木更津駐屯地航空際

木更津駐屯地航空際
2019年12月8日木更津駐屯地航空際にて撮影

2010年11月18日木曜日

D-悪夢村 読了

D-悪夢村 読了
~吸血鬼ハンター22~ 菊池秀行/著 朝日新聞社/刊 20100930第1刷560円 朝日文庫ソノラマセレクション
 新聞によると拙者の地域の日出は6:21分。拙者は低血圧で毎朝風呂に入って暖気しないと動けないので6時には風呂に入っています。夏場ならシャワーでも良いんですが、こう寒くなると湯船に入らないと体が温まりません。風呂を沸かす時間も日に日に増しています。
 ♪朝寝・朝酒・朝湯が大好きで、そーれで身上潰~ぶした。と小原庄助さんは謡われています。昔は井戸や川から桶で水を運び薪で湯を沸かしました。それに費やす労働力はバカになりません。それに照明手段も蝋燭か油、もしくは囲炉裏であった当時、光を得るための燃料代のコストがバカ高くつくので、お金の無駄遣いを無くすには太陽が出たら働いて沈んだら寝る生活をしなければなりません。そんな時代に朝から湯に入ったり酒を飲んでいたらお金が出て行くばっかりで、入ってきやしません。小原庄助さんって結構良いご身分だったんじゃないんですか?人の上に立つには使われる人の倍働かねばならないのは今も昔も同じです。物持ち金持ちは者も物も自分で管理監督しなければ、人は働かないし物は無くなっていきます。朝寝ていたら管理できませんから。まあ、身上潰れますわな。小原庄助さんは福島県の人らしいですが、因みに拙者が知っている岡山の庄屋の家に、家主は早起きをしろと云う代々伝わる歌があるそうです。早起きしないとスズメが蔵からお米を運び出すんだそうです。で、その家族には口伝でスズメとは一家以外の他人の事だと。庄屋は江戸時代においては一企業と同じであり、それでいて幕府や藩の御用を務める役所の一端でもありました。庄屋の蔵には年貢もあれば家の蓄えもあり、それら公私の管理をしなければならなかったと云う事です。
 朝湯は入れるし、夜しか自宅にいないけど、電気代は毎月千数百円しかかからないし、拙者は現代に生まれ育って本当に良かったとつくづく思いますね。
 ちょっと話がずれましたが、本来朝寝朝酒朝湯をしていれば家が潰れるのですが、朝寝朝酒朝湯を満喫する人々がいました。所謂西洋の貴族達や日本の平安時代の貴族達です。庶民には高くて手が出ない蝋燭や灯明をふんだんに使い、日夜宴会を開く。夜宴会をするのですから、朝早く起きれるわけもないわけです。しかもその照明代も宴会費もすべて領民の税から出ているのですから、領民にとってはたまったものではありますまい。オラ達の血税を吸い上げる鬼ども、この“吸血鬼”めら!と云ったかどうだかわかりませんが、数多くの妖怪・モンスター・化物達がより自然的存在なのに対し、吸血鬼は人間的高貴さを身にまといます。このイメージはブラム・ストーカー以後の事であるのは明白で、文学よりも映像として流布された感がありますが、何故世界中の人々に受け入れられるに至ったのか?を考えると、どこの地域の人々も“そんなもんだよな”と共通のイメージがあったのではないでしょうか。広辞苑の「吸血鬼」の項目を見ると②他人を搾取するなど、むごい人。と書かれていますので、拙者の独りよがりな考え方だけでもあるまいと思う次第。

 高度に発達した現代文明以後地球の支配者となったのは吸血鬼“貴族”達であった。以後吸血鬼達は1万数千年に渡り地球に君臨し宇宙を支配し次元を超えたが、その絶頂期は過去のものとなり衰退をはじめる。地上から貴族達の姿は消え人類が地球の支配者に戻ったかのように見えたが、辺境の各地には貴族達の遺伝子操作や度重なる実験の果て伝説の魔獣もかくやと思われる魑魅魍魎が跋扈し人間達を襲っていた。そして、未だ己が種族の栄華を忘れられない貴族や、一度は着いた永久の眠りから目覚めてしまった貴族が、食料たる人類に牙を向く事があった。普通の人々には抗えぬ力を持つ“貴族”に対抗する為に、超戦闘力を備えた“ハンター”を雇うのであった。史上最強の知恵と力を備える“貴族”を専門に狩るハンター、「吸血鬼(バンパイア)ハンター」を!
 えー、吸血鬼(バンパイア)ハンターDも22巻目です。最早人々から依頼が無くとも吸血鬼狩りを趣味で行う人になっています。必殺仕事人が金で働くハードボイルドな殺し屋から、何時の間にか人情話に変ってしまったような、そんな感じがします。“D”もいったい何処から現れるのだか、貴族に襲われ難儀をしている人々の前に、突然劇的に登場して、敵も見方も美貌の虜にした挙句皆殺しにし、生存者数人に微笑んで去って行く通り魔!?になっていませんか?確かに伝説のハンターですわ。
 “D”の出生の秘密が、ほんの僅かですが少しづつ滲み出ているようです。著者菊池秀行も書くたびに思い付くのではないでしょうか。しかも親の影を追いかけているようでいるので、最終回は「私がお前の父だ!」「ノーッ!!」とか演出してくれるのだろうか、なんて考えていましたが、最早親父は居ないんじゃないかみたいな事を匂わせはじめました。もしかしてアヤフヤのままで終わろうとしているのでは?栗本薫のように、命有る限り書き続けるけど、途中で終わったらゴメンで済ませて、みたいナ。

 内容紹介:山津波で宿を追われた旅人たちが辿り着いた村は、かつて貴族と外宇宙生命体とが死闘を繰り広げた古戦場であった。過去を留めたまま眠りについていた村は、旅人を迎え、突如、血を求めて目覚めた。そして雨に煙る村に不気味な人影が現われるや、旅人は音もなく消えていく。パニックが頂点に達した時、Dが現われた。圧倒的な人気を誇る〈吸血鬼ハンター〉シリーズ、書き下ろし最新刊、第22弾登場。
 内容(「BOOK」データベースより):山津波で宿を追われた旅人たちが辿り着いた丘の上の村は、かつて貴族と外宇宙生命体とが死闘を繰り広げた古戦場であり、“神祖”が作った実験場に隣接していた。過去を留めたまま眠りについていた村と貴族の城塞は、旅人を迎えて突如目覚め、村にOSBを素材にした合成生命体が徘徊しはじめる。一行のパニックが頂点に達した時、Dが現われた。圧倒的な人気を誇る“吸血鬼ハンター”シリーズ、書き下ろし最新刊。
 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より):菊地 秀行 1949年、千葉県に生まれる。青山学院大学卒業。1982年「魔界都市“新宿”」でデビュー後、精力的に執筆。日本推理作家協会会員。SF・ホラー映画愛好家としても有名である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)(アマゾンより引用)



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