狂武蔵 観了
昨年イオンシネマで観た「狂武蔵」。
「クルイムサシ」と読むんだそうだ。てっきり「キョウムサシ」かと思ってしまった。基本読めない漢字は音読みと云うのが日本での原則だし、宮本武蔵の映画だから固有名詞として読んでしまった。武蔵はタケゾウとは読んでも「ブゾウ」とは読まないよなぁ。
戦国無双を実写でやってみました的映画。
雑魚を蹴散らすと、中ボスが現れて一騎打ちをして倒すとまたルーチンの雑魚倒し。ゲームそのもの。
そうそう、映画を撮っていると、どうしてもやりたくなる一つが延々とワンカットで撮る演出ね。ただ「1917」の計算されたフレームと演出の美しい映画の後で、ドキュメント風の雑な映像を見ても途中で飽きてしまう。
役者も大変だけど、カメラマンがこれまた滅茶苦茶大変なのだ。だってカメラを回している間中集中力を途切れさせられないんだから。武蔵の顔UPと夕日のカットだって現場でカメラマンの美意識で撮影したと思われる。見ている観客が飽きているのに、カメラマンの集中力は途切れていないのが素晴らしい。それとビデオだから出来る技とも云える。フイルムだと撮影時間が限られているから。
主人公の武蔵がただ刀を振るっているのに飽きると、切られる側に意識が向く。
だいたい十人くらいが切られ役で交互に出てくる。背景で右往左往するのが十五人くらい。茶色の服を着ている丸顔の人は右側の袖がほずれるんだけど、途中で仮縫いして出てくる。通常は切られると呻きながら画面の外へ出るのだが、一度画面外に出ず戦列復帰をした時に、後ろから来た別役に引っ張られて強制的にフレームアウトしていた。 何度も武蔵が刀を奪うのは小柄な灰色の服を着ている人。投げ飛ばされるのもこの人。そして踏まれるのも同じ。 皆頭を叩かれても良い様に防護用の被り物をしているから鬘よりも大きな頭をしている。頭を叩かれて倒れるのも決まっている。走って来て腹を三、四人切られてから三、四人で前方に並ぶのだが、左端にはいつも頭を叩かれる人がいて、頭から血を噴出しながらフレームアウトをしていた。足を切られる人も決まっていて、脛にちゃんと防具を仕込んでいる。
今作を観ると三池版「十三人の刺客」や「ワイルドバンチ」の殺陣の巧さが際立つ。本作は主役の力量だけでもっているだけなのだ。
そしてラストシーン。画面には七年後とか書かれていたが、とても七年分とは思えない化粧化の無い本当に老けて見える武蔵は見ものであった。
後日師匠役で登場していた高橋洋介が亡くなったとの記事を読む。合掌。
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