあります。それ故にインタビュアーの気迫も尋常でなく、凡百のインタビュー集とは一線を画す出来の良さなのです。インタビューに対談している人が凄い人生を送っているのは当然として、インタビュアーもまた対象者に喰らい付いて行くのが素晴らしい。ただこの素晴らしさは行間にあるものなので、具体的に何が凄いかは指摘できかねます。
 竹熊健太郎と云えば「サルでも描けるまんが教室」が有名。漫画家相原コージとともに、己自身をキャラクターとしてマンガ界に打って出るストーリーを縦軸に既成のマンガや出版業界のウンチクを語る作品でもありあました。機会無くブログ上で紹介していませんが、是非とも人にオススメしたいマンガでもあります。「バクマン。」を先取りしたような内容であり、「まんが道」に影響されたと何処かで発言していたような気がしますがさてはて。
 雑誌『クイック・ジャパン』の創刊に至る経緯もあとがきに掲載されているので、興味の有る方には一読をオススメします。拙者にとって『クイック・ジャパン』は消えた漫画家を追いかける取材記事が、地に足をつけたルポルタージュとしてとても面白く、初期に購入していました。また著者竹熊健太郎によるエヴァンゲリオン監督の庵野秀明ロングインタビュー「庵野秀明パラノ・エヴァンゲリオン」「スキゾ・エヴァンゲリオン」もこのブログ「がちょーん」の中でも度々引用させてもらっています。サブカルチャーを扱っている『クイック・ジャパン』ですが、アキバ系よりも下北・吉祥寺系へと流れていったので、拙者も離れてしまいました。
 物語とは「生き様」を描く、と云うのが拙者の主題であり、マンガであれ映画であれ「生き様」がどう描かれているかが拙者の観点になっています。その意味で、現実の人でありながら、まるでドラマの主人公の様な波乱万丈の人生を送る人々の背中は見る価値があると思います。己がそんな人生をおくれないからこその興味も湧いてきます。
 70年代サブカルチャーに興味の有る方には是非ともご一読をオススメしたい。


 北朝鮮の韓国砲撃が23日に為されました。川内康範の「憎むな!殺すな!赦しましょう!」を今こそ実践するべきだと思います。ただし川内康範自身が述べている通り、逆恨みを防ぐ為にも喧嘩相手は徹底的に叩きのめす必要があります。


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